道州制ウイークリー

■道州制ウイークリー(41)  2017年4月22日

◆四国州の未来像(3)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

②基礎自治体の強化と道州政府の広域行政によって四国全体が活性化

四国の各自治体は、強化された権限、財源、人材を駆使し、地域固有の課題や住民ニーズに応じた行政サービスを迅速かつ優先的に遂行し、住みよいまちづくり、魅力ある都市圏の形成を競う。また、四国州政府は、こうした活動を支える広域交通基盤の整備や四国全体への波及効果の大きい産業振興、観光振興に力を注ぐことから、四国各地域の資源・ポテンシャルが掘り起こされ、四国全体が活性化してゆく。中山間地域の自治体でそうした役割を十分担うだけの規模が確保できない場合は、自治体連携や道州補完の仕組みによって適切な行政サービスが提供される。

 

■道州制ウイークリー(42)  2017年4月29日

◆四国州の未来像(4)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

③州都一極集中でなく、四国の各都市が四国州を支える

州都をどこにするかの問題は、道州制導入が決まり、区割りが確定した段階で、住民が議論し合意を図るべきことである。ただ、道州制においては、基礎自治体が住民生活にかかわる多くの権限を持つため、州都の役割は相対的に小さなものになるとみられ、住民にとって行政上の州都が日常的に意識されることは少ないのではないかと考えられる。その意味では、四国では4県都以外の都市を州都にすることも選択肢となり得るが、一方で、州都となると州庁舎や交通アクセスなど最低限のインフラは必要であり、そのための新たな投資のことを考えると、既存施設の集積があり、交通利便性にも優れた県都が候補となる。四国州では、州都にあらゆる権能が集中するようなことはない。四国州を支えるのは四国の各都市であり、それぞれがブランド化を図り、商業州都、観光文化州都などと称され魅力を高めてゆく。

(注)アメリカでは、カリフォルニア州の州都はロサンゼルスでなくサクラメントであり、ニューヨーク州の州都はニューヨークでなくオールバニで、必ずしも大都市が州都とは限らない。

 

■道州制ウイークリー(43)  2017年5月6日

◆四国州の未来像(5)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

④医療、子育て支援の充実した暮らしやすい環境整備が進む

大学の管理運営を担う四国州政府が、医学部、病院群、行政一体となって四国の実情に応じた医療政策を展開し、必要な医師の育成・確保、拠点病院の充実をはじめ、ドクターヘリなど県単位では十分に対応できない広域救急医療体制の整備も図られる。

少子化対策が四国州の最重要課題となり、各自治体では、医療、保育等を組み合わせた効果的な子育て支援策を競い合う。

また、地域自立の意識が高まることで、地域コミュニティの復活や住民参加も進み、子供を生み育てやすく、安心して暮らせる生活環境が整備される。

 

■道州制ウイークリー(44)  2017年5月13日

◆四国州の未来像(6)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑤特色ある四国づくりによって来訪者が増加する

四国観光庁が設置され、四国の官民一体となった観光施策が次々に展開されてゆく。本四架橋や瀬戸内海の多島美、太平洋の雄大な海岸景観などを巡る大型クルーズ船が就航し、アジアの観光客の憧れの観光ルートとなる。また、四国遍路やお接待文化も、四国州の中で大切に守り育てられ、「四国」は独自の癒しのブランドとして定着する。祭りやアート、アウトドアスポーツのメッカとしても国内外に認知され、温暖な気候とも相まって、滞在型観光、ニ地域居住の対象地として脚光を浴びる。

 

 

■道州制ウイークリー(45)  2017年5月20日

◆四国州の未来像(7)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑥選択的集中投資によって利便性の高い交通基盤が整備促進される

道州政府は、四国の一体的発展に欠かせない高速道路「四国8の字ネットワーク」の整備を優先して進めるとともに、四国内の空港、港湾、鉄道等各交通機関との連携も強化し、利便性の高い交通ネットワークを形成してゆく。

また、アジアとの結びつきが強まる中、選択的集中型の投資による四国内の各港湾、各空港の機能分担や特定の港湾の拠点化などを進め、国際物流や人的交流が一段と活発化する。

 

 

■道州制ウイークリー(46)  2017年5月27日

◆四国州の未来像(7)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑦一つの島としての環境対策、防災対策が強化される

四国は一つの島であることをより強く意識するようになり、四国の山、川、海を一体的に捉えた環境保全や資源循環型の地域づくりとして、森林の再生や河川・海域の環境保全、治水・利水、渇水時の広域連携協力などが総合的に推進される。都市と農山村との交流も活発になり、美しい自然環境と住みよい生活環境を兼ね備えた四国の創造が進む。また、万一東南海・南海地震が起こったとしても、被害を極小化できるよう、四国州政府によって緊急地震情報の研究、海岸整備や施設の耐震化、広域的かつ迅速な救援・復旧体制の整備が推進され、災害対応力が一段と強化される。

 

■道州制ウイークリー(47)  2017年6月3日

◆四国州の未来像(8)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑧四国一体となったアジアとの直接交流が進む

アジアに向けて四国の行政、経済界、大学が一体となって経済、文化、学術交流を推進し、四国の認知度と対外交渉力が高まる。アジアの主要都市に四国州の海外事務所を配置するとともに、四国州の官民トップで海外ミッションを派遣し交渉を進め、安全で高品質な四国ブランドの「食」の提供、企業誘致、観光客誘致、定期航空路線・コンテナ航路の開設などが進む。

 

 

■道州制ウイークリー(48)  2017年6月10日

◆四国州の未来像(9)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑨戦略的な産業振興と大学の強化が図られる

四国州政府は、人材と知の集積に向けた重点投資戦略として、四国が強みやポテンシャルを持つ、バイオ、医薬、環境、LED等の電子部品、新素材などの分野を中心に、研究開発や産業の集積を進め、世界的センターを目指す。

その中核となる四国の各大学は専門性を生かし役割分担と連携・統合を進め、戦略的分野で世界的競争力を持つ州立大学として強化される。それによって、四国では、産業・技術を担う高度な人材の育成・定着、産学連携による地域産業の活性化が進み、特定分野で日本一・世界一のシェアを持つ企業が増加する。海外からの留学生も増加し、四国の国際展開を支える人材の確保が図られる。

このような、自立的、戦略的な地域づくりによって雇用機会が増加することに加え、国から地方への決定権移譲により、地域の自立意識も高まることから、若者の東京志向も次第に弱まり、四国における人材の定着が進む。

 

■道州制ウイークリー(49)  2017年6月17日

◆おおさか政令市プラン①大阪の新しい大都市制度

(2017年6月 自民党大阪府支部連合会発表より)

自民党大阪府支部連合会は2017年6月5日に「おおさか政令市プラン」を発表しました。大阪市と堺市以外の市町村を6つのエリアに分けて政令市に再編し、財源や権限を各市に移すことなどを盛り込むもので、都構想に対抗する狙いがあります。

北摂エリアに2市、河内エリアに3市、泉州エリアに1市を設置。

▽大阪市が目指すべき都市の将来像は「政令市」

大阪府の権限と財源を市町村に徹底的に移譲し、政令市並みの権限を有する自己決定できるまちを創る

▽考え方のポイント

○自己決定・自己責任・自己経営

○市町村(基礎自治体)優先の原則

○大阪府の権限と財源を徹底的に移譲

○ニア・イズ・ベター(住民に近いところで決める)

○道州制を見据えた改革(大阪市は将来の州都をめざす)

大阪府人口 現在880万人 25年後740万人

2060年600万人

人口減少・超高齢社会、財源不足への取り組みが課題

⇒新しい大都市制度

 

 ■道州制ウイークリー(50)  2017年6月24日

◆おおさか政令市プラン②大阪の新しい大都市制度

(2017年6月 自民党大阪府支部連合会発表より)

▽政令市に移行するメリットとして次の諸点があげられています。

  • 事務権限の特例

・まちづくり計画決定(都市計画)

・大きな道路の管理(国道・府道)・児童相談所の設置

・学校の先生の採用や給与の決定など

  • 財政上の特例

・新たな財源税(地方道路譲与税)・地方交付税の増額

・その他新たな財源(宝くじ発行収益)など行政組織上の特例

・区役所の設置など

▽政令市プランの将来は道州制を見据えています。

・市町村との意見交換・市町村の実情や機能を調査・研究・把

・市町村間の連携を協議・促進する場の設置

・大阪府のインセンティブ(目標達成への刺激・誘因)を検討

・国への働きかけを検討・実施

・市町村は、地域の実情に応じ府からの権限移譲が可能となる

よう体制を整備

・市町村の実情に合わせ、順次、大阪府の権限を移譲

  • 最終的には、大阪府を発展的に解消

 

■道州制ウイークリー(51)  2017年7月1日

◆地域政策をどのように変えていくべきか

(小峰隆夫著『日本経済論講義』から)

これからの地域政策は、第一に「誰が地域の活性化を担うのか」である。これまでは「国主導型」であったが、これからは「地方主導型」(企業・住民・NPOなど)にしていくべきであろう。

第二は「どんな方向を目指すのか」である。かつては「分散を志向して国土の均衡ある発展を目指す」ものであったが、今後は「分散一本槍ではなく、必要な集中はむしろ促進していくという選択的集中も必要(クラスター、コンパクトシティなど)で、各地域が地域資源を活かして個性的な方向を目指すことが求められるようになる。

第三は「どんな地域を対象にするか」。かつて政策の中心は「遅れた地域をいかに救うか」であったが、これからは「伸びる地域をできるだけ伸ばし、立ち遅れた地域は対象を絞って集中的に助成する」方向に進むべきであろう。

第四は「どんな手段を使うか」。かつては「公共投資の拡大を中心としたハード路線」だったが、この方式も限界に達している。近年ではハード面よりも、歴史的な伝統や人間同士の信頼関係などの「ソーシャル・キャピタル」をベースとして地域を成長させていく考え方や、「大学、研究拠点、起業環境などの知的資源を組み合わせることによって地域の成長力を高めていく」という発想が強まりつつある。

 

■道州制ウイークリー(52)  2017年7月8日

◆人口減少による農山村や都市のコンパクト化

(山崎朗・久保隆行共著『東京とばしの地方創生』から)

自治体単位で人口減少を議論すべきではありません。1kmメッシュ(日本の国土を約37万個に均等分割した面積単位)でみた、低密度居住地区への移行や、低密度居住区域のさらなる人口減少、無人化が問題なのです。国土交通省によると、2005年に居住者のいたメッシュのうち、2050年までに21.6%は「無人居住区」になり、20.4%は75%以上、24.4%は50~75%人口が減少すると推計されています。人口減少は、地域のサービス供給力に深刻な打撃を与えます。地域内のサービス水準や地域コミュニティを維持し、地域の豊かさを損なわないために、長期的観点から農山村や都市をコンパクト化することが求められています。

今求められているのは、人口減少に対応した新しい地域づくりです。地方創生の第一戦略は、人口減少下でも地域の豊かさ(医療、福祉、教育、商業、その他の多様な対消費者サービス)をできるだけ失わないための戦略(撤退、コンパクト化、小中学校、公共施設、水道事業等の統合再編・集約)です。

 

■道州制ウイークリー(53)  2017年7月15日

◆地方創生は「多様化」「個性化」「差別化」

(山崎朗・久保隆行共著『東京とばしの地方創生』から)

地域開発において大切なことは、同時期に、一斉に同じ行動をさせない(しない)こと。均質化・同調化圧力をかけないことです。地方創生政策でも、これまでと同じ過ち(新産業都市、テクノポリス計画、頭脳立地法、リゾート法、地産地消法など)が繰り返されています。地方版総合戦略を短期間に全国一斉に作成させ、その出来不出来で交付税に差をつけるといったやり方は、望ましい政策ではありません。地方創生に求められているのは、「多様性」、「個性化」、「差別化」です。

地域開発で、もう一つ大切なことは、自治体単位だけで計画を策定するのではなく、1kmメッシュ、都市圏(通勤・通学圏)、地方ブロック圏、国際交流圏など、多様な地域での計画や戦略を構想、策定することです。地域の範囲を変えれば、地域戦略も変わります。

 

■道州制ウイークリー(54)  2017年7月22日

◆時代に対応した自治体経営へ制度見直しの時

(木下斉著『地方創生大全』から)

「地方消滅」を唱えた日本創成会議は「今の単位の地方自治体が今のまま経営していたら潰れる」ということを警告しています。地方消滅ではなく、「地方自治体の破綻」です。自治体は、その地域における行政のサービス単位であり、その単位は常に組み替えを含めて環境に対応して再編され、人々の生活を支えていくのが基本のはずです。

今必要なのは、人口が爆発的に増加する時代に対応した自治体経営や各種社会制度を見直すことではないでしょうか。人口移動だとか、地方創生交付金の創設といった、一発逆転を狙うギャンブルのような非効率な「量」を追う施策ではなく、自治体経営の構造を社会の変化に適応させて「破綻に追い込まれない地方自治体」を構想することこそ、自治体にしかできない重要な役割なのです。

 

■道州制ウイークリー(55)  2017年7月29日

◆都道府県単位の社会構造はすでに崩壊

(木下斉著『地方創生大全』から)

各都道府県に行政拠点を置いて社会そのものを管理する仕掛けは、事実上崩壊しようとしています。従来は、都道府県ごとにおかれた県庁所在地に、官庁だけでなく都道府県単位での民間企業の支店やら営業所やらの中枢がおかれ、営業活動をしていました。行政も産業もそこに集まり、名実ともに県庁所在地が都道府県の中心部であるという時代がありました。しかし、1970年以降は、新幹線と高速道路が開通したことで、「民間企業の支店などは複数都道府県で一つずつ」といった形で統廃合されています。例えば、山形市は高速道路によって完全に仙台市経済に組み込まれてしまっています。このように47都道府県すべての行政拠点の近くに、民間企業が支店や営業所をおくという時代は、すでに終焉を迎えています。これはまず東北全域に始まり、その後、全国的に広がっていった現象です。

 

■道州制ウイークリー(56)  2017年8月5日

◆「州府制」導入の提言(1)「州府制」とは

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

松下幸之助提案の「無税国家論」のアイデアをベースに立ち上げた「無税国家研究プロジェクトチーム」がPHP研究所創設50周年を記念して、1996年に新しい国のかたちとして「日本再編計画」をまとめました。少子高齢化・人口減少時代の今、改めて見つめなおしていきたいと思います。

地域の改革を「州府制」の導入によって実行する。この「州府制」とは「地域主権」を実際に展開する地域の新しい受け皿として、現行の都道府県・市町村をゼロベースで見直し、新たに「12州257府」へと再編・改組するものである。

「州府制」は、①住民と行政の距離を近づける、②税金を通じた住民参加と選択、③行政の意欲と活力の向上の要件を満たす、新しい自治体を創り出すことが、改革の最大の目的である。

「府」は生活行政の核として現行の市町村を再編し、人口15~35万人を目安に257府を創設する。「府」は福祉、教育、保健衛生、消防などの独立した権限と、課税自主権、税率決定権を持つ。行政の実態が住民に完全に公開され、住民の選択と監視を基に行政が実施される「見える自治体」とする。

 

■道州制ウイークリー(57)  2017年8月12日

◆「州府制」導入の提言(2)257府再編への基本方針

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

①より効率的な行政運営につながる「人口規模」

人口規模が増えるにしたがって行政経費は低下、より効率的な自治体運営、行政コストの低下が図れるが、人口一人当たり歳出額が最低になる人口規模は15万4000人となった。この15万人を基本に再編を行った。ただし、島や山間部など地理的理由から、別の自治体と一つにすることが現実的でないところは例外的に15万人を下回っている。

②経済的・財政的に自立した単位

住民生活の核として、自前で生活関連サービスを供給していくためには府はある程度の経済力と財政力を有した単位でなければならない。

③地域相互の交流と連携

道路、橋、鉄道などの発達による地域相互の交流と連携を重視する。旧来の狭い行政区画が交流可能圏域の拡大に追いつけず、行政単位と実際の生活単位とのミスマッチが発生している。ただし、政令指定都市など都市部ですでに自立可能な経済圏が形成され、都市基盤や公共施設など一体的な整備が行われているところについては、現在の行政区域を踏襲していくことが妥当とした。

④小選挙区及び地域の歴史的つながりの尊重

基本的には小選挙区との一致を試みた。また、地域間の土着的な結びつきや歴史的つながりを考慮し、江戸時代の「藩」や「国」などを調べ、「府」が地域性から全くかけ離れたものにならないように工夫した。この基本方針に則り検討した結果、「257府」となった。

 

■道州制ウイークリー(58)  2017年8月19日

◆「州府制」導入の提言(3)広域行政の主体となる「州」

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

現行の都道府県を再編し、新たに10州プラス2特別州を創設する。「州」は「府」の後見役として、「府」単独ではできない仕事、あるいは広域に及ぶ行政事項についてのみ担当する。具体的には、公共事業、危機管理、警察などの仕事を行う。課税自主権および税率決定権を持ち、他州と「善政競争」を行う。

想定している「州」は、北海道、東北州、北陸信越州、北関東州、南関東州、東海州、関西州、中国州、四国州、九州と東京特別州、大阪特別州の12州。

県が廃止され州ができたことで、より広域的な視点から地域内のネットワークのあり方を考えることができるようになったり、各府がそれぞれ得意とする分野を持ちつつ、これまでの県境を越えて競争できるようになる。

 

■道州制ウイークリー(59)  2017年8月26日

◆「州府制」導入の提言(4)行財政効率化で歳出30兆円削減

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

国と地方の新しい役割とシステムをゼロベースから見直し、新しい姿に再編成、国と地方の徹底した行政改革や民営化の推進によって、歳出の2割削減を図ることを目標に年次別歳出削減計画を策定した。計画初年度の6.6兆円の削減を皮切りに、漸次削減額を増加させ、計画達成時(10年後)には年間30兆円の削減を行う。

削減の前提は、「効率性の高い歳出」と「メリハリのきいた歳出」の2点。これを基にした歳出削減構想の基本方針は①再編と行革による行政の効率化、②市場介入の撤廃、③民営化(民間活力の重視)。

①再編と行革による行政の効率化――「市町村―都道府県」体制の改革による行政の効率化で歳出を削減。推計では257府の歳出総額は、現行市町村に比べ7.9兆円減少する。州トータルの歳出額の推計では、現都道府県より8兆円の歳出減になった。計16兆円の削減の半分の7~8兆円が、地方制度再編による「規模の経済」が働いた再編効果である。

②市場介入の撤廃――国や地域が産業振興や価格安定を目的として支出している予算の廃止および業界や地域に対する規制撤廃である。今後は、市場での自由な競争を通じ、民間の活力と自由な選択が最大限に尊重される創造的で多様性に満ちた社会の構築を目指すべきであり、そのためには市場ルールの貫徹が不可欠。歳出削減額は8兆円。

③民営化(民間活力の活用)――教育現場をより創造的で豊かなものに変えていくには、行政関与を減らし、学校間競争を促す必要がある。科学技術関連費用についても客観的な評価の下に研究費が配分されるようになれば、競争原理が働き、研究分野全体が活性化する。民営化効果に国レベルの行政効果を加えればⅯ、歳出削減額は9兆円。

以上のように年間30兆円の歳出削減により、福祉の充実や活力維持、財政健全化のための未来創造財源として「21世紀活力基金」に蓄積される。

 

■道州制ウイークリー(60)  2017年9月1日

◆地域間競争に勝つには(1)自治体ごとのバラバラ対応に限界

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

経済活動の基本単位は国ではなく、地域。その地域とは大都市を中心に50キロから200キロ圏にネットワーク化された広域経済圏である「メガ・リージョン」。そして目指すは「道州制」。地域の競争力を高める処方箋が示されています。―――――

いま、地方では「掛け声だけの広域連携」が横行する。国際競争のためにも究極の目標は「道州制」であろう。しか実現までには少なくとも10年はかかる。その間、東アジアにおける熾烈な地域間競争は待ってはくれない。東アジアではシンガポール、香港、中国の沿海部、韓国の釜山などの国、地域が人材と企業を呼び込む、熾烈な競争をしている。日本の地域も、そのような競争に打ち勝たなくてはならない。しかし自治体ごとのバラバラの対応では、太刀打ちできない。各産地がバラバラに海外で売り込みしていても限界がある。

「日本」そしてその中の「地域」が世界との競争に打ち勝つにはどうすればよいのか。

日本、更には地域も立ち止まっていては取り残される。点と点をつなぐ線の延長に、いま進むべき方向が見えてくるのではないだろうか。これから日本がめざすべき「国のかたち」も浮かび上がってくるのではないだろうか。

 

 

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