月別アーカイブ: 12月, 2019

道州制ウイークリー(173)~(177)

■道州制ウイークリー(173)2019年11月2日

◆道州制を目指す政治家は誰か①

(河野太郎『私が自民党を立て直す』より)

「小さな政府がなぜ必要か」

私の目指す新しい自由民主党とは、むやみやたらと規制を作って経済に介入することをしないという意味で、「権力の小さい」政府を創ろうとする政党だ。

第二に、新しい自民党は、地方が決められることは国が関与せずに地方に任せるという意味での「中央の権限が小さい」政府を創ろうとする政党だ。それぞれの地方で決めれば済むことは地方が決めるべきであって、国がいちいち口を出すべきではない。国が余計なことに口を出さないようになれば、国の公務員の数を減らすことができる。

その裏返しで、国と余計な打合せをやらなくて済むようになれば、地方の公務員の数もそれだけ減らすことができるようになる。47の都道府県を廃止して、8つか11の道州からなる道州制になれば、地方の行政組織はさらにスリム化することになる。新しい自民党は、「公務員の数が小さい」政府を目指す政党だ。

もちろん日本の人口構成が逆ピラミッド型になってしまった今日、年金や医療、介護などの社会保障制度を維持していこうとすると、どうしても自助、共助だけでは足りない。社会保障制度を維持するために必要な公費を投入しなければならないという点で、自民党の目指すべき「小さい政府」は、小さい政府の中でも社会保障の分だけ大きい政府にならざるを得ない。しかし、新しい自民党は、理念として「小さい」政府を目指す政党であることに違いはない。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(174)2019年11月9日

◆道州制を目指す政治家は誰か②

(河野太郎『私が自民党を立て直す』より)

「構造改革こそ日本の生きる道」

日本の労働生産性は先進7か国の中で最下位。国内産業の生産性を上げるためには規制緩和による競争が必要だ。日本経済を疲弊させたのは構造改革ではなく、構造改革をやりきらずに来たことが日本経済を破綻寸前まで追い込んできたのだ。これまでの日本は、競争力のない弱い産業を規制で守り、補助金で守ってきた。業界を守るために支給されてきた補助金のおかげで、政府の財政赤字は増え続け、国債の発行残高のGDP比は今や、先進国の中でも群を抜くようになってしまった。

構造改革は、もはや選択の一つではない。構造改革によって、それぞれの産業を自立させ、競争力をつけさせる以外に日本が取ることができる道は残されていない。構造改革によって、日本市場にも競争が戻ってくる。時代が変わるとともに企業も変わらなければならない。変化についていけない企業は、市場から退出を余儀なくされ、それと同時に新しい企業が市場に参入し、新たな勝者となり経済の牽引車となっていくのだ。

構造改革を実現する上で陥りやすい過ちは、かつての高度成長期のように政府が日本の産業構造の未来図を描くことができるというものだ。新しい経済とは、市場の中でリスクを取って勝負するプレーヤーの中から勝者が生まれることによって実現するものであって、政府があらかじめ絵を描いて創り上げるものではない。構図改革の中で政府が果たす役割は、構造改革を成し遂げるという強烈な意思表示をすることと、最も効率的な市場を創り上げるために障害となるものを取り除く、つまり不必要な規制を撤廃することである。

 

 

■道州制ウイークリー(175)2019年11月16日

◆道州制を目指す政治家は誰か③

(河野太郎『私が自民党を立て直す』より)

国の一般会計と特別会計を事業仕分けすると、5兆円は削減できるはずだ。それに加えて、国家公務員の人件費約5兆円を2割削減すると、1兆円の予算カットにつながる。もし国家公務員の人件費が2割削減できれば、地方公務員の人件費22兆円も横並びで2割削減し、地方の支出を4兆円減らすことができるだろう。最終的には国と地方合わせた均衡財政を実現するため、地方の公務員人件費の削減の意義は大きい。

そのためにも、なるべく速やかに都道府県を廃止し、道州制に移行しなければならない。都道府県は廃止され、道州政府に一本化される。事務経費はかなり削減することができる。

地方への交付税・交付金・補助金は、全て一括して使途を定めずに地方に移譲するべきだ。これまで国が地方に対して支出してきた全ての金額を合計し、人口要件や面積要件等で一律に計算した金額を地方に渡す。更に地方で決められることは全て地方に移管し、それに必要な財源も一括交付金の中に入れて移譲する。地方の事務に関する国の定めた規制やルールは撤廃する。地方はそれぞれの地方なりのルールや規制を制定する。国は、補助金を通じて政策を誘導することをやめる。こうすれば、それぞれの地方の優先順位が、国の支出する補助金のおかげでゆがんでしまうこともなくなる。

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(176)2019年11月23日

◆道州制を目指す政治家は誰か④

(河野太郎『私が自民党を立て直す』より)

「温かい小さな政府」

私が考える「小さな政府」とは次の4つの項目からなる。

1つは、公務員の数を小さくすること。これは、出来る限り政府の役割を小さくし市場原理の中で経済を発展させていくために必要なことだ。そもそも資本主義の中の政府とは、効率的な存在ではない。そして公務員の数が増えれば必ず仕事が増える。

2つ目に、政府の財政規模を小さくすること。政府が富を集めて再配分を行うような政策は避けなくてはいけない。これを続ければ、当然のように増税が見えてくる。そうではなく、政府は無駄なことをせず、民間に富を戻すことを考えるべきだ。

3つ目は、政府の権限を小さくし、地方で決められることは、地方で決めてもらうようにする。保育園の子ども1人当たりに求められる広さや、小学校の天井の高さまで国が決める必要がどこにあるのか。地方に権限を委譲すべきであり、そのために道州制を導入すべきだろう。

4つ目に規制を小さくすること。政府が規制を作って産業を妨げるということがあってはならない。しかしながら、人口が逆ピラミッドになっている日本の現状を考えれば、社会保障には公費を投入する必要がある。特に子育て支援の優先度は高く設定し、早期に出生率を2.07以上に上げ、人口を回復しなければならない。そうでなければ、経済は縮小を続け、結果として社会保障にも手が回らなくなってしまうだろう。

小さい政府を実現し、民間の経済を活性化させながら、手当すべき部分にはしっかりとしたし社会保障を行う、そんな「温かい小さな政府」を目指すべきだ。

■道州制ウイークリー(177)2019年11月30日

◆道州制を目指す政治家は誰か⑤

(河野太郎『私が自民党を立て直す』より)

「既得権第一」では国は発展しない

公共事業や補助金を出すために国債が発行され、国の借金はどんどんと膨らんでいった。日本経済はいたるところで規制が乱造され、市場への新規参入が妨げられるようになり、新しいアイデアや新しい技術、新しい考え方はますます生かされにくくなった。

公共事業や補助金に慣れ、規制で守られるようになった経済のなかでは、新しいことに挑戦して何かを得るよりも、既得権をしっかり守るほうが得になっていった。自由な市場で競争するよりも、守られた市場の中でお互いの領分を侵さずに、手の中にあるものをしっかりと握りしめていくようになった。そして、日本経済から躍動感が失われ、新しい投資が行われなくなり、日本経済の成長が止まった。

政府も経済も既得権を守ることを第一に考えているようでは国は発展しない。公務員の数を減らし、歳出を抑え、規制を撤廃すると同時に、地方に財源と権限をきちんと渡し、小さい政府をつくることで日本の市場を活性化させ、経済成長をさせる。それが新しい自民党だ。

新しい自民党は、もう一度、何か新しい物事に挑戦することが尊いことであるという考え方を日本にもたらす。