道州制ウイークリー(138)~(142)

■道州制ウイークリー(138)2019年3月2日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ⑤

(関西経済同友会緊急アピールより)

一足飛びの「関西州」実現には困難が予想されるため、次のステップを踏むことを提唱する。

<ステップⅠ>

関西空港と伊丹空港の経営統合が成功している事例からわかるように、空港、港湾、道路などインフラの一体的整備と運用は、資源を有効に活用できる。総合力も発揮できる。関西には、多数の公設試験所や支援機関、大学、研究機関等があり、一元化された経済産業政策のもとに一体となって結束すれば、大きな効果を生む。インフラ整備や、経済産業政策等において府県と出先機関がそれぞれ独自に取りこむ仕組みを改め、一元的なビジョンと計画のもと、関西全域の資源を結合し、一体となって発展を目指すべきである。

(1)従来の委員に加え、国の出先機関の代表者を「関西広域連合」委員に委嘱する。

各出先機関の代表者も、メンバーに加わり、情報交換と協議の基盤をつくるとともに、関西全体の政策運営となって携わり、広域行政一元化の第一歩とすべきである。

(2)国に「関西広域担当相」(万博担当大臣と兼任とする)を創設し、「関西広域連合」委員に委嘱する。

大臣は、関西の政策実現にむけたパイプ役を担うべきである。

(3)「関西広域連合」にデジタル専門機関を創設し、ビッグデータの活用を目指す。

関西広域連合に、デジタル化・データ活用等の専門機関を創設し、政策や予算、投資の有効性・執行効率を高めるべきである。そして国・州・府県・市町村の行政サービスの再編成を目指すべきである。

 

■道州制ウイークリー(139)2019年3月9日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ⑥

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州へのステップⅡ>

(1)国の出先機関の業務を「関西広域連合」に移管し、自治体として執行する。

関西では関西広域連合が各出先機関の受け皿となり、「自治体」として一元的・一体的に広域行政(独自の広域産業政策、インフラ整備、保険・医療福祉、各種保険、環境政策など)を担う体制を目指すべきである。このうち、広域産業政策、インフラ整備については、国の出先機関の人員、権限、予算等をそのまま関西広域連合に移行する。なお、「道州制特別地域における広域行政の推進に関する法律」の適用を受けることで、関西は「道州制特別地域」となるべきである。

(2)府県を存続させ、必要業務を、府県から「関西広域連合」に移管する。

関西が関西州を目指すとしても、直ちに府県を廃止すべきでないと考える。①府県を廃止すると、市町村と「州」の間に大きな隔たり(距離及び規模)が生じてしまう。市町村と「州」の間で十分なコミュニケーションや協働をはかることは難しいと考える。②各府県には、歴史・文化・伝統・風土・気質などに根差す帰属意識があり、このような無形の価値は大切にすべきである。③府県業務のうち、本来的に府県レベルで担うべき業務があり、それらを「州」に吸い取ることは「近接性の原理」に反し、地方分権と言えない。④府県の廃止には府県の反対が強く、その意向を無視することは出来ない。

(3)デジタル化推進による行政効率化については次回に掲載。

 

■道州制ウイークリー(140)2019年3月16日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ⑦

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州へのステップⅡ>続き

(2)府県存続の補足

関西広域連合(ゆくゆくは関西州)で担う方が望ましい業務は、府県から関西広域連合に移管することが肝要である。すなわち、府県と関西広域連合の役割を見直し、再編成する。このことにより、スピード速い、効率的な、関西の更なる発展が期待される。府県を永続的に存続させるかについては、府県の役割が再編成される中で効率的な行政と住民サービスの観点で判断すべきと考える。

(3)デジタル専門機関によって、ビッグデータの解析を行い、政策立案への活用、電子政府による新サービスの提供、行政の効率化など、運用を本格化する。

デジタル専門機関を本格的に運用し、行政に活かす。行政効率を上げて、コストを下げる。住民サービスの向上をめざし、投資のアウトカムの検証をし、未来予測等を導入して政策決定に活かすことが重要である。行政サービスの効率を高め、新しいサービス、仕組みを創造するべきである。また、関西広域連合がデジタル技術を活用することにより、関西各自治体(府県・市町村)の業務を支援し、効率アップをはかることができる。特に、医療・介護・福祉においてビッグデータを活用し、効率化をはかることで、社会保障費の増大を抑えるべきである。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(141)2019年3月23日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ⑧

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州へのステップⅢ>

(1)フランスに見られるような議員兼任制度を採用し、公選議員による議会を設置する。

関西広域連合が関西の広域行政を一元的に担い、執行するに当たっては、その正当性が求められ、そのためには、住民による選挙で選ばれたる議員で構成される議会が必要になる。関西広域連合議員には、国会議員・地方議員との兼職を認め、幅広い視野から職務を遂行させる。複数の公選職を経験させることで、政治家としての力量を向上させる。兼職する議員の報酬は、所属自治体ないし国が折半するなど、歳費を抑える。

(2)首長を、議会から互選する。

首長は、準「議院内閣制」的に、議員から互選するのが望ましい。関西ほどの広いエリアの長を直接公選することは、政治的安定を損なう可能性もあり、慎重に考えるべきである。

(3)上記ステップを踏んで、「関西州」を樹立する。

上記ステップを踏んだ上で、必要に応じて法令の改正をはかり、「関西州」を樹立する。「州」の名に値するためには、自主課税権を持つこと、法律の上書き権を獲得すること、そして関西における諸大臣を設けることが目安となる。

まず、関西州を目指す議論と運動が盛り上がり、広く社会の理解を得ることが必要である。その上で、関西州の成立が成功を収め、そして全国に道州制への機運が高まることを期待する。

 

 

 

■道州制ウイークリー(142)2019年3月30日

◆新しい自治制の時代へ(関西州ねっとわーくの会)

激動する世界の中で、日本は発展か、衰退かの岐路に立っています。

国の再生と安定した社会基盤づくりには強靭な経済力が必須要件です。そのためには経済発展を展開する思い切った大地域圏を形成し、地域力を結合させなければなりません。経済拠点である大都市連携を包括するには、細切れの47都道府県から広域行政体への再編が必要です。大地域圏は少子高齢化による人口減少時代や経済社会の広域化にも対応し、競争力のある強い地域圏を形成する「広域行政経済圏」です。これが新しい自治の姿である「州制度」です。世界は今、メガリージョン(大地域圏)の時代です。

大地域圏「州」は、国主導型ではなく、連邦制でもなく、地域の自治による広域自治体です。各州で産業経済特区を形成し地域戦略を展開、公民学共同の産業技術総合研究センターを設置して一極集中ではない多軸、多様な高度技術研究開発を牽引し、さらに全国一律最低賃金の引き上げを段階的に行って地域格差是正をめざす改革です。府県再編、行政改革により行財政の効率化を図り、高齢社会を支える巨額の財政需要に対応していきます。州は広域地域戦略の司令塔となり、地域社会保障の基盤を強化、地域共同体が連なる新しい国づくりにつなげていきます。

州が大地域圏の広域行政を担う一方、現在の府県地域内に関わることは新たな中間的機関を設けず、関係市町村による広域連携部門を設置し、その地域に応じた施策をすすめていくのが望ましいでしょう。

新元号となり、2020東京五輪後の国策として、新しい国のかたちへ転換し、課題解決、改革へ進める時です。もはや「課題先送り」はできません。

 

道州制ウイークリー(134)~(137)

■道州制ウイークリー(134)2019年2月2日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ①

(関西経済同友会緊急アピールより)

関西経済同友会地方分権改革委員会は2018年7月に「関西州」を樹立し、地方分権の先駆けとなるべきという緊急アピールを発表しています。以下がその全文です。

2010年、関西では、地方自治体として「関西広域連合」が誕生し、府県をまたぐ広域業務に一定の成果を挙げてきた。しかし、府県の権限を持ちよる現在の組織や仕組みでは、機能を発揮するのに限界がある。とりわけ、府県の壁を越えた広域的なシナジー効果を発揮すべき産業振興政策を十分に打ち出せていないことに対して、その打開に向けては、政策決定に関する現状の権限や責任の抜本的な見直しが必要である。また広域連合委員会委員の出欠状況を見る限り、各委員が議論を積み重ね前進している状況とは言い難く、改善が必要である。

現在、「関西広域連合」では「広域行政のあり方検討会」が設置され、広域連合の役割や執行体制も含めた今後の方向性について、活発な議論が続けられている。

メガリージョンとしての世界との競争に勝ち、関西・日本が発展を遂げるためには、「関西広域連合」は、新しい責任と権限を拡大し、経済発展や持続可能な社会の構築等に前向きかつ実験的に取り組むべきである。また、デジタル技術の活用による、行政の効率化、政策の実効性評価、市町村の行政サービスバックアップを主導すべきである。そして近い将来委には、「関西州」を樹立し、地方分権の先駆けとなるべきである。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(135)2019年2月9日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ②

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州を目指すべき理由・1>

①インフラ整備や経済産業政策、医療福祉、各種保険など関西圏が一体となって取り組むことで、効率がよくなり成果が上がる。現在ように府県と出先機関がそれぞれ独自に取り組む体制は非効率である。

②関西圏全域を見渡した中で「全体最適」を目指して戦略的に投資ができる。「選択と集中」も可能になる。

③各府県の経営資源(公設試験所や支援機関、研究機関など)が有機的に一体化する中で、シナジー効果が生まれ、総合力を発揮できる。「知恵の囲い込み」がなくなる。例えば、研究機関から事業化まで橋渡しをする機能が格段に向上する。

④出先機関が自治体として一体化する中で、縦割り行政の弊害を極小化できる。住民に身近な存在となる中で、縦割りとならないよう住民の監視が効く。

⑤予算の執行にあたり投資効果をより厳格に見極める態勢になる。財政規律が働きやすくなる。

 

⑥から⑪までは次回に掲載

 

 

 

■道州制ウイークリー(136)2019年2月16日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ③

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州を目指すべき理由・2>

⑥自らの圏域(関西)のことを、「わが事」として自ら考え、自らがその結果責任を負うことにより、意欲が高まり、潜在能力が発揮される。関西のことをよく知っている人たちが政策立案に携わることにより、より関西に適した政策を遂行できる。

⑦全国一律に実施することが難しい政策を実験することができる。成功すれば、全国展開すればよい。失敗してもダメージは少ない。たとえば、ビッグデータを行政に活かすなど、デジタル技術の高度利用を実験していくべきである。

⑧関西という市場圏の中で、地産地消など互恵的な取り組み(生産・消費・流通・交換・融通など)が生まれやすくなり、新たなビジネスが生まれる。

⑨関西が反映することで、東京一極集中の各種リスク(災害リスク等)を分散できる。

⑩世界的な都市間競争を勝ち抜くためには府県単位の産業政策では不十分。また、国の政策では地域の独自性を活かせない。「関西」程度の大きな戦略を立案・推進していく自治体(=関西州)が不可欠。

⑪地方分権の必要性が主張されてから幾久しい。一定の地方分権は進んだが、目指す姿には程遠い。多くの地方が中央集権体制に順応してしまっている現在、全国一律に地方分権を進めたり、道州制を導入することは不可能である。関西にて、実験的に分権し、関西が地方の力を発揮して見せることで、全国への波及を期待する。

 

 

 

■道州制ウイークリー(137)2019年2月23日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ④

(関西経済同友会緊急アピールより)

緊急アピールは、具体的には次の様な姿を目指すべきと考える。

①府県を存続したうえで、関西広域連合を関西州に衣替えする。

②関西州は広域産業政策、広域インフラ整備につき、独自の調査・立案・調整・実行機能を持つ。

③関西州は、デジタル技術を行政に高度利用し、府県・市町村をサポートして、住民サービスの向上をはかる実験のプラットフォームとなる。

④②を満たすため、関西州と関連する地方出先機関とを融合、統合する。

⑤関西州が権限、財源を持てるよう、議員は公選とする。首長も選挙(互選など)で選ぶ。

道州制ウイークリー(134)~(137)

■道州制ウイークリー(134)2019年2月2日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ①

(関西経済同友会緊急アピールより)

関西経済同友会地方分権改革委員会は2018年7月に「関西州」を樹立し、地方分権の先駆けとなるべきという緊急アピールを発表しています。以下がその全文です。

2010年、関西では、地方自治体として「関西広域連合」が誕生し、府県をまたぐ広域業務に一定の成果を挙げてきた。しかし、府県の権限を持ちよる現在の組織や仕組みでは、機能を発揮するのに限界がある。とりわけ、府県の壁を越えた広域的なシナジー効果を発揮すべき産業振興政策を十分に打ち出せていないことに対して、その打開に向けては、政策決定に関する現状の権限や責任の抜本的な見直しが必要である。また広域連合委員会委員の出欠状況を見る限り、各委員が議論を積み重ね前進している状況とは言い難く、改善が必要である。

現在、「関西広域連合」では「広域行政のあり方検討会」が設置され、広域連合の役割や執行体制も含めた今後の方向性について、活発な議論が続けられている。

メガリージョンとしての世界との競争に勝ち、関西・日本が発展を遂げるためには、「関西広域連合」は、新しい責任と権限を拡大し、経済発展や持続可能な社会の構築等に前向きかつ実験的に取り組むべきである。また、デジタル技術の活用による、行政の効率化、政策の実効性評価、市町村の行政サービスバックアップを主導すべきである。そして近い将来委には、「関西州」を樹立し、地方分権の先駆けとなるべきである。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(135)2019年2月9日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ②

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州を目指すべき理由・1>

①インフラ整備や経済産業政策、医療福祉、各種保険など関西圏が一体となって取り組むことで、効率がよくなり成果が上がる。現在ように府県と出先機関がそれぞれ独自に取り組む体制は非効率である。

②関西圏全域を見渡した中で「全体最適」を目指して戦略的に投資ができる。「選択と集中」も可能になる。

③各府県の経営資源(公設試験所や支援機関、研究機関など)が有機的に一体化する中で、シナジー効果が生まれ、総合力を発揮できる。「知恵の囲い込み」がなくなる。例えば、研究機関から事業化まで橋渡しをする機能が格段に向上する。

④出先機関が自治体として一体化する中で、縦割り行政の弊害を極小化できる。住民に身近な存在となる中で、縦割りとならないよう住民の監視が効く。

⑤予算の執行にあたり投資効果をより厳格に見極める態勢になる。財政規律が働きやすくなる。

 

⑥から⑪までは次回に掲載

 

 

 

■道州制ウイークリー(136)2019年2月16日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ③

(関西経済同友会緊急アピールより)

<関西州を目指すべき理由・2>

⑥自らの圏域(関西)のことを、「わが事」として自ら考え、自らがその結果責任を負うことにより、意欲が高まり、潜在能力が発揮される。関西のことをよく知っている人たちが政策立案に携わることにより、より関西に適した政策を遂行できる。

⑦全国一律に実施することが難しい政策を実験することができる。成功すれば、全国展開すればよい。失敗してもダメージは少ない。たとえば、ビッグデータを行政に活かすなど、デジタル技術の高度利用を実験していくべきである。

⑧関西という市場圏の中で、地産地消など互恵的な取り組み(生産・消費・流通・交換・融通など)が生まれやすくなり、新たなビジネスが生まれる。

⑨関西が反映することで、東京一極集中の各種リスク(災害リスク等)を分散できる。

⑩世界的な都市間競争を勝ち抜くためには府県単位の産業政策では不十分。また、国の政策では地域の独自性を活かせない。「関西」程度の大きな戦略を立案・推進していく自治体(=関西州)が不可欠。

⑪地方分権の必要性が主張されてから幾久しい。一定の地方分権は進んだが、目指す姿には程遠い。多くの地方が中央集権体制に順応してしまっている現在、全国一律に地方分権を進めたり、道州制を導入することは不可能である。関西にて、実験的に分権し、関西が地方の力を発揮して見せることで、全国への波及を期待する。

 

 

 

■道州制ウイークリー(137)2019年2月23日

◆関西広域連合を進化させ「関西州」をめざせ④

(関西経済同友会緊急アピールより)

緊急アピールは、具体的には次の様な姿を目指すべきと考える。

①府県を存続したうえで、関西広域連合を関西州に衣替えする。

②関西州は広域産業政策、広域インフラ整備につき、独自の調査・立案・調整・実行機能を持つ。

③関西州は、デジタル技術を行政に高度利用し、府県・市町村をサポートして、住民サービスの向上をはかる実験のプラットフォームとなる。

④②を満たすため、関西州と関連する地方出先機関とを融合、統合する。

⑤関西州が権限、財源を持てるよう、議員は公選とする。首長も選挙(互選など)で選ぶ。

道州制ウイークリー(130)~(133)

■道州制ウイークリー(130)2019年1月5日

◆地方創生の起爆剤としての「地方庁」構想

(山崎史郎・小黒一正編著『どうする地方創生』より)

平成の時代は戦後に築き上げた様々な仕組みが時代や環境変化に適応できず、漸進主義的で、抜本改革が進まず、もがく「30年」だった。特に人口減少への対応は、財政・社会保障改革を含めて「道半ば」だ。この大きな理由は何か。

人口増加で高成長の時代には、政治は成長で増えた富の分配を担うことで大きな力を発揮したが、人口減少で低成長の時代に突入して以降、政治の役割は「正の分配から負の分配」に急速に転換しつつあるものの、それに対応できない政治が機能不全に陥りつつあるからではないか。地方自治体や民間に問題を解決する知恵があっても、中央官庁の縦割りの規制や政治的利害が絡み、身動きがとれないケースも多い。

この脱却には、中央省庁が担う政治的な調整コストの一部を分散化する仕組み、すなわち道州制を含む地方分権が必要であり、その鍵を握るのが(広域地方計画を含む)国土形成計画やその基礎となる「地方庁」(仮称)の創設であると考える。

「国土形成計画」や「広域地方計画」では、集約エリアの指定や選択の集中の数値目標を定め、地方庁がその決定や道州制移行の受け皿となる機関として機能する。地方庁は各エリアの地方自治体のほか、各省庁の地方支分部局も束ねる機関で、道州制への移行も視野として、各エリアに地方庁を新設し、各地方庁にはそのエリアの知事と地方長官から構成される「コミッティー」を設置する。このコミッティーは、国の経済財政諮問会議に相当するものとし、各エリアの知事が様々な提案を行いつつ、それを地方長官が総合調整を行い、取りまとめる形で広域地方計画を定める。

 

 

■道州制ウイークリー(131)2019年1月12日

◆道州制移行、2035年頃を目標に

(山崎史郎・小黒一正編著『どうする地方創生』より)

地方庁の「コミッティー」では、広域地方計画を各エリアにおける「骨太方針」の様な位置づけに改め、地方庁は、国の予算編成や規制改革などと連携しつつ、各エリアの規制改革や予算編成も同時に方向づけるものとする。そのため、以下の政策についても推進する。

一つは、「地方交付税の分権化」。現在、地方交付税の配分基準は総務省が定めているが、地方交付税の一定割合(例:30%)を人口比で地方庁に移譲し、各地方庁が独自の配分基準で、各エリア版の地方交付税や広域地方計画に沿った一括交付金等として、各エリア内の地方自治体に配分する仕組みに改める。もう一つは、「規制改革の分権化」も進める。地方庁にも規制改革の法改正案を作成・提案する権限を付与し、当該法案は内閣府が地方庁の代理で法令協議を行ったうえで、国会に提出できる仕組みに改める。

急激な人口減少・超高齢化がもたらす影響が顕在化し本格化するのはこれからが本番であり、その現実を直視し、果敢に選択と集中をしない限り、日本に未来はない。その鍵を握るのが国土形成計画(広域地方計画を含む)や地方庁(仮称)の創設であり、地方創生の起爆剤として機能するはずだ。可能であれば、2035年頃を目標に道州制に移行する政治的なコミットメントを行い、新たに道州議会を設置するシナリオや工程表も同時に定めてはどうか。いま日本の叡智が試されている。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(132)2019年1月19日

◆道州制は国家統治のあり方を変える

(田村秀著『地方都市の持続可能性』より)

道州制の導入となれば、それは国家統治のあり方そのものの変革である。国の出先機関の業務を大幅に道州に移譲してスリム化した国は、グローバル化が進展する中で、国際社会において真に自立した国家としての役割を果たすべく、外交や安全保障などに総力を注ぎ込むことがその本務となる。国際情勢が激しく変化する中で、国の役割を重点化し、内政に関することは基本的には道州と市町村に任せ、真の意味での分権型社会を構築することが道州制導入のそのものの狙いである。

内政の要となる道州は、住民に身近なサービスを市町村に委ねつつ、高度なインフラ整備や経済産業振興、国土・環境保全、広域防災対策など、地域の実情に応じた広域的な行政需要に的確に対応することが可能となる。特に、人口減少社会の中で地域の活力を維持・向上させる観点から、自立的で活力ある圏域の実現に資することが期待されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(133)2019年1月26日

◆甦る道州制論議?

(田村秀著『地方都市の持続可能性』より)

道州制に関する論議は歴史を紐解けば明治から脈々と続けられてきたものではある。1945年に戦時下にできた地方総監府は全国を8つに分け、戦時行政を遂行するための組織だったが、我が国において唯一実現された道州制という評価もある。さらには2006年に道州制特区推進法が制定され、北海道を全国に先駆けた道州制のモデルとして特別な区域にしようとする道州制特区を定めている。

様々な動きがこれまであった中で、今後、道州制に向けた動きは進んでいくのだろうか。道州制が実現すれば、ただちに人口増に転じるといったことは考えられない。一定の産業振興は期待されるが、自治体の形を変えればすぐ成果が上がるといった期待は禁物である。

だが、2045年の人口推計に見られるように、地方ではもはや県ですら、その存在意義が問われるくらいに人口減少となるかもしれない、そうなると単独で行政を行えるのか、疑問の声が上がり、これを契機に一定程度道州制論議が進むということは考えられる。その可能性が一番高いのは高知県や島根県である。人口減少が進むことで広域自治体としての役割を果たせなくなり、周辺の県と合併し、さらには中国、四国、あるいは中四国といった大括りの広域自治体に変えていくことも起こり得るかもしれない。もともと、市町村合併だけでなく、都道府県の合併ということは地方自治法の中で手続きが定められている、想定内のものである。もしかすると、全国一律に、というのではなく、厳しい状況になった地域から順次という流れの中で道州制が実現するかもしれない。

道州制ウイークリー(125)~(129)

■道州制ウイークリー(125)2018年12月1日

◆最小の経費で最大の効果の実現

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

地域経済の活性化によって税源を大きくすることが重要だが、同時に自治体内部の行財政運営の効率化によって財源を捻出する努力も必要だ。地域経済の活性化と地方行政改革は地方創生の両輪である。

財政健全化への自治体の取り組みによって赤字団体数が減少するなど、地方財政は改善の兆しをみせている。しかし、財政健全化への取り組みの多くは緩い財政規律によって生まれた過去のツケの返済だ。地方財政健全化法は行財政運営に規律を与えようとするものだが、財政の収支尻を合わせることが真の財政再建ではない。

行政の非効率性を改善することを目的に1980年代以降、欧米諸国ではニュー・パブリック・マネジメントの考え方使われるようになり、実践されてきた。その中心となる考え方は、公共部門においても民間企業と同様の経営手法を取り入れるべきということである。

「最小の経費で最大の効果」という課題を実現するためには、次の2つの効率性が満たされなくてはならない。第1は、限られた地域資源を最も有効に活用して、住民に提供できる行政サービスを最高の水準にまで高めるという「生産の効率性」である。真っ先に思い浮かぶのは行政サービスの外部委託だ。

第2は、住民ニーズに合った行政サービスの組み合わせを選ぶという「配分の効率性」である。今日の組織別・性質別(人件費、補助費等)に編成される予算は、高度経済成長期のように税の自然増収が見込まれ、膨張する行政需要を取り込みながら組織の拡大や、職員数や予算の増分を行えた時代には意味があった。

現在の地方行政が抱える最大の問題は、行政サービスの便益と費用の捉え方が適切でないことだ。資源の効率的利用を図るためには政策目標を具体的に示すとともに、行政サービスの供給にかかる費用を計算することによって「事業の評価」を実施することなど、科学的な政策形成ルールを確立しなければならない。

■道州制ウイークリー(126)2018年12月8日

◆広域連携は地方創生の必須戦略

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

人や企業の経済活動が行政区域を超えて広がっているにもかかわらず、各自治体が近隣自治体と競合するような政策を単独で行うことは、政策効果を減殺するどころか、共倒れになる可能性も大きい。各自治体が強みを発揮できる政策に重点的に資源を投入し、他の自治体と一体となって圏域全体で多様性と規模の経済性を発揮する道を模索すべきである。大競争時代に生き残るためにも広域連携は必須戦略である。

地域経済の成長にとって特に重要な要素には、地域に産業が集積することによって生産能力が高まったり、輸送コストや情報コストが軽減されたりすることによって、産業活動の効率が良くなるという「集積の経済」がある。集積の経済を地域が手に入れるためには、経済活動が相応の規模を持たなければならない。

東京一極集中が進むなかで、首都圏以外の大都市圏が日本経済の牽引役を維持するためには、働く場を提供する大都市と居住の場を提供する郊外部との連携強化こそが大都市圏の広域連携のポイントである。企業のビジネス活動と、それを支える労働者の生活は不可分であり、大都市と周辺都市とがビジネスと生活という機能において補完関係を維持することが、大都市圏の広域連携の最も重要なポイントである。

大阪市には毎日100万人を超える人々が通勤や通学目的で市域外から流入しているし、名古屋市でも昼間流入人口は50万人弱に上る。大都市圏においては中心都市と周辺都市のどちらが欠けても地域は衰退する。

 

 

 

■道州制ウイークリー(127)2018年12月15日

◆広域連携、ライバルはパートナー

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

かつて道州制が大きな議論となったが、「なぜ道州制なのか」という機能論よりも、道州の「区割り案」が大きな関心を呼んだ。区割り案は道州制に何を期待するかによって決まるはずである。にもかかわらず、時代に合わなくなった府県制の改革、国からの権限移譲の受け皿づくり、地域経済政策の実施の広域化など、道州制にはさまざまな期待が錯綜し、ここに決着をつけないままに道州制論議が進んだこともあって、区割り案の議論がクローズアップされてしまった。圏域設定は広域連携に何を期待するかを決めてから議論すべきテーマだ。

国、地方ともに財政が厳しい現在、限られた資源を有効に活用するためには公共投資の重点化が不可欠である。その第1のメリットは、社会資本の有効活用が可能になることである。同種の小規模な施設を複数建設するよりもグレードの高いものができ、集客力がアップする。また、広域からの利用があるため、施設の稼働率を上げることもできる。第2は建設費・運営費の節約である。第3は地域(圏域)の中核施設づくりが可能になることである。第4は地域のイメージアップにつながることである。

「京都・大阪・神戸」、「富山・金沢・福井」、「福岡・北九州」、これらはライバル関係にあると考えられる都市だ。これからの時代、圏域内でライバル関係あるいは競争相手であった「まち」が手を結び、大きな相手に立ち向かうことが求められる。そのロジックは、「私の競争相手の競争相手は友達」である。1つの圏域に「核(コア)」が1つである必要はない。むしろ、既存の町が連携して1つの圏域を作り上げ、ポテンシャルを高めることが多くなっている。

 

 

 

■道州制ウイークリー(128)2018年12月22日

◆東京一極集中を抑える

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

東京一極集中の勢いを弱めない限り、地方がいくら努力しても激流に流される可能性が高い。「東京集中は市場のなせる技であり、ストップをかけてはいけない」という主張は本当に正しいのだろうか。市場以外の要因、とくに制度的要因が東京一極集中を促してはいないか。もし、こうした要因が存在するなら修正すべきだ。ヨーロッパでは現在、グローバル時代において国の競争力を強化するためにも、首都以外の都市とくに第二階層都市を活性化させることが必要だとする認識が強まり、都市政策に影響を与え始めている。東京一極集中の原因と問題を検証するとともに、地方創生の環境整備として東京一極集中を抑える勇気を持つべきである、

東京への人口集中は2010年代には29.2%に達し、ニューヨークの7%やパリ、ロンドン、ベルリンなどを大きく上回っている。先進国の中で1つの都市にこれほど集中している日本は異例である。「東京一極集中は日本全体の活性化のために不可欠だ」という考え方に落とし穴はないか。問題点の①は高コスト体質の固定化、②は混雑による「負」のコストである。①高コストでは、東京のオフィス賃貸料、地価、賃金は極めて高く、2014年になると、高賃金を高い生産性でカバーするというメリットが失われた。②負のコストでは、東京に人や企業が移動することで、すでに立地している企業や既存住民に対して混雑のコストが及ぶ可能性である。

情報インフラ整備による問題点もある。情報ネットワーク形成による地域の均質化で、全国各地を東京色で塗りつぶしてしまう可能性である。地方で生れた情報は「ストロー現象」によって東京に吸い上げられ、地方間の横のネットワークが形成されていない。既成が多い日本では中央集権という日本型行財政システムが東京一極集中の要因の一つとなっている。

 

■道州制ウイークリー(129)2018年12月29日

◆分権改革は地方創生の環境づくり

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

本来、地方あってこそ国のはずであるが、日本では「国あってこその地方」と考えられ、地方は国が描いた設計図にしたがって地域づくりを行ってきた。現在でも国に依存する地方の体質が残されたままだ。地方分権改革は住民ニーズに沿った行政サービスを提供するためだけのものではない。地域の問題に地方が主体的に取り組むための環境を整えることによって、地域力を強化するための地方分権改革が求められている。

グローバル時代は国境を越えて地域と地域が競い、一方で連携することが求められている。しかし、国の役割が消滅するわけでなく、新しい時代にふさわしい地域政策のパラダイムが求められている。旧パラダイムは停滞地域を補助金などの財政手段で支援するという格差是正型であり、国が中心となって再分配政策を実施するものであった。これに対して新しいパラダイムは地域のポテンシャルを掘り起し競争力を強化することを目的としている。

都市重視の地域政策は先進国のトレンドとなっているが、都市が持つ資源を十分に活用し、その特性を踏まえた政策を実現するために地方分権改革が進んでいる。地域経済成長にとって重要な役割を果たすイノベーションは、地域にとって外から与えられる外生的なものばかりでなく、地域内で生み出される内政的な部分もある。イノベーションにおいて安定的なマクロ経済情勢、税制や規制といった公共政策など、企業が活動しやすい環境を創造するための国レベルでの取り組みが重要であることはいうまでもない。しかし、異なった技術と資源の融合に必要な企業の集積、生産物の開発に伴うリスクの負担、研究・開発、企業間の取引は地域で行われるのであり、地方レベルでの取り組みが重要である。地域政策のパラダイムを変化させ、「地方が元気になってこそ、国も元気になる」という当たり前の考え方に立ち戻ることこそが重要。地方分権は地方創生の環境整備であり、成長戦略の効果を上げるためのものと位置付けるべきである。

道州制ウイークリー(120)~(123)

■道州制ウイークリー(120)2018年11月3日

◆域外から稼げる産業を育成

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

これまで地方の経済を支えてきた公共事業が地域経済の構造改革につながらなかったことは歴史が証明している。地方経済が再生するためには、域外から稼ぐことができ、持続可能で、かつ導入しやすい産業の育成を進めなければならない。公共投資という景気対策に過度に頼った地方の経済は自立型の経済構造を実現できず、むしろ、公共投資依存体質が地域の自立的発展を阻んできたともいえる。

80年代に入ると、国家財政の危機によって公共投資が抑制され、行政投資の地方圏シェアが縮小していく。すると、地域間の所得格差が大きくなり始める。90年代に入るとバブル経済は崩壊し、景気対策としての公共投資が大幅に増加するとともに、地方圏のシェアは拡大に転じ、それに応じて地域間格差は縮小している。2000年代に入ると、国の財政再建によって公共投資予算が再び削減されるようになると、地域間格差が拡大に転じる。このように、所得の地域間格差は行政投資の地域配分に左右されてきたといえる。今後、公共事業予算が大きく増加することは期待できない。このことは、地方の経済が財政に頼らない構造に変わらなければならないことを意味している。

域外(国外)にモノやサービスを売ることによって稼いできた産業の衰退が地元経済に大きな打撃を与えた事例は日本のいたるところに存在する。逆に考えるなら、域外から稼げる産業が育つことで地域経済が好循環的に成長する可能性があるということだ。このような産業(企業)が育つと、そこにサービスや資材を提供する産業が育ち、従業員向けの飲食店等も活気づく。それでは、地域に導入しやすい産業、中長期的に持続可能な産業とは何か。地域に導入しやすい産業はその産業が必要とする資源、人材、交通条件等の点で、他地域と比べてその地域が優位にあるような産業でなければならない。

 

 

 

■道州制ウイークリー(121)2018年11月10日

◆農村振興のアプローチ

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

農村地域において人口減少と高齢化は著しく、このままでは地域の持続可能性が危ぶまれる。しかし、農村部の振興というと、農業、自然、都会からの移住というステレオタイプのキーワードが出てくる。今や農村地域の進行は農業や自然のみを売りにする時代ではない。これまでの取り組みは農業政策以外の地域振興策との調整が十分でなく、政策効果が発揮されなかった。

地方分権改革を背景として英スコットランドでは様々な政策が展開されている。農村地域の発展政策もその一つで、農村地域におけるコミュニティのポテンシャルを発展させることによって、スコットランド全体の成長に結びつけようとしている。スコットランド政府は2011年に「農村の未来」を提出、そこでは、ハイスピード・ブロードバンドの整備、手ごろな価格の住宅供給、公共交通の充実、健康管理サービス、土地利用のあり方、コミュニティ間の連携強化、コミュニティ発展のための地域リーダーの能力とスキルの向上など、農村地域の発展戦略が示されている。

その背景には明確な発展戦略ビジョンが存在している。①多様な経済とアクティブなコミュニティを持つ、外向的でダイナミックな農村地域を創造すること ②所得と雇用を創り出すように地域の資産をコントロールし、地域サービスを供給しながら、コミュニティが自信をもって多様な成長を遂げること ③若者が自分の育った場所でキャリアを積み、豊かな未来が送れるチャンスをもつことなどで、その成果は着実に現れている。

わが国の地域活性化戦略の問題は、様々な政策が提案され、効果の分析や優先順位づけをせずにメニュー化され、プロジェクト提示前に将来ビジョンと地方戦略プランの策定が不十分なことにある。

 

■道州制ウイークリー(122)2018年11月17日

◆地方なればこその「地方経済開発戦略」

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

近年,地域経済政策で注目を集めているのが、「地方経済開発」。国レベルでの経済政策を補完するものとして地方のレベルで行われるミクロ経済政策のことである。しかし、これまでの経済政策の単なる地方版ではなく、地方なればこその開発を組織的・体系的に実施することに重要な意味がある。

地方経済開発において重要なことは、これまでの国土政策や地域政策のように公共部門が中心となって開発戦略を立てるのではなく、自治体(国)、企業、非政府部門がパートナーとして対等の立場で地域経済成長と雇用増のための条件を共同で創り出すことである。従って、その場しのぎの対処療法であってはならない。

世界銀行が2006年に発表した報告書では、地方経済開発戦略を成功させる5つの原則を示している。①は経済問題だけでなく、社会、環境等の問題も包合した統合的アプローチを取り入れること。②は関係するすべてのパートナーがビジョンを共有し、パートナーの総力で戦略を注意深くつくりあげること。③は戦略が非公式経済にも配慮すること。④は幅広のプロジェクトを視野に入れ、採用すること。ただし、多くのプロジェクトを同時並行的に実施するということではなく、「選択」と「集中」が原則。⑤は他のパートナーやステークホルダーからの信頼が大きく、ステークホルダーをまとめ上げる能力を持った行動力のあるリーダーが存在することである。

戦略計画がうまくいかなかった原因として、6点を指摘している。①政治的な要因であり、戦略において重要なカギを握るグループを排除してしまうこと、②プロジェクトの責任者がチーム内で大きな役割を果たしていないこと、③戦略的な思考に欠けていること、④資金、調査研究、モニタリング、評価が不適切なこと⑤補助金獲得が目的になっていること、⑥最新の流行を追いかけがちなこと。地域の活性化は目標を羅列するのではなく、組織的かつ体系的に計画を立てるプロセスこそが大切なのである。

■道州制ウイークリー(123)2018年11月24日

◆自治体経営のあり方

(林宜嗣関西学院大教授他著『地方創生20の提言』より)

地方が創生を果たし持続的発展を遂げるためには、自治体を含むコミュニティが新たなインキュベーター(支援者)として機能したり、既存の産業を発展させたりする芽が地域に内在し、それに依存して発展することが不可欠である。自治体は行政サービスを効率的に供給するという従来型の課題に対処するだけでなく、政策プランナーとして企業家主義的な政策アプローチを身につけなければならない。

これまでにも多くの自治体が工業団地を整備し、加工組立型の大規模工場の誘致合戦を展開してきた。しかし、多くの場合、工場誘致それ自体が目的化し、地域振興のゴールであるかのように考えられた。また、これまでに自治体が行ってきた産業政策は、企業誘致を別にすれば既存産業に対する保護政策的な色彩が強いもの、あるいは多くの自治体がすでに行っているものの模倣が多い。

地方が持続的発展を遂げるためには、自治体を含むコミュニティが魅力ある生活環境を築くとともに、新たな産業のインキュベーターとして機能しなければならない。それは、自治体が従来の行政の守備範囲のなかで効率性をめざした「自治体経営」から、経済・産業、福祉、文化、教育などに関連する様々な資源を組み合わせることによって、人々が「住みたい」「住み続けたい」と思い、企業が「ここをビジネスの拠点にしたい」と考える地域を創るという意味での「地域経営」への転換ともいえる。

地域プロモーションに「ひな形」はない。にもかかわらず現実には、金太郎飴のような街並みや、類似した戦略が各地で見られる。地域間競争が激しさを増しているなかで、定型的なモデルに依存したり、他地域の成功事例を模倣したりするだけなら、例えば「わが町はどこよりも多くの補助金を支給する」といった量的競争に陥ることになる。地域経営というのは自治体運営の改革であり、マネジメントの改善である。

道州制ウイークリー(108)~(111)

■道州制ウイークリー(108) 2018年8月4日

◆日本再生8州構想2018年版(関西州ねっとわーくの会)①

関西州ねっとわーくの会は、今年設立10周年となり、2018年版道州制リーフレット「新しい国のかたち 日本再生8州構想」を発行しました。

日本を再生させるのは大地域行政経済圏(メガ・リージョン)の創設による自立的な多極発展にあり、その司令塔は「州」であるとアピールしています。人口減少、経済社会の広域化が加速する転換期、府県の時代から「州の時代」へ日本をリセットし、未来を開いていく時が到来していると考えています。

大転換期の日本

日本は大きな転換期に立っています。

人口減少と高齢化、社会保障費増大、経済の縮小、地域間格差、進まぬ財政健全化・・・。

高まる将来不安の第一は人口減少の加速です。2040年の人口は1億1091万人と予測され、今より1618万人減少、関西では330万人が減少します。65歳以上が国民の36%の3800万人になり、働き手の生産労働人口は1751万人減少、関西圏では304万人が減少します。働き手の人口減少率は約22.6%にもなります。

社会の根幹を揺るがす事態です。産業社会の変革は当然ですが、この減少率なら行政も激変、公務員は332万人から約75万人減り、256万人になります。国と地方自治体の改革は必至です。

 

 

■道州制ウイークリー(109) 2018年8月11日

◆日本再生8州構想2018年版(関西州ねっとわーくの会)②

輝く大地域圏メガ・リージョン

目指す地域の姿は大都市を核に半径100キロ程度の大地域行政経済圏です。地域活性、経済再生、国際競争力を維持していくのは、国単位ではなく、機動的に動ける「地域」です。世界は「メガ・リージョン」の時代です。

大都市の所得、税収を圏域内の中小自治体に循環させることも可能になります。

人口増と高度経済成長を前提にした国主導の戦後システムはすでに崩壊しました。「自ら地域を創る」という地域経営が原動力となります。「国を頼らず、国を支える」という気概で輝く大地域圏を創らなければなりません。

 

■道州制ウイークリー(110) 2018年8月18日

◆日本再生8州構想2018年版(関西州ねっとわーくの会)③

時代遅れ 中央集権の府県制

交通通信の進展、県境を越えて広域化する地域経済社会圏。山積する広域課題、そして東京一極集中の一方で沈滞する地方。細切れの府県体制で財政基盤も弱く、地域解決力が不足。地方はいまも国依存体質。状況は一向に改善していません。中央政府が全国一律・画一的に政策決定する明治以来の中央集権は制度疲労を起こしています。すでに時代遅れの制度です。危機管理からも東京一極集中は危険な状況です。この「日本衰退スパイラル」を断ち切らなければなりません。

 

 ■道州制ウイークリー(111) 2018年8月25日

◆日本再生8州構想2018年版(関西州ねっとわーくの会)④

地域が財政を握る

地域の自立には、自主財源の確立が要です。国頼みの補助金行政から脱却、地方の裁量度を高めることが必要です。予算獲得のための陳情政治から自前財源による政治へ変わらなければ、いつまでたっても地域自立は出来ません。

 現在の地方税収入比率は都道府県、市町村がともに歳入の32.6%で、いわゆる「3割自治」になっています。交付税比率は都道府県が17.2%、市町村では15.3%です。まずは、税源の地方分を増額することから始まります。新しい財政配分は国30、州30、市町村40%の地方重視に改革します。各州間には、なお財政格差の可能性があり、州間の財政調整は国が行います。国税の10%を共同税として州間調整財源とします。消費税、酒税の地方税化も課題となります。

◆道州制による財政削減効果は14兆円

NPO法人「地方自立研究所」の算定では、行政経費、補助金の重複などの整理で、都道府県分で5兆円、市町村分で9兆円の計14兆円の削減が可能としています。

 

道州制ウイークリー(104)~(107)

■道州制ウイークリー(104) 2018年7月7日

◆道州制の設計と分析(4)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽道州制設計上の諸論点③国の省庁改革も同時進行

<第5論点=税財政の設計、格差調整をどうするか>難問と思われるのは、新たな税財政制度の構築である。道州制移行に反対する一つの理由として、財政力格差の拡大を懸念する声も強い。例えば、税還元率(納税額に対するサービス等のの比率還元額)で計算すると、島根県が3.0、東京都は0.3である。財政格差の是正は不可欠なのが日本の現状である。ただ、道州制移行に伴う税財政システムの最大の変化は、道州を構成する各州が独自の課税権を持つことにある。

<第6論点=道州政府の組織設計をどうするか>立法権、行政権の大幅な権限移譲を前提とした道州政府の設計を考えなければならないが、司法権については、どうするのか。基礎自治体、道州レベルに限定される道州条例違反などの裁判は「道州高等裁判所」で処理できるようにしたらどうかという考えも成り立つ。また、道州の統治機構については、議会制度、選挙制度、道州知事の権限など統治機構の設計だけでも論点は多数に及ぶ。

<第7論点=国の省庁改革をどうするか>道州制移行は地方制度改革に止まらない。国の省庁廃止、再編といった国政改革も視野に入る。省庁の改廃だけに焦点を当ててみると、①国土、農林、厚労、文部といった内政省は廃止し、道州へ移管、②外交、安全保障、危機管理、マクロな経済政策、財政金融政策といった機能は強化し、それにふさわしい省庁体制に再編する、③国会のあり方も問題となる、④会計検査院は外部監査制度に変えるのか、人事院は廃止するのか、⑤国と地方財政の切り分けを行う仕組みとしての「地方財政計画」を残すのか、などがあげられる。道州制は国家制度、国政のあり方の大改革を同時進行で実現する「明治維新」に匹敵する大改革となることが想定される。

 

■道州制ウイークリー(105) 2018年7月14日

◆道州制と社会的・経済的効果(1)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽道州は広域政策の中核

明治維新以来続いてきた中央集権的な統治システムから、地域が自己責任と独自の判断に基づいて政策を展開していく地域住民主体の体制へと根本的に変えていく、それが「地域主権型道州制」である。

これには、①現在の行政単位は狭すぎる、②人口減少時代の到来、③中央集権体制がムダと堕落を生んだ、④国際社会で競争に敗れてしまう、といったさまざまな背景がある。「地域主権型道州制」は、中央政府の再編を前提に、基礎自治体を補完し、そこではやれない広域行政を展開する地域に根を下ろした広域行政地域・道州をつくっていくという、現行の日本国憲法下で実現可能な改革を指している。

財源や立法などの権限を国から大幅に移譲する広域圏の道州は、道路・空港・港湾などの広域社会インフラ整備、科学技術振興・高等教育、域内経済・産業の振興、対外経済・文化交流、雇用政策、域内の治安・危機管理、リージョナルな環境保全、広域的な社会保障サービス(医療・保険)といった広範な公共サービスや仕組みづくりを担当する。

道州の人口規模は、現行の都道府県・市町村をゼロベースで見直し、700万~1000万人をベースに、例えば12道州に再編することができる。人口規模は、財政的自立が可能となりうる規模を見る上で、経済社会として同等レベルのEU加盟各国の人口規模が一つの目安となる。また、地域経済圏でみた場合、経済圏それぞれがEUの一つの国に匹敵する経済規模、人口、面積を有している。国際競争力を維持する上で、日本1州当たりの経済規模は、アメリカ1州あたりのGDP2500億ドル~EU1国当たりのGDP4500億ドルの規模であれば、世界で十分通用するであろう。

 

 

■道州制ウイークリー(106) 2018年7月21日

◆道州制と社会的・経済的効果(2)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽地域が変わる、日本にダイナミズム創出

日本ではバブル経済崩壊後、ひたすら政府が主導して内需拡大政策をとれば、景気は回復し、日本経済は再生すると考えられてきた。そのために、毎年、国債、地方債を大量発行し、需要創出による「夢」を国民にばら撒いてきた。しかし、ソビエトなど社会主義国家が崩壊したように、こうした行政社会主義的な政策志向が、日本の活力を失わせ、国民、地域の創意工夫の意欲を萎えさせ、もはや再起不能とさえ思われる「大きな借金」を作りだしてしまった。この方法を何度繰り返しても、日本は再生しない。

ここは、全く違う、日本再生の方法がいる。それが、「地域主権型道州制」への移行なのである。競争力を高め、全国各地が活気づかなければ、近い将来のうちにも日本経済は弱体化していく。道州などが、拡大された条例制定権、法律の上書き権、徴税権などの権限と自主財源を持つことで地域戦略の自由度が増す。これまで地方自治体では不可能だった取り組みができるようになる。

「地域主権型道州制」は次のように日本を元気にできる提案である。

①成長、安心、安全、そして活力ある楽しい日本へ

②各道州が道州外、海外との直接貿易、観光誘致を積極化できる

③イノベーションと税対策による産業の日本回帰と外資の参入

④美しい国、道義道徳の再興、安心安全社会の回復へ

⑤自由な発想、自由な行動、自由な成果が得られる社会へ

⑥個人が人間的才能を十分に発揮できる社会へ

⑦楽しい生活、生きがいのある生活ができる

⑧国際社会を舞台に活躍、貢献できる日本国民に変わる

■道州制ウイークリー(107) 2018年7月28日

◆道州制と区割り

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

道州制は新たな区域を創出し、各区域が経済的にも財政的にも一定の自立性を保てるよう、設計する必要がある。どのような道州制区割り案が考えられるか、研究され、設計されなければならないが、内閣官房道州制ビジョン懇談会(江口克彦座長)が2008年3月に出した「中間報告」ではその狙いを次の5点あげている。

①繁栄の拠点の多極化と日本全体の活性化

②国際競争力の強化と経済・財政基盤の確立

③住民本位の地域づくり

④効率的、効果的な行政と責任ある財政運営

⑤(大規模災害などからの)安全性の確保

これは、内外に開かれた道州であると同時に競争力の強い地域の創出を意味しており、道州の区割りは、この狙いが実現できるものでなければならないと考える。道州の区域は、経済的、財政的に自立が可能な規模であることは当然として、新たな区域に住民が自分の地域という帰属意識を持てるような地理的一体性、歴史、文化、風土の共通性や生活面、経済面での交流などの条件を有していることが望ましい。

区割り案の1例として2006年の第28次地方制度調査会では次の3案を提示している。

①9道州案=ほぼ国のブロック機関の管轄区域に相当する例で、北海道、東北、北関東甲信越、南関東、中部、関西、中四国、九州,沖縄 ②11道州案=北海道、東北、北陸、北関東、南関東、東海、関西、四国、中国、九州、沖縄 ③13道州案=11道州案をベースに九州を北九州と南九州に分けている。

道州制ウイークリー(99)~(103)

■道州制ウイークリー(99) 2018年6月2日

◆道州制の背景と要因(8)

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽税源移譲なくして「分権なし」

「地方分権一括法」が施行され、自治体の裁量は確かに増え、自治体自らの創意と工夫で地方行政を行える範囲は多少拡大したものの、分権はやはり中途半端だ。現在の地方自治の大きな課題の一つは、行制サービスを巡る受益と負担の関係が途絶しているために、つねに財政支出がふくれあがる傾向になってしまうところにある。分かり易く言えば、霞が関の中央政府が国税として全国から税金を集め、それをまた各自治体に分配しているために、自治体住民が何のためにどのくらい自分が税金を払っているかが不明瞭になっていることである。

重要なのは、より多くの権限と独自の税財源を地域が掌握しない限り、地域の経済を活性化させるのは難しいということである。いくつもの権限が国から自治体に移譲された。しかし、その中身といえば、非常に細かな権限ばかりで、特定政策領域のごく一部について権限を認められたというだけに留まっている。

家づくりに例えるならば、その家に住む人の判断に全てまかせるということにすることである。つまり、政策領域にける権限の一部を移譲するのではなく、その政策領域ごとすべて権限を移譲すべきだということである。同時に重要なのは、自分の自由になるカネで実行するということである、国からお金が回ってきても、それが自分の自由にならないのであれば、地域のニーズや地域の活性化に相応しい使い方はできない。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(100) 2018年6月9日

◆道州制の背景と要因(9)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽構造改革特区の試みと限界

権限の移譲については、小泉内閣時代に進められた構造改革特区があるが、その目的は各地域の特性に応じて産業の集積や新規産業を創出することによって地域経済を活性化し、それを日本中に広げて国全体の経済活性化を図ろうというところにあった。

具体的にいえば、経済・教育・農業・社会福祉などの分野において自治体や民間事業者が自発的な立案を行い、それが具体的であり法令にも適合している場合、その立案に基づいて一定の地域に限定して規制を撤廃・緩和する制度だが、これまでの経済政策と違って国からの財政支援はない。また、特区で行われた政策が期待された効果を上げた場合、全国に拡大されることになっており、地方分権や規制緩和の実験場という位置づけがなされていた。

2002年7月の最初の募集から2007年4月までに13回の募集があり、3500を超える提案が寄せられた。しかし、回を重ねるごとに提案数も認定数も減少傾向になった。理由としては、一度どこかが申請して却下された提案に対しては、次に申請しても却下されることがわかるので申請が行われなくなる。特区に認定されても、次の段階でまた新たに手続きが必要になるので面倒になってしまう、などがあげられる。

構造特区の試みは、確かに権限の移譲や規制の緩和の特例という、地方分権にとって非常に重要な要素を盛り込んだものであったが、それもまた限定的な移譲や緩和であり、十分に効果を出しているとは言い難い。結局、構造特区の試みは尻すぼみになってしまった。現在の中央集権体制では、いかなる改善策を講じようと、おのずと限界が出てくるということであろう。

 

 

■道州制ウイークリー(101) 2018年6月16日

◆道州制の設計と分析(1)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽新たな「国のかたち」道州制の定義

これまで、東京一極集中、中央集権体制の功罪、そして地方分権改革とその限界について論じてきたが、その狙いは、こうしたわが国の状況を打破する、次に来るべき新たな「国のかたち」として道州制国家への移行を提言する布石であった。これからの国家のあり方に関する視点は、中央集権体制に代わる新たな国家像は地域主権型国家である、というのが筆者の基本的考えである。

「地域主権型道州制」はヨコ型の地域間競争メカニズムを作動させることで、従来のタテ型の「集権的統治システム」から地域圏を開放し、元気な日本をつくろうという、ある種公共分野に市場メカニズムの発想を持ち込もうという考え方に立脚している。

道州制(地方制)という言葉は、戦前の1927年(昭和2年)に田中義一内閣の行政制度審議会における「州庁設置案」をめぐる時からの論議である。そろそろ100年経とうとする。戦後になると、さまざまな機関や団体から道州制構想が繰り返され提唱されてきた。それらの道州制構想に共通していたのは、「道または州と呼ばれる新しい機関または団体の管轄区域として都道府県の区域よりも原則として広い区域を予定していた」ことだ。こうしたことから、道州制とは、まず大雑把に「現在の47都道府県に代わる10程度の道州を広域自治として置き、そこを内政の拠点とするもの」と定義しておきたい。

平成大合併を契機に府県は一方で「空洞化」にさらされ、他方、府県機能の純化の過程で「広域連携」の要請に遭遇することになった。府県はこれから、府県固有の仕事である広域的事務、大プロジェクトの実施について、より「広域化」という軸を基礎に隣接府県と協力する形をとる必要が生ずると同時に国のブロック機関との二重行政の批判や同ブロック機関や国の本省機能の移管要請が強まり、府県再編と道州制がセットで行われていく、一つの道筋が考えられる。

■道州制ウイークリー(102) 2018年6月23日

◆道州制の設計と分析(2)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽道州制設計上の諸論点①明治以来の都道府県を再編

道州制を設計する際、さまざまな角度からそのイメージを構想していく必要がある。

<第1論点=道州の区割りをどうするか>明治時代の初期の廃藩置県後、47都道府県の枠組みは大きく変わっていない。これを10程度の道州に括り直す「区割り」の問題は、国民が最大の関心を示すと思われる論点である。第28次地方制度調査会が示した区割り案は,例として3つあげている。第1は9道州。国のブロック機関の管轄区域に相当する例で、北海道、東北、北関東甲信越、南関東、中部、関西、中四国、九州、沖縄の9つ。第2は11道州。北海道、東北、関西、九州、沖縄は第1と同じだが、北陸、北関東、南関東、東海、四国、中国という区割り。第3は13道州。11道州を基礎にして、東北を北と南に、九州を北と南に分けている。

9道州の区割り例でいうと人口を約1000万人、経済規模で40~50兆円となっているが、いずれの例も「東京」をどう扱うかが問題となっている。人口や経済規模だけに着目し、それを平均化しようという区割りが絶対的に望ましいとは考えない。物流、人流など都市圏のエリアをひとつに捉えることが道州を有効に機能させることにつながるからである。東京圏の4都県は1つの都市圏として一体的に活動しており、日常の生活圏として相互補完関係から成り立っている。これを分離した場合、果たして広域政策はうまくいくのかどうか。

<第2論点=道州の所掌事務をどうするか>道州制に移行するなら、あらゆる仕事に国がくちばしを挟む、すなわち、補助金によってコントロールする体制は採用しないことである。国の役割を外交など対外政策と国内統一事務に限定し、あとは道州と基礎自治体に委ねるという考え方である。ただ、年金、医療、介護などの社会保障制度の骨格を決めるのは、国民共通に関わる問題なので国の役割といえよう。

■道州制ウイークリー(103) 2018年6月30日

◆道州制の設計と分析(3)                     (江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽道州制設計上の諸論点②道州制移行は全国一斉で

<第3論点=市町村と道州の関係をどうするか>基礎自治体に可能な限り大きな役割を与えるべきで、道州の役割は広域政策と基礎自治体の補完に限定されるべきと考えるが、いくつもの論点が生じてくる。第1に、道州へ移行する際、都道府県から市町村への所掌事務の移譲をどう進めるべきか。第2に、政令市、中核都市、特例市も加え国民全体の50%をカバーするまでになった都市自治体の扱いをどうするか。第3に、逆に小規模な自治体として残る町村と道州の関係をどうするかも問題となる。今後、どのような方策を講じようと、地理上の理由などから小規模町村が残ることは認めざるを得まい。いま以上に広域化した自治体に補完機能を求めることが適切なのか、近隣の都市自治体の水平補完方式が有力な選択肢になるのか。いずれにせよ、筆者は、地元の選択に任せたらどうかと考える。

<第4論点=制度の柔軟性、移行方式をどうするか>道州制を全国一律の「標準型」にするのか、東京圏や北海道、沖縄といった地域については「特例型」を認めるのか、東京特別州の様な例外を認めるのか、といった制度の柔軟性も論点となる。また、移行手順についても、①国は道州の予定区域を示す、②都道府県はその区域の市町村の意見を聞き、一定期限内に協議により意見を定めて国に提出できる、③国は当該意見を尊重して区域に関する法律案等を作成するといった流れが想定されるが、国主導で一斉に移行せず、「条件の整った区域から順次道州に移行すべきである」との考え方もある。筆者は、「条件の整った地域から」という考えはとらない。国が定めた法律によって一斉に移行するという考え方に賛成である。もし現行の47都道府県の中から「合併しない宣言」の県が出てきたらどうするか。そうしたことで、新たな国のかたちができるかどうか大いに疑問である。漸進的な移行方式ではなく、究極的には「道州設置法」といった一般法の制定で全国一斉に移行する方式が望ましいのではないか。

 

道州制ウイークリー(95)~(98)

■道州制ウイークリー(95) 2018年5月5日

◆道州制の背景と要因(4)

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽特殊法人という奇妙な企業

中央集権は各省庁の下に特殊法人という奇妙な企業を生み出してしまった。特殊法人は、公共性が高く、国ガ行うべきと思われる仕事を、企業的経営で行った方が馴染むということで特別な法律によって成立されたもので、公社、公団、事業団、特殊法人、公庫、金庫、特殊会社といったものがある。

特殊法人の問題点は、第一に、企業的経営といっても、自らの判断ではなく、国からの「命令」によって事業計画が決められる。損失を出しても公的資金によって補填される仕組みになっている。一言でいえば、「親方日の丸」といわれる放漫経営になってしまう。

第二は特殊法人が自分の傘下に子会社や孫会社などをつくり、それらに仕事を発注することで仕事を独占し、民間企業のビジネスチャンスを妨害し、一般消費者に高い商品やサービスを供給し、「不当」な利益をあげていることである。

さらに、特殊法人が官僚OBの天下り先になっていること。この結果、特殊法人やその傘下の企業をいくつも渡り歩いて、高額の給与、退職金を「稼ぐ」人がいる。この給与も退職金も結局は、消費者であり納税者である国民が払っているのである。

特殊法人に対しては、こうした批判が集まったため、「特殊法人等改革基本法」が施行され、廃止、民営化、独立行政法人への移行などの措置が取られつつある。しかしながら、廃止、民営化はともかく、独立行政法人に移行し、名前が変わったとしても、中央集権体制がなくならないかぎり、その性質が変わるはずはない。

 

 

■道州制ウイークリー(96) 2018年5月12日

◆道州制の背景と要因(5)

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽高度化・高速化時代に対応できない中央集権体制

政府による必要以上の「規制」や「保護」も中央集権のマイナス面である。現在のようにボーダーレス化した経済社会においては、規制や保護は企業の独創性を阻害するばかりでなく、市場における自由な競争と発展を抑制する。自由な競争にさらされていないことが、日本企業・産業の競争力を弱めていると同時に、消費者も優れた商品やサービスを享受できなくなっている。

縦割り行政、無駄な社会資本整備、天下り、特殊法人、規制、保護といった問題についてはバブル崩壊以降の歴代政権が取り組んできた。しかしながら、国の中央集権的統治制度そのものが継続される限り、いかに努力を重ねたとしても改革の効果はおのずと限界が生じる。

中央集権体制は、今となっては日本を破滅に向かわせていると言える。その理由は2つある。まず一つは、中央集権的な国家体制では、複雑かつ高速化し、さらに統合化されつつある国際社会、特に経済活動に対応できなくなっている。現在の国際社会は、国と国という関係でなく、異なった国の地域と地域、国民同士が国境を超えて直接的に相互活動を行っており、国からの中央集権的な制約はそうした活動の障害になっている。

もう一つの理由は、現在の中央集権的な国家体制によって、中央政府が肥大化し、国家財政を逼迫させていること。国が自治体の行財政をコントロールする現在の制度は、国の仕事とそのための資金需要を増やすと同時に負担と受益の関係を曖昧にし、結果的に効率の悪い公共投資や公共サービスを生じさせ、国民の負担を増やす一方となってしまった。財政赤字はこれ以上増やすことはできない。

 

 

■道州制ウイークリー(97) 2018年5月19日

◆道州制の背景と要因(6)

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽自治の原則か、平衡の原則か

中央集権体制を財政面から説明すると、より明確に中央集権体制の限界の構図が浮かび上がってくる。国と地方の関係において、国のとる自治政策の理念には、「自治の原則」と「平衡の原則」という基本的に相反する二つの原則がある。

自治の原則とは、地域的な行政サービスは、地域の自己決定と自己負担の原則に基づいて供給されるべきと考える理念である。この自治の原則を貫徹した場合、いくつかの問題が生じる。まず税源が地域によって偏在しているため、各自治体でサービスのレベルが異なってしまう点である。弱い自治体に住む人々も、財政力の強い自治体に住む人達と同じレベルの受益を求めるであろう。従って財政調整機能は残さなければならない。

一方の平衡の原則とは、国民はそれぞれの居住地にかかわらず同一水準の税負担で、同一水準のサービスを享受できるようにすべきと考える理念である。これに従えば、すべての行政サービスの供給は国が全面的に責任を負い、自治体はいっさいの裁量権を持たない国の出先機関、出張所といった機能だけを果たすことになる。ここで生じる問題は、各地域によって異なる行政需要に対して、画一的なサービスしか供給できなくなる点である。平衡の原則が働くよう取られてきた財政均衡措置の代表的なのが地方交付税である。

ただ、平衡の原則を重視すると、受益と負担の関係が曖昧になることによって、サービスの供給に無駄が発生するという問題も生じる。サービスが誰の負担で行われているのか曖昧になり、行政側も本来は無用のものも供給し、住民からの身勝手な要求にまで対応するようになる。その結果、財政が破たんする恐れが生じるのである。

 

■道州制ウイークリー(98) 2018年5月26日

◆道州制の背景と要因(7)

(江口克彦著『地域主権型道州制の総合研究』から)

▽無駄と利益誘導招く国庫支出金

国庫支出金は、国と自治体が協力して事務や事業を実施する場合に一定の行政水準の維持や特定の施策を奨励する手段で、財源保障や財源調整を目的とする地方交付税とは性格が異なる。国庫支出金は、国庫負担金が約70%、国庫補助金が約30%、国庫委託金が1%となっている。

国庫負担金は国が自治体活動の一部を負担するために義務的に自治体に交付する補助金。国庫補助金は国が特定の事業の奨励や財政維持のために自治体に交付するもので、具体的には廃棄物処理施設の整備、福祉事業の促進、道路整備などに対するものなど多岐にわたっている。国庫委託金は国が自治体の経費の全部を事務の代行経費として自治体に交付するもので、国政選挙や外国人登録など本来は国の仕事だが、自治体に行ってもらっているもの。

こうした国庫支出金には5つの基本的は問題がある。1点目は、国と自治体の責任の所在が不明確になること。2点目は、交付を通じた国の関与が自治体の自主的な行財政運営を阻害すること。国庫支出金は何に使ってもいいというわけでなく交付に際して、使用の仕方が微に入り細に入り条件づけられているからである。3点目として、細部にわたる補助条件や煩雑な交付手続きなどが、行政の簡素化、効率化を妨げていることが挙げられる。4点目は、縦割り行政の弊害を招き、総合行政を妨げるという点である。各省庁から直接自治体にまわってくるため、国レベルでのヨコの調整がほとんど行なわれない。まさに縦割り行政であり、その結果として、同じような施施が重複して出来上がり、無駄が生じることになる。5点目として、どの自治体にどれだけの国庫支出金を配分するのかという認定基準が曖昧なため、いわゆる陳情対象になりやすく、利益誘導を招いてしまい、無駄を発生させる原因となる。