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道州制ウイークリー(238)~(241)

■道州制ウイークリー(238)2021年2月6日

◆これが九州道州制ビジョン⑭

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での雇用政策

 雇用施策は全国一律となっているが、これを道州制の導入により、国から権限と財源の移譲を受けて、地方自らが雇用施策を決められるようになれば、道州は基礎自治体(市町村)と連携して、対象事業や雇用調整などを独自に設定、状況の変化に応じて迅速かつ機動的に財源を投入し、雇用情勢が悪化した場合でも、地域の実情に合った効果的な対策を実行できるようになる。

 雇用のセーフティネットも同様で中小企業大学校や各地域の職業訓練学校なども道州で一元管理し、産業構造の転換や、新たな技術やサービスの導入に必要な職業訓練システムも再編強化することで、地域の雇用実態にあった取り組みを進めていく。

 失業者や高齢者や障がい者世帯、母子家庭などに対する社会保障と自立支援を充実させるために、国、道州、基礎自治体の三者が連携、雇用対策、生活保護、介護・医療保険といった社会保障施策を総合的に行っていく。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(239)2021年2月13日

◆これが九州道州制ビジョン⑮

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での災害防止対策

 道州制に移行した場合、自然災害多発地域の九州は、防災と危機管理には重点的に取り組む。まず、九州の地域特性に応じた事前の予防対策から応急対策、復興などの事後対策、再発防止まで、迅速かつ総合的に立案・実行する専門組織を新たに立ち上げる。

 この専門組織は関係する行政分野を横断的に結ぶことで災害や危機発生時に指揮命令系統を一元化、国と基礎自治体と連携し、九州全域の自衛隊、警察、消防、各種ライフライン機関、放送機関などとの間で緊密な情報伝達や協力体制を整えることができる。道州だけでは対応しきれない大規模災害では国全体で協力体制を作り上げる。

 火山噴火など自然災害の予知、防災訓練の在り方。鳥インフルエンザ対策などの危機管理について九州の地域性を加味して道州立大学や研究機関で研究を実施、研究成果を基礎自治体などに還元する。

 広域河川は道州、地域河川は地元の基礎自治体が一元的に管理し、従来必要だった国との調整が不要となり、地域と適合性のある治水対策や流域管理ができるようになる。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(240)2021年2月20日

◆これが九州道州制ビジョン⑯

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制の治安対策

 治安対策を担う警察組織は中央に警察庁、地方にはそれぞれの都道府県警察が存在する。組織としては一元化されているが、都道府県警察はそれぞれの地域を管轄、広域的な連携という点では必ずしも十分に機能していないことも事実である。

そこで道州においては、安全な地域の実現に向けて、九州各県が行ってきた安全対策は、道州のもとに一本化され、引き続き、国、道州、基礎自治体、地域コミュニティらが連携する体制を築き上げる。

海上では広範囲に国境と接し、アジアを中心にヒト、モノ、カネの流れも国際化が進む中で、国境をまたぐ犯罪に対して、道州と国の入国管理局や税関、検疫機関などが緊密に連携することで、危機発生時において迅速な対応を行う。

また、区内の犯罪も広域化、組織化する傾向がみられることか、現在の県境を越えて警察の管区区域の再編成に着手、道州、基礎自治体、地域コミュニティなどが一丸となって犯罪防止に向けてのトータルな対策を講じる。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(241)2021年2月27日

◆これが九州道州制ビジョン⑰

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での環境政策

 環境に優しいライフスタイルへの転換を推進するためには国と地方が一体となって取り組みながら、道州が中心となって地域の特性に応じた効果的な対策が重要となる。国の役目は地球温暖化防止計画策定に関わる基本政策や排出権取引の仕組みの創出といった大枠の問題を担う。道州は具体的な施策や部門別目標値設定、住民の省エネ促進のためのインセンティブ制度の創設などに取り組む。基礎自治体は住民に対する啓発活動、中小企業を対象にした相談窓口の設置・運用を図る。こうして役割分担を明確にすることで、現状の成果が十分に上げられていない都道府県単位での取り組みの限界を突破し、効率的な防止策で九州の環境を守っていく。

 環境保全に関する大気、水質、ダイオキシンなどの規制は、道州は全国より厳しい基準を設定する一方、局地的には基準を緩和を行うことで、観光面などの利用・活用を視野に入れ、日本一クリーンで美しい九州をめざす。海洋保全においても複数の省庁や県などにまたがる複雑な調整が不要となり、海洋自然環境、水産資源の回復の改善・保全などの課題に対し、迅速かつ戦略的に取り組むことができるようになる。産業廃棄物処理においても九州全体を見通した統一戦略に基づき、広域的な連携・協力が容易になる。