月別アーカイブ: 12月, 2022

12州構想ウイークリー(329)~(332)

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(329)2022年11月5日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」④

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

「富士山型から日本アルプス型へ」

『地域主権型道州制』は、イメージでいえば、一つの圧倒的に大きな山が麓まですべてを支配するような「富士山型」ではなく、山々がお互いに高さを競い合うような、いわば「日本アルプス型」の統治構造である。

◆地域の政府が地域のあり方を自己決定する

一つの大きな拠点があるのではなく、力のある拠点がいくつも存在する「ポリセントリシティ(多中心)国家」、これこそが『地域主権型道州制』の統治構造である。政治学に「デバイディッド・サバランティ(分割主義)という考え方がある。これは、「市民にとって、最も危険なものは中央集権であり、これが市民の自由と独立を損ねてしまう。市民の自由と独立を守るためには、市民の自主独立を基盤とした地域社会をもとに国全体をつくっていくことこそが重要である」という考え方だ。

 中央集権のもとで生み出された「国の支配、自治体の依存」の関係を清算する。そして、自己責任と自由意思を持つ地域の政府が、その特性と住民のニーズを背景にしながら、その地域のありようを「自己責任」をもって「自己決定」する。さらには他の地域と「善政競争」をしていく。これが「地域主権」である。これを実現するには、中央集権化された統治構造ではなく、自治体同士がお互いに競い合えるよようなフラット型の構造でなければならない。

◆国・道州・市の三層制で新しい国のかたちをつくる

国と地域とでその役割を明確に区分けし、地域がその役割を果たすために、独自の財源を確保できるような課税自主権、税率決定権、徴税権を持つ必要がある。また、拡大された条例制定権、法律修正要請権を持ち、住民の積極的な参画と自立した財政基盤の確立を前提に、地域が主体的に取り組む。お互いに競争を行いながらに日本という一つの国を「共同経営」していくという統治形態である。

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(330)2022年11月12日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」⑤

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

「中央集権システムには限界が来ている」

なぜ東京やその隣接県だけが繁栄するのか。その根本的原因は、現在の日本が中央集権体制という統治形態をとっているからだ。

◆軍国主義国家が作った中央が地方を支配する体制

明治維新、日本は列強と伍していくために、日本の力を一つにまとめ、強固な中央集権体制を確立する必要があった。乏しい人やカネを一か所に集めて活用するために、政府は中央集権体制を敷いて、すべてのものを東京に集中させた。その極めつけは1938年に制定された「国家総動員法」だった。この軍国主義国家によって組み立てられた中央集権体制は、亡霊となっていまなお生き続け、今日の日本のあらゆる分野を徘徊し混乱、混迷、低迷を引き起こし、人々の生きがいと夢と楽しさを奪い取っている。

◆中央集権が日本を衰退させていく

敗戦、そして日本が独立を取り戻してからは、再び日本政府がその中央集権的なシステムを使って、国の再建を進めていく。政府が基幹産業や企業を育て、貿易の振興をはかり、生産物を海外に積極的に輸出する。それによって得られた富を政府が国民や各地方に分配する税財政システムをつくって、個人の所得や各地方の社会資本が平均化する社会を築いてきた。

中央集権システムは、日本の発展医貢献したと評価すべきだが、すでに国民生活を豊かにするという目的は実現された。国民の価値観が「豊かさ」という一元的なものから、多様化の時代になってくると、日本が一つの大企業のようになった一元的な統治システムは、次の社会的発展の障害となってしまう。もはや、中央集権は日本を繫栄発展させる「システムではなく、日本を衰退させる以外のなにものでもなくなった。

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(331)2022年11月19日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」⓺

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

「官僚機構は時代の変化についていけない」

◆官僚機構の効率の悪さがほうちされたまま

中央集権システムでは、霞が関にある中央官庁が、日本の社会・経済活動の多くを主導するから、その「司令塔」に近いところに、全国各地から情報を求めて企業や人が集まる。また、中央からコントロールがしやすいように、各産業に企業団体などを東京に集約させる政策をとることで、企業や人が集まり、仕事もカネも人も集中していった。交通インフラを整備すればするほど東京の情報だけが地方に流れていき、逆にストロー効果やスポンジ現象といわれるように、人、モノ、カネが東京に吸い取られていく。中央集権システムには、様々な弊害がある。例えば、官僚機構の効率低下だ。次代の変化についていけず、効率性を失っている。

◆規制と保護が競争を阻害している

政府による必要以上の「規制」や「保護」も中央集権のマイナス面だ。現在のようにボーダーレス化した経済社会では、規制や保護は企業の独創性を阻害するばかりではなく、市場における自由な競争と発展を抑制する。自由な競争がないことで、日本の企業や産業は競争力を弱め、同時に、消費者は競争によって生まれる優れた商品やサービスを享受できなくなっている。

◆既得権益を守ろうとする人たちが規制や保護にしがみつく

なぜ不要になった規制や保護が存在するのだろうか。それは官僚たちが、権威や権限はもちろん、それによって獲得した既得権益を守ろうとしているからだ。また、規制や保護によって利益を得てきた事業者や従業員も、それらを廃止することに抵抗する。そうした人々を支持者に持つ政治家も自分の政治基盤を維持することを優先し、規制緩和や保護廃止を断行できない。タテ割り行政、無駄な社会資本整備、規制や保護といった問題については歴代政権が取り組んできた。しかしながら、効果が上がらない。現在の国の中央集権的な統治制度そのものが継続される限り、改革の効果はおのずと限度が生じる。

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州制構想ウイークリー(332)2022年11月26日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」⑦

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

中央集権システムが日本を破滅に向かわせる二つの理由

◆複雑・高速のグローバル時代に対応できない

中央集権的な体制では、複雑かつ高速化し、統合されつつある国際社会、とくに経済活動に対応できなくなっている。現在の国際社会は、国と国という関係だけではなく、異なった国の地域、国民同士が国境を越えて直接的に相互活動を行っており、中央集権的な制約はそうした活動の障害になっている。EUが経済発展を遂げたのは、加盟国内の経済的障壁をなくし、さらには通貨を統合するなど、域内に共通の産業・経済インフラを整備しながら、各国がそれぞれの特性を生かして、独自の経済戦略や経済政策を展開したからだ。アメリカは各州が独自な政策を展開し、それが民間企業の活動にダイナミズムをもたらした。

もし、日本の各地域が独自にそれぞれの特性を活かしながら、国際的な視野に立って独創的な政策や経済環境づくりができるようになれば、新たな経済活動のフロンティアが広がっていくのは間違いないであろう。

◆中央政府が肥大化し、財政を逼迫させている

日本を破滅に向かわせているもう一つの理由は、現在の中央集権的な体制によって、中央政府が肥大化し、財政を逼迫させていること。国が自治体をコントロールする制度は、国の仕事とそのための資金需要を増やすと同時に、負担と受益の関係を曖昧にする。国民は、納めた税金がどのように使われ、どんな行政サービスが行われているかわからなくなる。結果的に、効率の悪い公共料金や公共サービスを生み、国民の負担を増やす一方になってしまう。財政赤字は、これ以上増やすことはできない。そのためには「ニア・イズ・ベター」といわれるように、決定者と実行者、そして受益者と負担者の距離を近くすることが重要だ。

 

12州構想ウイークリー(320)~(328)

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(320)2022年9月3日

◆自治体再編で12州300市へ③

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

中央と地方の財源配分

  • 州市制の導入に伴って、地方自治体は、住民が自らの選択で受益と負担の水準を決定する「自己責任」の財政運営を目指す。地方自治体は、国と並んで健全な財政の維持・運営に努めなければならない。
  • 地方税 ①地方自治体が自律的な行政を行えるよう、国から地方へ必要な税財源を移転する。②地方税法をはじめとする関係税法を、地方自治体の課税自主権を拡大する方向で改正する。③地方自治体は、この課税自主権の範囲内で、自ら財源の拡充などに努める。
  • 地方交付税交付金 ①地方交付税は、ナショナル。・ミニマ  ムが一定程度整備された現状や自治体の自己責任原則を踏まえて、必要最小限度にとどめる。 ②地方交付税には財政健全化や合併促進などにインセンティブの働く機能を付与する。
  • 国庫補助金等  国庫補助金は、大胆に整理合理化する。奨励的補助金は基本的に廃止する。
  • 地方債 300市の誕生にあわせて、地方債の許可制を廃止する。

条例制定範囲の拡大

 地方自治体は、必要かつ合理的な理由がある場合、法令の趣旨に反しない限り、自主的に条例を制定できるよう改める。

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(321)2022年9月10日

◆自治体再編で12州300市へ④

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

読売新聞社は1996年に首相権限・内閣機能の強化と中央省庁を1府9省に統廃合することを内容とする改革案を提唱した。提言が目指したのは、強い指導力を有する内閣と、簡素で効率的かつ機動力に富む中央行政機構だが、機構をスリム化するためには、現在の中央省庁が抱え込んでいる膨大な権限を大幅に地方に移譲する必要がある。また、国を構成する地域の活性化が不可欠だ。

提言は、基本的に地域活性化の基準は、高度成長時代以来の「国土の均衡ある発展」から「地域の個性ある発展」へと転換すべきとの考え方に立っている。過去、「均衡ある発展」の概念に基づく開発行政が重視されてきたところから、中央省庁による調整権限の強化という方向をたどり、現在の地方自治の危機的状況につながった。各分野におけるナショナル・ミニマムがほぼ達成された現在、地方は、従来の経済指標的、土木インフラ的な基準の重視から脱して、独自の「住み心地」を発展させるべきだ。

憲法にいう地方自治の本旨は、地方自治体、地域住民の「自己責任」原則と一体のはずだ。そのためには、地方が自己責任をとりうる自治条件を整える必要がある。現在の中央・地方構造下では、中央による過度の「調整」「関与」が、地方自治体の自主性を制約するとともに、地方の依存心を増し、住民の自治意識を形骸化させている。中央から地方への可能な限りの権限、財源を移転すれば、その権限。財源に伴う自己責任が生じる。自己責任原則が明確化すれば、無原則な財政たれ流しへの自己抑制力も働くことになろう。

 

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(322)2022年9月17日

◆自治体再編で12州300市へ⑤

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

 今回の提言では、これらの構想・試算を総合し、合併目標を示す象徴的な目安として、「300市」という数字を掲げた。もちろん合併・統合の推進に当たっては、地域の一体性、生活圏の実情、歴史的背景などには十分に配慮すべきである。

 国、都道府県から「300市」への権限、財源の移譲を進めていけば、都道府県の役割も変わってこざるを得ない。現行都道府県制は、統合・拡大された基礎的自治体間の調整を主な役割とする。より広域的な行政単位としての「道州」あるいは「州」として広域行政単位に再編する区分の仕方については、第4次地方制度調査会答申(1957年)以来の様々な議論がある。この提言の再編区分は、現行衆院選挙制度の11比例ブロック単位に準拠した。

 比例代表ブロックの区分が論議された当時、すでに、将来の道州制移行を前提とする線引きであるべきだ、との議論があった経緯をも踏まえたものである。ただし、このうち、近畿ブロックについては、大阪府を分離し、「12州」とした。

<12州案>北海(北海道)、東北(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)、北関東(茨木・栃木・群馬・埼玉)、東京(東京都)、南関東(千葉・神奈川・山梨)、北陸信越(新潟・富山・石川・福井・長野)、東海(岐阜・静岡・愛知・三重)

大阪(大阪府)、近畿(滋賀・京都・兵庫・奈良・和歌山)、中国(鳥取・島根・岡山・広島・山口)、四国(徳島・香川・愛媛・高知)、九州(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(323)2022年9月24日

◆自治体再編で12州300市へ⑥

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

 新しいシステムは、国、地方ができる限り分業に努め、機能や権限を分担する形が望ましい。内政面の役割を縮小することによって国は、国際化への対応等、本来の仕事に重点的に取り組めるよう、体制を充実強化することができる。また、国の役割を整理、合理化することで、「簡潔で効率的な政府」となる。

 現在の国―都道府県―市町村間の上意下達の行政構造の下では、市町村には政策実施の裁量や権限がほとんど認められていない。補助金獲得の申請事務や陳情に多くの職員や時間を労し、国全体で膨大な無駄を生んでいる。

 基礎自治体として権限、財源移譲の「受け皿」となった「市」に一番近い生活関連行政の主体として、住民生活の基本的な行政サービスの提供を行うが、地域の実情に応じた独自のまちづくりや行政を担当する権限を持ち、行政や地域そのものが活性化する。また、市町村の統合によって職員や運営費のロスが減少、効率化を図ることができる一方で、同じような施設が乱立するという無駄が解消されるであろう。

 行政の効率化は、専門的知識や高度な技術を持った人材の確保につながり、企画立案能力が向上するとともに、施設の利用や福祉、保健業務、文化面でより高度なサービスも期待できる。

 自治体の主体はあくまでも、基礎自治体である「市」である。州はいわゆる「連邦制」は想定していない。州は「市」単独では行うことのできない業務や。広域での実施の方が効率的な分野のみを担当、調整機能を果たす。

 

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(324)2022年10月1日

◆自治体再編で12州300市へ⑦

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

 現在、国税と地方税の税収比率はおおむね6対4となっているが、歳出ベースでの国と地方の比率はおおむね4対6であり、その間の財政調整を地方交付税、国庫補助金などで行っている。州市制を導入するにあたっては、地方自治体の自主財源を充実させて、各自治体が自らの責任と判断で多様な行政を展開できるようにする必要がある。同時にそれは、情報公開の促進とあわせて住民にサービスと負担の関係を目に見える形で提示し、コスト意識を高めて、自治体の歳出膨張に歯止めをかけることにもなる。

 自主財源の充実のためには、中央と地方の事務配分に見合った税源を国から地方へ移転しなければならない。改革に当たって例えば地方でも担税力がある消費税を中心とした間接税を地方の基幹税源にする、もしくは所得税の相当部分を地方財源に振り替えるなど、思い切った税目の入れ替えなどが考えられよう。

 一方、地方自治体も財源が中央から降りてくるのを漫然と待つのではなく、自らの徴税努力で各地域からの税収を増やす努力を求められる。そのためには、国は、地方税法などの関連法令を見直し、税率や課税対象を制限する課税統制を緩和して、法定普通税や超過税率の適用を弾力化するなどの措置を取らなければならない。ただし、地方自治体の課税自主権、税率決定権は、あくまでも法律が定める一定の範囲内で行使される租税法律主義の原則を守る必要がある。極端に高い税率や、財源の裏付けのない人気取りのための減税などは、認められるべきでない。

 地方交付税交付金の役割には、地方自治体間の財政格差を平準化する調整機能と、各自治体の財源不足を国が産める保障機能の二つがある。ナショナル。ミニマムがある程度達成された現在、この保障機能は縮減し、地方交付税の総額を大幅に抑制すべきである。

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(325)2022年10月8日

◆自治体再編で12州300市へ⑧

(読売新聞社『21世紀への構想・1997年』より)

〇条例制定範囲の拡大

国から地方へ権限、財源の移譲が進むのに伴い、条例制定の必要性は一段と高まることが予想される。すでに、学説、判例で条例制定権の解釈は拡大し、自治体が独自の条例をつくるケースも増えている。しかし、憲法の「法律の範囲内」、地方自治体の「法令に違反しない限り」の解釈をめぐり、訴訟も絶えないのが現状だ。

 条例は自治体が地域の行政を自主的に責任をもって進めるため制定されるものである。その条例制定がスムーズに行われ、円滑に運営されて、地方分権の効果をあげていくには、国の法令による制約を緩和することが肝要だ。

 例えば、大気汚染防止法、水質汚濁防止法には、「条例で規定を設けることを妨げない」とする、いわゆる上乗せ、横出し規制を許容した規定がある。さらに、趣旨、目的、対象において合理的な理由があれば、条例制定が可能とする学説、判例もある。

 94年の読売憲法改正試案では、こうした趣旨を法律的に明確化するため、憲法の「法律の範囲内」を「法律の趣旨の範囲内」とするよう提言している。地方自治法もより一般的に条例制定権を拡大する必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(326)2022年10月15日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」①

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

いまなぜ「地域主権型道州制なのか」

  • 現在の行政単位は狭すぎる● 国民の生活圏が拡大した現代では、徒歩や馬での移動を前提につくられた市町村や都道府県という行政単位は狭すぎる。同時に、広域な行政課題も増えてきている。環境、廃棄物処理、広域消防、救急病院などの問題は。現在の市町村、あるいは都道府県の領域ではなく、さらに大きな地域に入れなければ解決できない。
  • 人口減少時代の到来● 人口減少時代の到来も「地域主権型道州制」を求める理由になっている。このまま人口が減少していけば、多くの自治体で住民に十分な行政サービスを提供できなくなってしまう。人口の減少は中央集権的な国の在り方が東京一極集中を引き起こして、東京が人口を吸収していることに大きな原因がある。
  • 中央集権が無駄と墜落を生んだ● 中央集権は、ムダと墜落を生む元凶でもある。国が全国画一的に地域政策の基準を決め、運用の細部まで地方に指示し実施させてきたことが、ニーズに合わない社会資本の整備など多くの無駄を生んできた。中央集権のシステムは、地方の個性的な発展を阻害するとともに、財政の肥大化を招いて債務を拡大させてしまった。
  • 国際社会で競争に敗れてしまう● 東京圏・首都圏でなく、全国いたるところが繁栄するようにしなければ、日本はグローバル化が深化する今後の国際社会のなかで競争に敗れてしまい、近い将来、経済的にも二流国、いや三流国になってしまう可能性がある。世界と競争していくためには、日本の各地に少なくとも十数か所の繁栄の拠点をつくっていかなければならない。

 こうした問題を解決するには、都道府県よりも規模が大きく強い財政基盤のある広域自治体、すなわち道州をつくって、そこに国全体にかかわる政策領域以外の権限と税財源を完全に移譲し、地域のことは地域の判断と責任で行うようにする必要がある。

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(327)2022年10月22日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」②

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

「地域主権型道州制」の7つの意義

  • 日本全体を元気にすること● 明治以来の中央集権システムは、今日の流れに合わなくなり、体制疲労を超し、戦後最大の危機に陥っている。日本を活性化するためには、このシステムを大改造しなければならない。
  • 中央集権の打破● 中央集権体制によって、日本では東京、首都圏だけしか発展せず、他の全国の、あらゆるところが貧にあえいでいる。
  • 官僚主義の廃止● 官僚主義によって、日本の政治行政は、規制万能、責任回避、秘密主義、画一主義、権威主義、自己保身、前例主義、セクショナリズムに陥り、国家と国民を不幸にし始めている。
  • 生きがい、やりがいを感じる日本をつくる● 国民の生活は、中央集権体制によって画一化され、強制され、個性を奪われ、自由を阻害されている。
  • 国際都市、国際交流の拠点を多数つくる● グローバル化の時代に向けて国際都市、国際交流の拠点を多数つくっていく。
  • 地域個性を生み出し、特徴のある地域を創る● 日本はどこでも同じ、画一的で面白みがなかった。地域がそれぞれの特徴を発揮できるようにする。
  • 財政赤字の解消● 「地域主権型道州制」が日本の体制になれば、結果として財政赤字が自然に解消される。

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革 《12州制》関西州ねっとわーくの会

■12州構想ウイークリー(328)2022年10月29日

◆日本を衰退させない「新しい国のかたち」③

(江口克彦著『地域主権型道州制がよくわかる本』より)

「地域主権型道州制」4つの原則

  • 第一原則「行政に市場メカニズム設定」●これまでは国が自治体の活動に対して様々なかたちで制約をかけてきた。これからは、道州同士、基礎自治体同士が自分たちの創意と工夫でよりよい地域社会を創るために競争ができる環境をつくらねばならない。競争によってこそ、日本全体の行政も経済もより効率的かつ効果的なものに発展していく。また、政策の立案・実施・評価の全てのプロセスにおいて,官と官,官と民、民と民で競争できるようにすることも重要。
  • 第2原則「顧客主義の徹底」●政治や行政は国民・住民のためにある。政治や行政にとって、国民・住民は「顧客」であり、そのニーズに応えることこそが政治と行政に与えられた本来の宿命である。これまでの行政は、法規に忠実であろうとするあまり、社会の変化に対して保守的になり、顧客である国民・住民のニーズに柔軟に対応ができなくなっていた。さらに、予算や人事などの経営資源の活用や政策を実施する段階でも、マネジメントに柔軟性がなくなり、生産性を低めている。
  • 第3原則「国民・住民参加の強化」●現在は、官僚エリートが情報を独占して政策を企画・立案するなど、政策決定プロセスを支配している。国民、政治、行政によるパートナーシップを深めることが重要だ。政策決定プロセスへの住民参加が積極的に行われる仕組みをつくっていかなければならない。
  • 第4原則「ネットワーク型組織の構築」●日本の公的な組織は、権限を上部組織に集中させ、そこで下された決定を下部組織に命令伝達するというタテ型の構造で運営されている。こうしたピラミッド型の統治機構は、分業によって企画大量生産を行う工業化の時代には有効な働きを見せた。しかし、情報化の時代、価値観多様化の時代、迅速で柔軟な意思決定が求めらる時代においては、うまく機能しない。変化はつねに現場で起きているのであり、ピラミッドの上部にいる官僚は、現場と離れ過ぎていて、その変化に柔軟に対応できない。情報が共有できる柔軟かつ迅速に意思決定ができるフラットなネットワーク型の統治構造に変えていく必要がある。