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ウイークリー「国のかたち改革」24年2月

よりよき社会へ国のかたち改革《12州構想》関西州ねっとわーくの会

■ウイークリー「国のかたち改革・選」(4)2024年2月10日

<どのような経済社会、地域にするのか>

     (八幡和郎『日本の政治:解体新書』から)

◆首都機能移転と地方分権

 東京一極集中の排除のために、大阪・関西副都は有効であろうが、東京と大阪だけが栄えるのでは支持されない。他の地方の発展方向も保障する必要がある。地方自治の仕組みにしても、明治維新の成功は、地方制度を統一整理したことにある。明治、あるいは戦後に始まった地方制度が老朽化しているので、国家的に再構築すべきことと、各地の自主性に任すことを使い分けることが正しい。

 東京一極集中を解消するためには、道州制を含めた地方分権とか、首都機能の部分移転の方が現実的だという人もいるが、それだけでは首都にいる人や企業本位の社会システムのままになる構造的問題を解消できない。やはり、本命は国会、政府の移転である。

 試案としては、①東京が災害やテロ、システム障害に大阪を官民の西日本センターとして機能させる。「NHK大阪からの全国放送」「東海道新幹線の管制」などはすでに準備されている。②東京で緊急事態が起こったら民間は大阪、国会や官公庁は京都を活用すべきだ。ホテルを臨時の各省庁として使える。大学・寺社の施設も同様。③「国立京都国際会館」を国会議事堂として、京都御所は臨時の皇居として使えるように機能を向上させておくべきである。④中央省庁の組織を見直し、職員の半数は道州に移行させる。都道府県と市町村は300~400の基礎自治体に再編して財政基盤を保証し、生活基盤の整備は任せる。

 

 

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革《12州構想》関西州ねっとわーくの会

■ウイークリー「国のかたち改革・選」(5)2024年2月17日

<地域政策再構築の視点①>

諸富 徹『地域再生の新戦略』から

 東京や三大都市圏に集中が進むことは、経済的には集積のメリットを高めるのも事実であるが。しかし、極度の集中は、日本の各地域の固有性を弱め、多様性を失わせることで、日本全体をシステムとしてみた場合、むしろ脆弱性を高めてしまうのではないか。連邦国家であるアメリカやドイツだけでなく、同じ単一型国家であるイタリアも、企業や人口は各地域に分散し、それぞれ地域に固有の文化が息づきながら、それぞれ企業の成長とも密接に結びつく好循環をつくり出している。この多様性が、彼らの創造力の源ではないだろうか。

グローバル化の波に洗われてますます変化が激しくなっていく時代に、このような地域の多様性を維持、発展させていくことが、日本というシステムの強靭性につながる。なぜなら、多様性の中から出てくる個性が、相互に接触することで創造性が生まれていくからだ。この多様性を失い、同じ価値観に染まって同調性が高まり、同一決定されて同一の方向に一斉に走っていくようになれば、日本の将来は危ういといえよう。今後、東京を中心とする首都圏や、三大都市圏ですべてが決定されるようになると、そこに住む人々はどうして同じものを見、話しを聞くために、同一の価値観に染まりやすく、多様性を失いがちである。しかし、放っておくと、グローバル化の圧力で首都圏や三大都市圏への集中・集積はいっそう進む。したがって、ある程度の分散性を維持するための積極的な政策が今後求められるのではないだろうか。

グロ^バル化に抗することは難しくても、それにうまく順応しながら、あるいはそれを巧みに利用しつつ、地域の固有性を発揮するような基盤を今後、地域政策を通じて育成していくいことが重要になると思われる。

 

 

 

よりよき社会へ国のかたち改革《12州構想》関西州ねっとわーくの会

■ウイークリー「国のかたち改革・選」(6)2024年2月24日

地域政策再構築の視点②>

諸富 徹『地域再生の新戦略』から

 日本ではこれまで、全国総合開発計画にみられるように、地域の経済発展を促すために公共投資を行って産業基盤を整備し、工場を誘致するという開発手法を全国的に採用してきた。しかし、公共投資による開発手法は、多くの批判を受けてきた。最も初期の批判は、高度成長期における公共投資の重点が、道路や港湾などの「生産関連資本」に傾き、下水道や廃棄物処理などの「生活関連資本」が後回しにされることで都市問題が激化したことである。

また、拠点開発方式は、地域に持続的な発展をさせることにつながらないのではないかとの批判も行われた。なぜなら、コンビナートにやってきた企業は当初の期待とは異なって、地元企業と産業的なつながりはほとんど持たなかったのである。地域を発展させるうえで地元の企業や産業ではなく、外部からやってきた企業や政府の公共投資に頼る開発方式を「外来型開発」と呼ぶ。それは必ずしもその地域の産業発展に結びつかず、所得も域外に流失するために所得上昇に結びつかない。反対に、公害問題など負の影響がもたらされる可能性が大きい。これと対置される開発概念が「内発的発展」である。これは、その地域の産業が相互に連関をもって有機的に結びつき、さらにそのことが所得の域内循環を生み出し、そこから上がる税収がその地域の自治体に入るような好循環が生み出される状況を指す。このような「内発的発展」の在り方は、「地域の持続可能な発展」の在り方を考える上での出発点となっている。

 小泉内閣によって公共投資が本格的に削減されるまで高水準で継続された背景には、いくつかの要因がある。第一の要因は、景気対策としての活用である。不況になれば公共投資を増やすことで景気を反転させるケインズ主義的な財政政策が採用されてきた。欧米がそこから脱却していったのと対照的で、巨大な国家債務が残された。第二の要因は、地域の側が公共投資を求めたためである。公共投資でインフラを整備しさえすれば企業の誘致が可能ななり、それによ型モデルに対する信奉は依然として根強い。