カフェ塾(1)2010年1月
第1回カフェ塾レポート
~講義内容~
「地域主権型の国のかたち」各地域での
“競争・成長”と”福祉向上”を両輪に
日本の輝きを取り戻そう!
◆ 役割分担
国 …現金給付による生存権確保や産業・雇用の基本ルール作り(最低限の基準+規制緩和)
広域地方政府 …競争を通じた成長によるパイの拡大
基礎地方政府 …セーフティーネットの充実(給付から積極的雇用政策へ)
*道州・基礎自治体の能力向上が必要。まずは関西などで先行モデルを実施。
◆国のかたちの各国比較 (4類型モデルイメージ)
1. 集権・分離型 …国がほぼ完結的に事務処理
2.分権・分離型 …一定領域国から独立して地方の責任で事務処理(個別事務を明確に授権)
アメリカ・イギリス 競争力 中~高
3.集権・融合型 …国に権限・財源を留保。執行は地方
ドイツ・日本 競争力 低い
4.分権・融合型 …国が大きな目標、指針を設定。
地方に実際の事務の企画、実施、 評価の裁量
スウェーデン 競争力 高い
「地域主権」確立のための改革試案~「地方政府基本法」の制定に向けて~
平成22年1月 大阪府知事 橋下 徹 (地域主権戦略会議構成員)
<目次>
はじめに~「地方政府基本法」制定にあたって
地方自治法の改正にとどまることなく、理念と全体像を明確に掲げ、自治体に関するあらゆる法律を対象にして、“国、地方のかたち”を根本から作り直す立法とするべき
「自立的な地域経営」を実現する「地方政府」像の提案
「地方政府」の役割
1基礎と広域
「地方政府」の存立基盤
2税財政自主権
3自主立法権
「地方政府」のガバナンス・マネジメント
4議会内閣制
5教育委員会制度改革
6監査制度改革
7公会計制度改革
8法的経営責任
9公務員制度改革
<地方行財政検討会議検討項目>
総則
○地方自治の理念の再構築
1.自治体の基本構造の在り方
○二元代表制を前提とした自治体の基本構造の多様化
○二元代表制以外の仕組みの検討
○基礎自治体の区分の見直し
○大都市制度の在り方 など
2.住民参加の在り方
○議会の在り方
○一般的な住民投票制度の在り方
○長の多選制限 その他の選挙制度の見直し など
3.財務会計・財政運営の見直し
○不適正経理事件等を踏まえた監査制度等の抜本的な見直し
○財務会計制度の見直し
○地方債・交付税の見直し
4.自治体の自由度の拡大(規制緩和)
○執行機関
○議会の組織・機能 など
講演後の主な質問
「議員が行政要職につけるように地方自治法を改正するとの記事が1/11の日経朝刊に出ていましたが、どのような変化が出てくるでしょうか?」
「関西州の運営主体は関西広域連合になるのでしょうか?」
「道州制に移行した場合、大阪市や堺市は分裂することになると思うが、反発することはないか?」
「京都府や兵庫県との折り合いは?大阪府にリーダーシップをとってほしいが、まとまるのか?」
「関西州の統一的な政策は何か?」
「広域連合はいつできるのか?」
「地方分権による地域格差を埋めるための交付税を「調整交付税」と名前を変え、規模を小さくするものが議論されています。東北や四国などを特区にすることで善政競争を促す流れからすると、「調整交付税」の役割と矛盾しますが、ご意見をお聞かせください。」
「例に挙げている国はアメリカ以外は社民主義である。その辺のことで、知事や財界の考えと対立するように思う。法人税を下げて、果たしてその分、企業が来るのか。むしろグローバル下の法人税値下げ合戦に国際的歯止めをかけるべきではないか。」
「道州制、地域主権についての啓もう活動はどのように行われていますか。また計画等はありますか。」
「関西広域連合の一番の狙いは何か?関西州のモデルをつくりたいのか、それとも広域で実施したほうが効率のいいものをまとめるためなのか?」
「新たな成長戦略とは何か?」
「関西州とした場合、もしくは大阪特別州とした場合の他州に比べた強みをどう考えるか?」
「医療制度の展望はどのようなものか。医療制度も分権するのか?」
「自発的に成長できる経済圏の条件で“種”を蒔くという話がありましたが、“種”がもともとない、もしくは“種”を植えることもできないような地域もあるかと思います。こういった地域については調整機能に頼らざるを得ないのでしょうか?
「行政マンということでトップダウンの議論が主でしたが、当会も民間ということで、ボトムアップで民間から道州制に向けた動きに対してどのような貢献ができるとお考えでしょうか?」
「大阪府の道州制案に対する各首長の反対意見中、最も多いものは何ですか?」
「制度面の改革と並行して、大阪に住む人々が誇りに思えるような印象向上や、大阪以外に住む人々に大阪の事実をよく知ってもらう情報発信の仕組みも変更していく必要があると思いますが、このような人の気持ちに働きかける取り組みについてどのように考えられていますか?」
以上、参加者からの質問票を原文のまま順不同で並べましたが、今回ご参加された方々の意識の高さと、現在の関心がどのあたりにあるのかを知ることができたと思います。今後のカフェ塾のテーマ設定の参考にさせていただきます。
最後に
最後に山地企画室長からは丁寧な応答をいただきました。ありがとうございます。その際「地域主権」を現実のものとしていくためには、市民・住民が主人公であるという自覚と大きな世論の後押しが必要であるという指摘がありました。「地域主権」の中身はこれから様々に議論されていくと思いますが、その中身をつくるのは我々自身であるというところを忘れずに今後も活動を進めていきたいと思っています。
ともに頑張りましょう。