カフェ塾(4)2010年4月

第4回カフェ塾レポート

 テ ー マ
– 関西州議会はいかにして実現できるか I –

講師:小倉塾長

日時:平成22年4月10日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェ「楽」

さる4月10日(土)に第4回カフェ塾および「関西州ねっとわーくの会」の例会を行いました。今回は年度初めということで様々な政治的な動きが周辺で起きている中での開催となりました。橋下知事の府市統合~関西州実現構想の一環としての「大阪維新の会」の発足、国政レベルでの民主党の体たらく、各種新党の立ち上げ、さらに私たちの近いところでは「地域主権型道州制国民協議会」が東北に続いて、関西で政治家連盟を立ち上げるということまで聞こえてきています。 そこで今回の報告では、こうした背景がある中で道州制実現運動はどうあるべきか~仮想関西州議会は実現可能かを少し考えてみたいと思います。

  1. 国政レベルでの新党・ミニ政党の乱立は二大政党制と選挙時の所属政党の違いから民意を反映したものではないという意見について
    ◆国会議員を選ぶことと政党に所属することは本来別次元なので、所属政党の変更はありうる。
    ◆小選挙区制において国民が国会議員を選ぶより政党を選ばされることの矛盾が議会レベルで「多様性」として現れた。
    ◆大規模政党が求められるゆえんは、国会における「多数派」による権力行使を憲法が保障しているからである。この憲法は「法の支配」による近代民主主義を国家形成の基本原則にしている。
    ◆近代国家は権力の分立と相互制限、身分選挙から普通選挙に変換したことで成立しているが、現代は選挙人名簿を離れた非正規で被操作的な「大衆世論」が、投票率の低下により選ばれた正当な議会権力を制限している。
    ◆現代の民主主義にはマスメディア・ネットの介在が不可欠となっている。そのため身近な課題を解決すべき地方議員より防衛問題を論じる国会議員のほうが露出が多い分近しい存在と感じ、地方議員のほうが一部のサークル・利権集団が町内にあっても空疎な存在となっている。
    ◆民主主義に代わる制度が今のところない以上、いい民主制にしなければならない。民主主義の政治的意思決定は最終的には51:49の多数決である。言論による疑似戦争のごとき議会における深刻な論争を通じて、参加者が最終意思決定をすることが国民の利益にかなうと合意したときに多数で決する方法である。結果については過程における深刻な対立を乗り越えることがすでに含意されている。だから少数意見は尊重されなければならない。だから否決された側も結果を受け入れなければならない。ここには自らの権力についての信頼と誇りが個人の独立の自負心とともに共有化されている。この先「関西州議会」が実現されるときには、せめて日本近代化の過程で積み残されたと思われている「民主・独立」が具現化されることを願わずにはおられない。しかし、ある日突然民主主義の再興をはかる関西州議会ができるわけではない。ましてや誰かが作ってくれるわけではない。今から多様性を担保しながら、面倒な民主主義の過程に習熟しておく必要がある。

    1. 「地域主権型道州制国民協議会」関西支部長会議と政治家連盟
      ◆さる4月3日に江口克彦会長・村橋理事長主導下の「地域主権型道州制国民協議会」の関西支部長会議が京都で行われました。「関西州ねっとわーくの会」所属の会員・幹事は江口会長の「地域主権型道州制」の理念に賛同し設立当初から参加しています。よって形式的には「関西州ねっとわーくの会」は、国民協議会奈良県支部長と大阪中央区支部長、および当該支部所属会員、別支部所属会員、支部に所属しない国民協議会会員で構成されています。これは「関西州ねっとわーくの会」の活動に伴う参加時期の違いや参加方法の違いでこうした構成になっていますが、これはあくまでも形式的なことです。実質は「関西州ねっとわーくの会」主催の江口会長講演会、同志社大学とのコラボレーション・京都市長講演会、毎月のカフェ塾、今後の「仮想関西州議会」の自主的運営といった活動が中心になります。◆こうした活動は国民協議会の支持指令で行ってきたわけではありません。理解としては、地域の道州制実現活動があり、その結合体として国民協議会本部(東京)が出来上がり、中央政界に対しても実現に向けた影響力を持とうということだと思っていました。ところが、その前提として地域の活動は極めて脆弱であり、その力を結集して中央をつくる力はありませんでした。そこで逆転して中央指令で地域支部をつくり、地方の政治連盟・経済連盟をつくろうということになるようですが、そもそも中央に結集軸と質があるわけではないので、上意下達はなじみません。政治連盟等をつくっても、結局は脆弱な地域組織の問題は解決せず、選挙組織に衣替えすることが精いっぱいのことになります。そうした観点から「関西のことは関西で」ということで活動を重ねてきた「関西州ねっとわーくの会」が関西支部長会議で反論の機会もなく批判され、今後の独自活動に国民協議会の許可がいるとなれば、何のための地域主権か、無理解を超えて、別の意図さえ感じさせられます。私たちは政党色のない市民でしかないのです。

      ◆そこでこのたび、江口会長の地域主権型道州制実現にはこれからも賛意を表しつつ協力していこうと思いますが、村橋理事長主導下の国民協議会とは一線を画すべく、「関西州ねっとわーくの会」会員・幹事は国民協議会から脱会することにしました。理由はいくつかありますが、現状のままでは協力関係にある国民協議会の各関西支部に中央の許可なく企画の呼び掛けさえ自由にできないことや、独自活動の批判に対してこのまま黙過することはその批判を認めたことになり、運動に悪影響と判断したためです。

      ◆運動の方向そのものはこれからも変わりません。今後も多くの人や団体とかかわりを持ちたいと思っています。国民協議会とも協力できることはしていこうと考えています。本来の意味で「協議」ができる会になってほしいと願っています。

 

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