道州制ウイークリー(229)~(232)

■道州制ウイークリー(229)20年12月5日

◆これが九州道州制ビジョン⑤

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇九州地域戦略会議が挙げる道州制導入を目指す6つの理由(下)

⑤国と地方の危機的な財政状況を改善する

 現在、国と地方の財政は危機的な状況にあり、国と地方の双方が徹底した歳出削減を断行し、持続可能な財政システムを構築することが求められている。そのためには、道州制の導入を通じて国と地方の役割分担と財源配分の在り方を見直し、大幅な税源移譲 によって地方自治体の税収と歳出の乖離を縮小し、地方自治体における財政の自己責任を高めていくことが重要だ。同時に、地方財政の透明性を確保し、住民のチェック機能の働くシステムの構築が必要だ。

  • 九州が東アジアの拠点として繁栄する

九州はアジアの都市・地域との厳しい競争に直面している。九州は、一つの国に匹敵するほどの人口と経済規模を有するなど優れたポテンシャルを持っているが、各種の規制等の存在や海外との交流が各県単位で行われていることなどから、そのポテンシャルを十分に」生かすことができていない。「九州に行けば豊かになるチャンスがある」という地域にしていくには各県単位ではなく九州一体となって、魅力あるマーケットを形成し、海外にアピールすることが極めて重要だ、国の全国一律・画一的な政策によるのではなく、九州のことは九州が決める独自の国際交流を展開して東アジアの拠点として繁栄するためには道州制の導入によって地域の創意工夫を生かすことのできるシステムの構築が必要不可欠だ。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(230)20年12月12日

◆これが九州道州制ビジョン⑥

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇現行制度で浮かびあがる問題点

 九州地域戦略会議の道州制検討委員会は、九州7県の企業や行政機関、個人、NPOなど55主体からヒアリングを実施、1100社の企業を対象に道州制に関するアンケートを実施327社から回答を得た。国の中央集権システムの課題としてよく指摘されているものに次のような問題がある。

  • 国への権限の集中と地方への過剰な関与(地方道路事業への国の関与等、地方に自由がない)②国の全国一律の施策が地方の実情に適合しない(建築基準法の全国一律適用のため個性あるまちづくりができない) ③国の縦割り行政の非効率性(新産業振興策を各省庁が縦割りで行っている) ④国と地方の危機的財政状況と地方の自主財源脆弱性 ⑤東京一極集中と地方の疲弊(都市と過疎地の地域間格差の拡大、人材の東京流失) ⑥国際競争力のある社会資本整備の遅れ、政策の欠如(国際空港、国際港湾,循環型高速交通体系の整備等の遅れ ⑦既存の枠を超えた連携意識の欠如(県、市、民間がそれぞれ海外にミッションを派遣していて非効率) ⑧産業政策、雇用政策、社会資本整備等の非効率性(国と県それぞれによる産業クラスター形成事業は非効率)⑨選択と集中による効率的な投資や施策意識の欠如(各県単位の企業誘致活動、フルセット主義の弊害)⑩都道府県単独では解決できないにニーズへの対応力不足(地球環境問題への対応は県単位では効果は不十分

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(231)20年12月19日

◆これが九州道州制ビジョン⑦

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇中央集権制度で浮かび上がる産業政策の問題点

 九州戦略会議道州制検討委員会事務局が2006年に実施したヒヤリング結果から具体的な問題点が浮かび上がっている。まず国の中央集権システムの問題点としては地方には進出企業に対する法人税や消費税優遇の自由度がないことが、企業誘致が地方振興の有力手段であるという現状からすると大きな問題である。世界を見渡しても経済特区では様々な優遇措置が施されている。現状では法人税や消費税の権限は国にあり地方にはない。道州制になり、税務権限が移譲されれば、九州独自で税率を決められ、大きなインセンティブを与えることができる。国内のみならず、アジア・世界に広く門戸を成長産業開いて九州を魅力ある地域にし、持続的発展を可能にさせていく。

 経済発展には新産業の振興やベンチャーの育成が必要不可欠だ。半導体、バイオ、情報、健康といった成長産業として可能性のある企業は、所管する官庁が経済産業省、総務省、農林水産省などに分かれており、産業政策が縦割り行政によって行われ、極めて非効率である。

 国による全国一律の規制も問題化している。消防法は工場や倉庫は1000平方メートル単位で防火壁を設置しなければならないなど規制は非常に厳しいが、地域ごとのケースバイケースな対応による弾力的運用を行うことで効率的なスペース利用やコスト削減が図れる。建物の高さ制限や建ぺい率などを定めた建築基準法も地域の個性あるまちづくりには大きな障害となっている。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(232)20年12月26日

◆これが九州道州制ビジョン⑧¥

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇都道府県制度の問題点の「どこを変えるのか」

 九州戦略会議道州制検討委員会が行ったアンケート結果によると、現行制度の問題点を変えていくには、行政の窓口一本化、許認可・新生基準の統一・規制緩和、広域での連携、より広域な行政組織の必要性が求められている。九州の国際競争力に不安があると思っているのが約半数あり、「内外の企業意を誘致、九州への投資促進のためには各県が競争するよりも九州が一体となって、あるいは複数の県が連携して行ったほうが効果的」と回答した企業が74.3%に達し、広域連携への期待が大きいことがうかがえる。

 これらの問題を解決する方法として、道州制検討委員会は、A・道州制、B・県合併、C・政策連合、D・個々の法改正や運用改善、規制緩和、権限移譲などに分類して検討した。B・県合併とC・・政策連合は、広域行政システムの構築が必要で国の権限と財源の移譲があってはじめて効果的なものになるもので、それは道州制の実現なくして不可能である。D法改正等の問題は国の中央集権システムに起因するものが大半であり、国の権限と財源を地方に大幅に委譲し、国と地方の役割分担を抜本的に見直して地方の自由度を拡大することが必要である。地域の活性化のために地方が地域連携や社会資本の充実にいくら取り組もうとしても、中央集権という大きな壁が立ち塞がっている。したがって、道州制を導入するという国家意思に基づき関係する法令を一括して改正しなければ効果は上がらないと結論づけている。

 

 

 

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