ウイークリー国のかたち改革(18)~(19)
よりよき社会へ国のかたち改革
《12州構想》関西州ねっとわーくの会
■ウイークリー「国のかたち改革」(18)2023年5月6日
<国・地域の再生に向けて>
(総合研究開発機構『広域地方政府システムの提言』より)
◆国・地方の活力再生を可能とする最適マネジメント・システムの構築
各分野における急速なグローバル化が進展する中で、国際社会は流動的、不安定の度を深めている。今後の中央政府の役割は、従来にもまして、国家安全保障・外交・通商等の各分野における国際関係に重点を置くことが求められている。特に中央政府については、徹底的なリエンジニアリング(再設計)を行い、そのタスクを重点化して、国際関係とともに、こうした国内的基本問題に「選択と集中」の視点から取り組み、早急に適切な解決策を国民に提示しうるスリムで効率的な体制づくりを実現する必要がある。そのためにも、地域的な課題への対応やルーティン的な事務事業の執行については、より適正な管理主体、すなわち地方政府、エージェンシー、民間団体などに移管すべきであろう。
*長期人口減少時代を乗り切る社会システムとしての分散・分権体制
わが国では、少子化の進行により、人口が長期にわたり現象することが予測されている。多くのと際においては、中心市街地の空洞化、地域経済の長期的衰退と相まって、地域全体の活力恢復が内政上の大きな課題となっている。
その解決策の一つが、思い切った分散・分権システムの導入である。経済・社会の長期的衰退傾向からの国・地域の再生が緊急の政策課題となっているわが国であるが、依然として経済・産業活性化の政策形成は、中央政府の縦割り的体制の中で、全国的ニューを送り出し、それを地域が多少のバリエーションをつけて実施するという集権構造の修正システムにより行われている。近年、構造改革特区のように地方の地域的主体性が反映される政策プログラムも用意されるようには改善されてきたが、この制度では必要とされる法制度の改変そのものは行われず、また、自治体制に主体的な制度改善権も与えられていない。財源についても、税・財政制度に関する自主財政権は依然として弱い状態に置かれている。
あらゆる分野の東京への一極集中を是正するため、その第一歩は、首都東京に集中した政治・行政権能の分散・分権である。自立的地方政府システムの導入により、各地方ブロックが、その地域特性を生かした地域経営を展開し、地域間競争を現出させることにより、東京への集中傾向に歯止めをかけることにつながるのではないだろうか。
よりよき社会へ国のかたち改革
《12州構想》関西州ねっとわーくの会
■ウイークリー「国のかたち改革」(19)2023年5月13日
<国・地域の再生に向けて②>
(総合研究開発機構『広域地方政府システムの提言』より)
*活力ある経済活動の支援システムとしての広域地方政府システム
第二次大戦後のわが国は、中央政府の強力なリーダーシップの下で,産学官及び国・地方の緊密な連携プレーにより、国全体が一丸となって敗戦直後の困難な時代を乗り切り、先進諸国へのキャッチアップを果たすことができた。しかしながら、バブル経済崩壊以降、護送船団的な戦後体制の限界が露呈し、もはや現在の国際的大競争時代には不適合であることが明らかとなった。
この間の欧米の動向をみると、グローバリゼーションと高度情報化が進展する中で、政治・経済・社会のイノベーションが促進され、政治システムについても、EU諸国にみられるように、集権型の国家主義が後退し、分権・分散型の政治システムへの転換、すなわち地方分権国家への衣替えが急ピッチで進んだ。そうした体制の中で、各地域ごとに、地方政府、地域経済、市民セクターが連携しあい、積極的な地域経済活動を展開し、国民経済全体の活力向上に貢献している事例が多い。イタリアなどが国が専管していた産業・経済政策の権限の多くを、州に委譲した背景には、地域経済の経済競争力の話があった。国の単位では利害が複雑に絡み、一つのまとまった戦う主体となりえず、府県では小さいという理屈である。
一方、経済界が従来から指摘してきたように、現行の広域自治体である都道府県では経済・産業活動や広域インフラ整備の基礎単位として狭すぎるという実態がある。国の地域政策が、地方ブロックごとの国の地方支分部局単位に実施されていることを考慮すれば,概ね、国の出先機関単位の空間的広がりを対象として、中央政府の画一的視点ではなく、地域の観点から経済・社会の活性化のための政策企画および実施が可能な地方政府が存在し、地域の活力向上のための総合的な政策を公民連携の仕組みの中で展開することができれば、EU諸国なみに強力な地域経済の創出が可能となろう。