ウイークリー「国のかたち改革」(40)~(43)

よりよき社会へ国のかたち改革 

《12州構想》関西州ねっとわーくの会

■ウイークリー「国のかたち改革」(40)2023年10月7日

<地方分散システムへの転換③>

(枝廣淳子『地元経済を創りなおす』より)

・なぜいま、地域経済か 「漏れバケツ」の話

 「漏れバケツ」モデルが目指しているのは、地域経済の完全な自給自足や孤立ではありません。日本という国を,大小さまざまな地域バケツがつながっているものとイメージしてみてください。地域経済間のつながりとやりとりはこれからも重要であり続けるけれども、今の地域経済の穴は大きすぎ、多すぎるのではないか、それを少しでもふさぐ努力をなすことで、地域経済に残るお金が増え、地域経済の活性化や地域の人々の幸せにつながるのではないか、ということです。

 人も地域経済も、「まずは依存から自立へ。自立してこそ、相互依存という最も豊かな状態に向かうことができる」のではないでしょうか。人に頼り切っている状態(たとえば、中央からのお金に頼っている地域経済)は脆弱です。相手に翻弄されてしまうからです。今まさにそうなりつつあるように、地方への交付金や補助金が減っていく時代、地域経済や地域の幸せの外部依存を下げ、自給自足率を上げていくことが、地域のしなやかな強さ(レジリエンス)につながります。そうして、他に翻弄されない強さが生まれ、自分たちの足で立つことができるようになる。そうなってはじめて、ある程度自立した地域同士がさまざまなものを相互に交換し交流するという、安全・安心な豊かさを創り出すことができると思うのです。

 

 

 

 

 

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《12州構想》関西州ねっとわーくの会

■ウイークリー「国のかたち改革」(41)2023年10月14日

<地方分散システムへの転換④>

(枝廣淳子『地元経済を創りなおす』より)

・なぜいま、地域経済か 「漏れバケツ」の話

 地域経済では、その地域の特産品を地域外で販売することを「外商」と呼ぶことがあります。「外商」によって「域内生産物への需要」が生まれます。需要に従って、「域内生産」が行われます。生産した分、「売上」が上がります。売上は。大まかに言うと「原材料費」「人件費」「利益」に分かれます。原材料をその地域内で調達するか、地域外から調達するかによって、「域内調達」と「域外調達」に分かれます。域内調達の場合は域内の生産物への需要となり、そのお金地域内に残ります。一方、域外調達の場合は、そのお金は地域の外に出ていきます。地域内のものを買うか、地域外のものを買うかで、「域内消費」と「域外消費」に分かれます。域内消費は、域内生産物への需要につながりますが、域外消費のお金は地域の外に出ていきます。

 これまでの「地域経済振興策」は、「外商」によって域内生産物への域外消費を高めること、「外部資金の呼び込み」によって、域内投資を増やし、生産設備の充実をはかることに力点が置かれていました。これらの取り組みは、どれも重要な役割を担ってきました。しかし、この従来型の地域経済振興策では、域外消費や域外投資を呼び込んで地域にお金が入ったら良しと考えがちです。いったん入ったそのお金が地域で滞留・循環することなく、瞬く間に流失しており、地域の富の創造に期待するほどの貢献ができていないとしても、その実態にはさほど目が向けられていなかったのです。

 地域経済をとり戻すためには、いったん地域に入ったお金を滞留・循環させることで生み出される地域の富や豊かさに焦点を当てる必要があります。従って、企業や家計の消費及び投資の「域内」「域外」の割合を意識し、「域内調達」、「域内所得」と「域内消費」、そして「域内投資」の割合を増やす取り組みを重視します。

 

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■ウイークリー「国のかたち改革」(42)2023年10月21日

<地方分散システムへの転換⑤>

(枝廣淳子『地元経済を創りなおす』より)

・なぜいま、地域経済か 「漏れバケツ」の話

 地域経済にとって「投資」も大きなカギを握っています。地域の人の資金が地域内に投資されるのか、それとも、地域外へ投資されて。その資金は域外に出て行ってしまうのか――それは地域経済にとって大きな違いを生み出します。私たちが銀行や郵便局に預けたお金は、中央に集められ、投資の資金になります。預金者の住んでいる地域に直接投資されることはほとんどないでしょう。海外への投資として国から出ていくお金も多くあります。

 でも、そのお金を地元の経済に投資すれば、大銀行に預金するのと同じかそれ以上の利子やリターンを得ながら、自分の地域の経済を元気づける一助となることも可能です。このように、「地元の農産物を地元で食べよう」という地産地消と同じような考えで、「地元に投資をしよう!」という取り組みを「ローカル・インベストメント」と呼びます。

 ローカル・インベストメントは、地域住民による地元企業への投資によって、地域の暮らしを豊かにしようという取り組みです。地域の住民が地元の小規模ビジネスに投資することで、利益を上げると同時に、自分たちの生活に必要な店舗や企業を支援するという、市民の手による新しい資本主義の形でもあります。

 域外や海外で事業をしている企業の株式や社債を買ったり、域外に投融資をする銀行や郵便局に預金したりするのとは違って、投資したお金は地元経済にとどまります。投資の資金を地域から流失させない、地域経済の「漏れ穴」の「漏れ」をふさぐ取り組みでもあります。

 

 

 

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■ウイークリー「国のかたち改革」(43)2023年10月28日

<スウェーデン・モデルに学ぶ①>

(湯元健治・佐藤吉宗『スウェーデン・パラドックス』より)

・イノベーションを生み出す戦略的研究開発

 北欧のスウェーデン王国は、高福祉国家である一方、高い成長力と国際競争力を維持している経済国家でもあります。人口1045万人、GDPは6274億ドル1人当たりGDPは60,0029ドル。関西圏の半分の人口の国が、関西圏(6491億ドル)とほぼ同等のGDPを維持しています。この経済システムは、関西経済圏再生へのヒントを示しているのではないでしょうか。その秘訣を探っていきます。

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 スウェーデンが高い国際競争力を持つ秘密は何か。その特質は、マクロ経済・財政運営、税制、労働市場、教育など経済・社会システム全般に通じるキーコンセプトが「人を大切にする」「人間の意欲・能力を最大限発揮させる」という理念だ。企業経営なら当たり前の考え方が各種の制度設計や国家運営の基本として貫かれている。

 「スウェーデン・モデル」とは、様々な制度や政策が相互に連関して福祉と成長の両立を図るシステムの集合体であると理解する必要がある。具体的にその特質を整理すると、以下の7つの要素からなると考えられる。

  • オープン・エコノミーと健全なマクロ経済・財政運営
  • ITインフラの整備とイノベーションを生み出す戦略的研究開発
  • 高い女性の労働参加率と子育て支援の仕組み
  • 包括的かつ大胆な環境政策と環境に対する高い国民意識
  • 連帯賃金制度と呼ばれる労使協調型の賃金決定の仕組み
  • 人間重視の積極的労働市場政策と実学志向の強い教育制度
  • 労働インセンティブと企業活力に配慮した税・社会保障制度

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