道州制ウイークリー(264)~(271)

■道州制ウイークリー(264)2021年8月7日

◆一極集中から分権広域州制度へ④

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 2000年に分権改革が行われた。しかし「未完のまま」放置されている。このところ、改革のエネルギーは萎え、地方創生も集権化のなかにある。枕詞として地方分権を唱えるが、それは総論として言っているだけ。各論となると官僚と手を組んで抵抗勢力に回る与党議員も少なくない。しかし世界で、高度産業国家、民主化の進んだ先進国で中央集権の国はない。もっとも地方分権を進めても、地方にできない領域はある。外交や防衛、危機管理、司法、金融、通貨管理、景気対策、国土形成、さらに福祉や医療、教育、文化、農政、インフラ整備など政策の骨格をつくる役割がそれであり、国家経営の観点から国が主導することが望ましい。ただ、国が地方に仕事を義務付け、すべての政策領域に微に入り細に入り関与するやり方は、自治体の政策能力が乏しかった時代の産物だ。

 日本の自治体は、裁量的な政策環境が整えば自立可能なところが多い。この先の主な改革課題を挙げると、①地方税財源の充実・確保、新たな地方財政秩序の再構築、②法令による義務付け、枠づけの縮減・廃止、法令による規律密度の緩和、③事務権限の移譲.④広域化をにらんだ地方自治制度の再編成、⑤住民自治の拡充、⑥地方自治法の廃止、地方自治基本法の制定などだ。地方自治を営む基盤は大きく変わっている。府県制度の大胆な見直しを含め、令和の時代は地方主権を目指す改革を進めるべきだ。究極の分権国家の姿、ゴールは、約10州の地方政府(州政府)がそれぞれ内政の拠点として自己決定、自己責任、自己負担の原則で地方自治を営む姿であろう。

 

■道州制ウイークリー(265)2021年8月14日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑤

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 東京一極集中を解消し分散化を図る、地域のことは地域で決める地方分権国家の究極の姿、大きく膨らんだ国・地方の財政の無駄排除、130年前からの狭域化した都道府県を広域政策のできる広域自治体に変える―――これらを総合的、俯瞰的に実現するには日本を「州制度」の国に変える。それが切り札だ。

 いまや生活圏、経済圏は交通・情報・通信手段の飛躍的発達で大きく広がっているにも関わらず、新型コロナウイルスの大流行においては、あたかも各県が鎖国のように県内目線で、「わが県に来ないでください」「わが県を出ないでください」と叫ばざるを得なかった。国は都道府県制度を足場に知事を手足のように使った。また「国の指示待ち」知事の姿もあった。

 その時代にふさわしい「国のかたち」を設計する。それが政治の基本的な役割だ。時代は大きく変わった。本格的な人口減少時代を迎えた日本をどうするか、「新たな国づくり」を本格的に議論すべき時期に来ている。いまの統治機構「国―都道府県―市町村」の三層制とそれに連なる膨大な出先機関等をそのままにする限り、この先、何度増税を繰り返しても1300兆円を超える財政赤字は消えない。日本の国・地方の歳出合計は170兆円を超える方向にある。歳出の約半分は交際費、人件費、管理費など統治機構を維持するための間接経費に消えている。明治23年以来ほとんど無傷できた47都道府県体制は抜本から見直さなければならない。 

 

■道州制ウイークリー(266)2021年8月21日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑥

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 この先、人口が減り、都道府県の中でも人口が100万人に届かない県が続出する。国立社会保障・人口問題研究所の2045年予測によると、現在100万人以下の件は、香川、和歌山、佐賀、福井、山梨、徳島、島根、高知、鳥取の9県だが、25年後はこれに奈良、長崎、石川、大分、岩手、宮崎、青森、富山、山形、秋田の10件が加わるという。この予想より人口減少が進むと、47都道府県の半数近くが100万人以下になるかもしれない。一方、100万人規模の政令市などの大都市が20近く存在する。こうした広域自治体と基礎自治体が逆転する現象の続出は地方制度を根幹から揺るがす。130年前につくられた47の府県割りは、広域化した現代に合っていない。

 47都道府県は狭域化しているにもかかわらず、行政の活動はあたかもそれぞれが一つの国であるかのようなフルセット行政にいそしむ。横並び意識のフルセット行政の蔓延が、日本全体の財政を悪化させ、不要なハコモノを増やし、行政を非効率化している。今回のコロナ対策で、一度目の緊急事態宣言解除の場面になって、ようやく国は「京阪神」「首都圏」という言い方で広域圏を対象にした判断を求めた。もはや県単位では対応しても限界に近い。広域圏連携を強める制度措置が不可欠との認識からだ。

 そう遠くない将来、10州程度にくくり直し、そこを内政の拠点にする「州制度」への移行は不可欠だろう。まず広域圏で連合議会をつくり、連合代表を知事から選んでグレーター広域連合を特別地方公共団体として法制化し、徐々に国の出先機関も権限も吸収し、広域圏がバーチャル州のような動きになる制度措置がいるかもしれない。

                《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(267)2021年8月28日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑦

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 県内に政令市を抱える県庁は、その政令市と張り合い、人口減で行政需要が大幅に減るにもかかわらず、同じモノ、同じようなサービスを創り続ける。統治の仕組みが二重、三重行政の無駄を生んでいる。都道府県は2000年の分権改革で各省の機関委任事務を大量に処理する役割もなくなり空洞化している。私たちの日常は、経済も生活も県境にかかわりなく広いフィールドで行われている。地方自治のエリアは実際都市と行政都市が一致していることが原則、だが、現在の47都道府県体制はそこから大きくズレ、社会の広域化が進む一方で各府県域は狭域化している。47都道府県という旧体制を解体再編し、広域圏を単位に約10の州をつくり、日常生活に合った広域圏行政の仕組みを作るべきだ。それが道州制だ.。ただ、筆者は、それを大都市・中都市をベースとする新たな「州構想」と呼ぶ。

 州構想移行に積極的な論者は次のようなメリットを挙げる。①行財政基盤を強化する(県庁職員、国の出先機関職員の大幅削減ができる)②行政サービスが向上する(フルセット行政の回避、スケールメリットが働く)③魅力ある地域圏、都市圏が形成できる(特色ある地域圏による都市間競争が成立)④経済生活圏と行政圏を一致させる(府県廃止、地方政府の一元化で広域戦略が可能)⑤大都市圏の一体的運営で経済活力も向上できる(首都圏はイギリス並みの力)。

 

 

                《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(268)2021年9月4日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑦

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 州構想のメリットとされる、①地域圏の一体的整備、②魅力ある広域圏の形成、③行財政基盤の強化、という話は地方自治でいう「団体自治」を重視する立場からの主張だ。他方、デメリットとされる、①住民の声が届かなくなる、②府県で育まれた文化を喪失、③勝ち組、負け組がはっきりし、州内でも州都から遠い地域は地盤沈下する、という話は、「住民自治」を重視する立場からの主張といえよう。間違いなく、広域化に伴いスケールメリットは働く。広域政策、広域業務を州政府に任せる一方で、旧府県や一定規模の市を生かしながら「住民自治」を充実させる方策を講じたらどうか。州制度問題は新たな行政制度をどう創設するかという制度設計の問題であるが、同時に地方が抱える構造的な集権体制をどう解体するかという改革手段の問題でもある。「州構想」は日本再構築の切り札である。

 この州構想改革で、これまで47都道府県制度で巣食ってきた無駄な財政だけでも20兆円近く排除できる。消費税10%分カットできるとみる。日本はこの十数年、中央集権に代え地方分権体制が望ましいとし、様々な制度改革を進めてきた。2000年に47本の法律を一括改正した「地方分権一括法」の施行は、その意思の表れだ。分権国家の究極の姿は「道州制」だとし、それに向けた改革構想も練ってきた。15年前の第一次安倍政権は道州制担当大臣を置き、道州制ビジョン懇談会は2018年までに道州制へ完全移行すべきと提言し、法整備を求めた。自民党は「道州制推進基本法」をまとめたが、国会提出を見送った。その後は、鳴かず飛ばずとなっている。

                《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(269)2021年9月11日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑧

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 世の中の事態はより深刻な方向に進んでいる。人口減少は加速し、累積債務は1300兆円に達し、市町村の半数以上が人口半減などの危機にある。現在の細切れンフルセット体制と、国民から遠い中央政府がセンターとして仕切る中央集権体制はどう見ても時代に合わない。その改革方向は州構想への移行にある。日本全体を約10の広域州とし、各州政府が内政の拠点となるよう大胆に分権化する。身近なところで税が集められ、使われていく。結果としてムダは省かれ人口・企業の地方分散は進み、日本全体の元気を取り戻すことになる。

 日本は既に州制度移行の素地は相当できている。20政令市、60中核市をそれぞれ政令市⇒特別視、中核市⇒政令市に格上げし、この都市自治体にほとんどの府県業務を移管する。そのうえで内政(厚労省、国交省、文科省など)に関わる国の本省業務、ブロック機関の業務、残存する都道府県の業務を融合するかたちで「州」政府を創設し、内政の拠点とするなら州構想は実現できる。

 よく都道府県がなくなるのは心配だという。しかし、それは行政区分上の話であって地域がなくなる訳ではない。州構想が実現しても、日常生活に定着している都道府県名は地名として残るし、甲子園の都道府県対抗高校野球も残る。生活上なんの支障もない。日本はこれ以上の東京一極集中も地方過疎の進行も望まない。次代を見据えた賢い統治システムを生み、人口減少時代でも元気な日本を目指す時だ。

 

                《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(270)2021年9月18日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑨

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 日本を広域圏に見合った州制度に変える理由は大きく三点ある。一つ目は、人口減少の右肩下がり時代に応じて国、地方の政府機構を賢くたたむためだ。二つ目は、地方分権を進め地方主権の国を創るためだ。都道府県を廃止し、市町村も必要なところは再編する。政令市、中核市、特別区などの都市制度を強化充実し、そこへの権限、財源を府県から移したうえで、国からは内政の権限、財源を各州に移し、内政の拠点とするのである。三つ目は、財政再建、健全化のためだ。幾重にも重なる国、地方の行政機関を賢くシンプルにたたみ、国民の税負担をこれ以上増やさない前提で行財政の仕組みを再構築する。

 「州構想」の実現で、各州は国から移された財源を立法権、行政圏、一部司法権をフルに使い地域的に自立を始める。内政の拠点となる各州は広域政策の主体として、道路・空港・港湾など広域インフラの整備、科学技術の振興、州立大学などの高等教育、域内経済や産業の振興、海外都市との交易、文化交流・雇用政策、州内の治安、危機管理、環境保全、医療保険など社会保障サービスを担当する。政策減税で企業を呼び込むことも可能になる。日本が一極ではなく、10極の多極分散型の国に変わる。

 道州制(州構想)は30年前の国鉄改革に似ているとみてもよい。日本の中に自らの意思と知恵による地域間競争が起こる。海外との交易も窓口は国(外務省等)ではなく、各州に移る。そのことでグローバリゼーションへの対応も十分可能となる。

                《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(271)2021年9月25日

◆一極集中から分権広域州制度へ⑩

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 州制度移行のメリットはどのようなものか。州制度移行を単に行政改革の面だけでとらえるのは間違いである。民間活動を府県単位に縛り付けているくびきを外し、より経済活動にダイナミズムを生み出す。日本を東京一極集中ではなく多極分散の国にかえていこというものだ。日本を元気にすることだ。具体的に州制度のメリットを示すと大きく次の三点となろう。

 第一は、政治システムを変えること。多元化、多様化したニーズに応えるには、遠い政府の判断を待つまでもなく、身近な政府が意思決定する時代だ。身近な市町村を第一の政府に据え、補完性の原理および近接性の原理に基づいて行政を行う。政治や行政が身近なものになり、公共サービスの受益と負担が明確になる。住民参加による政策決定が可能となり、政策決定の透明性が増す。

 第二は、日本全体の経済の活性化につながること。各州圏域が自立的で活力ある競争的発展の可能な国土構造に変え、国際競争力を高めていく。国と地方の事務配分を抜本的に見直し、税財政の仕組みを変える。一定規模と権限を持つ州による広域圏経済で、広域の経済文化圏が形成され、相互に切磋琢磨によるダイナミズムが生まれる。

第三は、無駄の排除だ。国と地方を通じ簡素で効率的な統治システムに変えていくこと。州政府が企画立案から管理執行まで一貫してその役割を果たせる。日本再生はこうした統治機構の大改革からしか生まれない。

道州制ウイークリー(259)~(263)

           《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(259)2021年7月3日

◆日本再生のカギは30万都市経済圏④

(冨山和彦・田原総一郎『新L型経済』より)

◇東京から地方への分配が地方を衰退させる

 第二次安倍政権で地方創生を掲げたときに地方の首長たち、あるいは県知事たちは、国からもっとお金がほしいということを言っていたようだ。地方には金がないから結局、地方交付税という形で実質的には東京の税収を取るということになる。地方から人材が東京に集中していることのバランスを税の配分という形でバランスを取っているとも言える。だが、こうした構造がいいものとは言えない。

 首長だけでなく、今の古い世代の経営者は大半そうした発想で、いかにして行政からお金をもらうしか考えていません。田中角栄的な政策がその象徴ですが、基本的に日本の地方政治というのは、直接、間接と様々な形で中央から地方に事業なりお金をばらまく仕組みがたくさんあることでしょう。旧来のL型経済はいかに外の人にお金をもらうかという点に目が向けられていました。これは国全体でもそうで、外部から収入を得ないと経済は成長しないという、かつての加工貿易立国モデル、いわば重商主義的な発想から抜け出られない人が多い。

 国内においては、まだ東京にはお金があるので、そこから吸い上げて地方にばらまくという仕組みになってしまって、地方経済は維持できているわけですが 、東京の経済力を支えるグローバル企業がピンチになっている以上、このモデルは持続可能とは言えません。そして最大の問題は、地方に分配を続けることで地方で生産性を上げる努力をしなくなってしまうことにあります。

          《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(260)2021年7月10日

◆日本再生のカギは30万都市経済圏⑤

(冨山和彦・田原総一郎『新L型経済』より)

◇地銀ネットワークなしに地方再生はない

 地銀は多くの場合、融資先の企業と先代、先々代からつきあっていて、信頼関係を構築して内側に入っていますから、相手方の会社の何が問題かがよく分かっているケースが多い。彼らは何十回、何百回と顔を合わせているので、書類上でわかることの何百倍、何千倍という情報を得ている。地域の事情にも詳しいですから、どのような手続きを行えばプロジェクトが円滑に進むかを教えてくれます。

 地銀は債権者だから、地方で地銀から借りていない企業はほとんどない。むしろ、幹部を欲しがっている企業の多くは地銀がメインバンクだから、地銀と組んでしまえば、新しいニーズが生まれるし、地銀にとってもよいことが起きる。地銀の役割はすごく大事で、地方の個別の企業再生でカギを握っているのは、地銀です。地方の再生事業を地銀以外にやれるところはありません。行政はそんなことはわからないですから。行政は一つひとつの企業に足を運んでチェックなんかできないし、それこそ書類で見ているに過ぎない。

 本当に地域企業を救おう、地域を活性化したいというなら、地域にもともといる人たちのネットワークを使うしかないのです。地銀にもやはり課題を抱えています。一時期に比べ、明らかにお金も人もいなくなっています。東京でも地方でも曲がり角に来ており、地銀自身も自らの会社と事業のカタチの大改造を行うことで、競争力と持続性を確かなものにしていく必要があります。

           《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(261)2021年7月17日

◆一極集中から分権広域州制度へ①

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 社会は大きく変わりつつある。この1年、世の中を席巻したコロナ禍で大きく傷んでしまった日本、そして世界。その立て直しが大きな課題である。ここは底力を発揮して新しい国づくりをめざさなければならない。コロナ禍に翻弄された日本だが、それを契機に学んだこともある。一つは三密都市「東京」に依存しなくても仕事や生活が成り立つということだ。いま地方移住への関心が高まっている。在宅勤務やテレワークなどを経験し、ゆとりある暮らし、新しい働き方への意識変化が高まっている。脱東京の動きだ。

 これまでは、この国の発展を中央集権による一極集中と、大都市一極集中による効率北に求めてきたが、そのやり方はもう限界にきている。いまこそ脱東京、脱中央集権の国づくりだ。筆者は次の三つを柱に、この国のあり方をリセットすべきだと考える。一つ目は、道路、鉄道、航空の三大高速網の移動を実質タダにするフリーパス構想を実現すること。二つ目は、大胆な規制緩和と地方主権改革を進め、各地における地域づくりの主体性を確立することだ。三つめは、47都道府県を廃止し10州程度の広域州にくくり直すことだ。州政府が内政の地域づくりの拠点として国づくりを競う。

 日本はこれから歴史上経験のない本格的な人口減少期に向かう。日本創生会議(2014年)の予測ではおおむね8000万人となっている。問題は、20世紀に膨れるだけ膨れた国と地方の政府機構、行財政の仕組みをどこまで賢くたためるかだ。

           《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(262)2021年7月24日

◆一極集中から分権広域州制度へ②

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 米国カリフォルニア州一州の面積しかない日本。その7割が山林地であり、可住地は3割程度に過ぎない。可住地の2割に満たない東京圏、名古屋圏、大阪圏に人口の半数が集まる。人口の地域的偏在で一番大きな問題が東京一極集中だ。東京圏は国土の0.6%だが、ここに国民の1割以上が集まっている。政治、行政、経済、情報、教育、文化など日本のあらゆる分野の高次中枢機能が集中している。GDPの2割、国税収入の4割、株式取引高の9割、本社7割、外国企業の5割、情報サービス業の5割、銀行貸出残高の4割、商業販売額の3割を占有、大学生全体の4割が東京圏に学ぶ。主要テレビのキー局、大手新聞、出版社もみな東京。この集中は世界でも突出している。

その果実は東京に一極集中し、地方は疲弊するだけの状況にある。大ぶりの改革に挑む必要がある。分権改革を進め地方主権体制を目指す、広域圏を州として内政の拠点にする、すでにある三大高速交通網の移動コストを公共管理で下げ、動きを流動化することだ。

時代は大きく変わった。人口大減少期に入った日本の行政はどうあるべきか、1府12省庁体制、47都道府県体制、1718市町村体制、そして何層にもわたる類似の出先機関があり、重複行政、重複機構があまりにも多い。この国を「賢くたたむ」改革に挑む時ではないのか。ここは第三者機関である「第三次臨調」を設置するタイミングとみるがどうか。

 

           《道州制》関西州ねっとわーくの会

■道州制ウイークリー(263)2021年7月31日

◆一極集中から分権広域州制度へ③

(佐々木信夫『いまこそ脱東京!』より)

 国と地方の関係を改めて見直す時期にある。民間にできることは民間で、地方のことは地方で――これは自由主義体制の国では常識。よく<自助><共助><公助>といわれるが、日本はいつの間にか<公助>が肥大化し、その<公助>も身近な自治体より遠い中央政府が仕切りるかたちに戻っている。地方分権が後退している。今回のコロナ禍対策は各知事が現場責任者である。だが、国が「特措法」のガイドラインとする「基本的対処方針」で箸の上げ下ろしまで指示する動きとなり、結果として国と地方の役割分担が不明確になった。全国一律、一つのモノサシでしか法制やその制度運営ができない。

 分権化には多様化した地域、多元化した住民のニーズに合うような多様なモノサシで迅速に対応できる、そこに価値がある。2000年改革で、税財源の集権構造の解体はできなかった。税金は国が6割、地方が4割集め、使う方は地方が6,国が4という「ねじれ」の仕組みが残存した。このねじれギャップを国が補助金、地方交付税で埋め合わせるという仕組みだ。その際、国はそのカネで地方の施策や事業内容、人件費などをコントロールする。その税財政の集権構造がいまも変わらず残っている。本来なら、地方は歳出6にあわせ6の税を集め、国は歳出4に合わせ税も4詰める。そのかたちが望ましい。ただ極端に地方と都市部の間に格差がある。財政調整はいる。地方交付金のかたちでその使い方は地方の自由に任せる。そうした北欧型の「分権・融合型」へのシステム転換が日本に合うはずだ。

道州制ウイークリー(255)=(258)

■道州制ウイークリー(255)2021年6月5日

◆地域衰退をどう食い止めるか③(宮崎雅人『地域衰退』より)

◇分権・分散型国家をつくる

 地域衰退を食い止める手段として、改めて、東京一極集中の是正を挙げておきたい。かつて「国土の均衡ある発展」が目指され、全総をはじめとして多くの政策が展開されてきたが、その間も東京一極集中は是正されなかった。近年では小泉政権以降進められるようになった都市再生策によって都心回帰が進み、東京一極集中はむしろ加速した。「東京は日本経済の成長エンジン」という言説がまかり通った。

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって、東京一極集中はリスクが高いことが明らかになった。今後、このような未知の感染症の流行が繰り返される限り、東京の雇用吸収力は以前ほど大きくならないと考えられる。日本全体として東京の経済を拡大することによって雇用を拡大するというやり方は今や持続不可能になったといえる。

 こうした変化を踏まえれば、国から地方への地方分権と、人々の地方分散を推し進め、東京一極集中を是正することは、各自治体の実情を踏まえた形で未知の感染症の拡大を防ぎ、地域衰退を食い止めるだけでなく、日本経済の持続的成長のためにも必要不可欠であることがわかる。地域、さらには日本の衰退を食い止めるためにも、東京などの大都市以外の地域に雇用を生み出す多様な産業を一刻も早く興す必要がある。地方に新たな産業を興し、仕事を作り出すことは、中小都市や農山村の人々のためにだけに必要なのではない。東京などの大都市に存在する人や企業にも選択肢を与えることになるのである。終わりの見えない「コロナ禍」によって、大都市にこだわる理由がなくなりつつあるのではないか。

■道州制ウイークリー(256)2021年6月12日

◆日本再生のカギは30万都市経済圏①

(冨山和彦・田原総一郎『新L型経済』より)

◇日本経済を支えるL型(地域密着)企業

 多くの先進国もそして日本も、GDPのうちグローバル企業(G)
が稼いでいるのは、3割程度で、残りの7割を占める諸々の産業群こそが現代の基幹産業であり、その多くは地域密着型(L=ローカル)
の中堅、中小企業、ローカルサービス群が生み出しているものです。日本の労働人口の8割は中小企業の従業員、もしくは非正規であり、グローバルに名を轟かせる大企業の正社員は2割程度しかいません。ローカル中小企業の多くは、都市部の同業種に比べて生産性が低いところも少なくありません。グローバルで商売をしている大企業の収益を現在の状況から大きく積み上げていくのはそう簡単ではありませんが、ローカル経済を担う中小企業の経済力を高めることは決して難しいことではなく、かつ大きな伸び代が見込めます。そこに東京一極集中という問題を解決する鍵もあります。

 コロナ後の未来像を先取りして考えるのであれば、まずもって日本の産業社会構造をどう描くかということです。日本社会のIT化はかなり遅れをとっていたことが明らかになりました。その改革は進めないといけないのは間違いありませんが、今の日本のGDPには直接寄与しません。日本の大企業の競争力強化には多少恩恵があるかもしれませんが、日本全体の経済成長にはあまりつながらないでしょう。

問題はデジタル化の良い部分をどう中小企業や中堅企業に還元して、産業構造を組み換え、生産性を上げていくかにあって、単にITシステムを組み上げればいいという問題ではない。

■道州制ウイークリー(257)2021年6月19日

◆日本再生のカギは30万都市経済圏②

(冨山和彦・田原総一郎『新L型経済』より)

◇復興を妨げる補助金漬け、過剰債務

 緊急事態宣言下で日本政府が打ち出した経済政策というのは当面のキャッシュを確保させるために中小企業向けに緊急融資枠の拡大、それに雇用調整助成金の補助率の変更、補助金要件の緩和、108兆円規模の緊急経済対策の策定と矢継ぎ早に対策を打ちました。これは非常に良かった。

 当初想定されていた最悪のシナリオ、すなわち緊急事態宣言下で連続的に倒産が続くというケースは何とか避けることはできましたが、大事なのは、ここからです。緊急避難的な政策は緊急時にしか効果はなく、次のポイントは本格復興のスキームをどう描くかにあります。パンデミックが収まった後に、今度は復興モードにスイッチを切り替えないといけないのですが、いま出している融資や補助金の副作用で復興を妨げる危険性がある。

 これには二つの妨げがあって、一つは補助金頼みで延命した企業は常に補助金がないと食えないビジネスモデルを作ってしまいがちになることです。補助金が経営の前提になってしまい、補助金がないと続けられない状態になってしまう。もう一つ、最も深刻なのは多くの企業がお金を借り増していることです。中には過剰債務になる企業も出てきます。借金が多い企業に対し銀行が新しい融資をするメリットはなく、融資がなければイノベーションも起きない、結果的には経済は停滞し、バブル崩壊後に起きた問題が新しい形で再生産されます。。

 

■道州制ウイークリー(258)2021年6月26日

◆日本再生のカギは30万都市経済圏③

(冨山和彦・田原総一郎『新L型経済』より)

◇まず30万人都市を再生させよ

 国内で大きなGDPや大量の中産階級雇用を生むという意味では、G型(グローバル)企業が今後大きな成長をすることは難しいでしょう。目を向けるべきは、GDPの7割の世界、L型(ローカル)企業群と呼んでいる小売、卸売り、飲食、宿泊、エンターテイメント、地域金融、物流、運輸、建設、医療や介護、農林水産業です。L型の特徴は地域密着で、その地域にいる人たちとフェイス-ツウ・フェイスでサービスをしている産業が多いことです。

 なぜか日本で地方創生、地域活性というと、限界集落の話になりですが、そうした場所にバスを通す、介護サービスや買い物の宅配という事業を行き届くようにするためにも、最も大事なのは地方の中核都市の再生です。L型産業群の経済を活性化しないと、日本の経済の未来はない。問題は地方から出てきた若者にあるのではなく、地方にある仕事に人材が回らず、彼らの力を活用できていない構造にあります。

 人口30万人規模の自治体が地方再生のカギを握っている。中核都市にはシャッター街も増えてきて、空き家になりかかっている。みんな共倒れしかねないという問題を抱えている。そのために人口をもう一度、中核都市に集めてくるという都市政策を、今度は地方でやらないといけない。最初は行政がとにかくお金を使ってかまわないから、中核都市部の再開発を行わないといけない。L型産業の多くはサービス業で、人口が集まれば自然と生まれてくる。

               

道州制ウイークリー(250)~(254)

■道州制ウイークリー(250)2021年5月1日

◆地方分散型の国土づくり②(小磯修二『地方の論理』より)

◇首都直下型地震の危機

 政府の地震調査研究推進本部によると、今後30年以内におけるマグニチュード7,8クラスの地震発生率は、首都直下が70%、東海沖が88%、東南海・南海沖が60-70%と、非常に高い数値が示されている。これらの大都市圏地域には、国内のGDPの70%を超える生産機能があり、とりわけ首都東京には、国会や政府機関、大企業の本社・本店など行政、経済の中枢機能や大学等の高等教育機関が集中している。ミュンヘン再保険会社の世界大都市の自然災害リスク指数によれば、東京・横浜は世界主要50都市の中で最もリスクの高い都市となっている。

 首都を襲った大地震として、歴史的には1755年11月に発生したリスボン大地震が知られている。激震と津波でリスボンは壊滅し、大航海時代をリードしていた大国ポルトガルは首都機能が奪われ、それ以降は凋落の一途をたどっていった。

 今の日本社会には、目先の効率性を重視する政策がはびこり、それが首都に過度な機能集中を招いている。リスク分散の計画が進まないのは、集中させることが効率的であるという発想があるからだ。しかし、大規模災害のような非常時を経験すると、分散することで被害を低減する長期的な視点と効率性のバランスを考えざるを得ない。国づくりにおいても、平時と非常時を想定した、集中と分散のバランス感覚が大切であり、そのような視点で国のあり方を探る議論が必要であろう。

 

■道州制ウイークリー(251)2021年5月8日

◆地方分散型の国土づくり③(小磯修二『地方の論理』より)

◇分権型の国づくり

 地方の持つ多様な力を活かす国づくりのためには、大都市から地方への分散とともに、地方が主体的に政策をつくり、それを実施できる分権社会の仕組みをつくりあげていく必要がある。わが国では、90年代に地方分権改革が進められた。形の上では国と地方は、それまでの上下・主従の関係から対等・協力の関係に変わっていったが、実質的な権限の多くは中央に残されたままである。わが国が目指さす分散型、分権型の国づくりについては、欧州の経験の中に多くのヒントがある。フランスとイタリアはともにわが国と同じような中央集権型の国家であったが、1980年代以降は着実に産業政策分野を含めて大胆な地方分権を進め、それが経済発展を支えている。

 フランスの地方分権の取り組みで特に関心を引くのは、国の国土開発政策の管轄区域であった州(region)に時間をかけて権限移譲を進めて完全な地方自治体としたことだ。日本でいえば、九州、四国、東北のようなブロック単位で、完全な地方自治体をつくりあげたのだ。背景には、EU内での産業競争力を高めていくためには、機能的な広がりの単位で、地域の実態に合わせた要因に、分散型、分権型の国づくりに向けた政治の強いリーダーシップがあった。特にミッテラン大統領下では、思い切った州への権限移譲が進められた。そこにはパリに頼るだけでなく各地域の強みを活かしながら国全体で競争力を高めていかなければ欧州のなかで存在感を発揮できないという強い危機感が感じられる。

 

■道州制ウイークリー(252)2021年5月15日

◆地方分散型の国土づくり④(小磯修二『地方の論理』より)

◇地方の発想を活かす社会へ

地方で活動していると、中央がすべを決めるという社会の仕組みが、人々のモチベーションを阻害しているのではないかと感じることがある。「いくら頑張っても国のルールに合わなければ、ダメだ」というあきらめが潜在的なエネルギーを封印してしまっているようだ。地方の発想や思考を活かす社会に変革すれば、多くの人々のやる気を高め、その多様な力を国の活力につなげていくことができるだろう。

右肩上がりで成長を続けている時代は、中央が主導する画一的なルールに従っていれば、多少のほころびはつくろうことができた。しかし、本格的な人口減少の時代においては、限られた市場でより価値を高めていかなければいけない。また現場や地域の実態に柔軟に対応しながら解決していく多様な発想と思考の力が求められる。しかし、その挑戦は内外の各地域で実践されてきており、実はそこから多くのヒントを得ることができると感じている。「地方の論理」とは何かを考えると、それは抽象的な理論の構築ではなく、実践的な活動や挑戦の積み重ねから得られる多様な思想、発送、戦略を体系的に示していくことではないだろうか。

 

 

 

■道州制ウイークリー(253)2021年5月22日

◆地域衰退をどう食い止めるか①(宮崎雅人『地域衰退』より)

◇国による政策誘導をやめる

 地域衰退を食い止める方法としては、国による政策誘導をやめることである。「地方創生」も地域振興のための政策誘導の一つである。内閣府総合サイト「地方創生」によると、この政策は、人口急減・高齢化に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することを目指しているとし、人口減少を克服し、将来にわたって成長力を確保し、「活力ある日本社会」を維持するため、「働く地域をつくるとともに、安心して働けるようにする」「地方のつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくる」「結婚・出産・子育ての希望を叶える」「人が集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域を作る」という4つの基本目標と「多様な人材の活躍を維持する」「新しい時代の流れを力にする」という2つの横断的な目標に向けた政策を進めている。

 この政策の問題点は、第一に人口減少と地域経済縮小の克服を目指すという目標の達成の可能性とその結果の評価についてである。地方創生の取り組みにおいては現時点でも地域衰退は食い止められていない。自治体の人口を増加・維持、減少スピードを緩やかにすることは容易ではない。自治体の「自助努力」には限界がある。

 第二に、地域特性を考慮しない表面的な施策に終わる可能性がある。以前の地域活性化策について、大半の自治体が地方版総合戦略策定にあたり東京に本社がある業者に外部委託していた。国が行う地域活性化のための政策誘導は、地域特性を考慮しない「全国一律」の手法や、地域に浸透しない「表面的」な施策が用いられており、逆に地域を衰退させる可能性を秘めている。

■道州制ウイークリー(254)2021年5月29日

◆地域衰退をどう食い止めるか②(宮崎雅人『地域衰退』より)

◇地域に産業を興す

 地域衰退は基盤産業の衰退によって生じてきた。これを食い止めるには、地域に産業を興すことが必要である。地域における基盤産業の衰退は、その地域内部の問題によって生じたというよりも、外的要因によって生じてきた。大企業のリストラにtよって引き起こされた企業城下町の衰退、スキー客の減少によって危機に陥った村営スキー場、木材価格の低下や輸入生糸の台頭などによって衰退した養蚕や林業の村などである。観光開発や歴史的景観を保存することによる町づくりが必ずしも地域衰退を食い止めるとは限らない。成功しているように見えても小手先のことで、地域の屋台骨を支えるような雇用を生み出しはしない。新型コロナウイルスの感染拡大によって観光客が激減したことからも明らかなように、観光による地域活性化が、これまでのような形で地域経済に貢献するかどうかは不透明である。

 そうした中でも、筆者は農山村では小水力発電が地域経済にプラスの影響を与えることができるのではないかと考えている。小水力発電は①昼夜、年間を通じて安定した発電が可能②経済性が高い③太陽光発電と比較して設置面積が小さいなどの特徴がある。また、地元の土建業者との相性の良さが指摘されている。小水力発電建設の半分から7割が土木工事である、小水力発電は土建業者に安定収入をもたらし、農業や建設業のような産業を維持する重要な手段の一つになると考えられ、地域の基盤産業となりうる可能性を秘めている。すでに都市部への再生化のエネルギー供給も始まっている。地方から都市に電力を移出する新たな基盤産業の創出は地域の衰退を食い止めることにつながるかもしれない。

道州制ウイークリー(246)~(249)

■道州制ウイークリー(246)2021年4月3日

◆東京一極集中の危機①(高嶋哲夫『首都崩壊』より)

◇首都圏直下型巨大地震への備え

 首都直下型巨大地震を想定したこの危機管理小説では、日本の大混乱が描かれています。「東京に巨大地震が起こると、建物、道路、電気、水道、ガスなどのインフラが崩壊するばかりではなく、経済、生産、金融などの面において、総額100兆円を超える経済損失が出る」という試算が政府に報告されたことから物語は始まります。

 首都都機のマヒによる日本の崩壊から回避する方策が考え出された。一つは首都移転、もう一つは東京に一極集中する行政、経済機能などを地域拠点に分散する道州制。これを同時に行うという。

 「現在の日本はGDPの3位転落、国債発行1000兆円突破、貿易黒字の赤字転落、失業率上昇、生活保護者の急増、少子高齢社会には抜け道が見つからない。今後もますますひどくなる。国民も政府も疲弊しきっている。首都移転だ。国民の意識を変え、新たに出直すには一番いい方法だ。明治維新に匹敵する新しい動きを作らなければ、日本の生きる道はない」

 その道州制案によると、日本を1道7州に分ける。北海道。青森・岩手・秋田・山形・宮城・福島を一つにした東北州。東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨木の関東州。愛知・岐阜・静岡・山梨・長野・新潟・富山・石川・福井の中部州。大阪・京都・奈良・兵庫・滋賀・三重・和歌山の近畿州。岡山・広島・山口・鳥取・島根の中国州。さらに四国州と沖縄を含む九州州。

「地方分権を進めると,各州にも自立心が生まれ、今以上に真剣に地域の特性を生かした産業開発、発展に力を尽くすだろう」

■道州制ウイークリー(247)2021年4月10日

◆東京一極集中の危機②(高嶋哲夫『首都崩壊』より)

◇日本の未来を拓く国のかたち

「道州制と首都移転は、国会議員の定員半減、国家公務員の削減にも役立ちます」

中央政府、省庁の権限と規模を小さくする話なので、政治家と官僚の反対は目に見えていた。強力な指導者が必要だが、現れそうにもなかった。何より、地方にその意識がなかった。中央政府に任せておけば、何とかしてくれる。親方日の丸の意識が強く、独立心などなかった。知事を含め、地方の首長の最大の役割は、国からの補助金の確保なのだ。

「新生日本の建設なくして日本の未来はないと信じている。そのための遷都であり道州制だ。現在の都道府県は幕末276藩から廃藩置県で3府302県、そこから順次統合した結果にすぎません。それから幾多の戦争、敗戦を経て、近代日本となって70年以上が過ぎています。日本も一時は世界2位の経済大国になりました。そろそろ時代に合った日本の形に変えるべきだとは思いませんか」

 「現在の日本は東京一極主義、東京という一都市が一つの国家並みの経済を生み出し、それに名古屋、大阪が続いています。地方は一部の大都市に支えられながら、周辺で生きているにすぎません。これでは発展は望めない。日本を組み直して世界に対抗できる国に造り直さねば、日本に未来はありません。我々のやろうとしていることは、中央政府の権限と規模を縮小し、地方の独立を促すことだ」

 

■道州制ウイークリー(248)2021年4月17日

◆東京一極集中の危機③(高嶋哲夫『首都崩壊』より)

◇新首都候補地は岡山・吉備高原に

 「世界が変わっていくように、国も変わっていきます。変わらなければいずれ衰退していきます。さらに重要なことは、社会もそこに住む国民も変化していることです」

 「日本を現在より大きな地区に分けて、それぞれの特徴を生かしながら、政治力、経済力を強めて自治制を整える。責任ある地方区となってもらうことです。すすれば中央政府はコンパクトにすることができる。小さな政府の実現です。首都移転には欠かせないことです。明治以来続いているこの古い国の形を変えるのです」

 道州制の導入には、電子会議システムは確かに有効なものだ。道州制、そしてさらに重要になる中央政府とのコミュニケーションが密になり、距離感も目に見えて縮まる。

 この小説で新首都候補地に選ばれたのは、岡山県中部の吉備高原。「面積1800ヘクタール、南東30キロに新幹線駅、岡山空港まで車で30分余り。緑に包まれた美しい高原。温暖で、活断層もなく、地震や津波、さらには台風からも解放されます。北方領土と最西端の与那国島までの広さのある日本なら中心などどこでもいい。岡山といっても誤差の範囲です」

当然のことながら、議員の間には賛否の議論が起こった。しかし、意外なことに、大部分の議員は多くの議論もなく受け入れた。マスコミの議論も容認の方向だった。移転計画発表後3か月で国会審議が終わり衆参両院で可決、正式に認められた、という結びになっている。

■道州制ウイークリー(249)2021年4月24日

◆地方分散型の国土づくり①(小磯修二『地方の論理』より)

◇地方の多様な発想と力を活かす

地方の持っている多様な発想と力を活かしていくことこそが、これからの日本社会の成長、発展にとって欠かせないのではないか。しかし、現実には、政治、行政、教育、民間活動すべての分野で東京一極集中が進み、また大都市で醸成される。画一的で効率性を重視した「中央の発想」が支配的になり、それによって国全体が硬直的な思考に陥りつつあるのではないかという危機感が募ってきている。

新型コロナウイルスは世界を震撼させた。過密を排した分散の仕組みを社会に取り入れることが求められており、この機会に地方分散型の国土づくりに向けた思い切った議論を進めていこことが必要だろう。非常時の危機管理は中央主導が原則だが、日本では国のタテ割り、組織防御による硬直的な姿勢が目についた。地方自治体のほうが多様な状況に柔軟に対応しており、政策対応の力が高まってきているという印象を受けた。この機会に地方のことは地方の権限で推し進めることができる分権の仕組みに向けた議論をすることも大切であろう。 

わが国は元来さまざまな地域で成り立っており、それらの地域が相互に結びついて安定的な発展を遂げてきた。地域の多様な伝統・慣習や文化が積み重ねられて魅力のある国をつくり上げてきたが、いつの間にか経済効率を追い求めるなかで、すべてが中央に集積する中央の論理が蔓延しているように感じられる。あらためて、地方の持つ多様で柔軟な力を見つめ直して、その力を活かした健全な国づくりを進めていくことが必要ではないか。.

道州制ウイークリー(242)~(245)

■道州制ウイークリー(242)2021年3月6日

◆これが九州道州制ビジョン⑱

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での生活圏の改善

 道州制の導入により環境保全の強化を目的とした九州独自の上乗せ基準の設定や整備計画の策定、大気汚染や水質汚濁状況の常時監視、許可、命令、指導などに関する権限を、国からより現場に近い道州や基礎自治体に移譲することで、地域の実情に即した生活環境の整備や一体的な環境保全を適時かつ的確に行うことができるようになる。森林保全対策として、政策連合では九州全県で森林環境税を導入済みだが、各県で趣旨や収入額が異なり、事業規模に格差が生じている。これを道州税として一元化、「九州環境税」を創設、事業を財政面で公平に支えることになる。

 地域の生活環境の改善には、権限や財源の移譲により、基礎自治体は必要に応じ近隣の基礎自治体や道州と連携、医療、副菜、教育、芸術、文化、スポーツなどのサービスを地域特性に合わせて中心都市から豊かな自然を持つ周辺地域に提供・波及させていくことにより都市と自然が一体となった圏域を九州全体に整備する。

 基幹となる都市圏には高度な医療・福祉施設や国際交流施設、大規模な商業施設、文化施設、大学・研究機関の集積が進み、個性的な都市としての機能を充実させる。これらと並行して、都市周辺や離島、半島、中山地域などは、生活に密着した医療・福祉施設、教育文化施設、環境関連施設の整備に重点的に取り組むことで生活環境が改善される。

 

■道州制ウイークリー(243)2021年3月13日

◆これが九州道州制ビジョン⑲

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での成長戦略

 地域の活力を維持し、どう発展させていくか、九州地域戦略会議の道州制検討委員会では新たな成長戦略に向けて道州制導入による地域資源を生かして成長する将来ビジョン「九州八策」を提示した。そのビジョンは①九州一体となった産業政策の策定②カーアイランドの形成促進③ICアイランドの形成促進④フードアイランドの形成⑤産官学と地域特性を生かした研究開発の推進⑥九州の産業を支える高度な研究者の育成・確保⑦企業誘致を通じて九州の均衡ある発展をめざす⑧新産業の育成、となっている。

九州一体の産業政策の策定では、中央の各省庁や県単位で別々に行われている産業政策を道州制の下に統合し、道州が九州の視点に基づいて横断的で総合的な産業政策を実施する。一例として九州各地にそれぞれの地域の強みを生かした産業クラスターなどの戦略的な拠点を形成することにより、新たな市場を開拓するための高度な研究開発機関が整い、国際競争力の強化につながると主張している。

道州制移行による大きなメリットは、九州が一体となった産業政策が可能になり、九州が一丸となって発展することが可能になるというのが全体的な青写真である。リーディング産業としては、自動車、半導体、食品の3つを選び出している。

 

 

■道州制ウイークリー(244)2021年3月20日

◆これが九州道州制ビジョン⑳

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での研究開発推進

 産業振興には研究・技術開発が必須であり、その成否が命運を左右するといっても過言ではない。道州制に移行する中で研究開発体制の見直しは急務の課題となる。経済がグローバル化し国際的な競争力の強化が叫ばれる中で九州における研究開発環境の整備は欠かせない。

 まず浮上してくるのが既存の研究機関の再編である。国と県の機関を産業集積や企業誘致の戦略拠点と位置づけ、新たに再編成し、研究の効率化と高度化を図り、先端技術にも対応できるようにする。こうした取り組みで、九州で優位性がありかつポテンシャルの高いと考えられる自動車、半導体、食品分野においての研究開発が充実、さらに地域特性を生かした効率的で効果的な研究開発も進めることが可能になり、圏域を越えた広域的な産学官の連携により研究開発機関のネットワーク化が進展する。このように研究開発体制が効率的に整備され各機関が連携されれば、九州における産業の技術的レベルの向上につながることになる。

 道州制検討委員会は具体例として各県に存在する農業試験場を挙げている。それぞれの試験場が有する優れた知識や技術等を集約化、円滑な情報の共有化も図ることにより、おいしくかつ収量が高いという農産物の開発も期待でき、九州の農産物の競争力が高まり、食料の一大供給地としてフードアイランド九州の機能をさらに高めることも可能になる。同時に重要なのは人材である。研究者の養成と優秀な人材の確保がなされなければならない。

■道州制ウイークリー(245)2021年3月27日

◆これが九州道州制ビジョン㉑

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制導入後の九州の経済社会

 20XX年、道州制が採用され、国のかたちは大きく変わり、道州に大きく権限と財政が移譲された。九州は次々と改革を実行、新しい取り組みも進んで、生活、経済、文化にわたり大きな変化が見られた。九州地域戦略会議の第二次道州制検討委員会が描く道州制後の九州がとるべきスタンスと実現可能な施策は次のようなものである。

  • 九州で暮らす住民の満足度と企業活動の自由度を高め、東アジアの拠点として繁栄するための独自の政策目標を掲げ、その実現に向けた施策を戦略的に打ち出していく。
  • 道州が独自の経済見通しを策定し、九州全体の資源を最適に活用する産業政策とアジア戦略を推進するとともに、国公立大学や研究機関の再編・統合を通じて研究開発の選択と集中を図ることにより、九州の産業政策にマッチした科学技術の振興を目指す。
  • 九州の役割にふさわしい独自の財源が確保され、財政効率化により、住民生活の向上と産業活性化のためのソフト・ハード両面の社会基盤整備に重点的に投資する。
  • 環境産業の育成や森林等自然環境の保全により、低炭素社会の実現と経済政長の両立を実現させる。
  • これらの政策を通じ、九州は道州制を導入しかった場合よりも高い成長を遂げ、魅力のある地域を形成、人口の社会増をもたらし、ひいては東京一極集中型国土構造の是正を図る。

道州制ウイークリー(238)~(241)

■道州制ウイークリー(238)2021年2月6日

◆これが九州道州制ビジョン⑭

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での雇用政策

 雇用施策は全国一律となっているが、これを道州制の導入により、国から権限と財源の移譲を受けて、地方自らが雇用施策を決められるようになれば、道州は基礎自治体(市町村)と連携して、対象事業や雇用調整などを独自に設定、状況の変化に応じて迅速かつ機動的に財源を投入し、雇用情勢が悪化した場合でも、地域の実情に合った効果的な対策を実行できるようになる。

 雇用のセーフティネットも同様で中小企業大学校や各地域の職業訓練学校なども道州で一元管理し、産業構造の転換や、新たな技術やサービスの導入に必要な職業訓練システムも再編強化することで、地域の雇用実態にあった取り組みを進めていく。

 失業者や高齢者や障がい者世帯、母子家庭などに対する社会保障と自立支援を充実させるために、国、道州、基礎自治体の三者が連携、雇用対策、生活保護、介護・医療保険といった社会保障施策を総合的に行っていく。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(239)2021年2月13日

◆これが九州道州制ビジョン⑮

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での災害防止対策

 道州制に移行した場合、自然災害多発地域の九州は、防災と危機管理には重点的に取り組む。まず、九州の地域特性に応じた事前の予防対策から応急対策、復興などの事後対策、再発防止まで、迅速かつ総合的に立案・実行する専門組織を新たに立ち上げる。

 この専門組織は関係する行政分野を横断的に結ぶことで災害や危機発生時に指揮命令系統を一元化、国と基礎自治体と連携し、九州全域の自衛隊、警察、消防、各種ライフライン機関、放送機関などとの間で緊密な情報伝達や協力体制を整えることができる。道州だけでは対応しきれない大規模災害では国全体で協力体制を作り上げる。

 火山噴火など自然災害の予知、防災訓練の在り方。鳥インフルエンザ対策などの危機管理について九州の地域性を加味して道州立大学や研究機関で研究を実施、研究成果を基礎自治体などに還元する。

 広域河川は道州、地域河川は地元の基礎自治体が一元的に管理し、従来必要だった国との調整が不要となり、地域と適合性のある治水対策や流域管理ができるようになる。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(240)2021年2月20日

◆これが九州道州制ビジョン⑯

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制の治安対策

 治安対策を担う警察組織は中央に警察庁、地方にはそれぞれの都道府県警察が存在する。組織としては一元化されているが、都道府県警察はそれぞれの地域を管轄、広域的な連携という点では必ずしも十分に機能していないことも事実である。

そこで道州においては、安全な地域の実現に向けて、九州各県が行ってきた安全対策は、道州のもとに一本化され、引き続き、国、道州、基礎自治体、地域コミュニティらが連携する体制を築き上げる。

海上では広範囲に国境と接し、アジアを中心にヒト、モノ、カネの流れも国際化が進む中で、国境をまたぐ犯罪に対して、道州と国の入国管理局や税関、検疫機関などが緊密に連携することで、危機発生時において迅速な対応を行う。

また、区内の犯罪も広域化、組織化する傾向がみられることか、現在の県境を越えて警察の管区区域の再編成に着手、道州、基礎自治体、地域コミュニティなどが一丸となって犯罪防止に向けてのトータルな対策を講じる。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(241)2021年2月27日

◆これが九州道州制ビジョン⑰

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での環境政策

 環境に優しいライフスタイルへの転換を推進するためには国と地方が一体となって取り組みながら、道州が中心となって地域の特性に応じた効果的な対策が重要となる。国の役目は地球温暖化防止計画策定に関わる基本政策や排出権取引の仕組みの創出といった大枠の問題を担う。道州は具体的な施策や部門別目標値設定、住民の省エネ促進のためのインセンティブ制度の創設などに取り組む。基礎自治体は住民に対する啓発活動、中小企業を対象にした相談窓口の設置・運用を図る。こうして役割分担を明確にすることで、現状の成果が十分に上げられていない都道府県単位での取り組みの限界を突破し、効率的な防止策で九州の環境を守っていく。

 環境保全に関する大気、水質、ダイオキシンなどの規制は、道州は全国より厳しい基準を設定する一方、局地的には基準を緩和を行うことで、観光面などの利用・活用を視野に入れ、日本一クリーンで美しい九州をめざす。海洋保全においても複数の省庁や県などにまたがる複雑な調整が不要となり、海洋自然環境、水産資源の回復の改善・保全などの課題に対し、迅速かつ戦略的に取り組むことができるようになる。産業廃棄物処理においても九州全体を見通した統一戦略に基づき、広域的な連携・協力が容易になる。

 

道州制ウイークリー(233)~(237)

■道州制ウイークリー(233)2021年1月2日

◆これが九州道州制ビジョン⑨

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇なぜ地域主権型道州制が必要か(江口克彦氏)

 なぜ、道州制が必要かというと、中央集権体制が諸悪の根源であるからで、この体制を改めない限りほどなく日本は衰退の一途をたどることになる。このままでは東京一極集中がますます進み、地方の人口は減少、東京を中心とする首都圏と地方の格差も想像を絶するほど大きなものとなろう。一刻の猶予も許されず、新しい国のかたち、都道府県を廃し、全国を10程度の州、また住民の納得する基礎自治体に再編し、それぞれの地域が税財源などを掌握し、主体的に住民密着の政治行政を行う「地域主権型道州制」を実現しなければならない。

 広域行政に変えないと無駄が生じ、地域の負担もさらに増す。費用対効果を考えながら、広域でダイナミックに動かしていくことで行政も効率的になる。そうすることで人口が分散し、人々が自由闊達に活動できる「疑似国家」「分権国家」をつくり、少なくとも繁栄拠点を全国で十数か所つくる必要がある。そうしなければ国力は衰え、民力は低下し、日本はいずれ三流国家になる。

 九州はもともと独立意識が強く、道州制の議論も活発だ。九州最大の都市である福岡を起点に考えると、距離的に上海と東京は変わらず、ソウルは名古屋より近い。一つの州になれば海外の国と対等に交渉でき、国際運輸物流においても東アジアのハブになれる。税収面でも自主的に決めることも可能だ。九州から日本を変える、若い人たちがそう思って考え行動すれば日本を動かす力になる。。グローバル化の中で生き残るためには、何としても道州制の導入が必要だ。

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(234)2021年1月9日

◆これが九州道州制ビジョン⑩

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇九州道州制が目指す将来ビジョン

九州地域戦略会議の道州制検討委員会が2009年にまとめた「九州が目指す姿、将来ビジョン」報告書では、道州制導入について、①国内外の急速な変化に対応し、21世紀においても持続的に発展することを目指す ②現行のわが国の統治機構、社会の仕組みを抜本的に見直し、新しい国のかたちを構想する、としています

その目指す国のかたちは、●国の役割を限定する ●内政に関しては地方が自律的・総合的に担うことを基本とする ●都道府県を廃止し、新たに全国に複数の道州を創設する ●道州制組織の在り方は道州と市町村の2層制で公選の議会と首長を持つ、というものです。

国の役割は、外交、防衛、通貨、金融、国際的な枠組みに関する地球環境対策、公的年金など国家の存立にかかわることに限定する。そのうえで道州には警察、広域防災、空港、港湾、鉄道、高速道路、情報通信インフラ、新産業創出、経済交流、産業振興、雇用保険、医療計画など幅広い分野で国から権限と財源を委譲し、道州全体にわたる広域的な事業を受け持つ。

基礎自治体となる市町村は、消防、まちづくり、上下水道、景観保護,ゴミ・し尿処理、介護、保育所、商店街対策といった住民生活に直接かかわる公共サービス全般に関わる。

教育に関しては、国は最低限の水準を保証、道州は小中高の学習内容の設定、州立高校・大学の設置運営など、基礎自治体は市町村立学校の設立運営、学級編成、幼稚園など役割を分担する。

道州と基礎自治体が主体となって地域政策に関して自らの権限と財源を持ち、地域ニーズに的確に対応した政策を企画立案から施行まで一貫して効率的かつ総合的に実施する。そして九州のことは九州が決めるシステムを構築する。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(235)2021年1月16日

◆これが九州道州制ビジョン⑪

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での医療

 大都市に医師が集中、地方の医師不足が叫ばれて久しく、救急医療や高度・先端医療における広域連携の必要性も問われている。国から権限と財源を受けることで、まず医師不足の解消には、州立大学の医学部の定員を拡大することで医師数の絶対数を増やし、州が医学生に地方勤務を条件とした奨学金制度の充実を図るなどして、州内での定着を促進、離島、半島、中山間地の医師不足や小児科、産科の専門医不足に関しても、診療報酬を弾力的に運用することで手厚くし必要量の医師を確保する。

 広域連携医療においては、県単位では県境がネックとなり、連携がスムーズに行われず、コストや医療設備の面からも整備を図ることが難しい。道州制であれば、例えば市町村が離党・僻地の中に過疎地域の医療拠点を設け、より高度な州立病院と一元的な運営を行うことで、過疎地域にも安定した医療を提供できる。各県で重なる医療機能を集約し、拠点病院と過疎地の病院を遠隔医療システムを結ぶことも可能となる。

 救急医療でも道州制により大きく改善する。県単独では導入・維持が難しいドクターヘリを州の中で効率的に配備すれば、すべてのエリアをカバーできる。また、専門性の高い医療については、県単位ではそのレベルアップがなかなか難しいが、州でがんセンターや子ども病院、循環器センターなど専門性の高い期間を整備することで、最先端の医療の提供ができるようになる。その際、国の研究機関や諸外国の関連機関とも交流・連携を図ることで高度な医療体制をめざす。こうして医療を地域に暮らす人たちのニーズにきめ細かく対応、人の命を守るという基本的な地域医療のインフラを整備、より広域的なネットワークを構築することで、高度で最先端お医療を受けられるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(236)2021年1月23日

◆これが九州道州制ビジョン⑫

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での子育て支援 

 核家族化により地域社会全体で子育てを支援していく必要性が今後ますます高まる。道州制下で子育て支援策が、道州と市町村が連携して、地域の実情を踏まえた弾力的で総合的な施策を進めれば、より効果的で、安心して産み育てる社会の実現ができるようになり、出生率の増加をもたらす期待がもてる。

 保育園での待機児童、幼稚園の定員割れというニーズとのミスマッチを解消し多様な保育ニーズへ対応するために、保育園や幼稚園の施設運営について、都市部など保育所需要が多いところで土地確保が困難な場合、保育施設や屋外遊技場の面積などの基準を緩和、児童数の減少で幼稚園の設置が難しい地域では、小学校などとの併設を認め、延長保育や短時間保育といったサービスの多様化により利便性を向上ささえる。

 また、出産・育児期の経済的負担を減らすため、児童手当、妊婦健診費、保育料などについて、道州と市町村が連携して、地域の実情や子育て世帯のニーズを踏まえて、出産・育児期の一体的かつ効果的な制度設計を行うことで、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現する。

 女性の仕事と育児を両立させるために、女性の継続就労、再就職支援、中小企業への支援などを実施、就労環境を改善する。さらに、県ごとに実施している子育て応援事業を広域で取り組み、行政、企業、地域社会が連携、NPOも活用し、子育て支援を社会全体で応援していく気運を高めていく。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(237)2021年1月30日

◆これが九州道州制ビジョン⑬

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での教育

 小中学校では国語に方言を取り入れ、地域の言語文化の保護や維持を図り、九州と関係が深い東アジアを意識し、外国語では英語のほかに中国語や韓国語を学べるようにし、社会科でも東アジアとの交流史を教え、理科では地域の自然保護など、独自の教育内容を盛り込めるようになる。高校では農林水産、醸造、観光、デザインなど九州の産業構造にマッチした専門人材教育を展開する。

 全国画一の学級編成、校舎整備基準がなくなるので、離島や中山間地集落が多い九州の特性に配慮し、分校制度を復活・強化、教育の機会をいままで以上に確保する。ハード面でも地元の木材を使用した校舎、農水産物を活用した給食も一層推進でき、地域の活性化の役割も担う。

 大学は国立、県立大学を必要に応じて州立大学として各都市圏レベルで再編を実施、再編によって生まれた余剰をベースに新たに芸術、獣医、アジア言語などの大学、学部を創設する。十分な財源を確保し、米国のような世界水準の州立大学のような大学に育て、世界に通用する研究を維持する。さらに体育、看護、福祉といった九州独自の既存の専門大学も加えることで地域社会の多様な教育ニーズに応えていく。また、州立大学の教育学部に学生定員を定め、質の高い教員も安定的に確保する。

 

 

 

 

道州制ウイークリー(233)~(237)

■道州制ウイークリー(233)2021年1月2日

◆これが九州道州制ビジョン⑨

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇なぜ地域主権型道州制が必要か(江口克彦氏)

 なぜ、道州制が必要かというと、中央集権体制が諸悪の根源であるからで、この体制を改めない限りほどなく日本は衰退の一途をたどることになる。このままでは東京一極集中がますます進み、地方の人口は減少、東京を中心とする首都圏と地方の格差も想像を絶するほど大きなものとなろう。一刻の猶予も許されず、新しい国のかたち、都道府県を廃し、全国を10程度の州、また住民の納得する基礎自治体に再編し、それぞれの地域が税財源などを掌握し、主体的に住民密着の政治行政を行う「地域主権型道州制」を実現しなければならない。

 広域行政に変えないと無駄が生じ、地域の負担もさらに増す。費用対効果を考えながら、広域でダイナミックに動かしていくことで行政も効率的になる。そうすることで人口が分散し、人々が自由闊達に活動できる「疑似国家」「分権国家」をつくり、少なくとも繁栄拠点を全国で十数か所つくる必要がある。そうしなければ国力は衰え、民力は低下し、日本はいずれ三流国家になる。

 九州はもともと独立意識が強く、道州制の議論も活発だ。九州最大の都市である福岡を起点に考えると、距離的に上海と東京は変わらず、ソウルは名古屋より近い。一つの州になれば海外の国と対等に交渉でき、国際運輸物流においても東アジアのハブになれる。税収面でも自主的に決めることも可能だ。九州から日本を変える、若い人たちがそう思って考え行動すれば日本を動かす力になる。。グローバル化の中で生き残るためには、何としても道州制の導入が必要だ。

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(234)2021年1月9日

◆これが九州道州制ビジョン⑩

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇九州道州制が目指す将来ビジョン

九州地域戦略会議の道州制検討委員会が2009年にまとめた「九州が目指す姿、将来ビジョン」報告書では、道州制導入について、①国内外の急速な変化に対応し、21世紀においても持続的に発展することを目指す ②現行のわが国の統治機構、社会の仕組みを抜本的に見直し、新しい国のかたちを構想する、としています

その目指す国のかたちは、●国の役割を限定する ●内政に関しては地方が自律的・総合的に担うことを基本とする ●都道府県を廃止し、新たに全国に複数の道州を創設する ●道州制組織の在り方は道州と市町村の2層制で公選の議会と首長を持つ、というものです。

国の役割は、外交、防衛、通貨、金融、国際的な枠組みに関する地球環境対策、公的年金など国家の存立にかかわることに限定する。そのうえで道州には警察、広域防災、空港、港湾、鉄道、高速道路、情報通信インフラ、新産業創出、経済交流、産業振興、雇用保険、医療計画など幅広い分野で国から権限と財源を委譲し、道州全体にわたる広域的な事業を受け持つ。

基礎自治体となる市町村は、消防、まちづくり、上下水道、景観保護,ゴミ・し尿処理、介護、保育所、商店街対策といった住民生活に直接かかわる公共サービス全般に関わる。

教育に関しては、国は最低限の水準を保証、道州は小中高の学習内容の設定、州立高校・大学の設置運営など、基礎自治体は市町村立学校の設立運営、学級編成、幼稚園など役割を分担する。

道州と基礎自治体が主体となって地域政策に関して自らの権限と財源を持ち、地域ニーズに的確に対応した政策を企画立案から施行まで一貫して効率的かつ総合的に実施する。そして九州のことは九州が決めるシステムを構築する。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(235)2021年1月16日

◆これが九州道州制ビジョン⑪

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での医療

 大都市に医師が集中、地方の医師不足が叫ばれて久しく、救急医療や高度・先端医療における広域連携の必要性も問われている。国から権限と財源を受けることで、まず医師不足の解消には、州立大学の医学部の定員を拡大することで医師数の絶対数を増やし、州が医学生に地方勤務を条件とした奨学金制度の充実を図るなどして、州内での定着を促進、離島、半島、中山間地の医師不足や小児科、産科の専門医不足に関しても、診療報酬を弾力的に運用することで手厚くし必要量の医師を確保する。

 広域連携医療においては、県単位では県境がネックとなり、連携がスムーズに行われず、コストや医療設備の面からも整備を図ることが難しい。道州制であれば、例えば市町村が離党・僻地の中に過疎地域の医療拠点を設け、より高度な州立病院と一元的な運営を行うことで、過疎地域にも安定した医療を提供できる。各県で重なる医療機能を集約し、拠点病院と過疎地の病院を遠隔医療システムを結ぶことも可能となる。

 救急医療でも道州制により大きく改善する。県単独では導入・維持が難しいドクターヘリを州の中で効率的に配備すれば、すべてのエリアをカバーできる。また、専門性の高い医療については、県単位ではそのレベルアップがなかなか難しいが、州でがんセンターや子ども病院、循環器センターなど専門性の高い期間を整備することで、最先端の医療の提供ができるようになる。その際、国の研究機関や諸外国の関連機関とも交流・連携を図ることで高度な医療体制をめざす。こうして医療を地域に暮らす人たちのニーズにきめ細かく対応、人の命を守るという基本的な地域医療のインフラを整備、より広域的なネットワークを構築することで、高度で最先端お医療を受けられるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(236)2021年1月23日

◆これが九州道州制ビジョン⑫

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での子育て支援 

 核家族化により地域社会全体で子育てを支援していく必要性が今後ますます高まる。道州制下で子育て支援策が、道州と市町村が連携して、地域の実情を踏まえた弾力的で総合的な施策を進めれば、より効果的で、安心して産み育てる社会の実現ができるようになり、出生率の増加をもたらす期待がもてる。

 保育園での待機児童、幼稚園の定員割れというニーズとのミスマッチを解消し多様な保育ニーズへ対応するために、保育園や幼稚園の施設運営について、都市部など保育所需要が多いところで土地確保が困難な場合、保育施設や屋外遊技場の面積などの基準を緩和、児童数の減少で幼稚園の設置が難しい地域では、小学校などとの併設を認め、延長保育や短時間保育といったサービスの多様化により利便性を向上ささえる。

 また、出産・育児期の経済的負担を減らすため、児童手当、妊婦健診費、保育料などについて、道州と市町村が連携して、地域の実情や子育て世帯のニーズを踏まえて、出産・育児期の一体的かつ効果的な制度設計を行うことで、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現する。

 女性の仕事と育児を両立させるために、女性の継続就労、再就職支援、中小企業への支援などを実施、就労環境を改善する。さらに、県ごとに実施している子育て応援事業を広域で取り組み、行政、企業、地域社会が連携、NPOも活用し、子育て支援を社会全体で応援していく気運を高めていく。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(237)2021年1月30日

◆これが九州道州制ビジョン⑬

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での教育

 小中学校では国語に方言を取り入れ、地域の言語文化の保護や維持を図り、九州と関係が深い東アジアを意識し、外国語では英語のほかに中国語や韓国語を学べるようにし、社会科でも東アジアとの交流史を教え、理科では地域の自然保護など、独自の教育内容を盛り込めるようになる。高校では農林水産、醸造、観光、デザインなど九州の産業構造にマッチした専門人材教育を展開する。

 全国画一の学級編成、校舎整備基準がなくなるので、離島や中山間地集落が多い九州の特性に配慮し、分校制度を復活・強化、教育の機会をいままで以上に確保する。ハード面でも地元の木材を使用した校舎、農水産物を活用した給食も一層推進でき、地域の活性化の役割も担う。

 大学は国立、県立大学を必要に応じて州立大学として各都市圏レベルで再編を実施、再編によって生まれた余剰をベースに新たに芸術、獣医、アジア言語などの大学、学部を創設する。十分な財源を確保し、米国のような世界水準の州立大学のような大学に育て、世界に通用する研究を維持する。さらに体育、看護、福祉といった九州独自の既存の専門大学も加えることで地域社会の多様な教育ニーズに応えていく。また、州立大学の教育学部に学生定員を定め、質の高い教員も安定的に確保する。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(233)2021年1月2日

◆これが九州道州制ビジョン⑨

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇なぜ地域主権型道州制が必要か(江口克彦氏)

 なぜ、道州制が必要かというと、中央集権体制が諸悪の根源であるからで、この体制を改めない限りほどなく日本は衰退の一途をたどることになる。このままでは東京一極集中がますます進み、地方の人口は減少、東京を中心とする首都圏と地方の格差も想像を絶するほど大きなものとなろう。一刻の猶予も許されず、新しい国のかたち、都道府県を廃し、全国を10程度の州、また住民の納得する基礎自治体に再編し、それぞれの地域が税財源などを掌握し、主体的に住民密着の政治行政を行う「地域主権型道州制」を実現しなければならない。

 広域行政に変えないと無駄が生じ、地域の負担もさらに増す。費用対効果を考えながら、広域でダイナミックに動かしていくことで行政も効率的になる。そうすることで人口が分散し、人々が自由闊達に活動できる「疑似国家」「分権国家」をつくり、少なくとも繁栄拠点を全国で十数か所つくる必要がある。そうしなければ国力は衰え、民力は低下し、日本はいずれ三流国家になる。

 九州はもともと独立意識が強く、道州制の議論も活発だ。九州最大の都市である福岡を起点に考えると、距離的に上海と東京は変わらず、ソウルは名古屋より近い。一つの州になれば海外の国と対等に交渉でき、国際運輸物流においても東アジアのハブになれる。税収面でも自主的に決めることも可能だ。九州から日本を変える、若い人たちがそう思って考え行動すれば日本を動かす力になる。。グローバル化の中で生き残るためには、何としても道州制の導入が必要だ。

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(234)2021年1月9日

◆これが九州道州制ビジョン⑩

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇九州道州制が目指す将来ビジョン

九州地域戦略会議の道州制検討委員会が2009年にまとめた「九州が目指す姿、将来ビジョン」報告書では、道州制導入について、①国内外の急速な変化に対応し、21世紀においても持続的に発展することを目指す ②現行のわが国の統治機構、社会の仕組みを抜本的に見直し、新しい国のかたちを構想する、としています

その目指す国のかたちは、●国の役割を限定する ●内政に関しては地方が自律的・総合的に担うことを基本とする ●都道府県を廃止し、新たに全国に複数の道州を創設する ●道州制組織の在り方は道州と市町村の2層制で公選の議会と首長を持つ、というものです。

国の役割は、外交、防衛、通貨、金融、国際的な枠組みに関する地球環境対策、公的年金など国家の存立にかかわることに限定する。そのうえで道州には警察、広域防災、空港、港湾、鉄道、高速道路、情報通信インフラ、新産業創出、経済交流、産業振興、雇用保険、医療計画など幅広い分野で国から権限と財源を委譲し、道州全体にわたる広域的な事業を受け持つ。

基礎自治体となる市町村は、消防、まちづくり、上下水道、景観保護,ゴミ・し尿処理、介護、保育所、商店街対策といった住民生活に直接かかわる公共サービス全般に関わる。

教育に関しては、国は最低限の水準を保証、道州は小中高の学習内容の設定、州立高校・大学の設置運営など、基礎自治体は市町村立学校の設立運営、学級編成、幼稚園など役割を分担する。

道州と基礎自治体が主体となって地域政策に関して自らの権限と財源を持ち、地域ニーズに的確に対応した政策を企画立案から施行まで一貫して効率的かつ総合的に実施する。そして九州のことは九州が決めるシステムを構築する。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(235)2021年1月16日

◆これが九州道州制ビジョン⑪

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での医療

 大都市に医師が集中、地方の医師不足が叫ばれて久しく、救急医療や高度・先端医療における広域連携の必要性も問われている。国から権限と財源を受けることで、まず医師不足の解消には、州立大学の医学部の定員を拡大することで医師数の絶対数を増やし、州が医学生に地方勤務を条件とした奨学金制度の充実を図るなどして、州内での定着を促進、離島、半島、中山間地の医師不足や小児科、産科の専門医不足に関しても、診療報酬を弾力的に運用することで手厚くし必要量の医師を確保する。

 広域連携医療においては、県単位では県境がネックとなり、連携がスムーズに行われず、コストや医療設備の面からも整備を図ることが難しい。道州制であれば、例えば市町村が離党・僻地の中に過疎地域の医療拠点を設け、より高度な州立病院と一元的な運営を行うことで、過疎地域にも安定した医療を提供できる。各県で重なる医療機能を集約し、拠点病院と過疎地の病院を遠隔医療システムを結ぶことも可能となる。

 救急医療でも道州制により大きく改善する。県単独では導入・維持が難しいドクターヘリを州の中で効率的に配備すれば、すべてのエリアをカバーできる。また、専門性の高い医療については、県単位ではそのレベルアップがなかなか難しいが、州でがんセンターや子ども病院、循環器センターなど専門性の高い期間を整備することで、最先端の医療の提供ができるようになる。その際、国の研究機関や諸外国の関連機関とも交流・連携を図ることで高度な医療体制をめざす。こうして医療を地域に暮らす人たちのニーズにきめ細かく対応、人の命を守るという基本的な地域医療のインフラを整備、より広域的なネットワークを構築することで、高度で最先端お医療を受けられるようにする。

 

 

 

 

 

 

 

 ■道州制ウイークリー(236)2021年1月23日

◆これが九州道州制ビジョン⑫

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制下での子育て支援 

 核家族化により地域社会全体で子育てを支援していく必要性が今後ますます高まる。道州制下で子育て支援策が、道州と市町村が連携して、地域の実情を踏まえた弾力的で総合的な施策を進めれば、より効果的で、安心して産み育てる社会の実現ができるようになり、出生率の増加をもたらす期待がもてる。

 保育園での待機児童、幼稚園の定員割れというニーズとのミスマッチを解消し多様な保育ニーズへ対応するために、保育園や幼稚園の施設運営について、都市部など保育所需要が多いところで土地確保が困難な場合、保育施設や屋外遊技場の面積などの基準を緩和、児童数の減少で幼稚園の設置が難しい地域では、小学校などとの併設を認め、延長保育や短時間保育といったサービスの多様化により利便性を向上ささえる。

 また、出産・育児期の経済的負担を減らすため、児童手当、妊婦健診費、保育料などについて、道州と市町村が連携して、地域の実情や子育て世帯のニーズを踏まえて、出産・育児期の一体的かつ効果的な制度設計を行うことで、安心して子どもを産み育てることができる社会を実現する。

 女性の仕事と育児を両立させるために、女性の継続就労、再就職支援、中小企業への支援などを実施、就労環境を改善する。さらに、県ごとに実施している子育て応援事業を広域で取り組み、行政、企業、地域社会が連携、NPOも活用し、子育て支援を社会全体で応援していく気運を高めていく。

 

 

■道州制ウイークリー(237)2021年1月30日

◆これが九州道州制ビジョン⑬

      (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇道州制での教育

 小中学校では国語に方言を取り入れ、地域の言語文化の保護や維持を図り、九州と関係が深い東アジアを意識し、外国語では英語のほかに中国語や韓国語を学べるようにし、社会科でも東アジアとの交流史を教え、理科では地域の自然保護など、独自の教育内容を盛り込めるようになる。高校では農林水産、醸造、観光、デザインなど九州の産業構造にマッチした専門人材教育を展開する。

 全国画一の学級編成、校舎整備基準がなくなるので、離島や中山間地集落が多い九州の特性に配慮し、分校制度を復活・強化、教育の機会をいままで以上に確保する。ハード面でも地元の木材を使用した校舎、農水産物を活用した給食も一層推進でき、地域の活性化の役割も担う。

 大学は国立、県立大学を必要に応じて州立大学として各都市圏レベルで再編を実施、再編によって生まれた余剰をベースに新たに芸術、獣医、アジア言語などの大学、学部を創設する。十分な財源を確保し、米国のような世界水準の州立大学のような大学に育て、世界に通用する研究を維持する。さらに体育、看護、福祉といった九州独自の既存の専門大学も加えることで地域社会の多様な教育ニーズに応えていく。また、州立大学の教育学部に学生定員を定め、質の高い教員も安定的に確保する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道州制ウイークリー(229)~(232)

■道州制ウイークリー(229)20年12月5日

◆これが九州道州制ビジョン⑤

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇九州地域戦略会議が挙げる道州制導入を目指す6つの理由(下)

⑤国と地方の危機的な財政状況を改善する

 現在、国と地方の財政は危機的な状況にあり、国と地方の双方が徹底した歳出削減を断行し、持続可能な財政システムを構築することが求められている。そのためには、道州制の導入を通じて国と地方の役割分担と財源配分の在り方を見直し、大幅な税源移譲 によって地方自治体の税収と歳出の乖離を縮小し、地方自治体における財政の自己責任を高めていくことが重要だ。同時に、地方財政の透明性を確保し、住民のチェック機能の働くシステムの構築が必要だ。

  • 九州が東アジアの拠点として繁栄する

九州はアジアの都市・地域との厳しい競争に直面している。九州は、一つの国に匹敵するほどの人口と経済規模を有するなど優れたポテンシャルを持っているが、各種の規制等の存在や海外との交流が各県単位で行われていることなどから、そのポテンシャルを十分に」生かすことができていない。「九州に行けば豊かになるチャンスがある」という地域にしていくには各県単位ではなく九州一体となって、魅力あるマーケットを形成し、海外にアピールすることが極めて重要だ、国の全国一律・画一的な政策によるのではなく、九州のことは九州が決める独自の国際交流を展開して東アジアの拠点として繁栄するためには道州制の導入によって地域の創意工夫を生かすことのできるシステムの構築が必要不可欠だ。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(230)20年12月12日

◆これが九州道州制ビジョン⑥

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇現行制度で浮かびあがる問題点

 九州地域戦略会議の道州制検討委員会は、九州7県の企業や行政機関、個人、NPOなど55主体からヒアリングを実施、1100社の企業を対象に道州制に関するアンケートを実施327社から回答を得た。国の中央集権システムの課題としてよく指摘されているものに次のような問題がある。

  • 国への権限の集中と地方への過剰な関与(地方道路事業への国の関与等、地方に自由がない)②国の全国一律の施策が地方の実情に適合しない(建築基準法の全国一律適用のため個性あるまちづくりができない) ③国の縦割り行政の非効率性(新産業振興策を各省庁が縦割りで行っている) ④国と地方の危機的財政状況と地方の自主財源脆弱性 ⑤東京一極集中と地方の疲弊(都市と過疎地の地域間格差の拡大、人材の東京流失) ⑥国際競争力のある社会資本整備の遅れ、政策の欠如(国際空港、国際港湾,循環型高速交通体系の整備等の遅れ ⑦既存の枠を超えた連携意識の欠如(県、市、民間がそれぞれ海外にミッションを派遣していて非効率) ⑧産業政策、雇用政策、社会資本整備等の非効率性(国と県それぞれによる産業クラスター形成事業は非効率)⑨選択と集中による効率的な投資や施策意識の欠如(各県単位の企業誘致活動、フルセット主義の弊害)⑩都道府県単独では解決できないにニーズへの対応力不足(地球環境問題への対応は県単位では効果は不十分

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(231)20年12月19日

◆これが九州道州制ビジョン⑦

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇中央集権制度で浮かび上がる産業政策の問題点

 九州戦略会議道州制検討委員会事務局が2006年に実施したヒヤリング結果から具体的な問題点が浮かび上がっている。まず国の中央集権システムの問題点としては地方には進出企業に対する法人税や消費税優遇の自由度がないことが、企業誘致が地方振興の有力手段であるという現状からすると大きな問題である。世界を見渡しても経済特区では様々な優遇措置が施されている。現状では法人税や消費税の権限は国にあり地方にはない。道州制になり、税務権限が移譲されれば、九州独自で税率を決められ、大きなインセンティブを与えることができる。国内のみならず、アジア・世界に広く門戸を成長産業開いて九州を魅力ある地域にし、持続的発展を可能にさせていく。

 経済発展には新産業の振興やベンチャーの育成が必要不可欠だ。半導体、バイオ、情報、健康といった成長産業として可能性のある企業は、所管する官庁が経済産業省、総務省、農林水産省などに分かれており、産業政策が縦割り行政によって行われ、極めて非効率である。

 国による全国一律の規制も問題化している。消防法は工場や倉庫は1000平方メートル単位で防火壁を設置しなければならないなど規制は非常に厳しいが、地域ごとのケースバイケースな対応による弾力的運用を行うことで効率的なスペース利用やコスト削減が図れる。建物の高さ制限や建ぺい率などを定めた建築基準法も地域の個性あるまちづくりには大きな障害となっている。

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(232)20年12月26日

◆これが九州道州制ビジョン⑧¥

 (西川立一『九州道州制がよくわかる本』より)

◇都道府県制度の問題点の「どこを変えるのか」

 九州戦略会議道州制検討委員会が行ったアンケート結果によると、現行制度の問題点を変えていくには、行政の窓口一本化、許認可・新生基準の統一・規制緩和、広域での連携、より広域な行政組織の必要性が求められている。九州の国際競争力に不安があると思っているのが約半数あり、「内外の企業意を誘致、九州への投資促進のためには各県が競争するよりも九州が一体となって、あるいは複数の県が連携して行ったほうが効果的」と回答した企業が74.3%に達し、広域連携への期待が大きいことがうかがえる。

 これらの問題を解決する方法として、道州制検討委員会は、A・道州制、B・県合併、C・政策連合、D・個々の法改正や運用改善、規制緩和、権限移譲などに分類して検討した。B・県合併とC・・政策連合は、広域行政システムの構築が必要で国の権限と財源の移譲があってはじめて効果的なものになるもので、それは道州制の実現なくして不可能である。D法改正等の問題は国の中央集権システムに起因するものが大半であり、国の権限と財源を地方に大幅に委譲し、国と地方の役割分担を抜本的に見直して地方の自由度を拡大することが必要である。地域の活性化のために地方が地域連携や社会資本の充実にいくら取り組もうとしても、中央集権という大きな壁が立ち塞がっている。したがって、道州制を導入するという国家意思に基づき関係する法令を一括して改正しなければ効果は上がらないと結論づけている。