カフェ塾(19)2011年9月

第19回 Cafe塾

長屋再生プロジェクト
-地域再生にかける思い・活動は、いかにして盛り上がったか-

講師: 六波羅 雅一 氏
( 六波羅真建築研究室代表・からほり倶楽部代表理事 )

日時:平成23年9月17日 (土曜) 16:30-18:30

場所:カフェバー 楽

第19回カフェ塾 報告

第19回カフェ塾を「御屋敷再生複合ショップ・『練』内のカフェ『楽』」にて行いました。今回はこの『練』をはじめ、空堀商店街界隈長屋再生プロジェクトを10年以上にわたって中心になって手がけられてきた「からほり倶楽部」代表理事で、自身でも建築研究室を主宰されている六波羅雅一氏をお迎えして、長屋再生、地域再生への思いを語っていただきました。

空堀地区は、大阪市中央区の松屋町と谷町に囲まれた戦前からの建物と、コミュニティが残る地域です。最近はマンション建設が進み、流入人口は多いものの、独自な伝統文化が希薄化しているともいわれています。六波羅氏も述べられているように、地域再生は建物企画ではない、地道な人の交流がもたらすものでしょう。古くから住んでいる人は、町の活性化は望んでいても、新しい行動にはためらいを感じているかもしれません。また新たに住人となった人たちの中には、互いに少し干渉的なコミュニティづくりが苦手な人もいるかもしれません。

コミュニティの崩壊・不活性は過疎地域での人口減少に伴う問題とは別に、こうした都会型のコミュニティ再生をどう実現していくのかの課題と議論を提起しています。その意味で、六波羅氏のグループがすすめる「長屋再生」は、都市コミュニティの再生に有効な切り口ではないかと思えます。ある種の「美意識」が人をつなぐ絆になっているからです。美意識は理屈でつくられるものではありません。歴史的な文化の蓄積が伝統として培われる必要があります。また美意識は価値や文化の創造に向けた「創造的破壊」の土壌でもあります。

古い町並みを保存することが目的化してしまうと、あとは観光誘致に傾くだけで、コミュニティの再生にはなりません。また美意識の掘り下げに重要な「猥雑な寛容性」を観光パッケージから排除してしまうことになります。当然ここでは、創造的破壊を生み出すような違和感が認められることも少ないのです。道州制文化は地域文化を大切にするところにあるという。それはコミュニティ文化であり、美の再発見に通じるものでなくてはならないのではないかと思います。

こうした観点からか、「からほり倶楽部」の運営の仕組みも自立したものになっています。 行政に頼らず、NPOでもない任意団体であることで、運営の自由度が確保されているのでしょう。ここは実際の組織運営の点で、ヒト・モノ・カネをどのようにマネージメントするかの知恵のいるところですが、硬直的に考えるのではなく、新しいアイデアを柔軟に生かしながらの運営は、実績がその正しさを証明しているように見えます。

さて、関西州ねっとわーくの会では、この7月に「関西州サイバー議会」を立ち上げました。その関係で2カ月ほどカフェ塾の開催がずれこみました。今後、Ustreamを使った新しいカフェ塾も開いていきますので、ご期待ください。

 

 

 

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