関西州サイバー議会レポート
関西州サイバー議会 政治団体として旗揚げへ
2014年11月
事務局長 小倉 暁
去る10月の総会において、関西における主導的な市民による道州制推進団体として「関西州サイバー議会」を政治団体として届けることを決しました。 具体的には、これまでの組織を改組し、新たに常設の政治局を置くことで、広報・宣伝・組織活動を強力かつ円滑に行おうとするものです。
今後はすでにまとめた関西州サイバー議会の道州制設計の第一次提言をもとに道州制実現のために、既存の法案に欠けるものを大胆に問題提起していきたいと考えています。たとえば、道州制自民党案と「地方創生」案に欠けるものは何か。端的にいえばやる気であり、たとえ実現したとしても中央主導のなることが容易に見て取れる不完全性ではないでしょうか。そこであえて対抗軸を作ることで、今後の道州制論議に活性化を図りたいと思います。
その一つは連邦制です。各地域の自立をどの程度まで図っていくのかはお伺いを立ててするものではないでしょう。中央政府が破たんしたとき自分たちはどうやって生き残っていくかを考えることだからです。中央政府の干渉を排除するくらいの自立性を獲得しようと思えば、連邦制を謳うことでなければならないでしょう。
道州制は国内政治・統治問題ゆえにあまり外交安保には関係がないように見えますが、上記の連邦制をいえば外国勢力云々の話が聞こえてきます。そこで外交安保政策は近代以降の東アジア政策の反省に立って、中央に一元化、さらに強化することが必要でしょう。その外交理念は「脱亜」で行くべきであると思います。(都市間外交は認める)いわゆるアジア主義は捨てるべきであると思います。そう決めれば見えてくるものがあります。
一方、内政の基本は、内需の活性化と格差是正・中間層の創造です。これをなすためには経済の外需寄与度・内需寄与度を詳しく見ていく必要がありますが、グローバル経済は言葉と裏腹に地域経済や内需は何かを浮き彫りにしています。外需と内需は分離できるのです。その理解の上で、「同一労働・同一賃金」を実現します。この問題については正社員の給与が低下するとか、逆に人件費が上がり、経営にマイナスであるとか、各会社の風土になじまないとかといった議論はよく聞きます。しかしこれは今後の水素社会の実現と同じく、革命的なことであり、同時に地域政府のもとでないと実現できないのです。同一労働・同一賃金と道州制はセットなのです。また同一労働・同一賃金は資本集約型産業よりは労働集約型産業に親和的です。ただし、前提条件が道州制以外にもう一つあります。それは労働集約型産業の生産性を上げるために徹底したIT化・通信化を推進することと、次世代の技術革新を誘導することです。
たとえば先ほど述べた水素社会です。燃料電池車がいよいよ登場してきました。水素はエネルギー分野で革命を起こします。炭素も核も、要は熱を発生させて電気を起こします。しかし、水素反応は熱も出しますが、直接電気を作るのです。水素には全国的なインフラが必要ですが、このインフラは産業の地域性をより強化するはずです。
また、地域医療事業体は健康・生命事業の運用の中核を担うものです。保育・教育・医療・福祉・介護の財源は、同一労働・同一賃金による雇用の確保とIT化と研修強化・労働の資格化などの施策による生産性の向上、内需の活性化と格差是正・中間層の増大による地域経済の成長によって確保していきます。地域経済の拡大がGDPの拡大になるのです。単なる外需の拡大や富裕層を中心にしたトリクルダウン政策は持続性がなく、脆弱です。(すでに経験済みである)。地域政府は各部門が自立したリベラルな政府になるでしょう。行政主導ではなく、「公的事業体」が中心になると思います。肝心なのは当事者性です。既存の産業界や労働組合の枠組みからはこうした発想は生まれにくいのです。
ここにあげた見解は小倉独自のものが多く含まれていますが、こうした意見を世に問いながら道州制の実現に近付けていきたいと考えています。
さて、政治団体となった「関西州サイバー議会」は、近いところでは①2014年衆議院選挙で、賛同者を増やしていきたい。②2015年統一地方選挙では政治団体の立場を明らかにしていきたい。③道州制設計の第一次提言を整備したうえで、発表したいと考えています。
関西州サイバー議会
◎道州制設計への第一次提言◎
道州制移行後の関西の具体像はどうあるべきか、道州制で日本の社会をどのように変えるのか――。
道州制の仮想議会である関西州サイバー議会では、2014年初から討議をすすめてきたが、第一次提言として「道州制導入推進の総括」、「道州制導入の3本の柱」、「財政問題」、「教育制度」、「エネルギー問題」、「医療・社会保障問題」、「関西州の観光」、「健康都市づくり」の8項目について骨子をまとめた。
今後も具体的な提言を行い道州制実現へ論議の輪を広げたい。
2014年8月
関西州サイバー議会理事長平岡龍人
関西州サイバー議会議長高松義直
<道州制設計への提言骨子内容>
関西州サイバー議会2014年8月
□道州制導入推進の総括
◇道州制移行は2020年代前半までに完了すべき
>>要旨<<
人口減少、少子高齢化、財政悪化、地方の疲弊、経済社会の広域化、経済グローバル化、新興国の追い上げ、東アジアの国際関係変動など日本を取り巻く環境は大きく変貌した。明治以来の中央主権の国のかたちは複雑多岐化した現代の課題に応じきれず、様々な広域課題に対しても細切れの府県体制の限界が見えてきた。
国全体の借金はGDPの2.5倍の1300兆円に迫り、財政の壁が近づいている。90年代からの混迷が依然として続き、抜本的解決先送り・一時しのぎの部分修正では対応できない事態であることは明白である。国と地方のあり方を再構築、財政健全化を進め、活力ある地域づくり、国力を再生する道州制<廃県置州>に転換すべき時に来ている。破局を回避するためにも、道州制移行は10年以内とし、2020年代前半に完了すべきと考える。
□道州制導入の3本の柱
◇道州制は人口減少社会の国のかたち
◇地域経済圏活性化への環境整備
◇国と地方の行財政改革と財政健全化
>>要旨<<
日本は人口急減社会に向っている。2014年1月の人口1億2643万人は2030年には982万人減の1億1661万人となり、2050年には1億人を割り込むと予測されている。関西2府4県では2030年には191万人減の1904万人となる。
人口減少にも持続できる地方圏をつくり、日本再生を図るのが道州制の役割である。地域が自立的に発展する枠組みを創っていかなければ国からいくら手当しても衰退からの脱出はできない。広域化した経済社会に適合した広域行政圏を形成し、行政と経済のズレを解消するとともに、地域を支える産業活性化への環境整備を進め、生産性の高い経済を創出していく。さらに中核都市を中心に広域都市連携を強化し、人口減少社会に対応できる機能を集約した体制を整えなければならない。地域の政策を地域主導で企画執行することで、国に頼らない自治行政を実現し、住民本位の社会をめざしていく。地域活性化による人口・産業の地方回帰は東京一極集中のリスク是正にもつながる。3
◇国と地方の役割見直し案
>>要旨<<
道州制は国の分立、連邦制ではない。一つの憲法、象徴天皇、議院内閣制、衆参二院制を維持し、国、広域自治体である道州、基礎自治体である市町村の三層制とする。国と地方の役割分担見直しを行い、権限・財源・人材を地方に移し、国と地方の行財政改革により効率的運営、財政健全化を図る。
国は国家の存立に関すこと、国政の根幹を担い、戦略的機能を強化する。
道州は都道府県を廃止し、現行地域ブロックを基本に10州程度に再編、一定の内政機能を担う。道州には国の地方出先機関を移管し、広域課題の政策企画決定機能を持つ地域の司令塔とし、市町村の補完も行う。
市町村は日常生活行政を担い、必要に応じて市町村間で広域連携する。
▽役割分担見直し案
国=皇室、司法、外交、国防、通商、通貨・金融、年金・社会保障、教育
基本計画・基準、エネルギー基本計画など
道州=広域防災、治山治水、警察、広域道路、大学・中等教育、産業振興、
産業廃棄物、国民健康保険、介護保険、高度医療、環境、農林水産、
労働監督、職業紹介、港湾・空港運営(管制は国)、運輸、広域観光
など
市町村=初等義務教育、都市計画、戸籍・住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、生活廃棄物、公園街路、上下水道、ビザ発給など
◇国出先機関(一部除く)の道州移管案管轄区域再編し縦割り行政排除
>>要旨<<
国の出先機関は全国に199機関、職員約20万人、予算13.4兆円
となっている。特に関東、中部、近畿地方では各機関の管轄区域が省庁別、
さらに同一省内においても統一性がなく、縦割り行政が続けられている。
総合的対策が求められる経済行政にとっては大きな障害となる。道州別に
再編し、地域政策の立案・執行権を道州に移管、地域発展の環境整備を図る。出先機関改革の第二段階では中央省庁の再編・改革を行う。
▽道州に移管すべき主な出先機関
経済産業局、整備局、運輸局、農政局、環境事務所、厚生局、労働局、
森林管理局、漁業調整事務所、管区警察局(上級幹部は警察庁人事)
▽国の機関として維持する主な地方機関
裁判所、検察庁、矯正管区、法務局、入国管理局、公安調査局
航空局、管区気象台、管区海上保安本部、防衛局、行政評価局、通信局
財務局、国税局、税関4
□財政問題
◇臨時財政対策債制度の廃止
◇法人関連税の一括管理を行い、地方交付税の配分基準に応じて地方に配分
>>要旨<<
自治とは統治と決裁権と自主・自由を保持していることはもちろんであるが、持続可能な健全性を保持した財政が必須である。現状の地方税と国税の仕組みでは、法人税が法人の東京集中に伴い法人関連の税は東京一極集中になっている。財政の健全化には歳出の無駄の排除や行政サービスの縮小を行わなければならないが、現状では扶助費をはじめ膨張をとめられないまま、社会
インフラの修理、点検などの対策が控えており、歳出の縮小は至難である。
選挙に配慮し、本気で健全化に取り組む首長、議員はいない。公務員も課題先送りである。
地方税、国税ともに税収減のために平成13年に設けられたのが臨時財政対策債(5.8兆円)であるが、国の借金の地方付け替えであり、国の借金を少なく見せかけることになっている。
地方交付税交付金の不足を地方債の増加という先送りで凌いでいる地方財政の抜本的な解決策として、臨時財政対策債の即時廃止を提案する。
◇所得税・法人税・消費税を国と地方で二分、地方調整財源に国歳入10%
>>要旨<<
道州制により各州の一人当たり税収は一定程度平均化するが、ナショナル・ミニマム保障のためには財政調整制度は必要。国の歳入の10%を調整財源に充当する。国税のうち所得税・法人税・消費税合計33.2兆円(25年度歳入)の半額を地方配分とし、2.3兆円の地方交付税交付金財源の酒税・たばこ税の全額を地方税とする。
□教育制度
◇幼稚園の義務教育化(3年)を盛り込んだ学制改革
小学校(4年)中学(4年)義務教育は計11年(中学卒業年齢15歳)
高校4年大学4年
>>要旨<<
現在、幼稚園は3年保育が常態化しつつある。3歳児までは家庭または家庭に準じる場で保育しなければ情緒の安定に欠け、健全な成長の妨げとなりやすい。小学校の4年制は意識の変革期を重要視、第二次性徴を考慮し、性差も大きく作用するため環境を変え、新しい意識を持たせ指導するため。5
◇義務教育(初等・中等)を11年間に拡大
小学6年中学5年(英11年、仏10年、米独9~10年)
高等教育5年大学(教養課程2年・専攻課程3年)大学院
>>要旨<<
年少人口(0歳~14歳)は2030年までに約480万人減の1200万人となる。教育をめぐる環境は激変する。高校までは事実上の義務教育化、中等教育の一貫制も広がっている。中学‐高校の入試をなくし、切れ目のない教育を行う。
◇大学再編国立大学86校は一部を除き州立大学に移管・再編
国立大学=旧7帝大、東京芸術大、東京海洋大、政策研究大学院大学
奈良、北陸の先端技術大学院大学
>>趣旨<<
高等教育は大学の再編統合で改革を進める。大学の地域との連携強化は地域発展に不可欠。国立大学は一部を残し、州立大学に移管・再編し、地域での人材育成、地域産業などと連携した産学研究体制を構築する。在学中に一定期間の社会実習を行う。州内居住者の州立大学進学者には授業料を免除する。
□エネルギー問題
◇革新的再生可能エネルギー開発と脱原発依存の現実的路線
◇即時脱原発ではない、戦略的に原発依存を低くしていく
◇森林間伐材を活かした木質バイオマス発電(特に農山村地域)
>>要旨<<
革新的再生可能エネルギーおよび脱原発依存のロードマップから逆算した現実的路線を歩むこと、基本方針は国、それ以外は民間及び道州が国家安全保障、省エネ、・低炭素化を旨に担うことを提言する。
再生可能エネルギーは、太陽光発電の現在の低い変換効率、風力発電や地熱発電等まで含めた建設計画から確保される発電容量の少なさから、原発の即時代替えたり得ず、太陽光発電の革新的変換効率の実現、超大規模建設計画、系統安定のための革新的蓄電及びスマートグリッド技術が待たれる。
また、「原発なし化石燃料一辺倒」は、エネルギーの供給確保を難しくし、
化石燃料の新興国需要による獲得競争及び高騰に翻弄され、バーゲニングパワーも失うことにつながる。
さらに、「原発なし化石燃料一辺倒」は低炭素社会の進展を困難にする。これらの技術的課題が解決されるまでは、Safety=安全を世界最高水準に高めた原発を利用すべきである。一方で、依存を戦略的に低くしていくことを提言する。
道州の役割は、地理的な得手不得手から最良の地域戦略を示し、民間が実施、また自立的に新規ビジネスの可能性実現する。6
関西州サイバー議会イベント報告(4)
2014.08.10
◆奈良県香芝市で分権の会「地方分権と道州制について」研修会◆
8月9日に香芝市総合福祉センターで分権の会主催「地方分権と道州制」研修会が開催されました。台風接近の中、約50名が参加。関西広域連合の中塚則男事務局長が「関西広域連合と道州制」について基調講演。広域連合は道州制に直結するものではないが、関西の広域課題に取り組み、関西全体の地盤強化・向上を目指していると説明。次にパネルディスカッションに移り、尾崎充典奈良県議会議員をコーディネーターに、パネリストの中塚事務局長、福岡憲宏香芝市議会議員、清水勉王寺町議会議員、高松義直関西州サイバー議会議長・関西州ねっとわーくの会代表が約1時間にわたり熱い討議を行いました。関西州サイバー議会の高松議長は、道州制の時代背景として人口減少、財政悪化、経済社会の広域化など大きな社会変動を挙げ、道州制は人口減少時代にも持続できる安定した社会基盤をつくり、国と地方の役割分担見直しによる行財政改革で財政再建を進め、地域の産業経済振興のため広域的、効率的な取り組みを目指すものであることを強調しました。次回は9月13日に「地域包括ケアシステムとは」について奈良県庁の林法夫地域福祉課長を講師に招き同センターで研修会が開催されます。
道州制構想提案発表会報告(3)
2014年2月
(2014.2.1開催)
関西州サイバー議会は2月1日、大阪市内で「道州制構想」提案発表会を開いた、財政、教育、天皇、エネルギー、観光、道州制メリット論、医療・社会保障について約3時間、活発に意見交換がなされた。
「財政」は道州制の根幹的テーマであり、現況の厳しい財政事情を道州制移行により、いかに乗り切っていくか、いくつかの提案があった。
提案は▽国の借金が地方への付け替えとなっている財政臨時対策債(5.8兆円)の廃止 ▽法人関連税の一括管理による地方配布 ▽国税5税のうち酒・たばこ税(2.3兆円)を地方税に全額組み入れ、所得税、法人税、消費税(33.2兆円)を国と地方に2分割 ▽地方で一括徴税し、一定割合を国に上納するなどで、地域自立のための財政基盤を強化することが不可欠であるとの認識で一致した。
「教育」では、まず教師の資質改革が必要との点で一致、リーダー養成の教育カリキュラムが日本には欠落しているとの指摘もあった。学制については児童の成長に合わせて、小学校4年、中学校4年、高校4年、大学4年とし、義務教育は小中8年の提案があった。
「天皇」については国民統合の象徴であることに異論は出ず、皇位継承のため皇統を絶やさない工夫が整備されなければならないことで一致した。
「エネルギー」は原発の扱いが焦点となった。再生可能エネルギーの発電量が少ない現時点では原子力の代替にはなりえず、当面は原発の安全基準を高め、依存率引き下げをめざしつつ新エネルギー開発をするのが現実的選択であるとされた。また、「関西州」としては自立的エネルギービジネスの可能性をめざした地域戦略が必要と提案された。東アジア諸国では原発新設の動きが強まっており、日本の原発研究は不可欠であるとの意見も出た。
「観光」では、交通手段の企画統一、外国人向け案内表記、広域観光マップの整備を広域的に行っていくべきと提案された。
「メリット論」では、日本の厳しい環境打破のため道州制移行は2020年代前半までに完了すべきこと、道州の区割りは地域的一体感が必要なこと、州域内の大都市経済が牽引し、州内財政調整を図ることが道州制で可能になることなどが説明された。
「医療・社会保障」については、産官学共同+地域政府による地域医療共同体の創設が必要であり、地方政府は道州制によって確立されるとの提案があった。
関西州サイバー議会「道州制講演会」報告
2012年4月
関西州サイバー議会は2012年4月7日に「道州制特別講演会」を大阪・天満橋の府立ドーンセンターで講師に林宜嗣関西学院大学教授を招き開催した。現職議員、経済人、一般市民ら30名が参加した。平岡龍人理事長が「関西圏での経済産業ネットワークの構築を求めて活動していきたい」と開会の挨拶。続いて理事の衆院議員・道州制推進議員連盟事務局長の松浪健太氏から「中央集権から決別した道州政府をつくらなければならない」と取組方向が示された。林教授は講演で「道州制は実行の段階。具体的論議が必要」と強調した。
<講演要旨>林宜嗣関西学院大学教授「地域主権と道州制 待ったなしの地域再生」
道州制はいつ実行するかという段階にあるが、制度論の域を出ていない改革論議になっている。地方が活力を失いつつある現在、「地域が主体的に自らの責任において地域づくりを進め、頑張るところが報われる環境を整備することが分権の目的。それが地域再生戦略としての地方分権改革。国が元気であれば、地方がよくなる時代ではない。都市とヒンターランド(後背地域)の活性化が国の活性になる。英国では公と民の在り方「ガバナンス」を調査研究している。公と民のパートナーシップは欧州におけるトレンド。日本ではそうはなっていない。設計図を描くのは地域に任せるのが地方分権。東京一極集中を止めないと、日本はダメになる。
「新しい公共」という考え方は古くなった。行政が介入しないと、地方の生活を維持できなくなる状況にある。英国では、国からの出先機関「地域開発局」(EDA)方式では効果がなかったため、地域主体で政策企画する方式へ転換している。
人々が最も暮らしたいところは福井や富山だが、東京に集まってくる。東京一極集中は地方に働く場所がなく、避難所になっていることを現している。北海道は札幌に集中しているが、この地域もやがては衰退する。大阪も中心部にマンションが増えているが、これはオフィス需要が減っている証拠。やがて雇用先がなくなっていく。
関西大都市圏の利点を活かすには「州」の単位で考えなければならない。貧困問題はかつては地方の問題だったが、いまや大都市の問題。西宮も豊中も中途半端な産業誘致ではなく、 住環境を整備、高度な技術者を居住させる役割を果たす工夫が必要。これには行政エリアを撤廃した大都市圏全体の問題として取り組まなければならない。
公共投資⇒成長というのは、単なる経済成長で、地域発展ではない。「発展なき成長」だ。経済開発と社会開発を同時に進めなければならない。産業誘致型ではなく、地元企業の脱皮をいかに実現するかが課題。これが内発的発展で、地域のネットワークが自律的発展につながる。この仕組みづくりには企業と行政の一体感を図る必要がある。
道州制は制度論としてではなく、地域が機能する仕組みとしての論議が大切。「何が問題か、課題はなにか」を見つめることで、あるべき政策が見えてくる。道州は経済開発を重点的に行えばよい。英グレート・マンチェスター地域では広域的パートナーシップを築くには「地域ビジョン」の共有が重要であるとしている。それにはリーダーシップが必要である。
出先機関の移管は許認可権が移管されなければならない。執行機関の移管で、政策決定機能の移管になっていない。事前評価は中央省庁が握っている。中央集権は政策実験もできない。経済特区も条件が厳しい。関西を一つとして、「道州制」の枠で考えるべき時代である。
2012年4月7日開催(高松義直)
関西州サイバー議会設立
2011年7月
当会は関西州を先取りした仮想議会の設立を提案し、各方面の協力を得て、「関西州サイバー議会」設立しました。関西州サイバー議会は、現職の議員、首長、各種団体、市民が区別なく議員として参集し、WEB上で議論を展開し、まとめ、関西州の具体像を提示します。テーマ別委員会を開催し、対面式の全体総会を年間複数回開き、専門家を招いた公聴会も行います。まず、関西州が目指すもの「関西州憲章」他を今秋予定の第1回総会で審議します。
人事
理事長 平岡龍人・本議会議長 高松義直・事務局長 小倉暁
その他の人事は、第1回理事会開催後に決定されます。
関西州が目指すもの 「関西州憲章」素案
• 「関西での暮らし=安心安全の社会」を設計する
• 人口減少社会に対応しながら、輝く関西を実現する
• 関西の都市部、郡部で偏重がない、健全財政を確立する
• 関西産業の復興と雇用拡大を推進する
• 世界をリードする環境保全、歴史文化の宝庫である関西の観光振興を推進する
• 関西市民文化の隆盛を実現し、教育、人材育成システムを構築する
• 関西発の情報創造、情報発信システムを構築する
関西州サイバー議会発起人会・設立総会
日時 7月10日( 日曜 ) 午後3時~5時
会場 大阪会館 1階E会場