8州構想 2018年3月版

日本再生8州構想

活性化への決定版シナリオ

2018年3月版

関西州ねっとわーくの会

       高松 義直            

http://kansaishu.com

転機に立つ日本

日本は転機に立っています。

人口減少社会、揺らぐ社会保障、産業空洞化、経済縮小、地域間格差、進まぬ財政再建など国民の将来不安が高まっています。これは、社会システムが現代の課題を解決できないほど劣化しているためです。

この不安を切り開く道はただ一つ、「国のかたち」を現代に対応した「現代化」の実行です。それが新しいシステム「道州制・8州構想」です。地域を活性化し、日本を再生へと導いていきます。

少子高齢化による人口減少が加速しています。2040年には1億727万人となり、今より1900万人減少、関西では300万人減少します。65歳以上が国民の36%の3800万人にもなり、生産労働人口は1895万人減少。関西圏では307万人減少します。財政難も進行、国全体で借金1200兆円を抱える状況となっています。

今こそ、レジーム・チェンジ(体制一新)。

改革なくして再生なし。新しい「国のかたち」で地域力を結集し、日本に活力を取り戻すことが急務です。

分権多極の道州制「8州構想」がその鍵です。遅くとも2020年代前半に転換を目指すべきでしょう。

<1>強い地域圏「州」の時代へ

時代遅れ 中央集権の府県制

交通通信進展、県境を越え広域化する地域経済社会圏, 山積する広域課題、東京一極集中の一方で沈滞する地方。中央集権の府県制のひずみが大きくなっています。危機管理上も東京一極集中は危うい状況です。

中央政府が全国一律・画一的に政策決定する明治以来の中央集権は制度疲労を起こしています。地域の自由な発想、活動を阻害する、すでに時代遅れの制度です。

細切れの府県体制で財政基盤も弱く、地域解決力が不足。いまも国依存体質。地方の状況は改善していません。この「衰退スパイラル」を断ち切らなければなりません。

 

 国を頼らず、国を支える

大地域圏で安定した経済社会基盤を築き、人口減・高齢化社会に備えることが日本の緊急課題です。

強い広域地域圏を創り、国を頼らず、国を支える。地域主導の地域発展へ転換の時です。

「変化なくして進歩なし」です。

国のかたちは自立分権の8州制

8州構想は単なる府県合併ではありません。

国と地方の役割分担を再編、多様性を活かし地域の自立的経済圏創りをめざすものです。

人口減少に伴う労働力不足は公務員減少に直結し、現行行政機構の抜本的見直しは必至です。経済社会の広域化にも対応させ、都道府県を地域ブロックの8地域に再編、地域課題に自主決定権を持つ自立分権国家へ向かっていくべきです。

統治機構の刷新は財政再建にもつながります。

8州広域行政府とは、

北海道 東北 関東

中部(東海・北陸・甲信越)

近畿 中国 四国 九州・沖縄

(関東・中部を4州に編成、沖縄に特別行政府を設置することも考えられます) 

道州制による財政削減効果

NPO法人地方自立研究所算定によると行政経費、補助金の重複などの整理で、都道府県分で5兆円、市町村分で9兆円の計14兆円の削減が可能としています。

自ら地域を創る「地域経営」

地域力は「自主自立」から

「自主自立」が地域力、発展の原動力です。

「自ら地域を創る」という地域の創意と工夫を活かす「地域経営」がなければ、地域再生はできません。人口増加と高度経済成長を前提にした国主導の戦後システムはすでに崩壊しました。「お上から下ろす政治」は過去のものとなりました。

広域圏の核「中枢都市」

州は都市の集合体です。

大都市は広域経営の核「中枢都市」、地域のエンジンとなります。市町村による広域都市圏と連携、地域経済を活性化していきます。

広域的、機動的に動ける州を経済単位として産業広域ネットワークをつくり、第4次産業革命推進を軸にしてイノベーションを進め、新産業への再編と雇用安定を図ることになります。地域から世界との競争を目指す動きを加速しなければ、日本は落伍していくでしょう。

「地域発展なくして国の再生なし」です。

自立へ地域がサイフを握る

地方自主財源の確立が自治の要です。

地方税収入比率は都道府県、市町村ともに歳入の

32.6%。いわゆる「3割自治」です。

交付税比率は都道府県が17.2%、

市町村では15.3%となっています。

財政配分は国30:州30:市町村40へ増額します。

税の10%は共同税として州間調整財源とします。(現在は国40:地方60)

補助金行政から脱却、地方の裁量度を高めることが大切です。

予算の陳情政治から自前財源による政治へ変わらなければ、いつまでたっても地域自立はできません。

ただ、各州間にはなお財政格差が起こる可能性があります。そのため基準的生活基盤維持のため州間の財政調整は国が行い、市町村の財政調整は州が担うことは必要でしょう。

まずは税源の地方分を増額することから始まります。

消費税、酒税の地方税化を目指します。当面、税率は国会で議決します。税金と社会保険料徴収の一本化も必要です。

<3>新しい役割分担

8州制は国の分立や連邦制ではありません。

一つの憲法のもと、皇室、議院内閣制、衆議院参議院の二院制を維持、参議院は州代表となります。国、州、市町村の3層制となり、市町村の行財政力を強化、広域行政は都道府県を再編した「州」が統括します。

国は国政の根幹を担う

国の役割は国政の根幹を担い、内政の総合的調整を行い、戦略的機能が強化されます。国は基本法を定め、州の立法機能を拡充、地域で解決できる内政課題対応は州に移管。高裁に行政審判部を設け、国と州の行政上の紛争を裁定します。

主な分野は、皇室、司法、外交、国防、通商、国家財政、通貨・金融、社会保障、教育基本計画、危機管理・テロ対策、資源・エネルギー戦略、食料安保などです。

州は地域経営の司令塔 

広域行政経済を統括するのが州行政府です。州は地域経営の司令塔。地域戦略を牽引します。都道府県の広域業務を継承、国の出先機関も移管し、必要に応じ市町村を補完、産学公民連携で自立経済圏を創っていきます。

主な分野は、広域交通網、インフラ整備、警察、防災、健康保険、労働監督・職業訓練・紹介、中等教育、技術研究開発、農林業振興などです。

大災害発生時には州が機動力を活かし迅速に対応、国が支援していきます。

州設置を機に、国公立大学は国立と州立の大学に再編、産学公民連携の拠点とし、地域発展の核にしていくことも検討されるべきでしょう。

 

市町村は住民直結行政

住民福祉の基盤は市町村です。市町村は日常生活行政全般を担い、市町村広域連携を進め、市町村の行財政力の強化を図ります。府県の仕事を財源・人材と共に市町村に一定程度移譲、地域課題の権限・財源を持つ自治体にします。

主な分野は初等義務教育、生活廃棄物、都市計画、住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、公園街路、上下水道(広域整備は州管轄)、ビザ発給などです。 

まず道州制基本法制定、制度設計へ

■道州制の歩み

道州制は約90年前から論議されています。

明治維新60年の1927年、田中義一内閣が提案した全国6区の「州庁設置」案が最初です。

1945年6月に国の広域行政機関として全国8か所に内務省管轄下の「地方総監府」されましたが、敗戦により同年11月に廃止されました。戦後は1955年に関西経済連合会が「地方制」を提案したのが最初です。その後、数々の団体から提言がありました。

2006年には地方制度調査会が「道州制答申」を出し、道州制の骨格はほぼ固まっています。

アメリカの人口上位10州

1 カリフォルニア  3696万人

2 テキサス     2478

3 ニューヨーク   1954

4 フロリダ     1853

5 ペンシルベニア  1260

6 イリノイ     1291

7 オハイオ     1154

8 ミシガン      996

9 ジョージア     982

10 ノースカロライナ  938

日本8州の姿

国立人口研究所推計・総生産は24年度

上段人口(2015年)域内総生産(兆円)

下段人口(2040年)1人当たり(万円)

北海道 536万人

419

18,1240

338.1

東北 892

686

31,2080

349.8

関東 4276

3801

188.6170

441.1

中部 2325

1962

95.7390

411.7

近畿 2070

1748

77.8040

375.8

中国 739

603

27.7020

374.8

四国 383

295

13.4790

351.9

九州沖縄 1435

1211

47.4830

330.8

◆州と各国比較     GDP

オランダ  1686万人  8800億ドル

スウェーデン 975万人  5700

デンマーク  562万人  3420

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