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2015年3月4日 奈良市街頭アンケート実施結果
◆奈良県民90%が「関西広域連合参加すべき」◆
関西州ねっとわーくの会は3月4日、「奈良県は関西広域連合に参加か、不参加か」について奈良県民を対象に街頭アンケートを近鉄奈良駅前で実施しました。赤いシールをホワイトボードに張り付ける方式で、総数100個のうち、「参加すべき」90、「不参加でいい」6、「どちらともいえない」4、という結果になりました。関西圏の一員として経済社会活動を行っている奈良県民が不参加のままでいることへの不安を表したものといえるのではないでしょうか。
奈良県は人口減少が続き、県民総生産もジリ貧状態。企業が納める地方税の法人事業税や法人住民税は全国最低、一方住民税の高さは全国10位です。そして県の借金は1兆円を超えています。
南海トラフ巨大地震への防災、広域救急医療、ドクターヘリの共同運航、関西国際観光PR など関西広域連合の動きは活発化しています。奈良県が近隣府県・政令市と共に関西の広域課題に取り組まない姿勢は、果たして正常な姿なのでしょうか。4月の統一地方選挙の知事選、県議選ではしっかりと論議して、進むべき方向を示すべきではないでしょうか。
関西州サイバー議会報告(6)2014年11月
関西州サイバー議会 政治団体として旗揚げへ
2014年11月
事務局長 小倉 暁
去る10月の総会において、関西における主導的な市民による道州制推進団体として「関西州サイバー議会」を政治団体として届けることを決しました。 具体的には、これまでの組織を改組し、新たに常設の政治局を置くことで、広報・宣伝・組織活動を強力かつ円滑に行おうとするものです。
今後はすでにまとめた関西州サイバー議会の道州制設計の第一次提言をもとに道州制実現のために、既存の法案に欠けるものを大胆に問題提起していきたいと考えています。たとえば、道州制自民党案と「地方創生」案に欠けるものは何か。端的にいえばやる気であり、たとえ実現したとしても中央主導のなることが容易に見て取れる不完全性ではないでしょうか。そこであえて対抗軸を作ることで、今後の道州制論議に活性化を図りたいと思います。
その一つは連邦制です。各地域の自立をどの程度まで図っていくのかはお伺いを立ててするものではないでしょう。中央政府が破たんしたとき自分たちはどうやって生き残っていくかを考えることだからです。中央政府の干渉を排除するくらいの自立性を獲得しようと思えば、連邦制を謳うことでなければならないでしょう。
道州制は国内政治・統治問題ゆえにあまり外交安保には関係がないように見えますが、上記の連邦制をいえば外国勢力云々の話が聞こえてきます。そこで外交安保政策は近代以降の東アジア政策の反省に立って、中央に一元化、さらに強化することが必要でしょう。その外交理念は「脱亜」で行くべきであると思います。(都市間外交は認める)いわゆるアジア主義は捨てるべきであると思います。そう決めれば見えてくるものがあります。
一方、内政の基本は、内需の活性化と格差是正・中間層の創造です。これをなすためには経済の外需寄与度・内需寄与度を詳しく見ていく必要がありますが、グローバル経済は言葉と裏腹に地域経済や内需は何かを浮き彫りにしています。外需と内需は分離できるのです。その理解の上で、「同一労働・同一賃金」を実現します。この問題については正社員の給与が低下するとか、逆に人件費が上がり、経営にマイナスであるとか、各会社の風土になじまないとかといった議論はよく聞きます。しかしこれは今後の水素社会の実現と同じく、革命的なことであり、同時に地域政府のもとでないと実現できないのです。同一労働・同一賃金と道州制はセットなのです。また同一労働・同一賃金は資本集約型産業よりは労働集約型産業に親和的です。ただし、前提条件が道州制以外にもう一つあります。それは労働集約型産業の生産性を上げるために徹底したIT化・通信化を推進することと、次世代の技術革新を誘導することです。
たとえば先ほど述べた水素社会です。燃料電池車がいよいよ登場してきました。水素はエネルギー分野で革命を起こします。炭素も核も、要は熱を発生させて電気を起こします。しかし、水素反応は熱も出しますが、直接電気を作るのです。水素には全国的なインフラが必要ですが、このインフラは産業の地域性をより強化するはずです。
また、地域医療事業体は健康・生命事業の運用の中核を担うものです。保育・教育・医療・福祉・介護の財源は、同一労働・同一賃金による雇用の確保とIT化と研修強化・労働の資格化などの施策による生産性の向上、内需の活性化と格差是正・中間層の増大による地域経済の成長によって確保していきます。地域経済の拡大がGDPの拡大になるのです。単なる外需の拡大や富裕層を中心にしたトリクルダウン政策は持続性がなく、脆弱です。(すでに経験済みである)。地域政府は各部門が自立したリベラルな政府になるでしょう。行政主導ではなく、「公的事業体」が中心になると思います。肝心なのは当事者性です。既存の産業界や労働組合の枠組みからはこうした発想は生まれにくいのです。
ここにあげた見解は小倉独自のものが多く含まれていますが、こうした意見を世に問いながら道州制の実現に近付けていきたいと考えています。
さて、政治団体となった「関西州サイバー議会」は、近いところでは①2014年衆議院選挙で、賛同者を増やしていきたい。②2015年統一地方選挙では政治団体の立場を明らかにしていきたい。③道州制設計の第一次提言を整備したうえで、発表したいと考えています。
関西州サイバー議会報告(5)2014年8月
関西州サイバー議会
◎道州制設計への第一次提言◎
道州制移行後の関西の具体像はどうあるべきか、道州制で日本の社会をどのように変えるのか――。
道州制の仮想議会である関西州サイバー議会では、2014年初から討議をすすめてきたが、第一次提言として「道州制導入推進の総括」、「道州制導入の3本の柱」、「財政問題」、「教育制度」、「エネルギー問題」、「医療・社会保障問題」、「関西州の観光」、「健康都市づくり」の8項目について骨子をまとめた。
今後も具体的な提言を行い道州制実現へ論議の輪を広げたい。
2014年8月
関西州サイバー議会理事長平岡龍人
関西州サイバー議会議長高松義直
<道州制設計への提言骨子内容>
関西州サイバー議会2014年8月
□道州制導入推進の総括
◇道州制移行は2020年代前半までに完了すべき
>>要旨<<
人口減少、少子高齢化、財政悪化、地方の疲弊、経済社会の広域化、経済グローバル化、新興国の追い上げ、東アジアの国際関係変動など日本を取り巻く環境は大きく変貌した。明治以来の中央主権の国のかたちは複雑多岐化した現代の課題に応じきれず、様々な広域課題に対しても細切れの府県体制の限界が見えてきた。
国全体の借金はGDPの2.5倍の1300兆円に迫り、財政の壁が近づいている。90年代からの混迷が依然として続き、抜本的解決先送り・一時しのぎの部分修正では対応できない事態であることは明白である。国と地方のあり方を再構築、財政健全化を進め、活力ある地域づくり、国力を再生する道州制<廃県置州>に転換すべき時に来ている。破局を回避するためにも、道州制移行は10年以内とし、2020年代前半に完了すべきと考える。
□道州制導入の3本の柱
◇道州制は人口減少社会の国のかたち
◇地域経済圏活性化への環境整備
◇国と地方の行財政改革と財政健全化
>>要旨<<
日本は人口急減社会に向っている。2014年1月の人口1億2643万人は2030年には982万人減の1億1661万人となり、2050年には1億人を割り込むと予測されている。関西2府4県では2030年には191万人減の1904万人となる。
人口減少にも持続できる地方圏をつくり、日本再生を図るのが道州制の役割である。地域が自立的に発展する枠組みを創っていかなければ国からいくら手当しても衰退からの脱出はできない。広域化した経済社会に適合した広域行政圏を形成し、行政と経済のズレを解消するとともに、地域を支える産業活性化への環境整備を進め、生産性の高い経済を創出していく。さらに中核都市を中心に広域都市連携を強化し、人口減少社会に対応できる機能を集約した体制を整えなければならない。地域の政策を地域主導で企画執行することで、国に頼らない自治行政を実現し、住民本位の社会をめざしていく。地域活性化による人口・産業の地方回帰は東京一極集中のリスク是正にもつながる。3
◇国と地方の役割見直し案
>>要旨<<
道州制は国の分立、連邦制ではない。一つの憲法、象徴天皇、議院内閣制、衆参二院制を維持し、国、広域自治体である道州、基礎自治体である市町村の三層制とする。国と地方の役割分担見直しを行い、権限・財源・人材を地方に移し、国と地方の行財政改革により効率的運営、財政健全化を図る。
国は国家の存立に関すこと、国政の根幹を担い、戦略的機能を強化する。
道州は都道府県を廃止し、現行地域ブロックを基本に10州程度に再編、一定の内政機能を担う。道州には国の地方出先機関を移管し、広域課題の政策企画決定機能を持つ地域の司令塔とし、市町村の補完も行う。
市町村は日常生活行政を担い、必要に応じて市町村間で広域連携する。
▽役割分担見直し案
国=皇室、司法、外交、国防、通商、通貨・金融、年金・社会保障、教育
基本計画・基準、エネルギー基本計画など
道州=広域防災、治山治水、警察、広域道路、大学・中等教育、産業振興、
産業廃棄物、国民健康保険、介護保険、高度医療、環境、農林水産、
労働監督、職業紹介、港湾・空港運営(管制は国)、運輸、広域観光
など
市町村=初等義務教育、都市計画、戸籍・住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、生活廃棄物、公園街路、上下水道、ビザ発給など
◇国出先機関(一部除く)の道州移管案管轄区域再編し縦割り行政排除
>>要旨<<
国の出先機関は全国に199機関、職員約20万人、予算13.4兆円
となっている。特に関東、中部、近畿地方では各機関の管轄区域が省庁別、
さらに同一省内においても統一性がなく、縦割り行政が続けられている。
総合的対策が求められる経済行政にとっては大きな障害となる。道州別に
再編し、地域政策の立案・執行権を道州に移管、地域発展の環境整備を図る。出先機関改革の第二段階では中央省庁の再編・改革を行う。
▽道州に移管すべき主な出先機関
経済産業局、整備局、運輸局、農政局、環境事務所、厚生局、労働局、
森林管理局、漁業調整事務所、管区警察局(上級幹部は警察庁人事)
▽国の機関として維持する主な地方機関
裁判所、検察庁、矯正管区、法務局、入国管理局、公安調査局
航空局、管区気象台、管区海上保安本部、防衛局、行政評価局、通信局
財務局、国税局、税関4
□財政問題
◇臨時財政対策債制度の廃止
◇法人関連税の一括管理を行い、地方交付税の配分基準に応じて地方に配分
>>要旨<<
自治とは統治と決裁権と自主・自由を保持していることはもちろんであるが、持続可能な健全性を保持した財政が必須である。現状の地方税と国税の仕組みでは、法人税が法人の東京集中に伴い法人関連の税は東京一極集中になっている。財政の健全化には歳出の無駄の排除や行政サービスの縮小を行わなければならないが、現状では扶助費をはじめ膨張をとめられないまま、社会
インフラの修理、点検などの対策が控えており、歳出の縮小は至難である。
選挙に配慮し、本気で健全化に取り組む首長、議員はいない。公務員も課題先送りである。
地方税、国税ともに税収減のために平成13年に設けられたのが臨時財政対策債(5.8兆円)であるが、国の借金の地方付け替えであり、国の借金を少なく見せかけることになっている。
地方交付税交付金の不足を地方債の増加という先送りで凌いでいる地方財政の抜本的な解決策として、臨時財政対策債の即時廃止を提案する。
◇所得税・法人税・消費税を国と地方で二分、地方調整財源に国歳入10%
>>要旨<<
道州制により各州の一人当たり税収は一定程度平均化するが、ナショナル・ミニマム保障のためには財政調整制度は必要。国の歳入の10%を調整財源に充当する。国税のうち所得税・法人税・消費税合計33.2兆円(25年度歳入)の半額を地方配分とし、2.3兆円の地方交付税交付金財源の酒税・たばこ税の全額を地方税とする。
□教育制度
◇幼稚園の義務教育化(3年)を盛り込んだ学制改革
小学校(4年)中学(4年)義務教育は計11年(中学卒業年齢15歳)
高校4年大学4年
>>要旨<<
現在、幼稚園は3年保育が常態化しつつある。3歳児までは家庭または家庭に準じる場で保育しなければ情緒の安定に欠け、健全な成長の妨げとなりやすい。小学校の4年制は意識の変革期を重要視、第二次性徴を考慮し、性差も大きく作用するため環境を変え、新しい意識を持たせ指導するため。5
◇義務教育(初等・中等)を11年間に拡大
小学6年中学5年(英11年、仏10年、米独9~10年)
高等教育5年大学(教養課程2年・専攻課程3年)大学院
>>要旨<<
年少人口(0歳~14歳)は2030年までに約480万人減の1200万人となる。教育をめぐる環境は激変する。高校までは事実上の義務教育化、中等教育の一貫制も広がっている。中学‐高校の入試をなくし、切れ目のない教育を行う。
◇大学再編国立大学86校は一部を除き州立大学に移管・再編
国立大学=旧7帝大、東京芸術大、東京海洋大、政策研究大学院大学
奈良、北陸の先端技術大学院大学
>>趣旨<<
高等教育は大学の再編統合で改革を進める。大学の地域との連携強化は地域発展に不可欠。国立大学は一部を残し、州立大学に移管・再編し、地域での人材育成、地域産業などと連携した産学研究体制を構築する。在学中に一定期間の社会実習を行う。州内居住者の州立大学進学者には授業料を免除する。
□エネルギー問題
◇革新的再生可能エネルギー開発と脱原発依存の現実的路線
◇即時脱原発ではない、戦略的に原発依存を低くしていく
◇森林間伐材を活かした木質バイオマス発電(特に農山村地域)
>>要旨<<
革新的再生可能エネルギーおよび脱原発依存のロードマップから逆算した現実的路線を歩むこと、基本方針は国、それ以外は民間及び道州が国家安全保障、省エネ、・低炭素化を旨に担うことを提言する。
再生可能エネルギーは、太陽光発電の現在の低い変換効率、風力発電や地熱発電等まで含めた建設計画から確保される発電容量の少なさから、原発の即時代替えたり得ず、太陽光発電の革新的変換効率の実現、超大規模建設計画、系統安定のための革新的蓄電及びスマートグリッド技術が待たれる。
また、「原発なし化石燃料一辺倒」は、エネルギーの供給確保を難しくし、
化石燃料の新興国需要による獲得競争及び高騰に翻弄され、バーゲニングパワーも失うことにつながる。
さらに、「原発なし化石燃料一辺倒」は低炭素社会の進展を困難にする。これらの技術的課題が解決されるまでは、Safety=安全を世界最高水準に高めた原発を利用すべきである。一方で、依存を戦略的に低くしていくことを提言する。
道州の役割は、地理的な得手不得手から最良の地域戦略を示し、民間が実施、また自立的に新規ビジネスの可能性実現する。6
関西州サイバー議会報告(4)2014年8月
関西州サイバー議会イベント報告(4)
2014.08.10
◆奈良県香芝市で分権の会「地方分権と道州制について」研修会◆
8月9日に香芝市総合福祉センターで分権の会主催「地方分権と道州制」研修会が開催されました。台風接近の中、約50名が参加。関西広域連合の中塚則男事務局長が「関西広域連合と道州制」について基調講演。広域連合は道州制に直結するものではないが、関西の広域課題に取り組み、関西全体の地盤強化・向上を目指していると説明。次にパネルディスカッションに移り、尾崎充典奈良県議会議員をコーディネーターに、パネリストの中塚事務局長、福岡憲宏香芝市議会議員、清水勉王寺町議会議員、高松義直関西州サイバー議会議長・関西州ねっとわーくの会代表が約1時間にわたり熱い討議を行いました。関西州サイバー議会の高松議長は、道州制の時代背景として人口減少、財政悪化、経済社会の広域化など大きな社会変動を挙げ、道州制は人口減少時代にも持続できる安定した社会基盤をつくり、国と地方の役割分担見直しによる行財政改革で財政再建を進め、地域の産業経済振興のため広域的、効率的な取り組みを目指すものであることを強調しました。次回は9月13日に「地域包括ケアシステムとは」について奈良県庁の林法夫地域福祉課長を講師に招き同センターで研修会が開催されます。
関西州サイバー議会報告(3)
道州制構想提案発表会報告(3)
2014年2月
(2014.2.1開催)
関西州サイバー議会は2月1日、大阪市内で「道州制構想」提案発表会を開いた、財政、教育、天皇、エネルギー、観光、道州制メリット論、医療・社会保障について約3時間、活発に意見交換がなされた。
「財政」は道州制の根幹的テーマであり、現況の厳しい財政事情を道州制移行により、いかに乗り切っていくか、いくつかの提案があった。
提案は▽国の借金が地方への付け替えとなっている財政臨時対策債(5.8兆円)の廃止 ▽法人関連税の一括管理による地方配布 ▽国税5税のうち酒・たばこ税(2.3兆円)を地方税に全額組み入れ、所得税、法人税、消費税(33.2兆円)を国と地方に2分割 ▽地方で一括徴税し、一定割合を国に上納するなどで、地域自立のための財政基盤を強化することが不可欠であるとの認識で一致した。
「教育」では、まず教師の資質改革が必要との点で一致、リーダー養成の教育カリキュラムが日本には欠落しているとの指摘もあった。学制については児童の成長に合わせて、小学校4年、中学校4年、高校4年、大学4年とし、義務教育は小中8年の提案があった。
「天皇」については国民統合の象徴であることに異論は出ず、皇位継承のため皇統を絶やさない工夫が整備されなければならないことで一致した。
「エネルギー」は原発の扱いが焦点となった。再生可能エネルギーの発電量が少ない現時点では原子力の代替にはなりえず、当面は原発の安全基準を高め、依存率引き下げをめざしつつ新エネルギー開発をするのが現実的選択であるとされた。また、「関西州」としては自立的エネルギービジネスの可能性をめざした地域戦略が必要と提案された。東アジア諸国では原発新設の動きが強まっており、日本の原発研究は不可欠であるとの意見も出た。
「観光」では、交通手段の企画統一、外国人向け案内表記、広域観光マップの整備を広域的に行っていくべきと提案された。
「メリット論」では、日本の厳しい環境打破のため道州制移行は2020年代前半までに完了すべきこと、道州の区割りは地域的一体感が必要なこと、州域内の大都市経済が牽引し、州内財政調整を図ることが道州制で可能になることなどが説明された。
「医療・社会保障」については、産官学共同+地域政府による地域医療共同体の創設が必要であり、地方政府は道州制によって確立されるとの提案があった。
関西州サイバー議会報告(2)2012年4月
関西州サイバー議会「道州制講演会」報告
2012年4月
関西州サイバー議会は2012年4月7日に「道州制特別講演会」を大阪・天満橋の府立ドーンセンターで講師に林宜嗣関西学院大学教授を招き開催した。現職議員、経済人、一般市民ら30名が参加した。平岡龍人理事長が「関西圏での経済産業ネットワークの構築を求めて活動していきたい」と開会の挨拶。続いて理事の衆院議員・道州制推進議員連盟事務局長の松浪健太氏から「中央集権から決別した道州政府をつくらなければならない」と取組方向が示された。林教授は講演で「道州制は実行の段階。具体的論議が必要」と強調した。
<講演要旨>林宜嗣関西学院大学教授「地域主権と道州制 待ったなしの地域再生」
道州制はいつ実行するかという段階にあるが、制度論の域を出ていない改革論議になっている。地方が活力を失いつつある現在、「地域が主体的に自らの責任において地域づくりを進め、頑張るところが報われる環境を整備することが分権の目的。それが地域再生戦略としての地方分権改革。国が元気であれば、地方がよくなる時代ではない。都市とヒンターランド(後背地域)の活性化が国の活性になる。英国では公と民の在り方「ガバナンス」を調査研究している。公と民のパートナーシップは欧州におけるトレンド。日本ではそうはなっていない。設計図を描くのは地域に任せるのが地方分権。東京一極集中を止めないと、日本はダメになる。
「新しい公共」という考え方は古くなった。行政が介入しないと、地方の生活を維持できなくなる状況にある。英国では、国からの出先機関「地域開発局」(EDA)方式では効果がなかったため、地域主体で政策企画する方式へ転換している。
人々が最も暮らしたいところは福井や富山だが、東京に集まってくる。東京一極集中は地方に働く場所がなく、避難所になっていることを現している。北海道は札幌に集中しているが、この地域もやがては衰退する。大阪も中心部にマンションが増えているが、これはオフィス需要が減っている証拠。やがて雇用先がなくなっていく。
関西大都市圏の利点を活かすには「州」の単位で考えなければならない。貧困問題はかつては地方の問題だったが、いまや大都市の問題。西宮も豊中も中途半端な産業誘致ではなく、 住環境を整備、高度な技術者を居住させる役割を果たす工夫が必要。これには行政エリアを撤廃した大都市圏全体の問題として取り組まなければならない。
公共投資⇒成長というのは、単なる経済成長で、地域発展ではない。「発展なき成長」だ。経済開発と社会開発を同時に進めなければならない。産業誘致型ではなく、地元企業の脱皮をいかに実現するかが課題。これが内発的発展で、地域のネットワークが自律的発展につながる。この仕組みづくりには企業と行政の一体感を図る必要がある。
道州制は制度論としてではなく、地域が機能する仕組みとしての論議が大切。「何が問題か、課題はなにか」を見つめることで、あるべき政策が見えてくる。道州は経済開発を重点的に行えばよい。英グレート・マンチェスター地域では広域的パートナーシップを築くには「地域ビジョン」の共有が重要であるとしている。それにはリーダーシップが必要である。
出先機関の移管は許認可権が移管されなければならない。執行機関の移管で、政策決定機能の移管になっていない。事前評価は中央省庁が握っている。中央集権は政策実験もできない。経済特区も条件が厳しい。関西を一つとして、「道州制」の枠で考えるべき時代である。
2012年4月7日開催(高松義直)
関西州サイバー議会報告(1)2011年7月
関西州サイバー議会設立
2011年7月
当会は関西州を先取りした仮想議会の設立を提案し、各方面の協力を得て、「関西州サイバー議会」設立しました。関西州サイバー議会は、現職の議員、首長、各種団体、市民が区別なく議員として参集し、WEB上で議論を展開し、まとめ、関西州の具体像を提示します。テーマ別委員会を開催し、対面式の全体総会を年間複数回開き、専門家を招いた公聴会も行います。まず、関西州が目指すもの「関西州憲章」他を今秋予定の第1回総会で審議します。
人事
理事長 平岡龍人・本議会議長 高松義直・事務局長 小倉暁
その他の人事は、第1回理事会開催後に決定されます。
関西州が目指すもの 「関西州憲章」素案
• 「関西での暮らし=安心安全の社会」を設計する
• 人口減少社会に対応しながら、輝く関西を実現する
• 関西の都市部、郡部で偏重がない、健全財政を確立する
• 関西産業の復興と雇用拡大を推進する
• 世界をリードする環境保全、歴史文化の宝庫である関西の観光振興を推進する
• 関西市民文化の隆盛を実現し、教育、人材育成システムを構築する
• 関西発の情報創造、情報発信システムを構築する
関西州サイバー議会発起人会・設立総会
日時 7月10日( 日曜 ) 午後3時~5時
会場 大阪会館 1階E会場
第8回カフェ塾レポート
第八回Cafe塾 奈良塾
分権時代を考える・講演と議員トーク
『議員から見た分権 明日の自治体』
■基調講演 「分権・道州制と市町村」 市川喜崇 同志社大学法学部教授
■市川教授と議員のトーク 「議員から見た分権ー明日の自治体」
講師:同志社大学法学部 市川喜崇(よしたか) 教授
日時:平成22年8月21日(土)午後3時00分~6時00分
場所:奈良県経済倶楽部 5F大会議室
□基調講演 3:00~4:10 市川喜崇法 教授
□議員トーク 4:20~5:30 浅川清仁奈良県議・天野秀治奈良市議・塩見牧子生駒市議
□質問タイム 5:30~6:00
<講師プロフィール>
松本市出身。1987年早稲田大学経済学部卒。福島大学助教授を経て2000年に同志社大学助教授、2004年に教授。専門分野は行政学・地方自治。研究テーマは、日本の中央ー地方関係、地方分権改革、道州制。
第8回カフェ塾 奈良サマースクール 報告
今回は奈良道州制塾サマースクールとして、「分権時代を考える 講演と議員トーク」を企画、市民約30人が参加した。
まず同志社大学法学部の市川喜祟教授が「分権・道州制と自治体について」と題して基調講演。道州制の意図する広域行政は府県連携、府県連合でかなりのことが可能なのではないか、道州の規模が自治体としての枠を超える中級国家並みとなり運営が難しいのではないかとの見方を示した。
続いて市川教授も加わり、浅川清仁奈良県議、天野秀治奈良市議、塩見牧子生駒市議による議員トーク。議員から見た分権時代についてシンポジウム形式で語り合った。議員からはそれぞれの自治体の課題についての説明の後、道州制について浅川県議からは「閉塞感打破のため国のかたちを変革するとき。地方でフットワーク軽く自由にできる体制が重要」と積極的意見が出された。天野市議、塩見市議からは分権の必要性、重要性を評価する一方、道州制については、まず広域連携を推進すべきではないか、移行プロセスが不明で奈良県内の町村が置き去りにされるのではないか、との慎重論も出された。 道州制について積極論と慎重論の両論が示された形になったが、道州制実現への視点と課題を考える上では、争点が浮かび上がったシンポジウムとなった。 なお、この会合は8月26日付読売新聞奈良版に掲載された。
読売新聞奈良版 (H22.8.26記事全文)
道州制シンポ 県議らが意見ー 奈良
市民団体「関西州ねっとわーくの会」(高松義直代表)は、道州制の長所と短所について考えるシンポジウムを奈良市の経済倶楽部経済会館で開いた。 市民ら約30人が参加。浅川清仁県議は「国の閉塞感を乗り越えるためにも日本の形を変えることが重要」と主張。「インパクトが大きい道州制より、まずは広域連合を」(天野秀治・奈良市議)、「州内の格差が広がるのでは」(塩見牧子・生駒市議)といった意見も上がった。 シンポジウムに先立ち、同志社大の市川喜祟教授(地方自治)が「分権・道州制と自治体について」と題して基調講演。市川教授は「道州制が実施されると、欧州の中規模国家並みになる。奈良県のように人口1万人未満の市町村が4割を超える自治体でうまくやっていけるのか」と疑問を投げかけ、慎重な姿勢を示した。
第7回カフェ塾
第七回Cafe塾
テ ー マ :国家統治のあり方 -これからの日本制度設計のために-
講師:岩波薫 法学博士 (大阪大学)・フィロソフィア経営法務研究会代表
日時:平成22年7月10日(土)午後4時30分~6時30分
場所:カフェバー 楽
今回は、一元代表制、二元代表制、政治主導、政党と内閣、あるいは政党と官僚の関係など、国家統治の問題は基本的なテーマでありながら、あまり整理されない形で報じられている問題について米英日を比較する形で講義をして頂きました。講義の後、質問に答えるという形で参加者の方々とディスカッションを通し、官僚統治、国民の信任、情報コントロールとマスコミュニケーションなど、更に問題に切り込みました。国家統治のあり方という 膨大なテーマをを短時間で行う強行軍でしたが、今後の制度設計に関する論議からやはりテーマは「道州制」へ。今回も大いに盛り上がった勉強会でした。
6回カフェ塾
第六回Cafe塾 奈良塾
「道州制で何が変わるか 〜関西経済から道州制を見る」
講師:高松義直 (関西州ねっとわーくの会代表)
日時:平成22年5月29日(土)午後3時15分~6時00分
場所:奈良県経済倶楽部 5F小会議室
■関西州ねっとわーくの会からの報告
▽関西州ねっとわーくの会道州制カフェ塾 奈良塾開講のあいさつ
▽参院選 関西の候補者に道州制アンケートを行います
▽道州制フォーラム・「関西州議会」企画の中間報告
年内開催目指す 市民が議員、関西の課題を討議
■高松義直 道州制リポート
道州制で何が変わるか~関西経済から道州制を見る
―塩沢由典大阪市大名誉教授著「関西経済論」から
中央集権制から道州制に転換すると様々な効用があるが、導入すれば全て解決するものではない。関西が自ら議題を設定し、関西の諸問題に取り組むには、頭脳機能と神経機能が 働かねばならない。関西は世界の大都市圏としては4位の経済規模を持つ、有望地域だが、その利点を生かし切れていない。京阪神・関西の総合力を生かすには何が必要なのか。次代の産業構造を予測すれば、「ものづくり」から「創造産業」に移行せざるを得ない。その条件は何か。関西経済の発展・成長にとって道州制がどういう役割を果たすことができるのか、が本日のテーマです。
- 道州制で何が変わるか
- 関西の頭脳機能と神経機能
- 1日交流圏・関西の可能性
- 関西活性のカギ
■フリートーク
かきの補足、最後にフリートークを行いました。また、地域主権型道州制国民協議会との事情・関係説明を行いました。
<補足>
▼全国一律の失敗例・リゾート法<中央集権から道州制へ>
リゾート法は正式名「総合保養地域整備法」。1987年制定。全国41道府県42地域で基本構想が策定された。「ゆとりある国民生活の実現」と「地域振興」という目的が掲げられたが、真の狙いは内需拡大。第一陣の宮崎シーガイヤ、長崎ハウステンボスが会社更生法申請。2003年までに民間施設の整備進捗率が17%、採算の合わないゴルフ場やリゾート・ホテルが1000施設以上も残された。リゾート法の失敗は多面的であり、道州制の下でなら、すべての負の側面が防げたとは言えない。しかし、各州ごとに開始時期がずれ、先行じた州の失敗を見て開発に慎重になったところも半数近くはあったであろう。各道州が開発重点地域を選んだとすれば、共倒れはかなりの程度避けられたに違いない。
▼大阪府と大阪市の合併論<府県では狭い>
大阪府と大阪市については、しばしば、二重行政の故をもって、合併すべきだという議論がでる。しかし、それは基礎自治体と広域政府との役割の違いを混同したものである。二重行政は解消したらよいが、府市合併はあってはならない。もっとも、基礎自治体の機能強化のために、市を解体して、現在の区を基礎とし、首長と議会を持つ自治体(東京特別区に相当)を創設するというなら、話は別。
▼失敗した映像産業育成<21世紀の産業構造>
映像産業育成は、USJの解説前に唱えられていた。当時の市長、港湾局長、経済局長など、だれも言っていた。USJは解説されてから、周辺に映画産業と言えるものは1つの事業所もない。コンテンツ産業育成のい難しさ。東京では課題に気づくところから、正規の政策となるまでに数年をかけて対策を検討している。その後追いでは、勝てない。東京が興味を持たないニッチな領域に特化しなければ、コンテンツ産業は育たない。
第5回カフェ塾
テ ー マ
– 関西州議会はいかにして実現できるか II –
講師:小倉塾長
日時:平成22年5月15日(土)午後4時30分~6時30分
場所:カフェ「楽」
5月15日(土)第5回カフェ塾を行いました。今回も前回に引き続いて、「関西州サイバー議会の可能性」について話し合いました。以下はその報告です。
「現下の政治状況をどう見るか」
- 自民党、民主党の旧来の大政党(供給サイド)が依拠した後援会組織が民意の吸い上げ機能として劣化しているため、いわゆる無党派層が増えた。
- 小選挙区制の下で、二大政党が覇を競う構図は、対立軸がはっきりしている場合は機能するが、グローバル化と国民国家の行政国家現象の進展が進む中で無党派層が主流化すれば、そのボリュームゾーンの票を獲得するために対立する二大政党の政策は接近する。それにより、政党がよって立つべき結党の理念が見失われ、本来の支持者と無党派層の双方の支持を失い、政治不信を招く。
- 政党助成金の問題。支持母体がしっかりしていれば、そこが票と同時に活動資金を供給する。政党助成金が制度化されたのは、政治資金の流れが不透明で不正であるということがあったからであるが、本質的には、支持母体の劣化により、政党に資金が集まらなくなってきたからである。この問題は、政党が国費で運営されるほど公共性を持っているのか、「公の支配」=国費という側面とともに、結社の自由=良心の自由が国家の資金で保障されることが、政治に新風を送ることを阻害することにならないか、という問題がある。無党派=中心部分が主体的に政治資金を供給する体制が作れるのかが課題である。
- 政党は本来、政治的問題解決するために結集したものである。道具である。決して多数派をとることが目的でない。政治的問題が解決できないから、多数派をとることが目的になる。本来の課題を解決するためには現状の政治プロセスでは問題は解決できないという認識が重要である。
- この春、新党が続々誕生した。政策に違いを探すのは難しい。何が不満で新党ができるのか。新党をつくることで安定多数をとれる大政党がなくなるが、その安定多数をとるための野合に近い大政党の結集の仕方が不満としか思えない。しかし、理念先行させると小選挙区制の下では中心部分を取り込むことができない。結果どこも多数をとることができずに「連立」という野合に戻ることになるのではないか。ただ、連立することで政治的問題を解決することができるのかということが次に問題になる。政治的問題がどこにあるかがある程度共有化されているから政策が近接化する。しかし、民主党の政策に代表されるように一向にその政治的問題は解決しない。とすれば、そこに「政治的課題・問題」があるのではないのだろう。いま重要なのは、表面的な問題ではなく、たとえば少子高齢化が問題なのではなく、その対策を決定し、実行できない構造に問題があり、その構造に政党そのものが深く関与しているという自覚のなさが問題なのである。
- これは決して政党不要論ではない。政党に民意を吸い上げる仕組みの再興と世論を説得する見識を期待するのである。
「関西州サイバー議会を考える視点」
なぜ「関西州サイバー議会」を企画するのか。
- 橋下知事の「大阪維新の会」が人口30万の基礎自治体=特別区を大阪府内に20区つくることで、府市再編を図ろうとしている。この特別区には公選の首長と区議会が設置される。これはこれまでの権力関係の変更である。基礎自治体議会~大阪都議会~大阪都の廃止~関西州議会という一連の議会設定は行政の監視システムにとどまらず、責任主体として機能させなければならない。
- 民主主義の再興が道州制導入の大きな目的なら、基礎自治体議会~関西州議会の位置づけとその活性化は重要である。
- 直接性を重視した権力基盤をつくるために、たとえばⅰ100戸程度の自治会長を選挙で選ぶ。(300~400名で一人)ⅱ自治会長がコア自治体(3万~4万人)の合議機関(100名)を組織する(日当制)。ⅲコア自治体の合議機関から数名の代表を送り、基礎自治体(30万~40万人)の議会(30~40名)のオンブズマン委員会を形成し、基礎自治体の首長と議会を監視する。ⅳコア自治体の公務員と準公務員を採用する。執行組織を合議機関の下部に置く。コア自治体の首長を合議機関から選ぶ(報酬制)。任期2年多選可。ⅴ基礎自治体の首長と議会を公選する。解散・解職請求権を確保する。行政組織を整備する。基礎自治体はコア自治体の調整機関であると同時にコア自治体を指導監督する。ⅵ道州の議会・行政・首長・司法組織を整備する。
- 上記の「現下の政治状況」のところで述べたことを繰り返すが、たとえば少子高齢化が問題なのではなく、その対策を決定し、実行できない構造に問題があり、その構造に政党そのものが深く関与しているという自覚のなさが問題なのである。だから、権力基盤の移行が重要なのである。それを制度変更を待って行うのではなく、5年~10年後には導入しないと間に合わない道州制実施の前に道州制理念を内実のあるものにするために行うのである。
- また、現在様々な政治家連盟や新党母体ができているが、それらが果たして「民意を吸収する組織」となるかがポイントである。政治家のため、特定政党の選挙のためということになれば、道州制運動にとってマイナスであろう。
- そこで、「関西州サイバー議会」を立ち上げようということになるのだが、目的は三つある。第一は、道州制理念を実質化し、民主主義を再興する。 第二に政治家のため、特定政党の選挙のためということにならないように、民意をすくい上げ、議論の場を提供する。第三に研修ではなく、政策を決定し、提言する機関をつくる、ということである。
- 議会開催はサイバー議会であっても実際の集会が中心である。議会の構成は、市民議員、専門家議員、政治家議員等で構成される。だれでも参加できる。参加した段階で議員になる。議題は最初は議会事務局が準備するが、2回目からは議会で選ばれた執行部が提案する。議事進行はその都度選ばれた議長が取り仕切る。専門分野については公聴会を開く。議論後、議会提案をまとめる。関西州で何を実現しなければならないかが、これで明瞭になるだろう。第6回カフェ塾は奈良で5月29日に「関西経済論からみた道州制」と題して行います。今後、カフェ塾で学びながら、その知識が生かされる場として、「関西州サイバー議会」が実現されればいいと願っています。だれでも参加できますので、共に道州制の実現まで頑張りましょう。
第4回カフェ塾レポート
テ ー マ
– 関西州議会はいかにして実現できるか I –
講師:小倉塾長
日時:平成22年4月10日(土)午後4時30分~6時30分
場所:カフェ「楽」
さる4月10日(土)に第4回カフェ塾および「関西州ねっとわーくの会」の例会を行いました。今回は年度初めということで様々な政治的な動きが周辺で起きている中での開催となりました。橋下知事の府市統合~関西州実現構想の一環としての「大阪維新の会」の発足、国政レベルでの民主党の体たらく、各種新党の立ち上げ、さらに私たちの近いところでは「地域主権型道州制国民協議会」が東北に続いて、関西で政治家連盟を立ち上げるということまで聞こえてきています。 そこで今回の報告では、こうした背景がある中で道州制実現運動はどうあるべきか~仮想関西州議会は実現可能かを少し考えてみたいと思います。
- 国政レベルでの新党・ミニ政党の乱立は二大政党制と選挙時の所属政党の違いから民意を反映したものではないという意見について
◆国会議員を選ぶことと政党に所属することは本来別次元なので、所属政党の変更はありうる。
◆小選挙区制において国民が国会議員を選ぶより政党を選ばされることの矛盾が議会レベルで「多様性」として現れた。
◆大規模政党が求められるゆえんは、国会における「多数派」による権力行使を憲法が保障しているからである。この憲法は「法の支配」による近代民主主義を国家形成の基本原則にしている。
◆近代国家は権力の分立と相互制限、身分選挙から普通選挙に変換したことで成立しているが、現代は選挙人名簿を離れた非正規で被操作的な「大衆世論」が、投票率の低下により選ばれた正当な議会権力を制限している。
◆現代の民主主義にはマスメディア・ネットの介在が不可欠となっている。そのため身近な課題を解決すべき地方議員より防衛問題を論じる国会議員のほうが露出が多い分近しい存在と感じ、地方議員のほうが一部のサークル・利権集団が町内にあっても空疎な存在となっている。
◆民主主義に代わる制度が今のところない以上、いい民主制にしなければならない。民主主義の政治的意思決定は最終的には51:49の多数決である。言論による疑似戦争のごとき議会における深刻な論争を通じて、参加者が最終意思決定をすることが国民の利益にかなうと合意したときに多数で決する方法である。結果については過程における深刻な対立を乗り越えることがすでに含意されている。だから少数意見は尊重されなければならない。だから否決された側も結果を受け入れなければならない。ここには自らの権力についての信頼と誇りが個人の独立の自負心とともに共有化されている。この先「関西州議会」が実現されるときには、せめて日本近代化の過程で積み残されたと思われている「民主・独立」が具現化されることを願わずにはおられない。しかし、ある日突然民主主義の再興をはかる関西州議会ができるわけではない。ましてや誰かが作ってくれるわけではない。今から多様性を担保しながら、面倒な民主主義の過程に習熟しておく必要がある。
- 「地域主権型道州制国民協議会」関西支部長会議と政治家連盟
◆さる4月3日に江口克彦会長・村橋理事長主導下の「地域主権型道州制国民協議会」の関西支部長会議が京都で行われました。「関西州ねっとわーくの会」所属の会員・幹事は江口会長の「地域主権型道州制」の理念に賛同し設立当初から参加しています。よって形式的には「関西州ねっとわーくの会」は、国民協議会奈良県支部長と大阪中央区支部長、および当該支部所属会員、別支部所属会員、支部に所属しない国民協議会会員で構成されています。これは「関西州ねっとわーくの会」の活動に伴う参加時期の違いや参加方法の違いでこうした構成になっていますが、これはあくまでも形式的なことです。実質は「関西州ねっとわーくの会」主催の江口会長講演会、同志社大学とのコラボレーション・京都市長講演会、毎月のカフェ塾、今後の「仮想関西州議会」の自主的運営といった活動が中心になります。◆こうした活動は国民協議会の支持指令で行ってきたわけではありません。理解としては、地域の道州制実現活動があり、その結合体として国民協議会本部(東京)が出来上がり、中央政界に対しても実現に向けた影響力を持とうということだと思っていました。ところが、その前提として地域の活動は極めて脆弱であり、その力を結集して中央をつくる力はありませんでした。そこで逆転して中央指令で地域支部をつくり、地方の政治連盟・経済連盟をつくろうということになるようですが、そもそも中央に結集軸と質があるわけではないので、上意下達はなじみません。政治連盟等をつくっても、結局は脆弱な地域組織の問題は解決せず、選挙組織に衣替えすることが精いっぱいのことになります。そうした観点から「関西のことは関西で」ということで活動を重ねてきた「関西州ねっとわーくの会」が関西支部長会議で反論の機会もなく批判され、今後の独自活動に国民協議会の許可がいるとなれば、何のための地域主権か、無理解を超えて、別の意図さえ感じさせられます。私たちは政党色のない市民でしかないのです。
◆そこでこのたび、江口会長の地域主権型道州制実現にはこれからも賛意を表しつつ協力していこうと思いますが、村橋理事長主導下の国民協議会とは一線を画すべく、「関西州ねっとわーくの会」会員・幹事は国民協議会から脱会することにしました。理由はいくつかありますが、現状のままでは協力関係にある国民協議会の各関西支部に中央の許可なく企画の呼び掛けさえ自由にできないことや、独自活動の批判に対してこのまま黙過することはその批判を認めたことになり、運動に悪影響と判断したためです。
◆運動の方向そのものはこれからも変わりません。今後も多くの人や団体とかかわりを持ちたいと思っています。国民協議会とも協力できることはしていこうと考えています。本来の意味で「協議」ができる会になってほしいと願っています。
第3回カフェ塾レポート
テ ー マ
関西経済と道州制
– 関西経済は道州制によってどう変わるか –
講師:小倉塾長
日時:平成22年3月20日(土)午後4時30分~6時30分
場所:カフェ「楽」
3月20日(土)に第3回カフェ塾を開きました。
今回は「関西経済は道州制導入によってどう変わるか」をテーマに勉強会形式で行いました。参加者には事前に資料を送らせていただき、一部の概説を省いたにもかかわらず、時間が足らずに、「宿題」まで出す始末となりました。 もとより、このテーマは道州制導入の中心テーマであるため今後も繰り返し論議を深めていかなければならないものです。ただ残念なのは、ご存じのように道州制導入に賛成の関西財界からのものでさえ、正面からこのテーマを扱ったレポートを見たことがありません。出てますよ、と言われても他人事のような「規制緩和」待望と構想の整合性をあまり感じない「特区」構想、一般的な地方分権による仕事の割り振りプランでは、そもそも道州制を導入する意味すら見出せません。そこで、今回はいささか身の丈を超えるものとなりましたが、道州制を導入することで関西経済は変わりうるのかということをいくつかの視点から議論しました。
まず、<準備>として、現在の経済情勢をどう見るかということで「週刊ダイヤモンド」の昨年の特集「大不況の経済学」から経済学者の見方(統一的ではないが、伝統的ケインジアンの旗色は悪い)についての簡単なレヴューを行い、ついで歴史的な観点から水野和夫氏の「デフレの100年」・野口悠紀雄氏の意見を紹介しました。曰く、デフレは続く、資本分配率を引き上げる国民経済に変わる新たな富の蓄積方式を探る歴史的な転換期にある、バブルはまた起こる、現在日本国内には有望な投資先は少ない、溜まった資本は行き先を決めあぐねている、新興国の成長により先進国の市場占有率は低下する、等々。これらの全体観を基にして関西活性化研究会の「自立する関西」を一部紹介しながら、今回のテーマ「関西経済は道州制導入によってどう変わるか」に話を進めていきました。
ここからはさらに答えのない領域なのでレジュメに沿って、司会者が問題を提示し、みんなで討論する形式にしました。
- 広域圏の設定によってもたらされるものは何か」⇒「国内単一の標準化の効率性を広域圏設定の効率性が上回れるか」。 多くが行政効率と規制緩和に論点が収れんしがちですが、経営や資本で、地域でやっているものは、すでに地域でやっているわけで、改めて道州制を導入しなければならない理由にはならない。おそらくある種の公的企業、たとえば電力会社のようなものでない限り、地域による分割にはなじまない。 さらに、資料として用意した「平成20年近畿財務局の地域経済に対するレポート」には、大阪湾が薄型テレビや太陽電池の世界的集積地になりつつあることと、中小企業の産官学の取り組みとして、人工衛星「まいど1号」の紹介がありました。また地域連携の例として、兵庫と大阪のバイオメディカル事業を取り上げています。しかし、かつて高い世界シェアを誇っていた技術分野ですが、今や韓国・中国・ドイツなどに急追され、すでに水をあけられている技術分野でもある。さらに近畿財務局だからでしょうが、事実これらは道州制とは関係なく実施できるものです。道州制を導入すれば、活発な競争が巻き起こり規制緩和によって、新しい産業が生まれるのでしょうか。
- この問題を考えるヒントとして、次に「フィンランドモデル」の検討を行いました。人口規模的には関西のほうがずっと大きいですが、関西を「ミニ国家」とした場合には、フィンランドの政策は示唆に富むものです。ポイントは以下のようになります。
1.「改革なくして成長なし」の危機意識の共有
2.福祉国家の改革を通じた「成長なくして分配なし」を
宣言できる信頼できる政府
3.民間部門の拡大による「小さいが開かれたフィンランド経済」と、
その方向にあるハイテク分野を中心にした特化型専門経済
4.産官学の強力なタッグ。貿易産業省等の中心官庁のリーダーシップ
5.民間を中心にした研究開発投資と公的ベンチャーキャピタルの充実
6.民間企業によるノキア型クラスター形成の認識(東大阪型ではない)
7.人材育成のための教育制度の充実
- この官民一体の生き残りをかけた経済産業政策を実施するために、基礎自治体から州政府にいたる統治機構において「民主主義の再興」が必要となります。「市民主体による潜在力の解放」と「権力の監視」・「財源規模の確保」が実現できる新しい権力基盤をつくる必要があるという帰結が考えられます。
- これは「広域化経済」~道州制の導入の大きな目的であり、日本経済復興の一つのシナリオとなるのではないでしょうか。
最後に、全体の課題として「道州制導入によるSWOT」分析をしてみようということで、強み・弱み・機会・脅威に分けて経済のみならず道州制を導入すればどうなるのかを考えてみることを参加者の「宿題」にしました。今回参加されなかった方でも別掲の資料等を参考に一度考えてみてください。ご意見をお待ちしています。
第2回カフェ塾レポート
テ ー マ
1. 地域主権国民協議会関西各支部の取り組みと今後の活動方向
2. 地方選挙の実際について ‥ほか
パネラー:地域主権型道州制国民協議会関西支部長の方々 (高松 奈良県支部長・口野 南河内支部・小林 大阪淀川支部長・小倉 大阪中央区支部長)・大阪府議会議員秘書 三藤氏
ゲスト:地方分権政策に携わる官僚の方
日時:平成22年2月20日(土)午後4時30分~6時30分
場所:カフェ「楽」
沈滞した我が国の政治経済社会を何とかしたいという熱い思いが地方から沸き起こりつつあります。その時にテーマとなるのが道州制です。
そこで今回は地域主権型道州制の全国組織をいち早く立ち上げ、各地域での支部設立が相次いでいる「地域主権型道州制国民協議会」(江口克彦会長)の関西地域での各支部長の方々に集まっていただき、活動の現状とその展望を語っていただきました。
また、来年は統一地方選挙がおこなわれます。そこに向け若手の候補予定者の方にも来ていただき、きびしい地方選挙の実態と地道な活動を続けてこられているお話を伺いました。さらに、ゲストとして地方分権の業務に公務として携わっている方にも討論に参加いただき、お話を伺いました。
今回は関西州ねっとわーくの会メンバーやゲストを含めて14名の参加を得て、約2時間の座談会を行いました。急な告知にもかかわらず、ご参加賜りありがとうございました。
第1回カフェ塾レポート
~講義内容~
「地域主権型の国のかたち」各地域での
“競争・成長”と”福祉向上”を両輪に
日本の輝きを取り戻そう!
◆ 役割分担
国 …現金給付による生存権確保や産業・雇用の基本ルール作り(最低限の基準+規制緩和)
広域地方政府 …競争を通じた成長によるパイの拡大
基礎地方政府 …セーフティーネットの充実(給付から積極的雇用政策へ)
*道州・基礎自治体の能力向上が必要。まずは関西などで先行モデルを実施。
◆国のかたちの各国比較 (4類型モデルイメージ)
1. 集権・分離型 …国がほぼ完結的に事務処理
2.分権・分離型 …一定領域国から独立して地方の責任で事務処理(個別事務を明確に授権)
アメリカ・イギリス 競争力 中~高
3.集権・融合型 …国に権限・財源を留保。執行は地方
ドイツ・日本 競争力 低い
4.分権・融合型 …国が大きな目標、指針を設定。
地方に実際の事務の企画、実施、 評価の裁量
スウェーデン 競争力 高い
「地域主権」確立のための改革試案~「地方政府基本法」の制定に向けて~
平成22年1月 大阪府知事 橋下 徹 (地域主権戦略会議構成員)
<目次>
はじめに~「地方政府基本法」制定にあたって
地方自治法の改正にとどまることなく、理念と全体像を明確に掲げ、自治体に関するあらゆる法律を対象にして、“国、地方のかたち”を根本から作り直す立法とするべき
「自立的な地域経営」を実現する「地方政府」像の提案
「地方政府」の役割
1基礎と広域
「地方政府」の存立基盤
2税財政自主権
3自主立法権
「地方政府」のガバナンス・マネジメント
4議会内閣制
5教育委員会制度改革
6監査制度改革
7公会計制度改革
8法的経営責任
9公務員制度改革
<地方行財政検討会議検討項目>
総則
○地方自治の理念の再構築
1.自治体の基本構造の在り方
○二元代表制を前提とした自治体の基本構造の多様化
○二元代表制以外の仕組みの検討
○基礎自治体の区分の見直し
○大都市制度の在り方 など
2.住民参加の在り方
○議会の在り方
○一般的な住民投票制度の在り方
○長の多選制限 その他の選挙制度の見直し など
3.財務会計・財政運営の見直し
○不適正経理事件等を踏まえた監査制度等の抜本的な見直し
○財務会計制度の見直し
○地方債・交付税の見直し
4.自治体の自由度の拡大(規制緩和)
○執行機関
○議会の組織・機能 など
講演後の主な質問
「議員が行政要職につけるように地方自治法を改正するとの記事が1/11の日経朝刊に出ていましたが、どのような変化が出てくるでしょうか?」
「関西州の運営主体は関西広域連合になるのでしょうか?」
「道州制に移行した場合、大阪市や堺市は分裂することになると思うが、反発することはないか?」
「京都府や兵庫県との折り合いは?大阪府にリーダーシップをとってほしいが、まとまるのか?」
「関西州の統一的な政策は何か?」
「広域連合はいつできるのか?」
「地方分権による地域格差を埋めるための交付税を「調整交付税」と名前を変え、規模を小さくするものが議論されています。東北や四国などを特区にすることで善政競争を促す流れからすると、「調整交付税」の役割と矛盾しますが、ご意見をお聞かせください。」
「例に挙げている国はアメリカ以外は社民主義である。その辺のことで、知事や財界の考えと対立するように思う。法人税を下げて、果たしてその分、企業が来るのか。むしろグローバル下の法人税値下げ合戦に国際的歯止めをかけるべきではないか。」
「道州制、地域主権についての啓もう活動はどのように行われていますか。また計画等はありますか。」
「関西広域連合の一番の狙いは何か?関西州のモデルをつくりたいのか、それとも広域で実施したほうが効率のいいものをまとめるためなのか?」
「新たな成長戦略とは何か?」
「関西州とした場合、もしくは大阪特別州とした場合の他州に比べた強みをどう考えるか?」
「医療制度の展望はどのようなものか。医療制度も分権するのか?」
「自発的に成長できる経済圏の条件で“種”を蒔くという話がありましたが、“種”がもともとない、もしくは“種”を植えることもできないような地域もあるかと思います。こういった地域については調整機能に頼らざるを得ないのでしょうか?
「行政マンということでトップダウンの議論が主でしたが、当会も民間ということで、ボトムアップで民間から道州制に向けた動きに対してどのような貢献ができるとお考えでしょうか?」
「大阪府の道州制案に対する各首長の反対意見中、最も多いものは何ですか?」
「制度面の改革と並行して、大阪に住む人々が誇りに思えるような印象向上や、大阪以外に住む人々に大阪の事実をよく知ってもらう情報発信の仕組みも変更していく必要があると思いますが、このような人の気持ちに働きかける取り組みについてどのように考えられていますか?」
以上、参加者からの質問票を原文のまま順不同で並べましたが、今回ご参加された方々の意識の高さと、現在の関心がどのあたりにあるのかを知ることができたと思います。今後のカフェ塾のテーマ設定の参考にさせていただきます。
最後に
最後に山地企画室長からは丁寧な応答をいただきました。ありがとうございます。その際「地域主権」を現実のものとしていくためには、市民・住民が主人公であるという自覚と大きな世論の後押しが必要であるという指摘がありました。「地域主権」の中身はこれから様々に議論されていくと思いますが、その中身をつくるのは我々自身であるというところを忘れずに今後も活動を進めていきたいと思っています。
ともに頑張りましょう。