カフェ塾(6)2010年5月

6回カフェ塾

第六回Cafe塾 奈良塾

「道州制で何が変わるか 〜関西経済から道州制を見る」

 

講師:高松義直  (関西州ねっとわーくの会代表)

日時:平成22年5月29日(土)午後3時15分~6時00分

場所:奈良県経済倶楽部 5F小会議室

■関西州ねっとわーくの会からの報告

▽関西州ねっとわーくの会道州制カフェ塾 奈良塾開講のあいさつ
▽参院選 関西の候補者に道州制アンケートを行います
▽道州制フォーラム・「関西州議会」企画の中間報告
年内開催目指す 市民が議員、関西の課題を討議

■高松義直 道州制リポート
道州制で何が変わるか~関西経済から道州制を見る
―塩沢由典大阪市大名誉教授著「関西経済論」から

中央集権制から道州制に転換すると様々な効用があるが、導入すれば全て解決するものではない。関西が自ら議題を設定し、関西の諸問題に取り組むには、頭脳機能と神経機能が 働かねばならない。関西は世界の大都市圏としては4位の経済規模を持つ、有望地域だが、その利点を生かし切れていない。京阪神・関西の総合力を生かすには何が必要なのか。次代の産業構造を予測すれば、「ものづくり」から「創造産業」に移行せざるを得ない。その条件は何か。関西経済の発展・成長にとって道州制がどういう役割を果たすことができるのか、が本日のテーマです。

  1. 道州制で何が変わるか
  2. 関西の頭脳機能と神経機能
  3. 1日交流圏・関西の可能性
  4. 関西活性のカギ

 

■フリートーク

かきの補足、最後にフリートークを行いました。また、地域主権型道州制国民協議会との事情・関係説明を行いました。

<補足>

▼全国一律の失敗例・リゾート法<中央集権から道州制へ>
リゾート法は正式名「総合保養地域整備法」。1987年制定。全国41道府県42地域で基本構想が策定された。「ゆとりある国民生活の実現」と「地域振興」という目的が掲げられたが、真の狙いは内需拡大。第一陣の宮崎シーガイヤ、長崎ハウステンボスが会社更生法申請。2003年までに民間施設の整備進捗率が17%、採算の合わないゴルフ場やリゾート・ホテルが1000施設以上も残された。リゾート法の失敗は多面的であり、道州制の下でなら、すべての負の側面が防げたとは言えない。しかし、各州ごとに開始時期がずれ、先行じた州の失敗を見て開発に慎重になったところも半数近くはあったであろう。各道州が開発重点地域を選んだとすれば、共倒れはかなりの程度避けられたに違いない。
▼大阪府と大阪市の合併論<府県では狭い>
大阪府と大阪市については、しばしば、二重行政の故をもって、合併すべきだという議論がでる。しかし、それは基礎自治体と広域政府との役割の違いを混同したものである。二重行政は解消したらよいが、府市合併はあってはならない。もっとも、基礎自治体の機能強化のために、市を解体して、現在の区を基礎とし、首長と議会を持つ自治体(東京特別区に相当)を創設するというなら、話は別。
▼失敗した映像産業育成<21世紀の産業構造>
映像産業育成は、USJの解説前に唱えられていた。当時の市長、港湾局長、経済局長など、だれも言っていた。USJは解説されてから、周辺に映画産業と言えるものは1つの事業所もない。コンテンツ産業育成のい難しさ。東京では課題に気づくところから、正規の政策となるまでに数年をかけて対策を検討している。その後追いでは、勝てない。東京が興味を持たないニッチな領域に特化しなければ、コンテンツ産業は育たない。

カフェ塾(5)2010年5月

第5回カフェ塾


 テ ー マ
– 関西州議会はいかにして実現できるか II –

講師:小倉塾長

日時:平成22年5月15日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェ「楽」

5月15日(土)第5回カフェ塾を行いました。今回も前回に引き続いて、「関西州サイバー議会の可能性」について話し合いました。以下はその報告です。

「現下の政治状況をどう見るか」

  1. 自民党、民主党の旧来の大政党(供給サイド)が依拠した後援会組織が民意の吸い上げ機能として劣化しているため、いわゆる無党派層が増えた。
  2. 小選挙区制の下で、二大政党が覇を競う構図は、対立軸がはっきりしている場合は機能するが、グローバル化と国民国家の行政国家現象の進展が進む中で無党派層が主流化すれば、そのボリュームゾーンの票を獲得するために対立する二大政党の政策は接近する。それにより、政党がよって立つべき結党の理念が見失われ、本来の支持者と無党派層の双方の支持を失い、政治不信を招く。
  3. 政党助成金の問題。支持母体がしっかりしていれば、そこが票と同時に活動資金を供給する。政党助成金が制度化されたのは、政治資金の流れが不透明で不正であるということがあったからであるが、本質的には、支持母体の劣化により、政党に資金が集まらなくなってきたからである。この問題は、政党が国費で運営されるほど公共性を持っているのか、「公の支配」=国費という側面とともに、結社の自由=良心の自由が国家の資金で保障されることが、政治に新風を送ることを阻害することにならないか、という問題がある。無党派=中心部分が主体的に政治資金を供給する体制が作れるのかが課題である。
  4. 政党は本来、政治的問題解決するために結集したものである。道具である。決して多数派をとることが目的でない。政治的問題が解決できないから、多数派をとることが目的になる。本来の課題を解決するためには現状の政治プロセスでは問題は解決できないという認識が重要である。
  5. この春、新党が続々誕生した。政策に違いを探すのは難しい。何が不満で新党ができるのか。新党をつくることで安定多数をとれる大政党がなくなるが、その安定多数をとるための野合に近い大政党の結集の仕方が不満としか思えない。しかし、理念先行させると小選挙区制の下では中心部分を取り込むことができない。結果どこも多数をとることができずに「連立」という野合に戻ることになるのではないか。ただ、連立することで政治的問題を解決することができるのかということが次に問題になる。政治的問題がどこにあるかがある程度共有化されているから政策が近接化する。しかし、民主党の政策に代表されるように一向にその政治的問題は解決しない。とすれば、そこに「政治的課題・問題」があるのではないのだろう。いま重要なのは、表面的な問題ではなく、たとえば少子高齢化が問題なのではなく、その対策を決定し、実行できない構造に問題があり、その構造に政党そのものが深く関与しているという自覚のなさが問題なのである。
  1. これは決して政党不要論ではない。政党に民意を吸い上げる仕組みの再興と世論を説得する見識を期待するのである。

「関西州サイバー議会を考える視点」

なぜ「関西州サイバー議会」を企画するのか。

  1. 橋下知事の「大阪維新の会」が人口30万の基礎自治体=特別区を大阪府内に20区つくることで、府市再編を図ろうとしている。この特別区には公選の首長と区議会が設置される。これはこれまでの権力関係の変更である。基礎自治体議会~大阪都議会~大阪都の廃止~関西州議会という一連の議会設定は行政の監視システムにとどまらず、責任主体として機能させなければならない。
  2. 民主主義の再興が道州制導入の大きな目的なら、基礎自治体議会~関西州議会の位置づけとその活性化は重要である。
  3. 直接性を重視した権力基盤をつくるために、たとえばⅰ100戸程度の自治会長を選挙で選ぶ。(300~400名で一人)ⅱ自治会長がコア自治体(3万~4万人)の合議機関(100名)を組織する(日当制)。ⅲコア自治体の合議機関から数名の代表を送り、基礎自治体(30万~40万人)の議会(30~40名)のオンブズマン委員会を形成し、基礎自治体の首長と議会を監視する。ⅳコア自治体の公務員と準公務員を採用する。執行組織を合議機関の下部に置く。コア自治体の首長を合議機関から選ぶ(報酬制)。任期2年多選可。ⅴ基礎自治体の首長と議会を公選する。解散・解職請求権を確保する。行政組織を整備する。基礎自治体はコア自治体の調整機関であると同時にコア自治体を指導監督する。ⅵ道州の議会・行政・首長・司法組織を整備する。
  4. 上記の「現下の政治状況」のところで述べたことを繰り返すが、たとえば少子高齢化が問題なのではなく、その対策を決定し、実行できない構造に問題があり、その構造に政党そのものが深く関与しているという自覚のなさが問題なのである。だから、権力基盤の移行が重要なのである。それを制度変更を待って行うのではなく、5年~10年後には導入しないと間に合わない道州制実施の前に道州制理念を内実のあるものにするために行うのである。
  5. また、現在様々な政治家連盟や新党母体ができているが、それらが果たして「民意を吸収する組織」となるかがポイントである。政治家のため、特定政党の選挙のためということになれば、道州制運動にとってマイナスであろう。
  6. そこで、「関西州サイバー議会」を立ち上げようということになるのだが、目的は三つある。第一は、道州制理念を実質化し、民主主義を再興する。 第二に政治家のため、特定政党の選挙のためということにならないように、民意をすくい上げ、議論の場を提供する。第三に研修ではなく、政策を決定し、提言する機関をつくる、ということである。
  7. 議会開催はサイバー議会であっても実際の集会が中心である。議会の構成は、市民議員、専門家議員、政治家議員等で構成される。だれでも参加できる。参加した段階で議員になる。議題は最初は議会事務局が準備するが、2回目からは議会で選ばれた執行部が提案する。議事進行はその都度選ばれた議長が取り仕切る。専門分野については公聴会を開く。議論後、議会提案をまとめる。関西州で何を実現しなければならないかが、これで明瞭になるだろう。第6回カフェ塾は奈良で5月29日に「関西経済論からみた道州制」と題して行います。今後、カフェ塾で学びながら、その知識が生かされる場として、「関西州サイバー議会」が実現されればいいと願っています。だれでも参加できますので、共に道州制の実現まで頑張りましょう。

 

カフェ塾(4)2010年4月

第4回カフェ塾レポート

 テ ー マ
– 関西州議会はいかにして実現できるか I –

講師:小倉塾長

日時:平成22年4月10日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェ「楽」

さる4月10日(土)に第4回カフェ塾および「関西州ねっとわーくの会」の例会を行いました。今回は年度初めということで様々な政治的な動きが周辺で起きている中での開催となりました。橋下知事の府市統合~関西州実現構想の一環としての「大阪維新の会」の発足、国政レベルでの民主党の体たらく、各種新党の立ち上げ、さらに私たちの近いところでは「地域主権型道州制国民協議会」が東北に続いて、関西で政治家連盟を立ち上げるということまで聞こえてきています。 そこで今回の報告では、こうした背景がある中で道州制実現運動はどうあるべきか~仮想関西州議会は実現可能かを少し考えてみたいと思います。

  1. 国政レベルでの新党・ミニ政党の乱立は二大政党制と選挙時の所属政党の違いから民意を反映したものではないという意見について
    ◆国会議員を選ぶことと政党に所属することは本来別次元なので、所属政党の変更はありうる。
    ◆小選挙区制において国民が国会議員を選ぶより政党を選ばされることの矛盾が議会レベルで「多様性」として現れた。
    ◆大規模政党が求められるゆえんは、国会における「多数派」による権力行使を憲法が保障しているからである。この憲法は「法の支配」による近代民主主義を国家形成の基本原則にしている。
    ◆近代国家は権力の分立と相互制限、身分選挙から普通選挙に変換したことで成立しているが、現代は選挙人名簿を離れた非正規で被操作的な「大衆世論」が、投票率の低下により選ばれた正当な議会権力を制限している。
    ◆現代の民主主義にはマスメディア・ネットの介在が不可欠となっている。そのため身近な課題を解決すべき地方議員より防衛問題を論じる国会議員のほうが露出が多い分近しい存在と感じ、地方議員のほうが一部のサークル・利権集団が町内にあっても空疎な存在となっている。
    ◆民主主義に代わる制度が今のところない以上、いい民主制にしなければならない。民主主義の政治的意思決定は最終的には51:49の多数決である。言論による疑似戦争のごとき議会における深刻な論争を通じて、参加者が最終意思決定をすることが国民の利益にかなうと合意したときに多数で決する方法である。結果については過程における深刻な対立を乗り越えることがすでに含意されている。だから少数意見は尊重されなければならない。だから否決された側も結果を受け入れなければならない。ここには自らの権力についての信頼と誇りが個人の独立の自負心とともに共有化されている。この先「関西州議会」が実現されるときには、せめて日本近代化の過程で積み残されたと思われている「民主・独立」が具現化されることを願わずにはおられない。しかし、ある日突然民主主義の再興をはかる関西州議会ができるわけではない。ましてや誰かが作ってくれるわけではない。今から多様性を担保しながら、面倒な民主主義の過程に習熟しておく必要がある。

    1. 「地域主権型道州制国民協議会」関西支部長会議と政治家連盟
      ◆さる4月3日に江口克彦会長・村橋理事長主導下の「地域主権型道州制国民協議会」の関西支部長会議が京都で行われました。「関西州ねっとわーくの会」所属の会員・幹事は江口会長の「地域主権型道州制」の理念に賛同し設立当初から参加しています。よって形式的には「関西州ねっとわーくの会」は、国民協議会奈良県支部長と大阪中央区支部長、および当該支部所属会員、別支部所属会員、支部に所属しない国民協議会会員で構成されています。これは「関西州ねっとわーくの会」の活動に伴う参加時期の違いや参加方法の違いでこうした構成になっていますが、これはあくまでも形式的なことです。実質は「関西州ねっとわーくの会」主催の江口会長講演会、同志社大学とのコラボレーション・京都市長講演会、毎月のカフェ塾、今後の「仮想関西州議会」の自主的運営といった活動が中心になります。◆こうした活動は国民協議会の支持指令で行ってきたわけではありません。理解としては、地域の道州制実現活動があり、その結合体として国民協議会本部(東京)が出来上がり、中央政界に対しても実現に向けた影響力を持とうということだと思っていました。ところが、その前提として地域の活動は極めて脆弱であり、その力を結集して中央をつくる力はありませんでした。そこで逆転して中央指令で地域支部をつくり、地方の政治連盟・経済連盟をつくろうということになるようですが、そもそも中央に結集軸と質があるわけではないので、上意下達はなじみません。政治連盟等をつくっても、結局は脆弱な地域組織の問題は解決せず、選挙組織に衣替えすることが精いっぱいのことになります。そうした観点から「関西のことは関西で」ということで活動を重ねてきた「関西州ねっとわーくの会」が関西支部長会議で反論の機会もなく批判され、今後の独自活動に国民協議会の許可がいるとなれば、何のための地域主権か、無理解を超えて、別の意図さえ感じさせられます。私たちは政党色のない市民でしかないのです。

      ◆そこでこのたび、江口会長の地域主権型道州制実現にはこれからも賛意を表しつつ協力していこうと思いますが、村橋理事長主導下の国民協議会とは一線を画すべく、「関西州ねっとわーくの会」会員・幹事は国民協議会から脱会することにしました。理由はいくつかありますが、現状のままでは協力関係にある国民協議会の各関西支部に中央の許可なく企画の呼び掛けさえ自由にできないことや、独自活動の批判に対してこのまま黙過することはその批判を認めたことになり、運動に悪影響と判断したためです。

      ◆運動の方向そのものはこれからも変わりません。今後も多くの人や団体とかかわりを持ちたいと思っています。国民協議会とも協力できることはしていこうと考えています。本来の意味で「協議」ができる会になってほしいと願っています。

 

カフェ塾(3)2010年3月

第3回カフェ塾レポート

 テ ー マ
関西経済と道州制
– 関西経済は道州制によってどう変わるか –

講師:小倉塾長

日時:平成22年3月20日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェ「楽」

3月20日(土)に第3回カフェ塾を開きました。
今回は「関西経済は道州制導入によってどう変わるか」をテーマに勉強会形式で行いました。参加者には事前に資料を送らせていただき、一部の概説を省いたにもかかわらず、時間が足らずに、「宿題」まで出す始末となりました。 もとより、このテーマは道州制導入の中心テーマであるため今後も繰り返し論議を深めていかなければならないものです。ただ残念なのは、ご存じのように道州制導入に賛成の関西財界からのものでさえ、正面からこのテーマを扱ったレポートを見たことがありません。出てますよ、と言われても他人事のような「規制緩和」待望と構想の整合性をあまり感じない「特区」構想、一般的な地方分権による仕事の割り振りプランでは、そもそも道州制を導入する意味すら見出せません。そこで、今回はいささか身の丈を超えるものとなりましたが、道州制を導入することで関西経済は変わりうるのかということをいくつかの視点から議論しました。

まず、<準備>として、現在の経済情勢をどう見るかということで「週刊ダイヤモンド」の昨年の特集「大不況の経済学」から経済学者の見方(統一的ではないが、伝統的ケインジアンの旗色は悪い)についての簡単なレヴューを行い、ついで歴史的な観点から水野和夫氏の「デフレの100年」・野口悠紀雄氏の意見を紹介しました。曰く、デフレは続く、資本分配率を引き上げる国民経済に変わる新たな富の蓄積方式を探る歴史的な転換期にある、バブルはまた起こる、現在日本国内には有望な投資先は少ない、溜まった資本は行き先を決めあぐねている、新興国の成長により先進国の市場占有率は低下する、等々。これらの全体観を基にして関西活性化研究会の「自立する関西」を一部紹介しながら、今回のテーマ「関西経済は道州制導入によってどう変わるか」に話を進めていきました。

ここからはさらに答えのない領域なのでレジュメに沿って、司会者が問題を提示し、みんなで討論する形式にしました。

  1. 広域圏の設定によってもたらされるものは何か」⇒「国内単一の標準化の効率性を広域圏設定の効率性が上回れるか」。 多くが行政効率と規制緩和に論点が収れんしがちですが、経営や資本で、地域でやっているものは、すでに地域でやっているわけで、改めて道州制を導入しなければならない理由にはならない。おそらくある種の公的企業、たとえば電力会社のようなものでない限り、地域による分割にはなじまない。 さらに、資料として用意した「平成20年近畿財務局の地域経済に対するレポート」には、大阪湾が薄型テレビや太陽電池の世界的集積地になりつつあることと、中小企業の産官学の取り組みとして、人工衛星「まいど1号」の紹介がありました。また地域連携の例として、兵庫と大阪のバイオメディカル事業を取り上げています。しかし、かつて高い世界シェアを誇っていた技術分野ですが、今や韓国・中国・ドイツなどに急追され、すでに水をあけられている技術分野でもある。さらに近畿財務局だからでしょうが、事実これらは道州制とは関係なく実施できるものです。道州制を導入すれば、活発な競争が巻き起こり規制緩和によって、新しい産業が生まれるのでしょうか。
  2. この問題を考えるヒントとして、次に「フィンランドモデル」の検討を行いました。人口規模的には関西のほうがずっと大きいですが、関西を「ミニ国家」とした場合には、フィンランドの政策は示唆に富むものです。ポイントは以下のようになります。
    1.「改革なくして成長なし」の危機意識の共有
    2.福祉国家の改革を通じた「成長なくして分配なし」を
    宣言できる信頼できる政府
    3.民間部門の拡大による「小さいが開かれたフィンランド経済」と、
    その方向にあるハイテク分野を中心にした特化型専門経済
    4.産官学の強力なタッグ。貿易産業省等の中心官庁のリーダーシップ
    5.民間を中心にした研究開発投資と公的ベンチャーキャピタルの充実
    6.民間企業によるノキア型クラスター形成の認識(東大阪型ではない)
    7.人材育成のための教育制度の充実
  3. この官民一体の生き残りをかけた経済産業政策を実施するために、基礎自治体から州政府にいたる統治機構において「民主主義の再興」が必要となります。「市民主体による潜在力の解放」と「権力の監視」・「財源規模の確保」が実現できる新しい権力基盤をつくる必要があるという帰結が考えられます。
  4. これは「広域化経済」~道州制の導入の大きな目的であり、日本経済復興の一つのシナリオとなるのではないでしょうか。

最後に、全体の課題として「道州制導入によるSWOT」分析をしてみようということで、強み・弱み・機会・脅威に分けて経済のみならず道州制を導入すればどうなるのかを考えてみることを参加者の「宿題」にしました。今回参加されなかった方でも別掲の資料等を参考に一度考えてみてください。ご意見をお待ちしています。

カフェ塾(2)2010年2月

第2回カフェ塾レポート

 テ ー マ
1. 地域主権国民協議会関西各支部の取り組みと今後の活動方向
2. 地方選挙の実際について   ‥ほか

パネラー:地域主権型道州制国民協議会関西支部長の方々 (高松 奈良県支部長・口野 南河内支部・小林 大阪淀川支部長・小倉 大阪中央区支部長)・大阪府議会議員秘書 三藤氏

ゲスト:地方分権政策に携わる官僚の方

日時:平成22年2月20日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェ「楽」

沈滞した我が国の政治経済社会を何とかしたいという熱い思いが地方から沸き起こりつつあります。その時にテーマとなるのが道州制です。

そこで今回は地域主権型道州制の全国組織をいち早く立ち上げ、各地域での支部設立が相次いでいる「地域主権型道州制国民協議会」(江口克彦会長)の関西地域での各支部長の方々に集まっていただき、活動の現状とその展望を語っていただきました。

また、来年は統一地方選挙がおこなわれます。そこに向け若手の候補予定者の方にも来ていただき、きびしい地方選挙の実態と地道な活動を続けてこられているお話を伺いました。さらに、ゲストとして地方分権の業務に公務として携わっている方にも討論に参加いただき、お話を伺いました。

今回は関西州ねっとわーくの会メンバーやゲストを含めて14名の参加を得て、約2時間の座談会を行いました。急な告知にもかかわらず、ご参加賜りありがとうございました。

 

カフェ塾(1)2010年1月

第1回カフェ塾レポート

 ~講義内容~

「地域主権型の国のかたち」各地域での
“競争・成長”と”福祉向上”を両輪に
日本の輝きを取り戻そう!

◆ 役割分担
国 …現金給付による生存権確保や産業・雇用の基本ルール作り(最低限の基準+規制緩和)
広域地方政府 …競争を通じた成長によるパイの拡大
基礎地方政府 …セーフティーネットの充実(給付から積極的雇用政策へ)
*道州・基礎自治体の能力向上が必要。まずは関西などで先行モデルを実施。

◆国のかたちの各国比較 (4類型モデルイメージ)
1. 集権・分離型 …国がほぼ完結的に事務処理
2.分権・分離型 …一定領域国から独立して地方の責任で事務処理(個別事務を明確に授権)
アメリカ・イギリス   競争力 中~高
3.集権・融合型 …国に権限・財源を留保。執行は地方
ドイツ・日本   競争力  低い
4.分権・融合型 …国が大きな目標、指針を設定。
地方に実際の事務の企画、実施、 評価の裁量
スウェーデン    競争力  高い

「地域主権」確立のための改革試案~「地方政府基本法」の制定に向けて~
平成22年1月 大阪府知事 橋下 徹 (地域主権戦略会議構成員)

<目次>
はじめに~「地方政府基本法」制定にあたって
地方自治法の改正にとどまることなく、理念と全体像を明確に掲げ、自治体に関するあらゆる法律を対象にして、“国、地方のかたち”を根本から作り直す立法とするべき
「自立的な地域経営」を実現する「地方政府」像の提案
「地方政府」の役割
1基礎と広域
「地方政府」の存立基盤
2税財政自主権
3自主立法権
「地方政府」のガバナンス・マネジメント
4議会内閣制
5教育委員会制度改革
6監査制度改革
7公会計制度改革
8法的経営責任
9公務員制度改革

<地方行財政検討会議検討項目>
総則
○地方自治の理念の再構築
1.自治体の基本構造の在り方
○二元代表制を前提とした自治体の基本構造の多様化
○二元代表制以外の仕組みの検討
○基礎自治体の区分の見直し
○大都市制度の在り方   など
2.住民参加の在り方
○議会の在り方
○一般的な住民投票制度の在り方
○長の多選制限  その他の選挙制度の見直し など
3.財務会計・財政運営の見直し
○不適正経理事件等を踏まえた監査制度等の抜本的な見直し
○財務会計制度の見直し
○地方債・交付税の見直し
4.自治体の自由度の拡大(規制緩和)
○執行機関
○議会の組織・機能   など

講演後の主な質問

「議員が行政要職につけるように地方自治法を改正するとの記事が1/11の日経朝刊に出ていましたが、どのような変化が出てくるでしょうか?」
「関西州の運営主体は関西広域連合になるのでしょうか?」
「道州制に移行した場合、大阪市や堺市は分裂することになると思うが、反発することはないか?」
「京都府や兵庫県との折り合いは?大阪府にリーダーシップをとってほしいが、まとまるのか?」
「関西州の統一的な政策は何か?」
「広域連合はいつできるのか?」
「地方分権による地域格差を埋めるための交付税を「調整交付税」と名前を変え、規模を小さくするものが議論されています。東北や四国などを特区にすることで善政競争を促す流れからすると、「調整交付税」の役割と矛盾しますが、ご意見をお聞かせください。」
「例に挙げている国はアメリカ以外は社民主義である。その辺のことで、知事や財界の考えと対立するように思う。法人税を下げて、果たしてその分、企業が来るのか。むしろグローバル下の法人税値下げ合戦に国際的歯止めをかけるべきではないか。」
「道州制、地域主権についての啓もう活動はどのように行われていますか。また計画等はありますか。」
「関西広域連合の一番の狙いは何か?関西州のモデルをつくりたいのか、それとも広域で実施したほうが効率のいいものをまとめるためなのか?」
「新たな成長戦略とは何か?」
「関西州とした場合、もしくは大阪特別州とした場合の他州に比べた強みをどう考えるか?」
「医療制度の展望はどのようなものか。医療制度も分権するのか?」
「自発的に成長できる経済圏の条件で“種”を蒔くという話がありましたが、“種”がもともとない、もしくは“種”を植えることもできないような地域もあるかと思います。こういった地域については調整機能に頼らざるを得ないのでしょうか?
「行政マンということでトップダウンの議論が主でしたが、当会も民間ということで、ボトムアップで民間から道州制に向けた動きに対してどのような貢献ができるとお考えでしょうか?」
「大阪府の道州制案に対する各首長の反対意見中、最も多いものは何ですか?」
「制度面の改革と並行して、大阪に住む人々が誇りに思えるような印象向上や、大阪以外に住む人々に大阪の事実をよく知ってもらう情報発信の仕組みも変更していく必要があると思いますが、このような人の気持ちに働きかける取り組みについてどのように考えられていますか?」

以上、参加者からの質問票を原文のまま順不同で並べましたが、今回ご参加された方々の意識の高さと、現在の関心がどのあたりにあるのかを知ることができたと思います。今後のカフェ塾のテーマ設定の参考にさせていただきます。

最後に

最後に山地企画室長からは丁寧な応答をいただきました。ありがとうございます。その際「地域主権」を現実のものとしていくためには、市民・住民が主人公であるという自覚と大きな世論の後押しが必要であるという指摘がありました。「地域主権」の中身はこれから様々に議論されていくと思いますが、その中身をつくるのは我々自身であるというところを忘れずに今後も活動を進めていきたいと思っています。
ともに頑張りましょう。

 

道州制ウイークリー

■道州制ウイークリー(81) 2018年1月27日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(7)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽地方税財政制度について28次答申ではーー

・国からの事務移譲に伴う財政需要の増加について適切な財源移譲を行うことに加え、偏在度の低い税目を中心とした地方税の充実などを図る。

・各道州や市町村における税源と財政需要に応じ、適切な財政調整を行うための制度を検討

道州制ビジョン懇報告では、①国、道州、基礎自治体が、それぞれ担う役割と権限に見合った財源をそれぞれ確保できるように税の性格によって分割された税源を分配するとともに、徴税等の方法も含めた税制の抜本的な見直しを行い、基礎自治体や道州にも偏在性が小さく、安定性を備えた新たな税体系を構築 ②道州及び基礎自治体には、それぞれに付与された権限分野において、課税自主権を付与 ③道州は道州債を発行することができる ④国の資産及び債権の取り扱い、経済及び財政格差の調整については今後検討

 

■道州制ウイークリー(82) 2018年2月3日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(8)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽欧州のリージョナリズム(Regionalism)❶ドイツ

リージョナリズムとは地域自治主義というべきもので、「地域の明白な特徴を推進し、中央政府と関係する単位の自立の程度を増大させる目的を持った、国家の一部における地域又はその他の組織による政治的活動を指す」。

ドイツは連邦および16州により構成される連邦制国家で、各州は国家として主権を有し、独自の憲法、政府および裁判所を備えている。州は、州の政府代表69名が構成する連邦参議院を通じて連邦の運営に協力する。協調型連邦制と称されており、立法及び財政等において連邦と州が協力している。

立法については、原則として州が立法権限を有し、連邦は広域で行う方が望ましい外交や通貨等について立法権限を有する。連邦全体において法的または経済的統一性の維持が必要な場合等に、連邦は法律を制定することができる。実態としては、州が立法権限を有する事項は地方自治、警察、文化、教育、放送等に限定されている状況である。連邦法はすべて連邦参議院の審議を経る。州の税収に関わる法律等、基本法で定める一定の類型の法律には連邦参議院の同意が必要。

財政については、連邦および州がその任務の遂行に要する経費は、基本的に別段の定めがない限り、各々が負担する。しかし、租税は主に連邦が立法する事項であり、州が自らの任務遂行に必要な財源を得るために税法を制定する余地は少ない。財政瑠欲の弱い州の支援として、各州相互および連邦と州の間の財政調整制度がある。

2009年の第2次連邦制改革では、均衡予算を実現するため、連邦、州および自治体の起債を抑制し、連邦は2016年から、州は2020年から原則として起債をせずに歳入歳出を均衡しなければならない。第3次改革では財政調整制度が見直しされる。

 

■道州制ウイークリー(83) 2018年2月10日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(9)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽欧州のリージョナリズム(Regionalism)❷フランス

フランスは単一国家。ナポレオン時代に中央集権体制を確立。19世紀後半に県の廃止と州の創設を求める州主義(Regonalisme)が起こったが、地方分権化改革はミッテラン政権による1982年の改革からで、州が地方公共団体として承認されるとともに、官選の県知事及び地方行政に対する国の事前監督が廃止された。

州(Regionレジオン)は2016年の改革で22から13に再編。県(デパルトマン)は101、コミューン(市町村)は36767。州は、経済発展に県の規模では十分に対応できなくなり、地域経済の受け皿として創設された。コミューンの半数は人口400人未満で、行政効率向上のため広域行政組織EPCIが設けられている。

地方公共団体の財政規模は、コミューンが最も大きく、県、州の順。歳入の内訳は地方税を中心とする税収が60%、国からの交付金が28%。歳出は人件費が35%、社会保障関係費が40%、その他が19%。州の所管事項は、経済開発と地域整備(企業誘致、鉄道整備、旅客運送等)を中心に、高校、職業教育、自然保護区、大気保全等に関する事項。県は、社会福祉手当給付、中学校、県道、港湾等に関する事項。コミューンは都市計画、近隣行政(コミューン道、戸籍、小学校、スポーツ施設等)である。

州、県、コミューンの行政府及び議会は全て同じ構造で、首長は議員の互選により選出され、その議会の議長を兼ねる。執行部(助役又は副議長)はすべて議員の中から互選で選出。国会議員は、地方議員の職を1つまで兼職することができ、大部分が兼職している。

近年以降の改革は、既存の3層制の非効率性を改善するとともに、大都市制度や広域行政組織EPCIの整備により、現代の行政需要に適した地方制度の構築を模索するものとなっている。

 

■道州制ウイークリー(84) 2018年2月17日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(10)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽欧州のリージョナリズム(Regionalism)❸イタリア

1948年施行の共和国憲法において、州(Regione)の創設等、地方自治を促進する立場がとられた。2001年に中央・地方関係を大幅に見直す憲法改正が行われ、州の立法権限強化、地方公共団体の財政自治権強化、国・地方間の行政権限配分の見直し等が実現した。ただし、「一にして不可分の共和国」(憲法5条)との文言は残されている。

地方制度は、20の州、109の県、8092のコムーネからなる3層制。州の任務は、医療・福祉、農業、観光。県は、環境保護、交通政策、教育(中等・芸術・職業)。コムーネは、国や他の地方公共団体に属さない住民サービス、地域整備、経済開発に関する事務がある。地方歳入の割合は、州が67.3%、県が4.6%、コムーネが28.1%となっている。

2013年の憲法改正委員会の最終報告書で国と州の間の立法権限や行政権限また地方公共団体のあり方についての論点が提示されている。特に委員会の多数意見として、近年の経済・金融危機の下で役割も限定されている既存の県を廃止し、州とコムーネの間に新たな広域団体を設置することや小規模な州の合併も提案されている。

 

■道州制ウイークリー(85) 2018年2月24日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(11)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽欧州のリージョナリズム(Regionalism)❹スウェーデン

戦後、高福祉・高負担の福祉国家として発展していく過程で、地方分権化を進めていった。福祉国家における福祉や教育の担い手として地方自治体の重要性が高まり、分権化が急速に進んだ。近年では、欧州統合や経済のグローバル化を背景に地域経済の競争力強化を目指す動きが見られ、地方自治体の地域の発展に関する責任を移譲する改革が行われている。

連邦制国家ではなく単一国家であり、地方制度は広域自治体(ランスティング)と基礎自治体(コミューン)の2層制である。ランスティングとコミューンの所管事項に重複はなく、両者の間に指揮監督関係はない。国は広域自治体と地理的範囲を同じくする行政区域(レーン)に地方行政庁(レーン庁)を置いているが、近年は権限を移譲され、リージョン(region)と呼ばれるようになっている。スウェーデンは20のランスティング(内3つがリージョン)、290のコミューンからなる。

ランスティングの所管事項は主に医療サービスで、費用は歳出の90%を占める。財源の71%はランスティング税で、保険方式はとっていない。税目は個人勤労所得税のみで、税率はランスティングが決定する。コミューンの所管事項は福祉サービスと教育で、歳出の71%を占め、財源はコミューンの個人勤労所得税のみ。税率はコミューンが決定する。国と地方の事務配分としては、社会保障分野では、国が経済的保障(現金給付)、ランスティングが医療サービス、コミューンが福祉サービスを担当している。教育分野では、国が高等教育(大学)、ランスティングが一部の専門教育(医療関係等)、コミューンが義務教育、高等教育を担当している。

地方議会に設置される執行委員会が地方自治体を代表し、日本の公選首長に相当する機関は存在しない。地方議員の多くは兼業。

道州制ウイークリー

■道州制ウイークリー(61)  2017年9月9日

◆地域間競争に勝つには(2)

国際競争力の単位は「地域」=メガ・リージョン

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

「国の競争力」とは一体何を意味するのか。IMD(国際経営開発研究所)が発表するランキングでは、「企業の競争力を維持する環境を提供する国家の能力」を意味するとしている。要するに「ビジネス環境のランキング」である。しかし、国際的な競争力を測る単位として、果たして「国」が適当なのだろうか。国際的な経済活動の実態を考えれば、「国」ではなく、「地域」という単位が適当ではないか。グローバルな経済の下では、企業と人材は活動する場所を選んで、国境を超えて移動する。グローバリゼーションの下では、「国」という単位は消えて、「地域」という単位が直接、前面に出てくる。

地域とはどれぐらいの広がりをイメージすればよいのだろうか。経済活動の現実を見ると、都市は単位としては小さすぎる。国際的に競争力のある地域の実態をみれば、洋の東西を問わず、中核の大都市を中心として、半径50キロから200キロメートル圏内が一つの経済圏として有機的にネットワーク化している。これが一つの競争単位になって、自立し経済圏をつくっている。企業と人材もそういう前提で場所を選んでいる。

最近「メガ・リージョン」という概念が注目されている。「グローバル・シティ・リージョン」という類似の概念で論じている論者もいる。大都市を中核とした一つの経済圏である都市地域がグローバルなプレーヤーとして発展したものである。これがグローバル経済の下で、経済的に繁栄する単位なのだ。

作家の塩野七生さんは「21世紀には都市国家の時代がもう一度やってくる」と指摘している。私はこれを「21世紀はメガ・リージョンの大競争時代」と言い換えたい。

 

■道州制ウイークリー(62) 2017年9月16日

◆地域間競争に勝つには(3)京阪神の競争力を高める

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

日本で東アジアにおける地域間競争に参画できるメガ・リージョンは北部九州圏、京阪神、グレーター・ナゴヤ、東京の各経済圏などがある。この中で、京阪神は「多様性あるモザイク地域」を特色としている。東京、名古屋が環状道路に沿って同心円状に立地しているのに対して、固有の歴史・文化を持った多様性のある都市が相互に近接してモザイク状に立地している。「多様性」と「分散」がキーワードで、この持ち味をどう活かして地域戦略を立てるかが、京阪神地域のポイントである。

もう一つのキーワードは、「伝統、文化、景観」。「本物の日本」「日本ブランド」の集積地で、「クール・ジャパンのメッカ」としての文化ブランド力がある。

問題は海外との関係で、京阪神が一つにまとまるかである。「多様性」はバラバラとなる危険性を持っている。これだけの人口集積がありながら、「一つの地域力」として結集していないところが、この地域の最大の問題。

海外からみれば一つの経済圏である。にもかかわらず、行政はそれぞれ独自路線を歩む。海外への情報発信もバラバラで行われ、結果的に十分な効果を得られない。地域全体が一体となって共同プロモーションにもっと真剣に取り組めば事態も変わろう。東アジアを視野に入れた広域ネットワークによる観光戦略も有効である。各都市で機能を分担し合った、一体的な戦略デザインが必要だ。

 

■道州制ウイークリー(63) 2017年9月23日

◆地域間競争に勝つには(4)日本列島輪切りの発想

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

日本海側の位置づけが大きく変化し始めた。日本海側の主要港の取り扱い量が大幅に伸びている。中国経済の急成長、ロシア経済の発展が大きく世界を変えつつある。日本海側をいかに戦略的に活用するかが重要な経営戦略となってきた。例えば、関西にとって舞鶴港、敦賀港に重要性が増してきている。関東にとっても新潟港は物流拠点として重要だ。東北にとっても新潟港は戦略的拠点になっている。

中部地域でも、北陸の意味合いが大きく変化しつつある。金沢港、富山港、敦賀港も戦略的な目で再評価されている。石川県にある建設機械最大手のコマツはキャタピラーと世界市場で熾烈な競争をしているが、中国ビジネスの上で金沢港は大きな戦略的意味を持ってきている。名古屋港と金沢港を戦略的に使い分けている。また東海北陸自動車道も開通、観光、物流などを考えると、グレーター・ナゴヤと北陸を一体的に見る戦略観が必要だ。

道州制の議論の一環で区割りもテーマになっている。様々な区割り案が飛び交っているが、日本海側をどう位置づけるかが戦略的にも政治的にも最大のポイントであろう。やはり「日本列島を輪切りにしていく発想」「日本海側と太平洋側を一体的に捉える戦略性」が不可欠だ。

 

■道州制ウイークリー(64) 2017年9月30日

◆地域間競争に勝つには(5)横行するフルセット主義

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

地域の経営力を決めるのは、「多様性」「開放性」「広域性」である。勝ち組の3点セットだ。

多様性で重要なのが、地域にも異質な者、「よそ者」の存在だ。外国人、女性など多様な人材が活躍する強靭な組織に脱皮することが大事。地域も企業と同様、グローバル競争にさらされている。活力ある地域づくりのためには、多様性を活かした経営が地域にも求められている。

地域にとってイノベーションのピントは何か。それを生み出しやすい「社会的な生態系の存在」、「開放性」である。端的な例が米シリコンバレーだ。そこには日常的に多様な情報が行きかっている。何気ないコミュニケーションから自然と情報を得、刺激を得る。まさに「わいわいがやがやの空間」だ。地域の中にも「わいがや空間」を創る工夫をすることだ。このような空間での多様な交流こそが地域にイノベーションと創造性を生み出す神髄である。

第三のポイントは「広域性」。自治体の行政区画というのは企業と人材にとっては意味がない。にもかかわらず同じ経済圏にありながら、それぞれの自治体ごとにバラバラな対応では国際競争に打ち勝てない。日本では伝統的に「自治体のフルセット主義、自前主義」が横行している。同じような施設がひと通りそろっているのだ。それが自治体の中で自己完結している。しかし広域で見れば、重複投資になっていて非効率極まりない。部分最適の集合が全体最適になっていない。試験研究機関も県ごとに公設の試験場がある。隣接県でそれぞれの試験場が得意分野に特化して連携する発想があってもよい。各県ごとにそれぞれ総合大学としてフルセット主義になっている。必要なのは大学版の「選択と集中」と「ネットワーク化」だ。広域経済圏で複数の国立大学をひとつの法人の参加において戦略的経営があってもよい。

 

■道州制ウイークリー(65) 2017年10月7日

◆地域間競争に勝つには(6)日本はリージョン(地域)の集合体

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

国際的な地域間競争が激化する中で、地域は国に頼らずダイナミックな戦略で自立することが求められている。まさに地域の経営力が問われている。

国土政策は大きく転換しようとしている。これまでの日本の国土政策は「国土の均衡ある発展」を旨としてきた。ここにきて旗印は「均衡」から「個性」「多様性」へシフトしている。地域は自らの地域を主体的に考え、策定する立場にある。いま、それぞれの地域は自らをデザインする力量が問われている。

そうした中で、まず「自らの立ち位置」を明確にしておかなければならない。日本の地域は大きく三つに類型化される。第一に、モノづくりなど実物経済の世界で主要プレーヤーを目指す地域。第二に、金融、情報、文化、ファッションなどソフト・パワーにおいてグローバル・プレーヤーである東京。第三に小さくても地域資源を活用して自立し、きらりと輝く地域を目指す地域。これは「自立循環型の地域」と呼ぶことができる「ローカル」に属する地域である。

道州制の議論が行われているが、まずは地域では「広域連携の実態」を創っていかなければならない。これからの地域は「自立」と広域連携を経ての「統合」が車の両輪になって成長していくだろう。日本という国は、そういう地域の集合体として構成されていく。いわゆる「ユナイテッド・リージョンズ・オブ・ジャパン」である。これからの日本は、個性と魅力ある地域(リージョン=Region)の集合体である。

 

■道州制ウイークリー(66)2017年10月14日

◆道州制の目的とは?

道州制の目的には、地域のことは地域が決める自治を拡充し、地域の特性と力を活かす分権国家への転換という大きな政治テーマがありますが、経済的、社会的にも重要な要素があります。

(1)広域経済圏に合わせた広域自治体への再編

持続的な社会の形成には地域主導による成長戦略拠点を創出する広域の行政圏である州制度に転換することが不可欠です。明治以来の府県体制による細切れ、ばらばらの行政体制ではグローバル時代の国際競争に勝ち抜く効果的な産業基盤を確立できません。国主導の一律的な政策は限界に来ていると考えます。新しい国のかたちで創意工夫を活かした地域興し、産業振興を図るべき時にきています。

(2)総人口・労働力の大減少時代への備え

2040年には労働力人口が約1900万人減少すると予測されています。今後は行政府の職員確保も困難な時代になります。国と地方の役割分担を見直し、効率的行政組織を構築することは避けられません。財政逼迫も加わり、特に改革すべきは広域自治体のあり方です。都道府県を8~10程度の「州」に再編、財源や権限を調整し、国と地方の行政コスト削減と労働力不足に対応していくべきと考えます。

 

■道州制ウイークリー(67)2017年10月21日

◆地方に思い切った権限と財源を移譲

(戸堂康之著『日本経済の底力』から)

各地方の特色ある発展を考えれば、中央から地方への権限と予算の移譲が絶対に必要になる。日本の地方が元気がないのは、どうやって中央から公共投資を獲得するかに知恵を使いすぎてしまったからだ。地方の人々は東京の方ばかり見るあまり、アジアをはじめとする世界とつながることで発展できることに気がつかなかったのではないだろうか。しかし、地方にも生産性が高いのにグローバル化していない臥竜企業(実力はあるがまだ飛躍できていない企業)は多い。これらの臥竜たちに公共投資に頼らずに自分で発展していくことを考えてもらえば、絶対に地方の産業発展はうまくいく。

そのためには、地方に思い切った権限と財源を移譲することが必要だ。税制にしても地方ごとで違ってもいいだろうし、特区の設計も地方が大胆に決めればよい。ただし、このときの「地方」の単位が現在の都道府県となると、日本に47の異なる制度が存在することになるので、ちょっとややこしくなりすぎる。もう少し大きな区切りの方が、規模が大きいことによって行政がより効率的に動くだろう。だから、いくつかの都道府県が集まって州を構成する「道州制」が適当だと思われる。

 

■道州制ウイークリー(68)2017年10月28日

◆人口減少時代の社会保障(1)全国一律システムの転換期

(山崎史郎著『人口減少と社会保障』から)

人口減少時代に適応した社会保障システムはどのようなものなのか。これまで人口や社会ニーズが増大することを前提に形作られてきた社会保障は、大きな転換期を迎えている。

人口減少の動きの特徴には3点ある。第一が、時間が経つにつれて人口減少のスピードが「加速」していくこと。国立社会保障・人口問題研究所の2017年推計によると、2025年頃は年間約64万人の減少であるが、2030年頃は約75万人、2040年頃は約89万人、2090年頃は約94万人の減少となり、その後はおおむね同じペースで減少していくと見込まれている。

第二が、人口の減り方は年齢層によって異なり、最初に「子ども(年少人口)」、次に「若壮年(生産年齢人口)」、最後に「高齢者」という順序で減少が進んでいく。このままだと、日本全体で「人手不足」」が非常に深刻になる。第三は、人口減少の進捗状況が地域によって大きく異なっていること。地域差は、戦後、若者を中心に地方から大都市部へ人口が大量に移動し続けたためである。

これまでの制度は、縦割り、横並び、規格化で維持されてきたが、急速な人口減少下では、この対応では必要なサービスが確保できなくなる恐れがある。その事態を避けるためには「効率化」と「多様化」の視点で社会保障のシステムを転換しなければならない。人口減少時代には、社会保障についても、全国一律の形で対応することは困難となり、むしろ、一つの枠にはめようとすることは不合理となる。多様化に向けて、組織や体制を大きく切り換えなければならない。

 

■道州制ウイークリー(69) 2017年11月4日

◆人口減少時代の社会保障(2)広域地域圏ベースの行政推進へ

(山崎史郎著『人口減少と社会保障』から)

人口減少社会の特徴の一つは、地域によって経済社会の構造が大きく異なってくることである。大都市部は、当分の間は人口減少スピードは緩やかで、高齢者に限れば増加する見通しとなっている。これに対して、地方都市では、高齢者はすでに頭打ちになり、現象を始めているところもある。人口減少の動向が地域によって大きく異なってくると、社会保障についても、地域の特性を考慮し、サービスや給付、運営の形態を「多様化」していく必要性が高まってくる。

まず東京圏をはじめ大都市では、当分の間高齢者が増え続ける。東京圏など大都市において高齢者の増加が著しいのは、団塊世代が大量に入居した郊外団地である。現状において大都市(特に郊外)に整備されている医療・介護サービスは、将来のニーズ増大に見合うだけの十分な水準に達しておらず、また、人口減少に伴い人材不足が進むのは大都市も地方も変わらない。地方からの人材供給に依存し続けてきた大都市は、より影響が大きいかもしれない。

そこで、東京圏をはじめ大都市において重要となるのは、広域的な視点からの取り組みである。例えば、東京圏では東京都と千葉県、埼玉県、神奈川県の間の住民移動が激しいという特徴がある。医療サービスの点では、医療や介護が必要になると、東京都から千葉、埼玉、神奈川に立地している高齢者向け住宅や介護施設に移る高齢者が多い。地方自治体は自らの都県や市町村に住む高齢者だけでなく、他地域から流入する高齢者も念頭においた広域の観点からの対応が必要となってくる。

特に一都三県においては、東京圏という広域ベースでの政策立案と調整が欠かせない。人口動向のみならず、地域住民の意識や行動の分析、医療・介護サービシなどのケア体制の構築、増加する空き家の利活用を含めた居住地域の整備、交通ネットワークづくりなど、その広さと深さにおいて、これまでにない広域行政の推進が求められる。調査立案機能を含む広域調整組織の設置や体制の強化が課題となる。

 

■道州制ウイークリー(70)2017年11月11日

◆人口減少時代の社会保障(3)自治体内完結型対応に限界

(山崎史郎著『人口減少と社会保障』から)

人口減少が進みつつある地方都市では「制度・政策の推進主体」としての機能は徐々に低下していくことが見込まれる。地方都市やその周辺の自治体は、人口減少に伴い、一つの自治体区域内では行政サービスを完結させる「自治体内完結型」の対応では限界が生じるため、広域的な対応必要となる。

こうした広域化に対応した行政の体制としては、「定住自立圏」や「連携中枢都市圏」の考え方が打ち出されており、今後重要性が高まってくると考えられる。広域化に向けた取り組みおいては、関係自治体のリーダーシップが欠かせないが、同時に、具体的なプロジェクトの推進のため、民間事業者や地域金融機関の積極的な参画と協力が必要となる。このため、官民協調の受け皿となる地域組織の設立、運営が重要なカギを握る。

  •    *

人口減少時代の社会保障のあり方は、システムの転換期にあることを念頭に、多様なニーズにも対応できるよう、大都市圏を中心とする広域行政の再編、地方都市においては市町村の枠を越えた連携が重要になってきます。社会保障の持続、充実のためにも「新しい国のかたち」を目指す時ではないでしょうか。(関西州ねっとわーくの会)

 

■道州制ウイークリー(71)2017年11月18日

◆地方広域経済圏の形成

(松谷明彦著『人口減少経済の新しい公式』から)

地域経済の核となるべき所得の充実を図るためには、地域の労働力をいかに有効に活用するかがポイントとなる。工場誘致はその点では非効率なやり方であり、地域としての固有の産業や企業を持つことこそが重要となる。高度化した経済のもとでそうした産業や企業を興すためには技術開発力が不可欠だが、人材や資金の点で地方地域は不利である。また人口規模の相違はスケールメリットに影響する。地方地域の産業がこれまで衰退を続けてきたのはそのためであり、したがってここは発想の転換が必要である。

地方経済の運営については、これまで県の単位で考えられてきた。それでは技術開発やスケールメリットに多くを期待することはできない。そこで地方広域経済圏の形成を考えてみてはどうだろう。近隣の県との間の密接な経済関係の形成である。

その場合、基軸となるのは、それらの地域間における明確な分業関係の構築である。これには二つの理由がある。

第一は、分業関係がなければ地域間の経済関係、つまり移出入関係は成立しない。各地域がそれぞれいくつかの特定の産業に特化し、その他の産業については全面的に移入に依存するという徹底した分業関係である。それによって各地域は確固とした地域産業としての所得を獲得できるうえに、スケールメリットも向上することになる。

第二は各地域が特定の産業に特化することによって、技術開発力の向上が期待できることである。域内の人材と資金を数多くの産業分野に分散したのでは三大都市圏との技術格差は縮小せず、近隣地域との密接な経済関係は望めない。特定の産業に特化する過程で、いわば不得意な産業は淘汰される。日本全体として得意な産業に特化することになるから、技術開発力の向上や生産効率の向上が期待できる。

 

■道州制ウイークリー(72)2017年11月25日

◆広域経済圏と道州制

(松谷明彦著『人口減少経済の新しい公式』から)

道州制は国の視点からの地方行財政体制の再構築であり、財政収支には地域別にかなりの差があることから、それらをまとめることによって道州別に財政収支の均衡を図らせようとするものである。

道州制を実施するのであれば、広域経済圏の定着を見届けたうえで、それに適合する行政範囲を設定すべきだ考える。経済活動は多分に行政範囲によって制約される面もあるから、広域経済圏の定着が先である。

人口の高齢化は、地域間の経済構造を大きく変化させる。地方経済運営の基本は広域的な経済圏の形成にあると考えるが、その基盤は水平分業に求められるのであり、均一性の強かった各地域は様々な方向に拡散していくだろう。それはまた人々の生活空間の多様性にもつながる。さらには、人々が自己のライフスタイルに適合する地域を求めて移動するといった状況も考えられる。

政府、自治体のなすべきことは、多様な生き方、多様な企業行動を可能にするための最低限の社会基盤の形成であって、官製の生き方や企業行動を示し、人々を誘導することではない。そしてその社会基盤とは、社会の安全であり、教育を含めた機会の拡大・多様化であり、空間の拡大・多様化である。政府、自治体に求められるのは、行政分野の多様化ではなく、財政効率化のための「行政手法の多様化」である。合成分野の多様化は、過去の経験からみて、いたずらに財政支出を拡大させる。小さな政府こそが、人口減少高齢社会に望まれる政府、自治体の姿である。

 

■道州制ウイークリー(73) 2017年12月2日

◆道州制特区推進法を活かせるか(1)

(北海道企画振興部資料などから)

道州制のモデルとして2006年に第一次安倍内閣で「道州制特区推進法」が成立しています。対象地域は北海道または3以上の都府県が合併した都府県となっています。地方分権の推進、北海道からの提案に基づき権限移譲を積み重ねていくシステムを法的に構築、推進本部に知事が参画して総理・閣僚と直接議論の上推進する仕組みを実現、地方自治体の自主性・裁量性に配慮した制度設計、他の都府県も参加可能となり道州制議論や地方分権の全国的広がりを期待するというのがポイントです。

目的は、広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、道州制特別区域の設定、道州制特別区域計画に基づく特別の措置等について定め、地方分権の推進および行政の効率化に資するとともに、北海道地方その他の各地方の自立的発展に寄与することとしています。

(第1条・目的)

この法律は、市町村の合併の進展による市町村の区域の広域化、経済社会生活圏の広域化、少子高齢化等の経済社会情勢の変化に伴い、広域にわたる行政の重要性が増大していることにかんがみ、道州制特別区域の設定、道州制特別区域における広域行政の推進につての基本理念、道州制特別区域基本方針の策定、道州制特別区域計画の作成及びこれに基づく特別の措置、道州制特別区域推進本部の設置等について定め、もって地方分権の推進及び行政の効率化に資するとともに、北海道地方その他の地方の自立的発展に寄与することを目的とする。

 

■道州制ウイークリー(74) 2017年12月9日

◆道州制特区推進法を活かせるか(2)定義・区域・基本理念

(北海道企画振興部資料などから)

(第2条・定義)◆北海道だけに限定されたものではありません。

道州制特別区域としては、北海道地方又は、自然、経済、社会、文化等において密接な関係が相当程度認められる地域を一体とした地方(3以上の都府県の区域の全部をその区域に含むものに限る)とし、そのいずれかの地方の区域の全部をその区域に含む都道府県であって政令で定めるものとなっています。「広域行政」とは、特定広域団体により実施されることが適当と認められる広域にわたる施策(以下「広域的施策」という)に関する行政をいう、としています。

(第3条・基本理念)◆資源の一体的活用、地域の特性に配慮、自主性と自立性を発揮

道州制特区法の基本理念について、広域行政の推進は①広域に分散して存在する産業、福祉、文化等の有する機能及び経済活動、社会活動その他の活動に利用される資源を有効にかつ適切に組み合わせて一体的に活用すること ②その区域内の各地域の特性に配慮しつつ、各地域における住民の福祉の向上並びに経済及び社会の発展に寄与すること ③広域行政の推進は、国と特定広域団体との適切な役割分担及び密接な連携の下に特定広域団体の自主性および自立性が十分に発揮されることを旨として、行われなければならない、としています。

 

■道州制ウイークリー(75)2017年12月16日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(1)

国立国会図書館調査及び立法考査局が2014年に刊行した道州制調査報告書を今回から紹介します。この報告書は国会議員、都道府県図書館等に配布されています。構成は、道州制論、各国のリージョナリズム、パネルディスカッションなどで、これまでの論議が総括されています。

第1回は「道州制をめぐる近年の議論―制度設計上の論点と立法動向」からです。

はじめに道州制のメリット、デメリットとして次のような点が挙げられています。

○メリット(提案される背景と意義)

①国と地方の行財政改革(国の出先機関と都道府県の二重行政の解消、広域的なインフラ投資等による行政の効率化、国家戦略や危機管理に強い中央政府確立)

②地方の活性化、地域間格差の是正(地方分権の推進、東京一極集中の打破、特色ある地域圏による競争)

③行政サービスの向上(都道府県の区域を超える広域行政課題への対応、経済圏・生活圏と行政圏の一致による効果的な行政運営)

④住民参加の促進(政治や行政が身近なものになることによる受益と負担の関係の明確化、政策の意思決定過程の透明化)

○デメリット(課題)

①国主導の集権的な道州制になってしまうおそれ ②道州間格差、道州内の一極集中のおそれ ③行政サービス低下の恐れ ④住民自治の形骸化のおそれ

このように様々な見方があり、これを踏まえて設計を詰めていく必要があると指摘されています。

 

■道州制ウイークリー(76)2017年12月23日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(2)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽道州制の位置付け

道州制に関する各機関の提言の中では、2006年2月の第28次地方制度調査会の答申が「おそらく制度論としては最も行き届いた内容であり、詳細である」、「その後に出された提言は、ほぼこの答申を基礎として論じられている」とされている。

検討すべき論点を整理すると、道州制の位置付けはーー

・広域自治体として、現在の都道府県に代えて道州を置く。

・地方公共団体は、道州及び市町村の2層制。

・都道府県の廃止後、都道府県であった区域や名称について、一定の一付けを与えることも検討。

としている。

2008年の内閣官房道州制ビジョン懇談会中間報告では、①国政機能を分割して自主的な地域政府「道州」を創設 ②道州制は、国のかたちの問題、国全体の体制の問題であり、単なる都道府県の再編に矮小化すべきではなく、都道府県の合併を前提とする必要はない、としている。

 

■道州制ウイークリー(77)2017年12月30日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(3)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽道州の区域

第28次答申で、道州制の区域について要件や区域例を示している。

・人口や経済規模、交通・物流、各府省の地方支分部局管轄区域といった社会経済的な諸条件に加え、気候や地勢等の地理的条件、政治行政区画の変遷等の歴史的条件、生活様式の共通性等の文化的条件も勘案。

・区域例は、基本的に各府省の地方支分部局の管轄区域に準拠(9道州、11道州、13道州の3案)

・区域の画定方法は、国による予定区域の提示、都道府県による意見の提出を経て、国が当該意見を尊重して法律案を作成。

ビジョン懇報告では、①経済的・財政的自立が可能な規模のほかに、住民が自分の地域という帰属意識を持てるような地理的一体性、歴史・文化・風土の共通性、生活や経済面での交流などの条件を有していることが必要。 ②道州の住民の意思を可能な限り尊重し、法律により全国をいくつかのブロックに区分する方式を採用(これを最終決定とせず、移行後も区域の修正を柔軟に行うべき)③道州の議会及び行政庁の所在地は、各道州が決定、としている。

 

■道州制ウイークリー(78) 2018年1月6日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(4)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽国と道州の事務配分について

28次答申では、次のよう規定しています。

・現在国(特に各府省の地方支分部局)が実施している事務は、国が本来果たすべき役割に係るものを除き、できる限り道州に移譲

・法定受託事務はできる限り自治事務化

・国が道州の担う事務に関する法律を定める場合には、大綱的・大枠的で最小限な内容に限ることとし、具体的な事項はできる限り道州の自治立法に委ねる。

道州制ビジョン懇中間報告では、①国が行うのは、国家の意思として必要かつ適切なことに限定し、住民の自助と自治には、原則として関与しない ②道州及び基礎自治体に関する国の出先機関は全廃 ③道州及び基礎自治体の役割や権限について、最も根幹的な事項は国の法律で、具体的な内容は道州議会が定める。省令、規則、通達などによる役割や権限の拘束ができないようにする、としています。

国は骨格を決め、国本来の根幹的行政を担い、道州の自治の権限を大きくするものです。

 

■道州制ウイークリー(79) 2018年1月13日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(5)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽道州と市町村の事務配分について28次答申ではーー

・現在都道府県が実施している事務は大幅に市町村に移譲

・道州は広域事務を担う役割に軸足を移し、市町村の補完事務につい     ては対象を限定

・国の法令により道州の事務と定められたものについても、道州と市町村の協議に基づいて市町村に移譲することができる。

道州制ビジョン懇報告では、①地域住民ができないことは基礎自治体が、基礎自治体ができないことは道州が行う ②基礎自治体は福祉、教育、公共事業等の一義的責任をもつ必要から一定規模が望ましいが、地域住民が「自らの政治」を実感できることも重要 ③対人サービスなど基礎自治体として行うべき仕事が十分にできない可能性がある小規模自治体への対応を別途検討 ④市町村合併によって住民と行政の距離が遠くなるような場合は、地域自治区や地域協議会に工夫を加え、地域住民がアクセスしやすい行政センター等を各地域につくるなど、地域の特性に対応した柔軟な制度を設ける。

「地域のことは地域で」「ニア・イズ・ベター」「補完性の原理」などから地域住民行政の大半は市町村行政に移し、道州は広域行政に特化していきます。広域自治体の道州ができることにより、行制が住民から遠く離れることはありません。

 

■道州制ウイークリー(80) 2018年1月20日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(6)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽議会・首長・公務員など統治機構について28次答申ではーー

・議会の議員は住民が直接選挙し、機能及び長との関係は現行の都道府県の制度を基本とする。

・自主組織を重視し、基本的事項のみを国の法律で定める

・長は住民が直接選挙、多選禁止

・行政委員会は、原則として設置を法律で義務付けない。

道州制ビジョン懇報告では、①議員は住民が直接選挙、一院制議会 ②全国一律で設置基準を設けるのではなく、各道州は、各道州独自の立法で自主的に組織を形成できる ③首長は住民が直接選挙 ④公務員は各道州が採用、国等との人事交流を実施し、その人事規則は任命権者たる道州が決める。

▽国と地方の関係調整について28次答申はーー

・道州に対する国の関与の仕組みは基本的に現行制度と同様(機関委任事務に関する制度は設けず、必要があるものは法定受託事務に位置付ける)

・更に必要な場合には大臣が道州に対し監査を求めることができる仕組みを導入

・道州と国の協議の仕組み、道州と市町村の関係調整の仕組みを設ける

道州制ビジョン懇報告では、①意見交換や助言の場として「国・道州連絡協議会」を設ける ②国と道州の間で争いが生じる場合に備え、国・道州から独立した裁定・調整機関をもうける。

道州制ウイークリー

■道州制ウイークリー(41)  2017年4月22日

◆四国州の未来像(3)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

②基礎自治体の強化と道州政府の広域行政によって四国全体が活性化

四国の各自治体は、強化された権限、財源、人材を駆使し、地域固有の課題や住民ニーズに応じた行政サービスを迅速かつ優先的に遂行し、住みよいまちづくり、魅力ある都市圏の形成を競う。また、四国州政府は、こうした活動を支える広域交通基盤の整備や四国全体への波及効果の大きい産業振興、観光振興に力を注ぐことから、四国各地域の資源・ポテンシャルが掘り起こされ、四国全体が活性化してゆく。中山間地域の自治体でそうした役割を十分担うだけの規模が確保できない場合は、自治体連携や道州補完の仕組みによって適切な行政サービスが提供される。

 

■道州制ウイークリー(42)  2017年4月29日

◆四国州の未来像(4)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

③州都一極集中でなく、四国の各都市が四国州を支える

州都をどこにするかの問題は、道州制導入が決まり、区割りが確定した段階で、住民が議論し合意を図るべきことである。ただ、道州制においては、基礎自治体が住民生活にかかわる多くの権限を持つため、州都の役割は相対的に小さなものになるとみられ、住民にとって行政上の州都が日常的に意識されることは少ないのではないかと考えられる。その意味では、四国では4県都以外の都市を州都にすることも選択肢となり得るが、一方で、州都となると州庁舎や交通アクセスなど最低限のインフラは必要であり、そのための新たな投資のことを考えると、既存施設の集積があり、交通利便性にも優れた県都が候補となる。四国州では、州都にあらゆる権能が集中するようなことはない。四国州を支えるのは四国の各都市であり、それぞれがブランド化を図り、商業州都、観光文化州都などと称され魅力を高めてゆく。

(注)アメリカでは、カリフォルニア州の州都はロサンゼルスでなくサクラメントであり、ニューヨーク州の州都はニューヨークでなくオールバニで、必ずしも大都市が州都とは限らない。

 

■道州制ウイークリー(43)  2017年5月6日

◆四国州の未来像(5)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

④医療、子育て支援の充実した暮らしやすい環境整備が進む

大学の管理運営を担う四国州政府が、医学部、病院群、行政一体となって四国の実情に応じた医療政策を展開し、必要な医師の育成・確保、拠点病院の充実をはじめ、ドクターヘリなど県単位では十分に対応できない広域救急医療体制の整備も図られる。

少子化対策が四国州の最重要課題となり、各自治体では、医療、保育等を組み合わせた効果的な子育て支援策を競い合う。

また、地域自立の意識が高まることで、地域コミュニティの復活や住民参加も進み、子供を生み育てやすく、安心して暮らせる生活環境が整備される。

 

■道州制ウイークリー(44)  2017年5月13日

◆四国州の未来像(6)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑤特色ある四国づくりによって来訪者が増加する

四国観光庁が設置され、四国の官民一体となった観光施策が次々に展開されてゆく。本四架橋や瀬戸内海の多島美、太平洋の雄大な海岸景観などを巡る大型クルーズ船が就航し、アジアの観光客の憧れの観光ルートとなる。また、四国遍路やお接待文化も、四国州の中で大切に守り育てられ、「四国」は独自の癒しのブランドとして定着する。祭りやアート、アウトドアスポーツのメッカとしても国内外に認知され、温暖な気候とも相まって、滞在型観光、ニ地域居住の対象地として脚光を浴びる。

 

 

■道州制ウイークリー(45)  2017年5月20日

◆四国州の未来像(7)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑥選択的集中投資によって利便性の高い交通基盤が整備促進される

道州政府は、四国の一体的発展に欠かせない高速道路「四国8の字ネットワーク」の整備を優先して進めるとともに、四国内の空港、港湾、鉄道等各交通機関との連携も強化し、利便性の高い交通ネットワークを形成してゆく。

また、アジアとの結びつきが強まる中、選択的集中型の投資による四国内の各港湾、各空港の機能分担や特定の港湾の拠点化などを進め、国際物流や人的交流が一段と活発化する。

 

 

■道州制ウイークリー(46)  2017年5月27日

◆四国州の未来像(7)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑦一つの島としての環境対策、防災対策が強化される

四国は一つの島であることをより強く意識するようになり、四国の山、川、海を一体的に捉えた環境保全や資源循環型の地域づくりとして、森林の再生や河川・海域の環境保全、治水・利水、渇水時の広域連携協力などが総合的に推進される。都市と農山村との交流も活発になり、美しい自然環境と住みよい生活環境を兼ね備えた四国の創造が進む。また、万一東南海・南海地震が起こったとしても、被害を極小化できるよう、四国州政府によって緊急地震情報の研究、海岸整備や施設の耐震化、広域的かつ迅速な救援・復旧体制の整備が推進され、災害対応力が一段と強化される。

 

■道州制ウイークリー(47)  2017年6月3日

◆四国州の未来像(8)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑧四国一体となったアジアとの直接交流が進む

アジアに向けて四国の行政、経済界、大学が一体となって経済、文化、学術交流を推進し、四国の認知度と対外交渉力が高まる。アジアの主要都市に四国州の海外事務所を配置するとともに、四国州の官民トップで海外ミッションを派遣し交渉を進め、安全で高品質な四国ブランドの「食」の提供、企業誘致、観光客誘致、定期航空路線・コンテナ航路の開設などが進む。

 

 

■道州制ウイークリー(48)  2017年6月10日

◆四国州の未来像(9)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

⑨戦略的な産業振興と大学の強化が図られる

四国州政府は、人材と知の集積に向けた重点投資戦略として、四国が強みやポテンシャルを持つ、バイオ、医薬、環境、LED等の電子部品、新素材などの分野を中心に、研究開発や産業の集積を進め、世界的センターを目指す。

その中核となる四国の各大学は専門性を生かし役割分担と連携・統合を進め、戦略的分野で世界的競争力を持つ州立大学として強化される。それによって、四国では、産業・技術を担う高度な人材の育成・定着、産学連携による地域産業の活性化が進み、特定分野で日本一・世界一のシェアを持つ企業が増加する。海外からの留学生も増加し、四国の国際展開を支える人材の確保が図られる。

このような、自立的、戦略的な地域づくりによって雇用機会が増加することに加え、国から地方への決定権移譲により、地域の自立意識も高まることから、若者の東京志向も次第に弱まり、四国における人材の定着が進む。

 

■道州制ウイークリー(49)  2017年6月17日

◆おおさか政令市プラン①大阪の新しい大都市制度

(2017年6月 自民党大阪府支部連合会発表より)

自民党大阪府支部連合会は2017年6月5日に「おおさか政令市プラン」を発表しました。大阪市と堺市以外の市町村を6つのエリアに分けて政令市に再編し、財源や権限を各市に移すことなどを盛り込むもので、都構想に対抗する狙いがあります。

北摂エリアに2市、河内エリアに3市、泉州エリアに1市を設置。

▽大阪市が目指すべき都市の将来像は「政令市」

大阪府の権限と財源を市町村に徹底的に移譲し、政令市並みの権限を有する自己決定できるまちを創る

▽考え方のポイント

○自己決定・自己責任・自己経営

○市町村(基礎自治体)優先の原則

○大阪府の権限と財源を徹底的に移譲

○ニア・イズ・ベター(住民に近いところで決める)

○道州制を見据えた改革(大阪市は将来の州都をめざす)

大阪府人口 現在880万人 25年後740万人

2060年600万人

人口減少・超高齢社会、財源不足への取り組みが課題

⇒新しい大都市制度

 

 ■道州制ウイークリー(50)  2017年6月24日

◆おおさか政令市プラン②大阪の新しい大都市制度

(2017年6月 自民党大阪府支部連合会発表より)

▽政令市に移行するメリットとして次の諸点があげられています。

  • 事務権限の特例

・まちづくり計画決定(都市計画)

・大きな道路の管理(国道・府道)・児童相談所の設置

・学校の先生の採用や給与の決定など

  • 財政上の特例

・新たな財源税(地方道路譲与税)・地方交付税の増額

・その他新たな財源(宝くじ発行収益)など行政組織上の特例

・区役所の設置など

▽政令市プランの将来は道州制を見据えています。

・市町村との意見交換・市町村の実情や機能を調査・研究・把

・市町村間の連携を協議・促進する場の設置

・大阪府のインセンティブ(目標達成への刺激・誘因)を検討

・国への働きかけを検討・実施

・市町村は、地域の実情に応じ府からの権限移譲が可能となる

よう体制を整備

・市町村の実情に合わせ、順次、大阪府の権限を移譲

  • 最終的には、大阪府を発展的に解消

 

■道州制ウイークリー(51)  2017年7月1日

◆地域政策をどのように変えていくべきか

(小峰隆夫著『日本経済論講義』から)

これからの地域政策は、第一に「誰が地域の活性化を担うのか」である。これまでは「国主導型」であったが、これからは「地方主導型」(企業・住民・NPOなど)にしていくべきであろう。

第二は「どんな方向を目指すのか」である。かつては「分散を志向して国土の均衡ある発展を目指す」ものであったが、今後は「分散一本槍ではなく、必要な集中はむしろ促進していくという選択的集中も必要(クラスター、コンパクトシティなど)で、各地域が地域資源を活かして個性的な方向を目指すことが求められるようになる。

第三は「どんな地域を対象にするか」。かつて政策の中心は「遅れた地域をいかに救うか」であったが、これからは「伸びる地域をできるだけ伸ばし、立ち遅れた地域は対象を絞って集中的に助成する」方向に進むべきであろう。

第四は「どんな手段を使うか」。かつては「公共投資の拡大を中心としたハード路線」だったが、この方式も限界に達している。近年ではハード面よりも、歴史的な伝統や人間同士の信頼関係などの「ソーシャル・キャピタル」をベースとして地域を成長させていく考え方や、「大学、研究拠点、起業環境などの知的資源を組み合わせることによって地域の成長力を高めていく」という発想が強まりつつある。

 

■道州制ウイークリー(52)  2017年7月8日

◆人口減少による農山村や都市のコンパクト化

(山崎朗・久保隆行共著『東京とばしの地方創生』から)

自治体単位で人口減少を議論すべきではありません。1kmメッシュ(日本の国土を約37万個に均等分割した面積単位)でみた、低密度居住地区への移行や、低密度居住区域のさらなる人口減少、無人化が問題なのです。国土交通省によると、2005年に居住者のいたメッシュのうち、2050年までに21.6%は「無人居住区」になり、20.4%は75%以上、24.4%は50~75%人口が減少すると推計されています。人口減少は、地域のサービス供給力に深刻な打撃を与えます。地域内のサービス水準や地域コミュニティを維持し、地域の豊かさを損なわないために、長期的観点から農山村や都市をコンパクト化することが求められています。

今求められているのは、人口減少に対応した新しい地域づくりです。地方創生の第一戦略は、人口減少下でも地域の豊かさ(医療、福祉、教育、商業、その他の多様な対消費者サービス)をできるだけ失わないための戦略(撤退、コンパクト化、小中学校、公共施設、水道事業等の統合再編・集約)です。

 

■道州制ウイークリー(53)  2017年7月15日

◆地方創生は「多様化」「個性化」「差別化」

(山崎朗・久保隆行共著『東京とばしの地方創生』から)

地域開発において大切なことは、同時期に、一斉に同じ行動をさせない(しない)こと。均質化・同調化圧力をかけないことです。地方創生政策でも、これまでと同じ過ち(新産業都市、テクノポリス計画、頭脳立地法、リゾート法、地産地消法など)が繰り返されています。地方版総合戦略を短期間に全国一斉に作成させ、その出来不出来で交付税に差をつけるといったやり方は、望ましい政策ではありません。地方創生に求められているのは、「多様性」、「個性化」、「差別化」です。

地域開発で、もう一つ大切なことは、自治体単位だけで計画を策定するのではなく、1kmメッシュ、都市圏(通勤・通学圏)、地方ブロック圏、国際交流圏など、多様な地域での計画や戦略を構想、策定することです。地域の範囲を変えれば、地域戦略も変わります。

 

■道州制ウイークリー(54)  2017年7月22日

◆時代に対応した自治体経営へ制度見直しの時

(木下斉著『地方創生大全』から)

「地方消滅」を唱えた日本創成会議は「今の単位の地方自治体が今のまま経営していたら潰れる」ということを警告しています。地方消滅ではなく、「地方自治体の破綻」です。自治体は、その地域における行政のサービス単位であり、その単位は常に組み替えを含めて環境に対応して再編され、人々の生活を支えていくのが基本のはずです。

今必要なのは、人口が爆発的に増加する時代に対応した自治体経営や各種社会制度を見直すことではないでしょうか。人口移動だとか、地方創生交付金の創設といった、一発逆転を狙うギャンブルのような非効率な「量」を追う施策ではなく、自治体経営の構造を社会の変化に適応させて「破綻に追い込まれない地方自治体」を構想することこそ、自治体にしかできない重要な役割なのです。

 

■道州制ウイークリー(55)  2017年7月29日

◆都道府県単位の社会構造はすでに崩壊

(木下斉著『地方創生大全』から)

各都道府県に行政拠点を置いて社会そのものを管理する仕掛けは、事実上崩壊しようとしています。従来は、都道府県ごとにおかれた県庁所在地に、官庁だけでなく都道府県単位での民間企業の支店やら営業所やらの中枢がおかれ、営業活動をしていました。行政も産業もそこに集まり、名実ともに県庁所在地が都道府県の中心部であるという時代がありました。しかし、1970年以降は、新幹線と高速道路が開通したことで、「民間企業の支店などは複数都道府県で一つずつ」といった形で統廃合されています。例えば、山形市は高速道路によって完全に仙台市経済に組み込まれてしまっています。このように47都道府県すべての行政拠点の近くに、民間企業が支店や営業所をおくという時代は、すでに終焉を迎えています。これはまず東北全域に始まり、その後、全国的に広がっていった現象です。

 

■道州制ウイークリー(56)  2017年8月5日

◆「州府制」導入の提言(1)「州府制」とは

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

松下幸之助提案の「無税国家論」のアイデアをベースに立ち上げた「無税国家研究プロジェクトチーム」がPHP研究所創設50周年を記念して、1996年に新しい国のかたちとして「日本再編計画」をまとめました。少子高齢化・人口減少時代の今、改めて見つめなおしていきたいと思います。

地域の改革を「州府制」の導入によって実行する。この「州府制」とは「地域主権」を実際に展開する地域の新しい受け皿として、現行の都道府県・市町村をゼロベースで見直し、新たに「12州257府」へと再編・改組するものである。

「州府制」は、①住民と行政の距離を近づける、②税金を通じた住民参加と選択、③行政の意欲と活力の向上の要件を満たす、新しい自治体を創り出すことが、改革の最大の目的である。

「府」は生活行政の核として現行の市町村を再編し、人口15~35万人を目安に257府を創設する。「府」は福祉、教育、保健衛生、消防などの独立した権限と、課税自主権、税率決定権を持つ。行政の実態が住民に完全に公開され、住民の選択と監視を基に行政が実施される「見える自治体」とする。

 

■道州制ウイークリー(57)  2017年8月12日

◆「州府制」導入の提言(2)257府再編への基本方針

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

①より効率的な行政運営につながる「人口規模」

人口規模が増えるにしたがって行政経費は低下、より効率的な自治体運営、行政コストの低下が図れるが、人口一人当たり歳出額が最低になる人口規模は15万4000人となった。この15万人を基本に再編を行った。ただし、島や山間部など地理的理由から、別の自治体と一つにすることが現実的でないところは例外的に15万人を下回っている。

②経済的・財政的に自立した単位

住民生活の核として、自前で生活関連サービスを供給していくためには府はある程度の経済力と財政力を有した単位でなければならない。

③地域相互の交流と連携

道路、橋、鉄道などの発達による地域相互の交流と連携を重視する。旧来の狭い行政区画が交流可能圏域の拡大に追いつけず、行政単位と実際の生活単位とのミスマッチが発生している。ただし、政令指定都市など都市部ですでに自立可能な経済圏が形成され、都市基盤や公共施設など一体的な整備が行われているところについては、現在の行政区域を踏襲していくことが妥当とした。

④小選挙区及び地域の歴史的つながりの尊重

基本的には小選挙区との一致を試みた。また、地域間の土着的な結びつきや歴史的つながりを考慮し、江戸時代の「藩」や「国」などを調べ、「府」が地域性から全くかけ離れたものにならないように工夫した。この基本方針に則り検討した結果、「257府」となった。

 

■道州制ウイークリー(58)  2017年8月19日

◆「州府制」導入の提言(3)広域行政の主体となる「州」

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

現行の都道府県を再編し、新たに10州プラス2特別州を創設する。「州」は「府」の後見役として、「府」単独ではできない仕事、あるいは広域に及ぶ行政事項についてのみ担当する。具体的には、公共事業、危機管理、警察などの仕事を行う。課税自主権および税率決定権を持ち、他州と「善政競争」を行う。

想定している「州」は、北海道、東北州、北陸信越州、北関東州、南関東州、東海州、関西州、中国州、四国州、九州と東京特別州、大阪特別州の12州。

県が廃止され州ができたことで、より広域的な視点から地域内のネットワークのあり方を考えることができるようになったり、各府がそれぞれ得意とする分野を持ちつつ、これまでの県境を越えて競争できるようになる。

 

■道州制ウイークリー(59)  2017年8月26日

◆「州府制」導入の提言(4)行財政効率化で歳出30兆円削減

(『日本再編計画――無税国家への道』より)

国と地方の新しい役割とシステムをゼロベースから見直し、新しい姿に再編成、国と地方の徹底した行政改革や民営化の推進によって、歳出の2割削減を図ることを目標に年次別歳出削減計画を策定した。計画初年度の6.6兆円の削減を皮切りに、漸次削減額を増加させ、計画達成時(10年後)には年間30兆円の削減を行う。

削減の前提は、「効率性の高い歳出」と「メリハリのきいた歳出」の2点。これを基にした歳出削減構想の基本方針は①再編と行革による行政の効率化、②市場介入の撤廃、③民営化(民間活力の重視)。

①再編と行革による行政の効率化――「市町村―都道府県」体制の改革による行政の効率化で歳出を削減。推計では257府の歳出総額は、現行市町村に比べ7.9兆円減少する。州トータルの歳出額の推計では、現都道府県より8兆円の歳出減になった。計16兆円の削減の半分の7~8兆円が、地方制度再編による「規模の経済」が働いた再編効果である。

②市場介入の撤廃――国や地域が産業振興や価格安定を目的として支出している予算の廃止および業界や地域に対する規制撤廃である。今後は、市場での自由な競争を通じ、民間の活力と自由な選択が最大限に尊重される創造的で多様性に満ちた社会の構築を目指すべきであり、そのためには市場ルールの貫徹が不可欠。歳出削減額は8兆円。

③民営化(民間活力の活用)――教育現場をより創造的で豊かなものに変えていくには、行政関与を減らし、学校間競争を促す必要がある。科学技術関連費用についても客観的な評価の下に研究費が配分されるようになれば、競争原理が働き、研究分野全体が活性化する。民営化効果に国レベルの行政効果を加えればⅯ、歳出削減額は9兆円。

以上のように年間30兆円の歳出削減により、福祉の充実や活力維持、財政健全化のための未来創造財源として「21世紀活力基金」に蓄積される。

 

■道州制ウイークリー(60)  2017年9月1日

◆地域間競争に勝つには(1)自治体ごとのバラバラ対応に限界

(細川昌彦著『メガ・リージョンの攻防』より)

経済活動の基本単位は国ではなく、地域。その地域とは大都市を中心に50キロから200キロ圏にネットワーク化された広域経済圏である「メガ・リージョン」。そして目指すは「道州制」。地域の競争力を高める処方箋が示されています。―――――

いま、地方では「掛け声だけの広域連携」が横行する。国際競争のためにも究極の目標は「道州制」であろう。しか実現までには少なくとも10年はかかる。その間、東アジアにおける熾烈な地域間競争は待ってはくれない。東アジアではシンガポール、香港、中国の沿海部、韓国の釜山などの国、地域が人材と企業を呼び込む、熾烈な競争をしている。日本の地域も、そのような競争に打ち勝たなくてはならない。しかし自治体ごとのバラバラの対応では、太刀打ちできない。各産地がバラバラに海外で売り込みしていても限界がある。

「日本」そしてその中の「地域」が世界との競争に打ち勝つにはどうすればよいのか。

日本、更には地域も立ち止まっていては取り残される。点と点をつなぐ線の延長に、いま進むべき方向が見えてくるのではないだろうか。これから日本がめざすべき「国のかたち」も浮かび上がってくるのではないだろうか。

 

 

道州制ウイークリー

2016年12月3日

■道州制ウイークリー(21)

◆財政自主権、立法権と関西州の人材育成

(塩沢由典著『関西経済論』から)

道州制が施行され、政策実験を可能にする要件で、重要なものが財政自主権と立法権である。財源があっても、自主的に法律を作ることができなければ、大胆で革新的な政策実験は不可能である。道州制のもとで、理想の枠組みができたとしても、現在の課題に応える大胆な政策を創造できる人間がいなければ、すべては絵に描いたもちである。頭脳機能と人材育成が道州制の成否を握る鍵となる。霞が関の思考方法に慣れすぎた人には、大胆な想像力は望めない。関西州がうまく機能するためには、このような人材を自前で養成するしかない。現在、関西には10を超える公共政策大学院、総合政策大学院と学部があるが、そうした教育機関の教育内容と人材育成目標も、将来の関西州を睨んだものに再編成していく必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

2016年12月10日

■道州制ウイークリー(22)

◆持続した経済発展を可能にする広域行政区域の創造

(塩沢由典著『関西経済論』から)

道州制反対を唱えている人達、あるいは府県を維持することを唱えている人達が、州都が遠くなり不便になると言っているのは、道州制移行後の政治・行政のあり方をよく理解していないためと思われる。道州制は、道州政府が現在の道府県の仕事をまとめてやるようになるというものではない。議会を含む道州政府の役割の多くは国が独占してきた法律制定や政策決定、多くの許認可事務や箇所付け事務を道州政府が行うというものである。外交・国防・通貨・関税など国が独占的に担う分野を除けば、これまで東京に行っていた人は、道州政府の所在地に行けばよいようになる。個人の生活に関する行政サービスのほとんどは基礎自治体が担当することになる。

道州は新しい広域行政区域の創造であり、歴史・地理、生活圏・経済圏の現状、交通の便、自立的経済発展の可能性を考慮しなければならない。現在の人口規模だけでは、将来の人口規模や経済規模の発展を見ることはできないからである。道州制は持続した経済発展を可能にする仕組みとして必要なものである。

 

 

 

2016年12月17日

■道州制ウイークリー(23)

◆日本維新の会が「道州制への移行のための改革法案」

日本維新の会は11月、臨時国会に「道州制への移行のための改革法案」を提出、参議院で審査中です。立法の背景・趣旨は「我が国のかたち」(日本国憲法の理念の下における国と地方公共団体の全体を通じた統治の構造)を新たなものに転換することが喫緊の課題となっている。「道州制への移行のための改革」(地方自治の仕組みを道州と市町村の二層制に移行するとともに、これに伴い国及び地方公共団体の税源配分等を抜本的に見直す改革)を総合的に推進する必要がある、としています。

構成は第1・目的(道州制移行のための改革について、基本理念及び基本方針、その実施の目標時期等を定めることにより、これを総合的に推進する)、第2・基本理念及び基本方針(①道州の設置等②国の事務の道州への移譲等③国及び地方公共団体の税財政制度の見直し④都道府県の廃止等⑤市町村の事務等を法律に規定)、第3・道州制への移行のための改革推進本部及び道州制国民会議(内閣に推進本部を置き、内閣府に道州制国民会議を置く)となっています。スケジュールとして、道州制国民会議は、内閣総理大臣の諮問に応じて道州制に関する重要事項を調査審議し、諮問を受けた日から3年以内に内閣総理大臣に答申。政府は、2年を目途に道州制への移行のために必要な法制の整備を実施。そして、道州制への移行のための改革による新たな体制への移行へと進んでいきます。この法律の施行後10年以内を目標としています。

2016年12月24日

■道州制ウイークリー(24)

◆維新の会「道州制改革」の理念(基本法案要綱から)

道州制への移行のための改革は、道州において、個性豊かで活力に満ち、かつ、安心して暮らすことができる地域社会が形成され、及び地域経済が自律的に発展するとともに、行政、経済、文化等に関する機能が我が国の特定の地域に集中することなく配置されるようにし、あわせて、国ガ本来果たすべき役割を重点的に担うことができるよう、次の事項を基本として行われるものとすること。

①広域の地方公共団体である道州を設置して、道州においてその地域の特性に応じた独自性のある施策を展開することができる地方自治制度を確立すること。

②国の事務は国が本来果たすべき役割に係るものに特化し、国の府省、地方支分部局その他の国の行政組織の改廃を行うとともに、国が本来果たすべき役割に係る行政機能の強化を図ること。

③国が本来果たすべき役割に係る事務を除き、国が所管する事務を道州に移譲するとともに、道州が施策の企画及び立案と実施とを一貫して行う体制を確立することにより、道州が行政需要に的確に対応して効率的に事務を実施することができるようにすること。

④道州の財政運用における自主性を確保し、道州が自主的かつ自立的にその役割を果たすことができる地方財政及び地方税に係る制度を確立すること。

⑤住民に身近な行政は、できる限り基礎的な地方公共団体が担い、道州がこれを補完するものとし、市町村について、基礎的な地方公共団体としてあるべき姿となる地方自治制度並びに地方財政及び地方税に係る制度を確立するとともに、行政需要に的確に対応して効率的に事務を実施することができるようにすること。

 

2016年12月31日

■道州制ウイークリー(25)

◆都道府県を時代に即した広域行政圏に再編必要

(江口克彦著『こうすれば日本は良くなる』から)

国民生活や文化などの水準が向上し、キャッチアップ型からフロンティア型へ、物質的豊かさから質的豊かさにシフトして、価値観が多様となるなど、社会基盤の前提条件が大きく異なってきている。また、日本経済は、かつてほどの成長は見込みにくくなっているうえ、人口減少と少子化、高齢化といった課題にも直面している。こうした中で、中央集権の官僚システムは、もはや制度疲労を起こしている。地域ニーズに合致しない全国画一的な公共投資が進み、地方の特性に応じた発展をむしろ阻害している。

行政単位が小さすぎるという問題もある。交通インフラや情報通信技術(IT)が高度に発達し国民の経済圏・生活圏が拡大している今日、物理的に狭すぎるといっていいだろう。人口減少が進む中、十分な行政サービスを提供できなくなる恐れがある一方、環境規制や観光振興、廃棄物処理、救急医療といったより広域な政策課題も増えてきており、多様なニーズやシーズに対応していくためにも、現行の行政単位では限界がある。このことから、規模の小さい都道府県をより広域的な圏域に再編し、より実態に即した活動を可能とする行政機構の確立が必要となっている。もはや中央集権によってナショナルミニマムを追求していくのは限界がある。地方自治体は大きく変わることが求められているのである。

 

2017年1月7日

■道州制ウイークリー(26)

◆国家と地方との関係を大胆に変える

(片山善博記『ジェイン・ジェイコブズ・発展する地域 衰退する地域』の解説から)

現在のわが国の地方の疲弊を回復させるには,国家と地方との関係を大胆に変えなければならないことは明白だ。中央が何でも決めて、地方はそれを咀嚼し、それに従う。長い間のこうした「生活習慣」の結果、いまや小中学校のいじめ問題一つとっても地元では解決することができず、国が乗り出さざるを得ない状況に陥っている現実も露呈した。総じて地方が、自ら考える力も、自ら判断し行動する力も低下させていることは否めない。

これを是正し、正常化するには、国が何でも決めるという仕組みを改め、財政運営や税制などを含む困難で厄介なことも、地域の事は地域に住む住民が責任を持って決める仕組みに変えることから始めなければならない。それが地方分権であり、地域主権改革なのであり、わが国が当面する最重要課題である。

 

 

 

 

 

2017年1月14日

■道州制ウイークリー(27)

◆参院予算委調査室の道州制導入論

(2007年の参院予算委調査室『地方の構造変化』報告から)

人口減少と高齢化という困難な問題に直面している地方がそれなりに活力を維持し、地域の人々が安心して生活できる地域社会を保っていくための方策として、道州制の導入も本格的に検討すべき時期に来ているのではなかろうか。平成16年度の1人当たり県民所得の上位5県と下位5県の格差は1.65倍であるが、地域ブロックに整理すると最も高い関東地域(342.7万円)と最も低い九州地域(239.1万円)の格差は1.43倍に縮小する。同年度の1人当たり雇用者報酬も上位5県と下位5県の格差1.48倍が1.28倍に縮まる。地域内の連携を図って一体となって企業誘致に取り組み、県域を超えた居住政策を展開して機動的な労働力の移動・配置に取り組めば、不況に直面している地方の底上げにつながる可能性もあろう。また、財政的観点から、財務省財務総合政策研究所のディスカッションペーパー「地方財政改革と道州制の可能性について」で、地域ブロック化の一形態として道州制を導入した場合に1人当たり税収(地方税収+地方贈与税収)は東京と沖縄を除いてかなり均等化されると試算しているほか、現在の都道府県の区切りでも人口規模が大きくなるほど、1人当たり歳出額が減少して財政効率が向上する傾向を示し、地域ブロック化による財政健全化の可能性を示している。

2017年1月21日

■道州制ウイークリー(28)

◆自民党国家戦略本部の道州制への統治機構改革案①

(2008年『国家ビジョン』要旨から)

総論・政治制度改革の方向性

○今後10-15年で移行する道州制の新体制構築に併せて、行政システム効率化の徹底。

○業界別(縦割り)行政から機能別(横割り)行政への省庁再再編を行い、国・地域において公務員は企画立案と政策執行部門を担い、いわゆる現業部門は民営化。

総論・統治機構改革の方向性

○必要な公的サービス水準は地域自らが決め、地域自らの負担によってそれを確保。

○道州制により自立できる地域単位として全国10程度の「州政府」を確立し自立的に財政運営できる基盤整備。

○中央政府は「グローバルに存在感のある国づくり、国の統治」を担当。州政府は「社会づくり」を担当。広域的で自立的経済圏・生活圏に基づく自立的な地域経営。基礎自治体の市政府は「人づくり」を担当し、シビルミニマムの確保に責任を持つ。

 

 

 

2017年1月28日

■道州制ウイークリー(29)

◆自民党国家戦略本部の道州制への統治機構改革案②

(2008年『国家ビジョン』要旨から)

各論・政治制度改革

○国においては二院制を継続、州政府と市については一院制。○衆議院の選挙制度を「単純小選挙区制」とする。

各論・統治機構改革

○中央政府の役割は、国境管理、国家戦略の策定、国家的基盤の維持・整備、全国的に統一すべき基準の制定に限定。 ⇒皇室、外交・国際協調、通商政策、国家安全保障、内政の基本ルールなど

○州政府は公共事業、多様な産業振興、高等教育、文化・社会政策等により「振興・誇り・夢」を担う。 ⇒高等教育、雇用政策、市間の財政格差調整、公共施設規格、教育基準、福祉医療の基準など

○市はシビルミニマムの確保に責任を持つ。 ⇒消防、救急、社会福祉、保育所、小中高等学校など

○国の規制は国会で承認された法律と閣議承認の政令に留め、それ以下の細則は州に託す。また、州の条例によって国の政令を上書きできる「上書き権」を制定。

○州政府間の財政調整システムは国が行う垂直調整システムで実施。国と州政府間の意見調整の場として、「国・州連絡協議会」を設ける。

■道州制ウイークリー(30)  2017年2月4日

◆道州制の財政効果と課題(1)

「19兆円の行政の無駄を排除せよー穂坂邦夫・地方自立

政策研究所理事長」(日経ビジネス2012年10月)

日本の行政は巨額のムダを生んでいる。そのムダは国の大きな負担に

なり、財政再建の足かせになっている。

ムダを生む大きなものの一つは、国と都道府県、市町村という三層構

造の行政間での役割分担の不明確さや、国・自治体との役割分担の意

識のなさなどだろう。

国と地方の行政経費(歳出総額)は年間160兆円にも上っている。

その内訳は国66兆円、地方は94兆円といったところだが、我々は

その中に18兆9000億円のムダがあるとさえ試算している。例え

ば国の役割とは何か。外交、防衛や経済政策、金融政策、社会保障の

基本政策などだろう。ところが、国が個人の生活に近い内政的業務ま

で受け持っているものが少なくない。ハローワークなどもその一つ。

「広域的運用が必要だから」といって国が運営しているが、実際には

そんな風に行われていない。

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(31)  2017年2月11日

◆道州制の財政効果と課題(2)

「19兆円の行政の無駄を排除せよー穂坂邦夫・地方自立

政策研究所理事長」(日経ビジネス2012年10月)

都道府県と市町村の間は、似たような事業が少なくない。老人クラブ活動助成など高齢者への支援事業、産学交流、土地開発公社、大学などの公開講座支援・・・。突き詰めて言えば、都道府県の役割が不明確なせいでもある。都道府県はいまやもっと広域的な仕事に特化すべきで、それ以外の多くの仕事は市町村に任せていい。警察にしても、都道府県単位では広域化する犯罪に対応しきれなくなっているし、河川の管轄なども国と県で分かれるなど意味がない。これらよりも広域的な行政単位ができれば、国がやる必要はない。その意味では道州制に変えた方がよいということになる。

我々は、(1)そもそも公の仕事として必要なのか、(2)民間に任せた方がコストを削減できるのではないか、(3)国の事業を地方に移管した方が効率が良くなりコストも下がるのではないか、(4)補助金を一括交付金化するなど地方の裁量を増やした方が効率が良くなるのではないかーーといった視点で、行政のムダを分析した。

18兆9000億円はそこから見えてきたもの。そのうち、多くは都道府県と市町村の側にあるが、(1)から(3)の項目はそれぞれ3兆5000億円から5兆1000億円に上るという試算になった。

 

■道州制ウイークリー(32)  2017年2月18日

◆道州制の財政効果と課題(3)

「自民試算では道州制で約10兆円の財政負担減」

(香川大学2009年「経済政策研究第5号」から)

道州制による地方財政の健全化というのはよく主張される項目で、特に広域自治体による効率的な行政によって無駄な歳出をカット出来るということが述べられる。例えば、自由民主党の国家ビジョン策定委員会(2002年報告)では「道州制」導入に伴って、①国・自治体間で重なり合った重複行政の一掃、②事業の「官」から「民」への積極的移行、③国の一方的な財源配分ではなく、その地域の住民自身が真に必要とする行政分野へ予算を配分することにより、「国民負担増のない財政再建」を目指すことが可能になるとしている。数値例としては、重複行政の解消により、中間部分の都道府県職員、国の出先機関職員の最低でも2分の1程度の削減により、2.2兆円の削減、地方の投資的経費は、徹底的な民間移行と「適材適所」による全体の投資額見直しにより、相当程度の減額が可能で、例えば3割程度減少するならば、7.3兆円の減額となり、合計10兆円程度の財政負担軽減としている。

 

■道州制ウイークリー(33)  2017年2月25日

◆道州制の財政効果と課題(4)

経団連「道州制で新たな財源は5兆8000億円」

(2008年「経団連道州制第二次提言」より)

道州制を導入して行財政改革を進めることにより、新たな財源を生むことができる。日本経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所の研究によれば、道州制の導入によって、九州7県で地方公務員の総人件費は2727億円が、公共投資の効率化で6218億円が削減され、合計8945億円の財源が新たに生まれるとの試算結果が出ている。同様の試算を全国を対象として行うと、地方公務員の総人件費の削減により1兆5130億円、公共投資の効率化により4兆3353億円、合わせて5兆8483億円(国民1人当たり45772円、2008年10月時点の試算)の財源を生み出すことが可能になる。

こうした行財政改革により生み出された新たな財源をもとに、国から権限を委譲された道州が主体的に産業集積政策を展開し、道路や港湾といった必要なインフラの整備を自主的に行うとともに、産業政策が一体となった雇用政策や人材育成を地域の実情に応じて実施することが可能となる。新たな財源に基づく地域独自の施策によって、グローバルな地域間競争に勝てる力をつけることが可能となる。

 

■道州制ウイークリー(34)  2017年3月4日

◆九州の道州制ビジョン(1)道州制で明日を拓く

(2009年「九州がめざす姿、将来ビジョン」より)

九州地域戦略会議は2009年、「道州制で明日を拓く~住みたい・来たい・はばたく九州~」をキャッチフレーズに、九州がめざす姿・7つの将来ビジョンをまとめています。めざす姿は①住民が安心して豊かさを実感できる九州②住民が自らの意思と責任でつくる九州③東アジアの拠点として自立・繁栄する九州④多極的構造を持ち一体的に発展する九州を掲げ、生活、人材育成、経済、安全、環境、地域づくり、国際交流の7分野についてビジョンを示しています。

道州制が九州の経済社会に及ぼす効果としては、道州が独自の経済見通しを策定し、九州全体の資源を最適に活用する産業政策とアジア戦略を推進するとともに、国公立大学や研究機関の選択と集中を図ることにより、九州の産業政策にマッチした科学技術の進行を目指す、としている。また、九州の役割に相応しい独自の財源が確保され、財政効率化により財源を捻出することができるので、これらの財源を住民生活の向上と産業の活性化のためのソフト・ハード両目の社会基盤整備に重点的に投資することができるようになるとし、九州は道州制を導入しなかった場合よりも高い成長を遂げ、魅力のある地域を形成することにより、人口の社会増をもたらし、ひいては東京一極集中型国土構造の是正を図ることが期待される、としています。

 

■道州制ウイークリー(番外)  2017年3月6日

◆自民道州制推進本部の活動について

(平成29年3月5日の党大会「党情報告」から)

道州制推進本部(本部長=原田義昭衆議院議員)は、今後の対応方針について役員会等で鋭意協議を重ね、4月の総会において、当面の進め方として「道州制導入に向けて」が了承された。

7月の参議院議員選挙後、8月に石田真敏衆議院議員が本部長に就任した。

11月の役員会において、道州制の導入の目的や市町村の役割等について下記の通り議論が行われ、その議論を進めるため、「道州制の下での基礎自治体の役割に関するPT」の設置が了承された。

道州制導入の目的は、主権は国に残しつつも、国、東京に全ての機能が集中している現状を是正し、各地方で世界レベルの活動、特に経済活動ができるように、都道府県ではトータル(三ゲン)のパワーが小さいことに鑑み、権限、財源、人間を強化することである。

その中で、市町村の役割は、主として住民サービスを行うことであり、道州制に移行しても市町村の存在意義は変わらない。

地域密着型の住民サービスとは具体的に何を指すのか、また地方に活力をつけるにはどの行政レベルで地域振興をするか、どこを拠点とすることが最も効果が上がるかなどを明らかにし、地方の活性化に寄与できるような仕組みを検討する。

そして、12月のPTの初会合では、今後、自治体関係者とも協議し、PT(案)を取りまとめていくこととした。

 

■道州制ウイークリー(35)  2017年3月11日

◆九州の道州制ビジョン(2)九州一体となった産業政策

(2009年「九州がめざす姿、将来ビジョン」より)

現在、各省庁や県などが独自に進めている産業政策を道州の下に統合し、道州が九州の視点で、各省庁を横断する総合的な産業政策を実施することが可能になります。例えば、域内各地にその強みを活かした産業クラスター等の戦略的な拠点を形成することで、新たな市場を開拓するための高度な研究開発を進め、九州の国際競争力の強化につなぐことができます。また、域内の産業連関を強め、取引、資金等の域内循環を高めることにより、九州の一体的な発展を実現できるようになります。税制などの大胆な優遇措置や産学官が一体となった産業クラスターの形成、現在の県域を超えた密接な連携・協力態勢によってカーアイランド、シリコンアイランド、フードアイランドなどの形成を一層促進し、リーディング産業を育成できるようになります。中小・零細企業が多い九州の現状を踏まえ、道州と基礎自治体が連携し、域内の産業連携を強め、農商工など産業間の連携を総合的に支援することにより、地域産業を振興することができます。国の企業立地などに係る許認可権限を道州に移譲し、基礎自治体と連携することで、企業立地に関する窓口を一本化、迅速化と利便性向上を図り、また多極分散型の地域づくり政策に基づいて、九州域内のバランスのとれた企業立地を進めることができるようになります。

 

■道州制ウイークリー(36)  2017年3月18日

◆九州の道州制ビジョン(3)安心できる暮らし

(2009年「九州がめざす姿、将来ビジョン」より)

医療問題は良くなるか――国からの権限・財源の移譲を受け、道州で道州立大学の医学部定員を増やし、医師を積極的に養成し、地域や診療科ごとの偏在をなくすことによって、九州のどこに住んでいても一定水準の医療を受けることが可能になります。臨床研修制度の企画、立案、指定を道州が一貫して行えば、医師臨床研修の一環として僻地勤務を義務付けるなどの措置により、医師の適正配置が可能になります。過疎地域などを抱えながら単独の県では導入が難しかった救急用医療専用ヘリコプター(ドクターヘリ)などを道州として導入し、効率的に運用することや、医療機関の受入可能状況など救急に関する情報を道州が広域的に管理統括することで、効率的な救急医療体制を構築できるようになります。

子育ては改善されるか――道州と基礎自治体が連携して、地域の実情を踏まえた弾力的・総合的な子育て施策を進めることにより、出産から育児期までの支援を一体的に行い、九州のどこに住んでいても安心して子供を生み育てる社会を実現でできるようになります。現在、厚生労働省と文部科学省が連携して推進している「認定こども園」事業は、道州制によって国の権限・財源を基礎自治体に移譲して縦割り行政を解消し、基礎自治体が自らの裁量で保育所と幼稚園を一体的に運用することにより、本来の意義をより実現しやすくなります。

雇用や生活セーフティネットは変わるのか――国からの権限・財源の移譲を受け、地方が自ら雇用政策を決められるようになれば、道州は基礎自治体と連携し、対象事業や雇用期間など全国一律の実施要件を緩和して、緊急かつ機動的に財源を投入することにより、景気や雇用情勢が悪化した場合でも、地方の実情に合った効果的な対策を迅速に実行できるようになります。中小企業大学校や職業能力開発施設を道州で一元管理して、産業構造転換や新技術の導入に必要な職業訓練システムを再編強化することにより地域の雇用実態に合った取り組みを進めることができるようになります。国、道州、基礎自治体が連携、雇用施策と生活保護、介護保険、医療保険などを総合的に行います。

 

■道州制ウイークリー(37)  2017年3月25日

◆九州の道州制ビジョン(4)安全対策先進地域

(2009年「九州がめざす姿、将来ビジョン」より)

道州は、九州の地域特性に応じた事前の予防対策、応急対策、復興

などの事後対策、再発防止対策を迅速かつ総合的に立案、実施する専門組織を創設し、九州全域の危機管理体制を確立することで、自然災害や大規模事故、武力攻撃災害などの緊急事態に広域的に迅速かつ一貫して対応できるようになります。専門組織は、災害・危機発生時に指揮命令系統を一元化し、国、基礎自治体との連携により、九州全域の自衛隊・警察・消防・医療機関・ライフライン機関・放送機関などの間で緊密な情報伝達・協力体制を整備することが可能になります。一方で、人員や財源などの面で道州だけでは対応できない大規模な災害については、国全体で協力し合う体制を整備することも必要です。

風水害、火山噴火、地震、高潮などの自然災害の予知や減災、ま

た、危機管理体制や防災訓練のあり方、さらには鳥インフルエンザ対策や食中毒などの危機管理などについて、全ての学問領域にわたる九州の特性に適合した研究を、道州立の大学や研究機関で重点的に実施することができるようになります。複数の基礎自治体を流れる河川は道州が河川管理全般を一元的に行うことになり、国との調整が不要となるため、地域の自然、文化、まちづくりと合致した総合的・効果的な治水対策・流域管理などが可能になります。

広域化、組織化する犯罪に対して、現在の県境を越えて警察の管轄区域を再編することにより、道州と基礎自治体、地域コミュニティなどが協力して犯罪抑止のための総合的な対策を講じることができるようになります。

 

■道州制ウイークリー(38)  2017年4月1日

◆九州の道州制ビジョン(5)道州制導入で域内生産12%押し上げ

(2009年「九州がめざす姿、将来ビジョン」より)

積極的に道州制導入を進めたハイケースの場合、道州制を導入しなかった場合と比べて、九州の域内総生産を10年間で12%押し上げ、経済成長率は1.2ポイント上昇する。九州経済調査会の研究報告では、長期予測の前提条件となる道州制導入による効果を、①一体的政策による地域競争力の向上②権限拡大による産業基盤整備への重点配分③行政コスト削減とその再配分の3つとし、2025年度までの九州経済を予測している。

第1の前提条件――一体的政策による地域競争力の向上では、道州制の導入は、九州全域に関わる広域的な行政課題に対し、地域ニーズに基づく一体的政策の実施を可能とする。この研究では一体的政策の実施が地域全体の技術進歩や企業・行政機関の運営改善に貢献し、九州の地域競争力が向上すると想定した。

第2の前提条件――権限拡大による産業基盤整備への重点配分では、九州は将来、国際競争の激化や人口減少社会の本格的な到来による低成長への対処を余儀なくされる可能性が高い。従って、道州制の導入によって中央から地方への権限移譲が進み、地方の政策ニーズに基づく政策の実施が可能となり、道州政府が経済成長を志向する積極的な政策を選択すると仮定した。具体的には九州全域の社会資本について、道路・空港・港湾を産業基盤向け社会資本、それ以外を生活基盤向け社会資本に分類し、道州制導入後には生産効果の高い産業基盤向け社会資本への投資配分が高まると設定した。

第3の前提条件――行政コストの削減とその再配分では、道州制の導入は、自治体規模を拡大させ、規模の経済性による行政効率の向上が期待できる。県民経済生産の1人当たり一般政府最終消費支出を自治体の義務的経費とみなし、2004年度の1人当たり一般政府最終消費支出額(都道府県)を推計した。長期予測ではこの推計に基づき、道州制導入後の行政コスト削減額を想定し、その削減分を投資的経費である公共投資と民間投資に再配分すると想定した。

 

■道州制ウイークリー(39)  2017年4月8日

◆四国州の未来像(1)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

四国経済連合会は2009年3月に、地方の道州が自立できる税財政制度を構築した上で、道州制に移行し、四国州が実現すれば、四国は次のように変わっていくと考えられる、と提言しました。

①四国の住民の地方自治への関心が一段と高まり効果的な行政が進む②基礎自治体の強化と道州政府の広域行政によって四国全体が活性化する③州都一極集中でなく、四国の各都市が四国州を支える④医療、子育て支援の充実など暮らしやすい環境整備が進む⑤特色ある四国づくりによって来訪者が増加する⑥選択的集中投資によって利便性の高い交通基盤が整備促進される⑦一つの島としての環境対策、防災対策が強化される⑧四国一体となったアジアとの交流が進む⑨戦略的な産業振興と大学の強化が図られる⑩地域自立意識の高まりによって四国に人材が集まる(各項目の内容については、次回から掲載します)

 

■道州制ウイークリー(40)  2017年4月15日

◆四国州の未来像(2)四国経済連合会の道州制ビジョン

(2009年「道州制によって変わる四国の姿」より)

①四国の住民の地方自治への関心が一段と高まり効果的な行政が進む

四国のことについては四国に決定権と財源が移り、自治体の運営如何が生活や地域振興に直結することから、住民が受益と負担の関係を強く意識し、効果的な行政が一段と追求されるようになる。

道州によるスケールメリットや、国・県・市町村の重複行政の廃止などによって、行政コストの削減が図られるため、その分、住民負担の低減や、福祉の充実、地域振興などに活用することができる。

四国4県が一つの州になった場合のスケールメリットについて、47都道府県の人口と面積を変数とした基準財政需要額(自治体が合理的、標準的な行政を行うために必要とされる財政額)に当てはめて試算すると、四国4県の基準的財政需要総額は現行の約9300億円(平成18年度)から約6500億円へ3割縮減される。

道州制のもとで、四国州は国内外の地域と主体的に競争してゆかねばならないため、道州政府は、戦略を持ち総合力を発揮して特色ある地域づくりに取り組むことになる。また基礎自治体では、権限、財政基盤が強化され、地域固有の重要課題や住民ニーズに応じた行政サービスが迅速かつ優先的に遂行される。

重要なことは、国に頼りがちの地方の意識を改め、地域自立の気概を強く持って、道州制というシステムを最大限に生かした地域づくりを進めることである。