カフェ塾(16)2011年4月

第16回Cafe塾

「大阪市の考える道州制イメージ」

 

講師: 大阪市政策企画室企画部 地域主権担当課長 東中秀成 氏

日時:平成23年 4月16日 (土曜) 16:30-18:30

場所:カフェバー 楽

第16回カフェ塾 報告

去る4月16日に、大阪市の地域主権担当課長である東中秀成氏を講師にお迎えして、「大阪市の考える道州制のイメージ」と題してカフェ塾を開きました。

巷間伝えられるような橋下VS平松の対立構図は別にすれば、広域道州制のイメージは私たちの考えるイメージとそれほど違いはありません。とりわけ関西は大阪・京都・神戸という伝統的な大都市を抱えているために、広域行政~関西州というものを考えた場合、トロイカ制 にならざるを得ません。これら大都市が、他の基礎自治体を引っ張ることになるのですが、たとえば大阪市にそれだけの覚悟があるのかといえば、現在の政令指定都市が居心地がいいのか、それ以上の権限と役割をもつことに消極的なように見えます。

大阪市は、「大阪市は基礎自治体である」という自己規定から区長の公選制には反対です。基礎自治体を分割することにももちろん反対ということになります。この巨大な基礎自治体は周辺の守口市や尼崎市、堺市との間で問題が生じれば「自治体間調整」が行われればいいと考えているのでしょうか。本来大阪府はそうした調整的役割が主だが、主導権をとって、基礎自治体である大阪市をはじめ、府内の基礎自治体に「指令」をすることに違和感をもってしまうというのは、極めて歴史的、感情的な問題であるように思えます。

今後の道州制議論において、大阪市、京都市、神戸市を基礎自治体と見るのかどうかは、基礎自治体とは何かという問題を別にしては語れません。基礎自治体が担うべき権限・役割・責任は、まさしく自治の範囲はどこまでかで決まってきます。昼間人口の多い巨大都市が基礎自治体としての機能しか果たさないというのは、常識的に見て無理があります。たとえば交通網の整理が関係自治体の水平調整だけで片付くわけでもないでしょう。中枢機能を担う都市の関西州全体から見たときの役割は、そこに住む市民だけの基礎自治体としての役割だけではないはずです。中枢都市の権限と責任の由来は関西州から来るのです。

 

カフェ塾(15)2011年3月

第15回Cafe塾

第1部 テ ー マ :各政党の描く地方分権の明日、道州制への考え方
〜自民党編〜

  講師 / 松浪健太 自民党衆議院議員

各政党の道州制、地方分権への考えの違いを考察する。各党から講演者を招致する、その第三弾、自民党です。

講師経歴:現衆院議員(大阪第10区選出)39歳。平成9年 早稲田大学商学部卒業 、 産経新聞社 社会部記者、平成14年10月 衆議院議員 初当選。安倍内閣において厚生労働大臣政務官、福田内閣において厚生労働大臣政務官留任、福田改造内閣において内閣府大臣政務官。 麻生内閣において内閣府大臣政務官。第45回衆議院総選挙にて3期目。

第2部 シンポジュウム:道州制で市民生活はどう変わる?

パネラー:松浪健太 衆議院議員(自民党)
江口克彦 参議院議員(みんなの党)
坂本充 新生燦都代表(元大阪府会議員)
高松義直 関西州ねっとわーくの会代表

コーディネーター:小倉暁 Cafe塾塾長

 

第15回カフェ塾 報告

去る3月13日(日)「関西州ねっとわーくの会」主催、第15回道州制カフェ塾が高槻市民会館で行われました。今回は「各党の描く~地方分権・地域主権の明日」シリーズの第3弾として自民党の松浪健太衆議院議員をお招きしました。

東北地方での大震災にもかかわらず200名以上の参加があり、カフェ塾としては最大規模の開催となりました。200名の参加者のほとんどは松浪議員の後援者の方々ということもあり、「ねっとわーくの会」としては、市民団体主催の道州制講演会・シンポジウムという枠組みを崩さず、誰もが参加できる会にしようということで腐心してきたところです。

実は、今回のカフェ塾では初めての試みとして複数ゲストによる「シンポジウム」も行いました。松浪議員と共に超党派の「道州制懇話会」を立ち上げられた「みんなの党」最高顧問の江口克彦参議院議員にも討論に参加いただきました。関西広域連合をめぐる評価ではネガティブ評価の松浪議員とニュートラル評価の江口議員というような違いはありましたが、ふくらみのある話になったのではないかと思います。また市民団体からのゲストとしては元大阪府会議員で独自に道州制人材養成塾を主催されている坂本充さんにも討論に参加いただきました。これからの関西の道州制運動の一つのかたちが見えてきたようにも思います。関西州ねっとわーくの会では、複数の市民団体・経済団体・教育団体・労働団体、行政・地方議員・国会議員が一堂に会し、関西の未来を決めていく草の根住民参加の「関西州サイバー議会」の立ち上げを構想しています。 関西広域連合が行政事務組合=団体自治の色彩が濃いのに比べ、関西州サイバー議会はまさしく民主主義の再興と住民自治を担います。「国の出先機関」の受け皿ができるのと、関西州の住民自治の受け皿ができるのとはわけが違います。そこを担っていこうと考えています。坂本さんのグループとの共同作業の意味はここにあります。是非かたちにしていきたいと思います。

また今回は初めてマスコミの取材が入りました。23日、朝日放送夕方 (午後4:50~) の「newsゆう+」で関西広域連合奈良不参加の問題とこのシンポジウムが報道される予定です (あくまでも予定ですが)。これを機会に多くの方に道州制に関心をもってもらえるのではないかと期待しています。

カフェ塾(14)2011年2月

第14回Cafe塾

「関西州における治水行政の視点」

 

講師:京都大学名誉教授 今本博健氏 (河川工学)
< http://imamoto.jimdo.com/ >

日時:平成23年 2月12日 (土曜) pm1:30-15:00

場所:大阪府ドーンセンター(天満橋)5階セミナー室

第14回カフェ塾 報告

今回のカフェ塾は、琵琶湖をいただく関西圏において治水・利水の現状と今後の課題について、河川工学の権威であり、行政を含めた広い見地から「ダムによらない治水」を提唱されている京都大学名誉教授の今本博健先生にお話を伺いました。

防災や治水という問題は自然が相手であるため、効果的対策といってもおのずと限界があります。最近でこそ「環境評価」を含む事前評価の重要性がいわれていますが、ある治水工事に成功したとしてもその成功が新たな環境負荷となり、別の災害の原因になる可能性もあるからです。われわれの科学技術というものが、世界や自然の対象を選択的に切り取ったところで成り立っているからでしょう。

また防災や治水は行政区分によって都合よく対策できるものではなく、そのため国や関連自治体が当初より広域的に対処してきたものですが、均衡ある国土開発ともに、とりわけ国の権限が大きい分野でした。しかし、逆に権限の大きさゆえに、その政策に誤りがあれば、マイナスの影響はとても大きいものになります。それゆえ、為政者は政策の評価に対して謙虚である必要があります。しかし「いったん始めたもの、予算の付いたものを元に戻すことは困難」というのが実態でしょう。

「なぜ、ダムによる治水がいけないのか」―そもそも日本の治水政策は、一定規模の洪水を河川に封じ込める「定量治水」といわれるものです。しかしこの考えでは、大きく次のような難点がありました。

  1. 対象を超える洪水には対応できない
  2. 治水目標になかなか到達しない
  3. さらに環境対応もできない

ダム治水の限界もここから来ます。ダムでは、1) 治水機能が限定的で、2) その効果も不確実です。また 3) 堆砂による治水機能の劣化を招き、300年後にはすべてのダムを埋めてしまうことになります。さらに 4) ダム建設によって、地域社会や自然環境を破壊するだけでなく、すでに 5) 建設残適地が少なくなってきており、条件的にもダム時代の終焉が近づいているのです。ダムによる治水がうまくいっていないのは、900基近くのダムがありながら、定量治水の方針下で水害を防いだ例がほとんどないというのも衝撃的です。

そこで今本先生が提唱されているのが、「非定量治水」です。これは限定的洪水だけでなく、あらゆる洪水を対象に防災の観点を強化することと、堤防を中心に流域全体で洪水を受け止めるという減災の考え方で成り立っています。防災には科学的予見、工学的対応、行政組織による長期的フォロー、財政的支援、そして地域住民による情報の共有化と協力体制の構築が必要です。自然を相手にしたものには、われわれ一人ひとりが謙虚でありたいものです。

カフェ塾(13)2011年1月

第13回Cafe塾

「THE 町興しプロデュース」
地方の窮状、デザインで行う地域活性化

 

講師:池田 毅 氏 ( 株式会社アイ工房社長 )

日時:平成23年 1月15日 (土曜) 16:30-18:30

場所:カフェバー 楽

第13回カフェ塾 報告

2011年最初のカフェ塾はこれまでの政治・行政・学問分野を離れ、民間の立場から「町おこし・地域ブランドの開発」を手掛けておられるデザイナ―の (株)アイ工房社長の池田毅氏をお迎えして、地域再生の現場におけるデザインプロデュースの役割とその開発実態について興味深いお話を伺いました。
道州制導入にあたって、政治・行政・商工会・事業者・生活者が一体となって地域再生を進めなくてはなりません。特に、過疎地域の産業基盤をどうつくっていくかは地域の雇用創出、地域財政の安定、住民福祉の向上のために第一義的に重要です。企業誘致が必ずしも成功をもたらさないことは、新興国の追い上げを勘案したときに容易に想像できることです。

池田氏のお話は地域の特産品の発見から始まります。高知・徳島で手掛けられた「ゆず」や「和紙」の特産品が広がりをもたらす秘訣をいくつか披露いただきました。たとえば和紙と竹を結び付けて「和傘」を特産化する。その地域にあるもの(自然物)を使わないと特産化しないということでしょう。それを物産館で売るだけでなく、特産品づくりを体験してもらうことで観光と結び付ける。この結び付ける活動は、特産農産物の販売をすでに廃校になった学校や幼稚園の施設を使うことで資源の掘り起こしにまで広がります。さらに氏の活動は障害者授産施設から生み出される産物のブランド化にも及びます。

こうした一見弱みに見えることも、視点を変えることで地域再生の豊かな資源となるということだと思います。恵まれないことは決して弱みではなく、そこにこそ本当のポテンシャルがあるのかもしれません。 これまでは商工会婦人部・青年部のまじめな取り組みから合同会社設立に至ったケースもあったそうですが、やはり地域のリーダーをどう育てていくかが課題だそうです。行政の単年度補助事業という形では継続性が担保しにくい構造にも問題があります。しかしデザインを地域再生に生かす試みは、町づくりの観点から今後ますます重要になってくるように思います。

 

ご紹介

池田氏の講演の中で登場しました。awanowaブランドと河野和真君のご紹介を致します。

awanowaブランドとは、池田氏がプロデュースしたブランドです。授産施設等で働く利用者の工賃を引き上げるため、また、授産品の販売促進を図るために「とくしま障害者授産支援協議会」が中心となって、各施設の若手職員からなる「ブランド研究会」を設置し、各施設間の意識共有化を図りながら実施しているものです。

そういう環境の中で、河野和真君は、先生から教わった針金細工を自ら工夫してワイヤーアートに高めてしまいました。日々独学で図鑑を見たり、PCに取り込んだ画像を見たりしながら制作にいそしんでいます。
「自由な発想とそれを助け、はぐくむ力」ここに日本の未来へのヒントがあるのかもしれません。

カフェ塾(12)2010年12月

第12回カフェ塾レポート

第12回Cafe塾

各政党の描く地方分権の明日、道州制への考え方
〜 民主党編 〜

講師:民主党衆議院議員 森山浩行氏 (大阪16区選出)

日時:平成22年12月11日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェバー 楽

<講師プロフィール>
現衆院議員(大阪第16区選出)40歳。明治大学法学部卒、関西テレビ報道記者、堺市議、大阪府議、羽衣国際大学客員助教授・非常勤講師(’05〜’07年前期)

第12回カフェ塾 報告

先日、民主党衆議院議員、森山浩行氏を講師としてお招きし第12回カフェ塾を行いました。政権党ということもあり、参加者から厳しい質問もありましたが、森山議員には誠実にいろいろお話しいただき、意義のある会となったと思います。民主党の『出先機関改革に関する提言』(資料/講演レジメ)では、ハローワーク行政について広域連合等に移管するためには、一段と国(=厚労省)に働きかける必要と現状の不充分さが率直に語られました。今後私たちも注目していきたいと思います。

 

第12回 Cafe塾に寄せて

政局に関する報道が過熱する中で、民主党や国会がどういう国家像を描いているかを知る機会は多くはありません。国会議員もマスコミも根本問題を語るのが苦手なのか、そこを避けているように思うのは私だけではないでしょう。かつてそうした理念を語る数少ない政治家として、小沢一郎が取り上げられることもあったように思います。政権交代を可能にする二大政党制の実現、国連を中心にした安全保障・外交政策、消費税の引き上げ、基礎自治体と国家による地域主権の推進 …曰く「普通の国家」日本の実現。

議会制民主主義体制をとる先進国では、経済成長が鈍化する中で崩壊しつつある中流層の支持をどのように得るかが課題であり、結果として多党連立体制にならざるを得ないのが現実です。また国連中心外交とは日米同盟が基軸といいつつも米国の覇権主義にタガをはめようとする「離米」政策であり、結果日米中の正三角形勢力均衡という親中的政策に傾いているように見えます。

消費税を目的税として引き上げることに国民は反対しないでしょうが、公務員利権と企業利権を守るように見える財政均衡路線のための増税には反対ということではないでしょうか。さらに、不徹底な「小泉改革」を徹底するのでもなく、郵政をはじめとする「ナショナルセンター」の維持のための地方重視という流れに至っては、もはや混乱を通り越して錯乱状態であるとしか思えません。

国家論のない安保政策は危険です。国家論のない内治政策も大衆迎合的にならざるを得ません。議論すべきは国家論であり、民主主義であり、目指すべき社会経済論であるはずです。国会議員やマスコミ、その基礎になる市民の質が問われているといえます。

 

カフェ塾(10)2010年10月

第十回Cafe塾

各政党の描く地方分権の明日、道州制への考え方
〜 みんなの党編 〜

 

講師:井坂信彦 (いさかのぶひこ)氏

日時:平成22年10月19日(土)午後7時00分~8時30分

場所:カフェバー 楽

<講師プロフィール>
「みんなの党」参議院 兵庫県第一支部長、全国若手市議会議員の会・会長。【略歴】 1974年03月27日 東京都世田谷区で、政治家とは無縁の家系に生まれる 1993年 京都大学総合人間学部に第一期入学 1997年 神戸のベンチャー企業に入社 1999年04月11日 神戸市会議員(灘区)、25歳で最年少当選(4,940票) 2003年04月13日 神戸市会議員(灘区)、再選(8,706票、トップ) 2006年09月01日 全国若手市議会議員の会・副会長に就任 2007年04月08日 神戸市会議員(灘区)、三選(9,506票、トップ) 2007年11月09日 第2回グッドマニフェスト賞を受賞 2009年09月01日 全国若手市議会議員の会・会長に就任 2010年04月30日 みんなの党 渡辺喜美代表と共に擁立会見

第10回カフェ塾 報告

先日10月19日(火)19時より第10回道州制カフェ塾を複合町屋カフェ「楽」にて行いました。通常は第2土曜日に開催するものですが、試験的に平日の夕方に設定してみました。いつもは来られない方にも来ていただき、今後の開催方法を考える上で、参考になる会合でした。

さて、この10月より、「各党に聞く~地域主権・道州制」ということで、来年の統一地方選挙に向けて、各党の地域主権・地方分権の考えをシリーズで聞いていこうという企画をスタートさせました。第一弾は「みんなの党」編ということで、今年の参議院選挙に神戸から立候補されました前神戸市議の井坂信彦氏に講演していただきました。

みんなの党は「地域主権型道州制」の導入には極めて熱心であり、前内閣府道州制ビジョン懇談会座長の江口克彦氏が今夏みんなの党から参議員になられたように、「道州制~国のかたち」論の先駆的主導者です。ただ問題は、それが民主党や自民党とどう違うかということもありますが、道州制導入の優先順位やそれが上位にあるための理由付けが今一つ明晰でないところです。道州制導入は国家戦略でなければならないと思います。

今回の参加者には、大阪や奈良の県議、元府議、若手市議の方々、大阪維新の会市議、現役大学生や20代の社会人、地方自治研究者や「水問題」を考える市民団体の代表者など、年齢も立場も様々な方からの参加と討論を得ました。これぞまさしく関西州のかたちではないかという思いを深めました。

 

第10回Cafe塾に寄せて

関西州ねっとわーくの会主催で今年1月より行ってきたカフェ塾も、10回目を迎えるまでになり、市民政治塾として一応のかたちができてきたかな、と思っています。基本は市民目線ですので、参加される方々が現役の政治家・行政担当の方であっても、専門的学者の方でも、あるいは市民活動家の方でも、同じテーブルを囲んで議論をすることによって、論点を明らかにしていく方法をとっています。政治や経済、文化的事象まで普段発表の機会のない方でも、ここでは気兼ねなく、その立場に拘束されることなく、自由に意見を述べることが可能です。日本は基本的人権の尊重を憲法で謳い、言論の自由が保障されている国です。しかし実際には様々な制約のため、普通に議論を戦わす機会が多くはありません。政治的な話は特殊な人による特殊な話題になっている趣があります。カフェ塾の意義は、そうした従来の「政治文化」を「新しい政治文化」に変換していくところにもあると思っています。政治家だけが議論し、市民が議論しないというのは、間違った「代表制」であり、「主権観」であり、民主主義を空洞化させるものです。

この間、新しい会員も増えつつあります。多くの方が参加しやすいような会員種別をつくったりもしています。関西州ねっとわーくの会は、特定の政党や宗教団体・営利組織とは全く関係のない、純然たる市民団体です。道州制導入を推進していますが、カフェ塾講演者の中には、慎重派・反対派の方もいます。議論が独りよがりにならないようにするためには、そうした意見を聞くのは、大変重要だと思っています。

11月は大阪府の地域戦略室担当官から「関西広域連合」の話をうかがう予定です。12月は民主党国会議員による直接説明会を開きます。与党ですから、地域主権の「仕分け」をただしてみましょう。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

 

カフェ塾(9)2010年9月

第九回Cafe塾

水道広域化事業の具体例から道州制推進を考える
『オール大阪で見た大阪の水道問題』

 

講師:野村東洋夫 関西のダムと水道を考える会代表

日時:平成22年9月18日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェバー 楽

<講師プロフィール>
関西のダムと水道を考える会を2001年7月に設立。以来、100回以上に及ぶ例会開催し 「紀伊丹生川ダム」「紀ノ川流域委員会」「淀川流域委員会」の主に利水問題に取り組み、現在は大阪府市水道統合問題に取り組んでます。意見書の提出や陳述、意見発表を継続して行い、精力的な活動を行っています。広域に及ぶ河川等問題の考察から行政の事情、地方分権など道州制にも造詣を持たれます。

 

第9回カフェ塾 報告

さる9月18日、「関西のダムと水道を考える会」の代表である野村東洋夫氏を講師に迎え、「オール大阪で見た大阪の水道問題」と題して、大変興味深い講演をしていただきました。
「関西のダムと水道を考える会」は10年近い活動の中で、「水」をテーマに関西地域の利水・治水・水道行政について、国や自治体に働きかけ、市民の立場で納得のできる説明を求めてきた団体です。

当初は水需要の増加を見込んで計画されていた関西地区のダム建設も、その多くが撤回され、現在、行政から公表される需要予測は、逆に今後低下するというものです。そんな中で大阪の府と市の間で水道事業の効率的統合の話が進んでいます。
この問題は橋下知事の掲げる「ワン大阪」と平松市長の「グレーター大阪」構想の対立とパラレルな問題を提起していますが、一層現実問題として、二つの役所―大阪市水道局と府水道部の相互不信と主導権争いといった対立の構図から、統合―解体―再編の難しさを物語るものとなっています。

現在は府の主導する「大阪広域水道企業団」に府下42市町村が参加することになっていますが、最大の自治体である大阪市はここに参加していません。またこの問題は、高度成長期に整備されてきたインフラの老朽化と再整備という、今後財政的にも大きな負担となる事業をどのように効率的に進めていくかという問題―行政の効率的一体化による指揮命令系統の一本化という問題、開かれた行政に市民がどうかかわるかという地方自治の本旨にまつわる問題など、「地域主権」と道州制を考える上でも重要なケースとなっていると思います。

 

カフェ塾(8)2010年8月

第8回カフェ塾レポート

第八回Cafe塾 奈良塾

分権時代を考える・講演と議員トーク
『議員から見た分権 明日の自治体』

 

■基調講演 「分権・道州制と市町村」 市川喜崇 同志社大学法学部教授
■市川教授と議員のトーク 「議員から見た分権ー明日の自治体」

講師:同志社大学法学部 市川喜崇(よしたか) 教授

日時:平成22年8月21日(土)午後3時00分~6時00分

場所:奈良県経済倶楽部 5F大会議室

□基調講演   3:00~4:10  市川喜崇法 教授
□議員トーク  4:20~5:30  浅川清仁奈良県議・天野秀治奈良市議・塩見牧子生駒市議
□質問タイム 5:30~6:00
<講師プロフィール>
松本市出身。1987年早稲田大学経済学部卒。福島大学助教授を経て2000年に同志社大学助教授、2004年に教授。専門分野は行政学・地方自治。研究テーマは、日本の中央ー地方関係、地方分権改革、道州制。

第8回カフェ塾 奈良サマースクール 報告

今回は奈良道州制塾サマースクールとして、「分権時代を考える 講演と議員トーク」を企画、市民約30人が参加した。

まず同志社大学法学部の市川喜祟教授が「分権・道州制と自治体について」と題して基調講演。道州制の意図する広域行政は府県連携、府県連合でかなりのことが可能なのではないか、道州の規模が自治体としての枠を超える中級国家並みとなり運営が難しいのではないかとの見方を示した。

続いて市川教授も加わり、浅川清仁奈良県議、天野秀治奈良市議、塩見牧子生駒市議による議員トーク。議員から見た分権時代についてシンポジウム形式で語り合った。議員からはそれぞれの自治体の課題についての説明の後、道州制について浅川県議からは「閉塞感打破のため国のかたちを変革するとき。地方でフットワーク軽く自由にできる体制が重要」と積極的意見が出された。天野市議、塩見市議からは分権の必要性、重要性を評価する一方、道州制については、まず広域連携を推進すべきではないか、移行プロセスが不明で奈良県内の町村が置き去りにされるのではないか、との慎重論も出された。 道州制について積極論と慎重論の両論が示された形になったが、道州制実現への視点と課題を考える上では、争点が浮かび上がったシンポジウムとなった。 なお、この会合は8月26日付読売新聞奈良版に掲載された。


読売新聞奈良版 (H22.8.26記事全文)  

道州制シンポ 県議らが意見ー 奈良
市民団体「関西州ねっとわーくの会」(高松義直代表)は、道州制の長所と短所について考えるシンポジウムを奈良市の経済倶楽部経済会館で開いた。 市民ら約30人が参加。浅川清仁県議は「国の閉塞感を乗り越えるためにも日本の形を変えることが重要」と主張。「インパクトが大きい道州制より、まずは広域連合を」(天野秀治・奈良市議)、「州内の格差が広がるのでは」(塩見牧子・生駒市議)といった意見も上がった。 シンポジウムに先立ち、同志社大の市川喜祟教授(地方自治)が「分権・道州制と自治体について」と題して基調講演。市川教授は「道州制が実施されると、欧州の中規模国家並みになる。奈良県のように人口1万人未満の市町村が4割を超える自治体でうまくやっていけるのか」と疑問を投げかけ、慎重な姿勢を示した。

 

カフェ塾(7)2010年7月

第7回カフェ塾

第七回Cafe塾

テ ー マ :国家統治のあり方 -これからの日本制度設計のために-

 

講師:岩波薫 法学博士 (大阪大学)・フィロソフィア経営法務研究会代表

日時:平成22年7月10日(土)午後4時30分~6時30分

場所:カフェバー 楽

 

今回は、一元代表制、二元代表制、政治主導、政党と内閣、あるいは政党と官僚の関係など、国家統治の問題は基本的なテーマでありながら、あまり整理されない形で報じられている問題について米英日を比較する形で講義をして頂きました。講義の後、質問に答えるという形で参加者の方々とディスカッションを通し、官僚統治、国民の信任、情報コントロールとマスコミュニケーションなど、更に問題に切り込みました。国家統治のあり方という 膨大なテーマをを短時間で行う強行軍でしたが、今後の制度設計に関する論議からやはりテーマは「道州制」へ。今回も大いに盛り上がった勉強会でした。

 

 

 

カフェ塾(6)2010年5月

6回カフェ塾

第六回Cafe塾 奈良塾

「道州制で何が変わるか 〜関西経済から道州制を見る」

 

講師:高松義直  (関西州ねっとわーくの会代表)

日時:平成22年5月29日(土)午後3時15分~6時00分

場所:奈良県経済倶楽部 5F小会議室

■関西州ねっとわーくの会からの報告

▽関西州ねっとわーくの会道州制カフェ塾 奈良塾開講のあいさつ
▽参院選 関西の候補者に道州制アンケートを行います
▽道州制フォーラム・「関西州議会」企画の中間報告
年内開催目指す 市民が議員、関西の課題を討議

■高松義直 道州制リポート
道州制で何が変わるか~関西経済から道州制を見る
―塩沢由典大阪市大名誉教授著「関西経済論」から

中央集権制から道州制に転換すると様々な効用があるが、導入すれば全て解決するものではない。関西が自ら議題を設定し、関西の諸問題に取り組むには、頭脳機能と神経機能が 働かねばならない。関西は世界の大都市圏としては4位の経済規模を持つ、有望地域だが、その利点を生かし切れていない。京阪神・関西の総合力を生かすには何が必要なのか。次代の産業構造を予測すれば、「ものづくり」から「創造産業」に移行せざるを得ない。その条件は何か。関西経済の発展・成長にとって道州制がどういう役割を果たすことができるのか、が本日のテーマです。

  1. 道州制で何が変わるか
  2. 関西の頭脳機能と神経機能
  3. 1日交流圏・関西の可能性
  4. 関西活性のカギ

 

■フリートーク

かきの補足、最後にフリートークを行いました。また、地域主権型道州制国民協議会との事情・関係説明を行いました。

<補足>

▼全国一律の失敗例・リゾート法<中央集権から道州制へ>
リゾート法は正式名「総合保養地域整備法」。1987年制定。全国41道府県42地域で基本構想が策定された。「ゆとりある国民生活の実現」と「地域振興」という目的が掲げられたが、真の狙いは内需拡大。第一陣の宮崎シーガイヤ、長崎ハウステンボスが会社更生法申請。2003年までに民間施設の整備進捗率が17%、採算の合わないゴルフ場やリゾート・ホテルが1000施設以上も残された。リゾート法の失敗は多面的であり、道州制の下でなら、すべての負の側面が防げたとは言えない。しかし、各州ごとに開始時期がずれ、先行じた州の失敗を見て開発に慎重になったところも半数近くはあったであろう。各道州が開発重点地域を選んだとすれば、共倒れはかなりの程度避けられたに違いない。
▼大阪府と大阪市の合併論<府県では狭い>
大阪府と大阪市については、しばしば、二重行政の故をもって、合併すべきだという議論がでる。しかし、それは基礎自治体と広域政府との役割の違いを混同したものである。二重行政は解消したらよいが、府市合併はあってはならない。もっとも、基礎自治体の機能強化のために、市を解体して、現在の区を基礎とし、首長と議会を持つ自治体(東京特別区に相当)を創設するというなら、話は別。
▼失敗した映像産業育成<21世紀の産業構造>
映像産業育成は、USJの解説前に唱えられていた。当時の市長、港湾局長、経済局長など、だれも言っていた。USJは解説されてから、周辺に映画産業と言えるものは1つの事業所もない。コンテンツ産業育成のい難しさ。東京では課題に気づくところから、正規の政策となるまでに数年をかけて対策を検討している。その後追いでは、勝てない。東京が興味を持たないニッチな領域に特化しなければ、コンテンツ産業は育たない。