道州制ウイークリー86~90

■道州制ウイークリー(86) 2018年3月3日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(12)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽「道州」の地位に関する憲法問題①

道州制論と憲法論議との関わりについては、地方制度の広域化という観点からと地方分権改革という観点からとに大きく分けて捉える必要がある。政府の第27次地方制度調査会は、平成15年(2003年)11月の「今後の地方制度のあり方に関する答申」の中で、道州制の「基本的考え方」としては、「現行憲法の下で、広域自治体と基礎自治体との二層制を前提として構築することとし、その制度及び設置手続は法律で定める」と述べた。道州は都道府県に代わる広域自治体として、日本国憲法にいう「地方公共団体」(第92~95条)の地位が保証されるよう方向付けられたことになる。

続く第28次地方制度調査会は、首相の諮問を受けて道州制の問題を取り上げ、平成18年(2006年)2月に提出された「道州制のあり方に関する答申」においては、憲法問題に特に触れていないが、「地方公共団体は道州及び市町村の二層制とする」とした上で道州制の概括的な制度設計が提示された。

このように、道州に対して地方公共団体の地位を与えるという点では、おおむね現行憲法の枠内で実行可能な方法が模索されているということがいえよう。

 

 

 

 

 

 

■道州制ウイークリー(87) 2018年3月10日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(13)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽「道州」の地位に関する憲法問題②

道州制と連邦制とでは、「制度は本質的に違う」と指摘されている。連邦制には5つの要素がある。

第1に、連邦と州との間では立法権が分割され、通貨、外交、国防といった分野は一般に連邦の立法事項として憲法に列挙される。政策領域別に立法事項が配分され、連邦と州が各々の立法事項について最終決定権を有する。

第2に、連邦と州の間の権限紛争、すなわち各レベルにおける立法が憲法上の分割原則に抵触していないかについては、連邦レベルの司法府が判断する。

第3に、連邦の議会は2院制であり、憲法上、下院は国民を代表するように構成されるのに対して、上院は州を代表するように構成され、州が連邦の立法に参加するという形をとる。

第4に、連邦憲法の改正には、連邦議会両院での改正案の議決のほかに、例えば一定数の州議会の議決など、州の参加を要件とする国が多い。

第5に、各州は独自の憲法を有する。州の統治機構や州内の基礎自治体の自治・行政制度は、その州の憲法制度の下に置かれ、連邦憲法がこれらについて、一律に規定することはないのが通例。

これに対し、日本は単一国家であり、憲法上、国の立法権は国会が独占し、自治立法は法律の下位に置かれる。また、参議院は、衆議院と同様に「全国民を代表する」公選議員で構成され、地方代表とする旨の明文規定はない。仮に道州が連邦構成体としての地位と権能を有することになるならば、統治機構に関する憲法の規定は、地方自治に関する第8章にとどまらず根本的に書きかえることが迫られよう。

■道州制ウイークリー(88) 2018年3月17日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(14)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽「道州」の立法権

憲法第94条は、地方公共団体は「法律の範囲内で条例を制定することができる」と定めている。この条例制定権は「自治立法権」とも表現される。道州制論議においては、国と地方の役割分担を見直し、「国から道州への大幅な権限移譲」を行うことが謳われている。しかし、連邦制を採用するならともかく、国の立法事項以外は自治立法の領域として地方公共団体に移譲する、すなわち政策領域別に立法権を分別することは許されないと基本的には解されるので、国と地方の権限移譲の重複という課題は残る。国の立法の介入を完全に排除することはできない。

地方公共団体の自治立法に委ねられるべき事項について、憲法第94条との関係において国の法律は何を定めるべきかとういことになれば、例えば全国的に統一的基準をナショナル・ミニマムとして法定するといったことが考えられる。地方公共団体がその基準では不十分と考える場合には独自に条例をもって横出し又は上乗せを追加することが許されるとされる。これを一歩進めて、地方公共団体は「ナショナル・スタンダード」を踏まえて「ローカル・オプティマム(地方における最適)」を自由に追求できるのではないかという提言もある。

このように、自治立法事項については、国の法律による規律は地方の裁量の余地を残して枠組みにとどめ、詳細は地方公共団体がその枠組みの中で条例により定めるのであれば、いわば多層構造的な立法の分割という形で、自治立法は地方自治の本旨により適合しうるのではないだろうか。第28次地方制度調査会答申では、「国が道州の担う事務に関する法律を定める場合には、大綱的または大枠的で最小限な内容に限ることとし、具体的な事項は出来る限り道州の自治立法に委ねることとすべきである」とされている。

 

■道州制ウイークリー(89) 2018年3月24日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(15)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽財源移譲及びあるべき地方税体系

道州制に係る地方税財制度上の問題としては、道州間の財源格差の解消を図る財政調整制度、国の資産と債務処理のあり方が挙げられる。第28次地方制度調査会答申による12道州(北海道、東北、北関東、南関東、東京、北陸、東海、関西、中国、四国、九州、沖縄)別に歳入、歳出を算出すると、収支は、東京、南関東、東海、関西の4道州で黒字であるが、残り8道州では赤字となっている。国の収入を全て道州に移譲したとしても、人口や地方の税収に比例して配分したのでは、収支が赤字となる道州が発生することが予測される。道州制の下でも、道州間で資金の移転を行う財政調整が必要になるものと見込まれる。

国から地方への財源移譲については、地方の役割の比重が増加することから、道州や基礎自治体の財政運営の自主性、自立性を確保できるよう、国から地方に財源移譲を行い、地方の財政基盤を充実させることが各提言で主張されている。

あるべき地方税体系の構築については、道州、基礎自治体には、可能な限り偏在性が少なく、景気変動に影響されない安定性を備えた税体系を構築すべきとしている。中でも、経団連などは、消費税は所得課税よりも景気の変動を受けにくい安定性があることから、地方の基幹的財源として地方消費税の充実を主張している。

国と地方の財源配分では、国と地方の最終比率が、収入時の国55.4%、地方44.6%から支出時には国41.6%、地方58.4%と逆転している。こうした地方交付税、国庫支出金による国から地方への資金移転により、地方公共団体や住民が税の負担を感じないという財政錯覚が生じ、財政赤字の行政責任が不明確なものになっていることも指摘されている。

 

■道州制ウイークリー(90) 2018年3月31日

◆21世紀の地方分権~道州制論議に向けて(16)

(国立国会図書館調査及び立法考査局『道州制調査報告書』から)

▽課税自主権及び地方消費税

各提言をみると、道州および基礎自治体に課税自主権を付与することを主張するものが多い。課税自主権を認める理由として,道州制ビジョン懇談会は、道州および基礎自治体が自主性、自立性を発揮し、それぞれの状況や特性または住民の意思に適応した政策を展開し、相互の発展的競争を可能とすることを挙げている。

課税自主権と関連して、注目されるのが地方消費税である。地方消費税は偏在性の少ない税財源であることから地方税の基幹税として期待されている。道州制により、地方消費税が基幹税とされ、また地方に課税自主権が付与された場合に問題となるのが、各道州が地方消費税の税率を自主的に設定することができるかどうかである。一般に、消費税は最終消費地に税収が帰属するという仕向地課税が原則であり、道州間で異なる消費税率とするには州境調整が必要とされ、現実的でないとされる。

地方消費税の税率決定権を各地方に付与しているカナダでは、協調売上税が我が国と同じく、国税分と地方税分とが併存しているが、個別の取引ごとに税収を清算する代わりに一旦消費税をプールして、地域産業連関表に基づくマクロ税収配分方式に基づくことで各州の税率決定権が保持されている。

一方、道州間により税率が異なることで、経済的な混乱が生じるのではないかとの意見もある。通販やネット販売等で他の道州の消費者に販売しても、事業者の存在している道州の消費税率でしか課税できないこと、道州間の税率差異により全国展開する事業者に多額の事務コストが発生すること、低い税率の州で売り上げたとする帳簿操作や脱税に対する監視や取り締まり主体のあり方の問題が生じること、税率の低い道州へと越境した購買が増加するため道州間で税率の引き下げ競争が生じて減収に陥ることなどが指摘されている。

自民党大会で道州制報告

◆自民「道州制下での基礎自治体のあり方」報告 2018年3月25日

(自民党大会党情報告より)

3月25日に開かれた自民党大会で「道州制下の基礎自治体のあり方」が

報告されました。それによると、新たな考え方として、道州制の導入は、

国から広域自治体である道州への分権を徹底することにより、道州の地域経営のパワーを増強することを基本とし、道州制の導入に当たっても、現行の市町村がそのまま基礎自治体として移行する(市町村合併を前提としない)。また、道州制の下での基礎自治体の事務として、1.指定都市・中核市は、都道府県から事務・権限が移譲されて事務範囲が拡大。2.一般市町村のうち、一定規模以上の市についても、都道府県から事務・権限が移譲されて拡大。3.一般市町村のうち、一定規模未満の市及び町村については、道州制に移行しても、原則として現行以上の事務・権限は委譲しないものとし、案1として、さらに小規模市町村については、現行の市町村事務のうち一部を道州が処理することとし、事務範囲が縮小、案2として、事務範囲は変化しないが、道州(支庁)による補完、周辺市町村による補完を行う、としている。

8州構想 2018年3月版

日本再生8州構想

活性化への決定版シナリオ

2018年3月版

関西州ねっとわーくの会

       高松 義直            

http://kansaishu.com

転機に立つ日本

日本は転機に立っています。

人口減少社会、揺らぐ社会保障、産業空洞化、経済縮小、地域間格差、進まぬ財政再建など国民の将来不安が高まっています。これは、社会システムが現代の課題を解決できないほど劣化しているためです。

この不安を切り開く道はただ一つ、「国のかたち」を現代に対応した「現代化」の実行です。それが新しいシステム「道州制・8州構想」です。地域を活性化し、日本を再生へと導いていきます。

少子高齢化による人口減少が加速しています。2040年には1億727万人となり、今より1900万人減少、関西では300万人減少します。65歳以上が国民の36%の3800万人にもなり、生産労働人口は1895万人減少。関西圏では307万人減少します。財政難も進行、国全体で借金1200兆円を抱える状況となっています。

今こそ、レジーム・チェンジ(体制一新)。

改革なくして再生なし。新しい「国のかたち」で地域力を結集し、日本に活力を取り戻すことが急務です。

分権多極の道州制「8州構想」がその鍵です。遅くとも2020年代前半に転換を目指すべきでしょう。

<1>強い地域圏「州」の時代へ

時代遅れ 中央集権の府県制

交通通信進展、県境を越え広域化する地域経済社会圏, 山積する広域課題、東京一極集中の一方で沈滞する地方。中央集権の府県制のひずみが大きくなっています。危機管理上も東京一極集中は危うい状況です。

中央政府が全国一律・画一的に政策決定する明治以来の中央集権は制度疲労を起こしています。地域の自由な発想、活動を阻害する、すでに時代遅れの制度です。

細切れの府県体制で財政基盤も弱く、地域解決力が不足。いまも国依存体質。地方の状況は改善していません。この「衰退スパイラル」を断ち切らなければなりません。

 

 国を頼らず、国を支える

大地域圏で安定した経済社会基盤を築き、人口減・高齢化社会に備えることが日本の緊急課題です。

強い広域地域圏を創り、国を頼らず、国を支える。地域主導の地域発展へ転換の時です。

「変化なくして進歩なし」です。

国のかたちは自立分権の8州制

8州構想は単なる府県合併ではありません。

国と地方の役割分担を再編、多様性を活かし地域の自立的経済圏創りをめざすものです。

人口減少に伴う労働力不足は公務員減少に直結し、現行行政機構の抜本的見直しは必至です。経済社会の広域化にも対応させ、都道府県を地域ブロックの8地域に再編、地域課題に自主決定権を持つ自立分権国家へ向かっていくべきです。

統治機構の刷新は財政再建にもつながります。

8州広域行政府とは、

北海道 東北 関東

中部(東海・北陸・甲信越)

近畿 中国 四国 九州・沖縄

(関東・中部を4州に編成、沖縄に特別行政府を設置することも考えられます) 

道州制による財政削減効果

NPO法人地方自立研究所算定によると行政経費、補助金の重複などの整理で、都道府県分で5兆円、市町村分で9兆円の計14兆円の削減が可能としています。

自ら地域を創る「地域経営」

地域力は「自主自立」から

「自主自立」が地域力、発展の原動力です。

「自ら地域を創る」という地域の創意と工夫を活かす「地域経営」がなければ、地域再生はできません。人口増加と高度経済成長を前提にした国主導の戦後システムはすでに崩壊しました。「お上から下ろす政治」は過去のものとなりました。

広域圏の核「中枢都市」

州は都市の集合体です。

大都市は広域経営の核「中枢都市」、地域のエンジンとなります。市町村による広域都市圏と連携、地域経済を活性化していきます。

広域的、機動的に動ける州を経済単位として産業広域ネットワークをつくり、第4次産業革命推進を軸にしてイノベーションを進め、新産業への再編と雇用安定を図ることになります。地域から世界との競争を目指す動きを加速しなければ、日本は落伍していくでしょう。

「地域発展なくして国の再生なし」です。

自立へ地域がサイフを握る

地方自主財源の確立が自治の要です。

地方税収入比率は都道府県、市町村ともに歳入の

32.6%。いわゆる「3割自治」です。

交付税比率は都道府県が17.2%、

市町村では15.3%となっています。

財政配分は国30:州30:市町村40へ増額します。

税の10%は共同税として州間調整財源とします。(現在は国40:地方60)

補助金行政から脱却、地方の裁量度を高めることが大切です。

予算の陳情政治から自前財源による政治へ変わらなければ、いつまでたっても地域自立はできません。

ただ、各州間にはなお財政格差が起こる可能性があります。そのため基準的生活基盤維持のため州間の財政調整は国が行い、市町村の財政調整は州が担うことは必要でしょう。

まずは税源の地方分を増額することから始まります。

消費税、酒税の地方税化を目指します。当面、税率は国会で議決します。税金と社会保険料徴収の一本化も必要です。

<3>新しい役割分担

8州制は国の分立や連邦制ではありません。

一つの憲法のもと、皇室、議院内閣制、衆議院参議院の二院制を維持、参議院は州代表となります。国、州、市町村の3層制となり、市町村の行財政力を強化、広域行政は都道府県を再編した「州」が統括します。

国は国政の根幹を担う

国の役割は国政の根幹を担い、内政の総合的調整を行い、戦略的機能が強化されます。国は基本法を定め、州の立法機能を拡充、地域で解決できる内政課題対応は州に移管。高裁に行政審判部を設け、国と州の行政上の紛争を裁定します。

主な分野は、皇室、司法、外交、国防、通商、国家財政、通貨・金融、社会保障、教育基本計画、危機管理・テロ対策、資源・エネルギー戦略、食料安保などです。

州は地域経営の司令塔 

広域行政経済を統括するのが州行政府です。州は地域経営の司令塔。地域戦略を牽引します。都道府県の広域業務を継承、国の出先機関も移管し、必要に応じ市町村を補完、産学公民連携で自立経済圏を創っていきます。

主な分野は、広域交通網、インフラ整備、警察、防災、健康保険、労働監督・職業訓練・紹介、中等教育、技術研究開発、農林業振興などです。

大災害発生時には州が機動力を活かし迅速に対応、国が支援していきます。

州設置を機に、国公立大学は国立と州立の大学に再編、産学公民連携の拠点とし、地域発展の核にしていくことも検討されるべきでしょう。

 

市町村は住民直結行政

住民福祉の基盤は市町村です。市町村は日常生活行政全般を担い、市町村広域連携を進め、市町村の行財政力の強化を図ります。府県の仕事を財源・人材と共に市町村に一定程度移譲、地域課題の権限・財源を持つ自治体にします。

主な分野は初等義務教育、生活廃棄物、都市計画、住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、公園街路、上下水道(広域整備は州管轄)、ビザ発給などです。 

まず道州制基本法制定、制度設計へ

■道州制の歩み

道州制は約90年前から論議されています。

明治維新60年の1927年、田中義一内閣が提案した全国6区の「州庁設置」案が最初です。

1945年6月に国の広域行政機関として全国8か所に内務省管轄下の「地方総監府」されましたが、敗戦により同年11月に廃止されました。戦後は1955年に関西経済連合会が「地方制」を提案したのが最初です。その後、数々の団体から提言がありました。

2006年には地方制度調査会が「道州制答申」を出し、道州制の骨格はほぼ固まっています。

アメリカの人口上位10州

1 カリフォルニア  3696万人

2 テキサス     2478

3 ニューヨーク   1954

4 フロリダ     1853

5 ペンシルベニア  1260

6 イリノイ     1291

7 オハイオ     1154

8 ミシガン      996

9 ジョージア     982

10 ノースカロライナ  938

日本8州の姿

国立人口研究所推計・総生産は24年度

上段人口(2015年)域内総生産(兆円)

下段人口(2040年)1人当たり(万円)

北海道 536万人

419

18,1240

338.1

東北 892

686

31,2080

349.8

関東 4276

3801

188.6170

441.1

中部 2325

1962

95.7390

411.7

近畿 2070

1748

77.8040

375.8

中国 739

603

27.7020

374.8

四国 383

295

13.4790

351.9

九州沖縄 1435

1211

47.4830

330.8

◆州と各国比較     GDP

オランダ  1686万人  8800億ドル

スウェーデン 975万人  5700

デンマーク  562万人  3420

8州構想(5)2018年3月

■道州制の歩み

道州制は約90年前から論議されています。明治維新60年の1927年、田中義一内閣が提案した全国6区の「州庁設置」案が最初です。

1945年6月に国の広域行政機関として全国8か所に内務省管轄下の「地方総監府」されましたが、敗戦により同年11月に廃止されました。戦後は1955年に関西経済連合会が「地方制」を提案したのが最初です。その後、数々の団体から提言がありました。

2006年には地方制度調査会が「道州制答申」を出し、道州制の骨格はほぼ固まっています。

アメリカの人口上位10州

1 カリフォルニア  3696万人

2 テキサス     2478

3 ニューヨーク   1954

4 フロリダ     1853

5 ペンシルベニア  1260

6 イリノイ     1291

7 オハイオ     1154

8 ミシガン      996

9 ジョージア     982

10 ノースカロライナ  938

日本8州の姿

国立人口研究所推計・総生産は24年度

上段人口(2015年)域内総生産(兆円)

下段人口(2040年)1人当たり(万円)

北海道 536万人

419

18,1240

338.1

東北 892

686

31,2080

349.8

関東 4276

3801

188.6170

441.1

中部 2325

1962

95.7390

411.7

近畿 2070

1748

77.8040

375.8

中国 739

603

27.7020

374.8

四国 383

295

13.4790

351.9

九州沖縄 1435

1211

47.4830

330.8

◆州と各国比較     GDP

オランダ  1686万人  8800億ドル

スウェーデン 975万人  5700

デンマーク  562万人  3420

8州構想(4)2018年3月版

<3>新しい役割分担

8州制は国の分立や連邦制ではありません。

一つの憲法のもと、皇室、議院内閣制、衆議院参議院の二院制を維持、参議院は州代表となります。

国、州、市町村の3層制となり、市町村の行財政力を強化、広域行政は都道府県を再編した「州」が統括します。

国は国政の根幹を担う

国の役割は国政の根幹を担い、内政の総合的調整を行い、戦略的機能が強化されます。

国は基本法を定め、州の立法機能を拡充、地域で解決できる内政課題対応は州に移管。高裁に行政審判部を設け、国と州の行政上の紛争を裁定します。

主な分野は、皇室、司法、外交、国防、通商、国家財政、通貨・金融、社会保障、教育基本計画、危機管理・テロ対策、資源・エネルギー戦略、食料安保などです。

州は地域経営の司令塔 

広域行政経済を統括するのが州行政府です。

州は地域経営の司令塔。地域戦略を牽引します。

都道府県の広域業務を継承、国の出先機関も移管し、必要に応じ市町村を補完、産学公民連携で自立経済圏を創っていきます。

主な分野は、広域交通網、インフラ整備、警察、防災、健康保険、労働監督・職業訓練・紹介、中等教育、技術研究開発、農林業振興などです。

大災害発生時には州が機動力を活かし迅速に対応、国が支援していきます。

州設置を機に、国公立大学は国立と州立の大学に再編、産学公民連携の拠点とし、地域発展の核にしていくことも検討されるべきでしょう。

市町村は住民直結行政

住民福祉の基盤は市町村です。市町村は日常生活行政全般を担い、市町村広域連携を進め、市町村の行財政力の強化を図ります。

府県の仕事を財源・人材と共に市町村に一定程度移譲、地域課題の権限・財源を持つ自治体にします。

主な分野は初等義務教育、生活廃棄物、都市計画、住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、公園街路、上下水道(広域整備は州管轄)、ビザ発給などです。 

まず道州制基本法制定、制度設計へ

8州構想(3)2018年3月版

自ら地域を創る「地域経営」

地域力は「自主自立」から

「自主自立」が地域力、発展の原動力です。

「自ら地域を創る」という地域の創意と工夫を活かす「地域経営」がなければ、地域再生はできません。

人口増加と高度経済成長を前提にした国主導の戦後システムはすでに崩壊しました。

「お上から下ろす政治」は過去のものとなりました。

広域圏の核「中枢都市」

州は都市の集合体です。大都市は広域経営の核「中枢都市」、地域のエンジンとなります。市町村による広域都市圏と連携、地域経済を活性化していきます。

広域的、機動的に動ける州を経済単位として産業広域ネットワークをつくり、第4次産業革命推進を軸にしてイノベーションを進め、新産業への再編と雇用安定を図ることになります。

地域から世界との競争を目指す動きを加速しなければ、日本は落伍していくでしょう。

「地域発展なくして国の再生なし」です。

自立へ地域がサイフを握る

地方自主財源の確立が自治の要です。地方税収入比率は都道府県、市町村ともに歳入の 32.6%。いわゆる「3割自治」です。

交付税比率は都道府県が17.2%、

市町村では15.3%となっています。

財政配分は国30:州30:市町村40へ増額します。税の10%は共同税として州間調整財源とします。(現在は国40:地方60)

補助金行政から脱却、地方の裁量度を高めることが大切です。予算の陳情政治から自前財源による政治へ変わらなければ、いつまでたっても地域自立はできません。

ただ、各州間にはなお財政格差が起こる可能性があります。そのため基準的生活基盤維持のため州間の財政調整は国が行い、市町村の財政調整は州が担うことは必要でしょう。

まずは税源の地方分を増額することから始まります。消費税、酒税の地方税化を目指します。当面、税率は国会で議決します。税金と社会保険料徴収の一本化も必要です。

8州構想(2)2018年3月版

<1>強い地域圏「州」の時代へ

時代遅れ 中央集権の府県制

交通通信進展、県境を越え広域化する地域経済社会圏, 山積する広域課題、東京一極集中の一方で沈滞する地方。中央集権の府県制のひずみが大きくなっています。危機管理上も東京一極集中は危うい状況です。

中央政府が全国一律・画一的に政策決定する明治以来の中央集権は制度疲労を起こしています。地域の自由な発想、活動を阻害する、すでに時代遅れの制度です。細切れの府県体制で財政基盤も弱く、地域解決力が不足。いまも国依存体質。地方の状況は改善していません。この「衰退スパイラル」を断ち切らなければなりません。 

 国を頼らず、国を支える

大地域圏で安定した経済社会基盤を築き、人口減・高齢化社会に備えることが日本の緊急課題です。

強い広域地域圏を創り、国を頼らず、国を支える。地域主導の地域発展へ転換の時です。

「変化なくして進歩なし」です。

国のかたちは自立分権の8州制

8州構想は単なる府県合併ではありません。

国と地方の役割分担を再編、多様性を活かし地域の自立的経済圏創りをめざすものです。

人口減少に伴う労働力不足は公務員減少に直結し、現行行政機構の抜本的見直しは必至です。経済社会の広域化にも対応させ、都道府県を地域ブロックの8地域に再編、地域課題に自主決定権を持つ自立分権国家へ向かっていくべきです。

統治機構の刷新は財政再建にもつながります。

8州広域行政府とは、

北海道 東北 関東

中部(東海・北陸・甲信越)

近畿 中国 四国 九州・沖縄

(関東・中部を4州に編成、沖縄に特別行政府を設置することも考えられます) 

道州制による財政削減効果

NPO法人地方自立研究所算定によると行政経費、補助金の重複などの整理で、都道府県分で5兆円、市町村分で9兆円の計14兆円の削減が可能としています。

8州構想(1)2018年3月版

日本再生8州構想

活性化への決定版シナリオ

 

2018年3月版

関西州ねっとわーくの会

 

             高松 義直

http://kansaishu.com

転機に立つ日本

日本は転機に立っています。

人口減少社会、揺らぐ社会保障、産業空洞化、経済縮小、地域間格差、進まぬ財政再建など国民の将来不安が高まっています。これは、社会システムが現代の課題を解決できないほど劣化しているためです。

この不安を切り開く道はただ一つ、「国のかたち」を現代に対応した「現代化」の実行です。それが新しいシステム「道州制・8州構想」です。地域を活性化し、日本を再生へと導いていきます。

少子高齢化による人口減少が加速しています。2040年には1億727万人となり、今より1900万人減少、関西では300万人減少します。65歳以上が国民の36%の3800万人にもなり、生産労働人口は1895万人減少。関西圏では307万人減少します。財政難も進行、国全体で借金1200兆円を抱える状況となっています。

今こそ、レジーム・チェンジ(体制一新)。

改革なくして再生なし。新しい「国のかたち」で地域力を結集し、日本に活力を取り戻すことが急務です。

分権多極の道州制「8州構想」がその鍵です。遅くとも2020年代前半に転換を目指すべきでしょう。

広域連合街頭アンケート

2015年3月4日 奈良市街頭アンケート実施結果
◆奈良県民90%が「関西広域連合参加すべき」◆
関西州ねっとわーくの会は3月4日、「奈良県は関西広域連合に参加か、不参加か」について奈良県民を対象に街頭アンケートを近鉄奈良駅前で実施しました。赤いシールをホワイトボードに張り付ける方式で、総数100個のうち、「参加すべき」90、「不参加でいい」6、「どちらともいえない」4、という結果になりました。関西圏の一員として経済社会活動を行っている奈良県民が不参加のままでいることへの不安を表したものといえるのではないでしょうか。
奈良県は人口減少が続き、県民総生産もジリ貧状態。企業が納める地方税の法人事業税や法人住民税は全国最低、一方住民税の高さは全国10位です。そして県の借金は1兆円を超えています。
南海トラフ巨大地震への防災、広域救急医療、ドクターヘリの共同運航、関西国際観光PR など関西広域連合の動きは活発化しています。奈良県が近隣府県・政令市と共に関西の広域課題に取り組まない姿勢は、果たして正常な姿なのでしょうか。4月の統一地方選挙の知事選、県議選ではしっかりと論議して、進むべき方向を示すべきではないでしょうか。

関西州サイバー議会レポート

関西州サイバー議会報告()2014年11

関西州サイバー議会  政治団体として旗揚げへ
2014年11月
事務局長  小倉 暁
去る10月の総会において、関西における主導的な市民による道州制推進団体として「関西州サイバー議会」を政治団体として届けることを決しました。 具体的には、これまでの組織を改組し、新たに常設の政治局を置くことで、広報・宣伝・組織活動を強力かつ円滑に行おうとするものです。

今後はすでにまとめた関西州サイバー議会の道州制設計の第一次提言をもとに道州制実現のために、既存の法案に欠けるものを大胆に問題提起していきたいと考えています。たとえば、道州制自民党案と「地方創生」案に欠けるものは何か。端的にいえばやる気であり、たとえ実現したとしても中央主導のなることが容易に見て取れる不完全性ではないでしょうか。そこであえて対抗軸を作ることで、今後の道州制論議に活性化を図りたいと思います。
その一つは連邦制です。各地域の自立をどの程度まで図っていくのかはお伺いを立ててするものではないでしょう。中央政府が破たんしたとき自分たちはどうやって生き残っていくかを考えることだからです。中央政府の干渉を排除するくらいの自立性を獲得しようと思えば、連邦制を謳うことでなければならないでしょう。
道州制は国内政治・統治問題ゆえにあまり外交安保には関係がないように見えますが、上記の連邦制をいえば外国勢力云々の話が聞こえてきます。そこで外交安保政策は近代以降の東アジア政策の反省に立って、中央に一元化、さらに強化することが必要でしょう。その外交理念は「脱亜」で行くべきであると思います。(都市間外交は認める)いわゆるアジア主義は捨てるべきであると思います。そう決めれば見えてくるものがあります。
一方、内政の基本は、内需の活性化と格差是正・中間層の創造です。これをなすためには経済の外需寄与度・内需寄与度を詳しく見ていく必要がありますが、グローバル経済は言葉と裏腹に地域経済や内需は何かを浮き彫りにしています。外需と内需は分離できるのです。その理解の上で、「同一労働・同一賃金」を実現します。この問題については正社員の給与が低下するとか、逆に人件費が上がり、経営にマイナスであるとか、各会社の風土になじまないとかといった議論はよく聞きます。しかしこれは今後の水素社会の実現と同じく、革命的なことであり、同時に地域政府のもとでないと実現できないのです。同一労働・同一賃金と道州制はセットなのです。また同一労働・同一賃金は資本集約型産業よりは労働集約型産業に親和的です。ただし、前提条件が道州制以外にもう一つあります。それは労働集約型産業の生産性を上げるために徹底したIT化・通信化を推進することと、次世代の技術革新を誘導することです。
たとえば先ほど述べた水素社会です。燃料電池車がいよいよ登場してきました。水素はエネルギー分野で革命を起こします。炭素も核も、要は熱を発生させて電気を起こします。しかし、水素反応は熱も出しますが、直接電気を作るのです。水素には全国的なインフラが必要ですが、このインフラは産業の地域性をより強化するはずです。
また、地域医療事業体は健康・生命事業の運用の中核を担うものです。保育・教育・医療・福祉・介護の財源は、同一労働・同一賃金による雇用の確保とIT化と研修強化・労働の資格化などの施策による生産性の向上、内需の活性化と格差是正・中間層の増大による地域経済の成長によって確保していきます。地域経済の拡大がGDPの拡大になるのです。単なる外需の拡大や富裕層を中心にしたトリクルダウン政策は持続性がなく、脆弱です。(すでに経験済みである)。地域政府は各部門が自立したリベラルな政府になるでしょう。行政主導ではなく、「公的事業体」が中心になると思います。肝心なのは当事者性です。既存の産業界や労働組合の枠組みからはこうした発想は生まれにくいのです。

ここにあげた見解は小倉独自のものが多く含まれていますが、こうした意見を世に問いながら道州制の実現に近付けていきたいと考えています。

さて、政治団体となった「関西州サイバー議会」は、近いところでは①2014年衆議院選挙で、賛同者を増やしていきたい。②2015年統一地方選挙では政治団体の立場を明らかにしていきたい。③道州制設計の第一次提言を整備したうえで、発表したいと考えています。

関西州サイバー議会報告(5)2014年8月

関西州サイバー議会
◎道州制設計への第一次提言◎
道州制移行後の関西の具体像はどうあるべきか、道州制で日本の社会をどのように変えるのか――。
道州制の仮想議会である関西州サイバー議会では、2014年初から討議をすすめてきたが、第一次提言として「道州制導入推進の総括」、「道州制導入の3本の柱」、「財政問題」、「教育制度」、「エネルギー問題」、「医療・社会保障問題」、「関西州の観光」、「健康都市づくり」の8項目について骨子をまとめた。
今後も具体的な提言を行い道州制実現へ論議の輪を広げたい。
2014年8月
関西州サイバー議会理事長平岡龍人
関西州サイバー議会議長高松義直

<道州制設計への提言骨子内容>
関西州サイバー議会2014年8月
□道州制導入推進の総括
◇道州制移行は2020年代前半までに完了すべき
>>要旨<<
人口減少、少子高齢化、財政悪化、地方の疲弊、経済社会の広域化、経済グローバル化、新興国の追い上げ、東アジアの国際関係変動など日本を取り巻く環境は大きく変貌した。明治以来の中央主権の国のかたちは複雑多岐化した現代の課題に応じきれず、様々な広域課題に対しても細切れの府県体制の限界が見えてきた。
国全体の借金はGDPの2.5倍の1300兆円に迫り、財政の壁が近づいている。90年代からの混迷が依然として続き、抜本的解決先送り・一時しのぎの部分修正では対応できない事態であることは明白である。国と地方のあり方を再構築、財政健全化を進め、活力ある地域づくり、国力を再生する道州制<廃県置州>に転換すべき時に来ている。破局を回避するためにも、道州制移行は10年以内とし、2020年代前半に完了すべきと考える。
□道州制導入の3本の柱
◇道州制は人口減少社会の国のかたち
◇地域経済圏活性化への環境整備
◇国と地方の行財政改革と財政健全化
>>要旨<<
日本は人口急減社会に向っている。2014年1月の人口1億2643万人は2030年には982万人減の1億1661万人となり、2050年には1億人を割り込むと予測されている。関西2府4県では2030年には191万人減の1904万人となる。
人口減少にも持続できる地方圏をつくり、日本再生を図るのが道州制の役割である。地域が自立的に発展する枠組みを創っていかなければ国からいくら手当しても衰退からの脱出はできない。広域化した経済社会に適合した広域行政圏を形成し、行政と経済のズレを解消するとともに、地域を支える産業活性化への環境整備を進め、生産性の高い経済を創出していく。さらに中核都市を中心に広域都市連携を強化し、人口減少社会に対応できる機能を集約した体制を整えなければならない。地域の政策を地域主導で企画執行することで、国に頼らない自治行政を実現し、住民本位の社会をめざしていく。地域活性化による人口・産業の地方回帰は東京一極集中のリスク是正にもつながる。3

◇国と地方の役割見直し案
>>要旨<<
道州制は国の分立、連邦制ではない。一つの憲法、象徴天皇、議院内閣制、衆参二院制を維持し、国、広域自治体である道州、基礎自治体である市町村の三層制とする。国と地方の役割分担見直しを行い、権限・財源・人材を地方に移し、国と地方の行財政改革により効率的運営、財政健全化を図る。
国は国家の存立に関すこと、国政の根幹を担い、戦略的機能を強化する。
道州は都道府県を廃止し、現行地域ブロックを基本に10州程度に再編、一定の内政機能を担う。道州には国の地方出先機関を移管し、広域課題の政策企画決定機能を持つ地域の司令塔とし、市町村の補完も行う。
市町村は日常生活行政を担い、必要に応じて市町村間で広域連携する。
▽役割分担見直し案
国=皇室、司法、外交、国防、通商、通貨・金融、年金・社会保障、教育
基本計画・基準、エネルギー基本計画など
道州=広域防災、治山治水、警察、広域道路、大学・中等教育、産業振興、
産業廃棄物、国民健康保険、介護保険、高度医療、環境、農林水産、
労働監督、職業紹介、港湾・空港運営(管制は国)、運輸、広域観光
など
市町村=初等義務教育、都市計画、戸籍・住民基本台帳、保健・社会福祉・介護、生活廃棄物、公園街路、上下水道、ビザ発給など
◇国出先機関(一部除く)の道州移管案管轄区域再編し縦割り行政排除
>>要旨<<
国の出先機関は全国に199機関、職員約20万人、予算13.4兆円
となっている。特に関東、中部、近畿地方では各機関の管轄区域が省庁別、
さらに同一省内においても統一性がなく、縦割り行政が続けられている。
総合的対策が求められる経済行政にとっては大きな障害となる。道州別に
再編し、地域政策の立案・執行権を道州に移管、地域発展の環境整備を図る。出先機関改革の第二段階では中央省庁の再編・改革を行う。
▽道州に移管すべき主な出先機関
経済産業局、整備局、運輸局、農政局、環境事務所、厚生局、労働局、
森林管理局、漁業調整事務所、管区警察局(上級幹部は警察庁人事)
▽国の機関として維持する主な地方機関
裁判所、検察庁、矯正管区、法務局、入国管理局、公安調査局
航空局、管区気象台、管区海上保安本部、防衛局、行政評価局、通信局
財務局、国税局、税関4

□財政問題
◇臨時財政対策債制度の廃止
◇法人関連税の一括管理を行い、地方交付税の配分基準に応じて地方に配分
>>要旨<<
自治とは統治と決裁権と自主・自由を保持していることはもちろんであるが、持続可能な健全性を保持した財政が必須である。現状の地方税と国税の仕組みでは、法人税が法人の東京集中に伴い法人関連の税は東京一極集中になっている。財政の健全化には歳出の無駄の排除や行政サービスの縮小を行わなければならないが、現状では扶助費をはじめ膨張をとめられないまま、社会
インフラの修理、点検などの対策が控えており、歳出の縮小は至難である。
選挙に配慮し、本気で健全化に取り組む首長、議員はいない。公務員も課題先送りである。
地方税、国税ともに税収減のために平成13年に設けられたのが臨時財政対策債(5.8兆円)であるが、国の借金の地方付け替えであり、国の借金を少なく見せかけることになっている。
地方交付税交付金の不足を地方債の増加という先送りで凌いでいる地方財政の抜本的な解決策として、臨時財政対策債の即時廃止を提案する。
◇所得税・法人税・消費税を国と地方で二分、地方調整財源に国歳入10%
>>要旨<<
道州制により各州の一人当たり税収は一定程度平均化するが、ナショナル・ミニマム保障のためには財政調整制度は必要。国の歳入の10%を調整財源に充当する。国税のうち所得税・法人税・消費税合計33.2兆円(25年度歳入)の半額を地方配分とし、2.3兆円の地方交付税交付金財源の酒税・たばこ税の全額を地方税とする。
□教育制度
◇幼稚園の義務教育化(3年)を盛り込んだ学制改革
小学校(4年)中学(4年)義務教育は計11年(中学卒業年齢15歳)
高校4年大学4年
>>要旨<<
現在、幼稚園は3年保育が常態化しつつある。3歳児までは家庭または家庭に準じる場で保育しなければ情緒の安定に欠け、健全な成長の妨げとなりやすい。小学校の4年制は意識の変革期を重要視、第二次性徴を考慮し、性差も大きく作用するため環境を変え、新しい意識を持たせ指導するため。5

◇義務教育(初等・中等)を11年間に拡大
小学6年中学5年(英11年、仏10年、米独9~10年)
高等教育5年大学(教養課程2年・専攻課程3年)大学院
>>要旨<<
年少人口(0歳~14歳)は2030年までに約480万人減の1200万人となる。教育をめぐる環境は激変する。高校までは事実上の義務教育化、中等教育の一貫制も広がっている。中学‐高校の入試をなくし、切れ目のない教育を行う。
◇大学再編国立大学86校は一部を除き州立大学に移管・再編
国立大学=旧7帝大、東京芸術大、東京海洋大、政策研究大学院大学
奈良、北陸の先端技術大学院大学
>>趣旨<<
高等教育は大学の再編統合で改革を進める。大学の地域との連携強化は地域発展に不可欠。国立大学は一部を残し、州立大学に移管・再編し、地域での人材育成、地域産業などと連携した産学研究体制を構築する。在学中に一定期間の社会実習を行う。州内居住者の州立大学進学者には授業料を免除する。
□エネルギー問題
◇革新的再生可能エネルギー開発と脱原発依存の現実的路線
◇即時脱原発ではない、戦略的に原発依存を低くしていく
◇森林間伐材を活かした木質バイオマス発電(特に農山村地域)
>>要旨<<
革新的再生可能エネルギーおよび脱原発依存のロードマップから逆算した現実的路線を歩むこと、基本方針は国、それ以外は民間及び道州が国家安全保障、省エネ、・低炭素化を旨に担うことを提言する。
再生可能エネルギーは、太陽光発電の現在の低い変換効率、風力発電や地熱発電等まで含めた建設計画から確保される発電容量の少なさから、原発の即時代替えたり得ず、太陽光発電の革新的変換効率の実現、超大規模建設計画、系統安定のための革新的蓄電及びスマートグリッド技術が待たれる。
また、「原発なし化石燃料一辺倒」は、エネルギーの供給確保を難しくし、
化石燃料の新興国需要による獲得競争及び高騰に翻弄され、バーゲニングパワーも失うことにつながる。
さらに、「原発なし化石燃料一辺倒」は低炭素社会の進展を困難にする。これらの技術的課題が解決されるまでは、Safety=安全を世界最高水準に高めた原発を利用すべきである。一方で、依存を戦略的に低くしていくことを提言する。
道州の役割は、地理的な得手不得手から最良の地域戦略を示し、民間が実施、また自立的に新規ビジネスの可能性実現する。6

 

関西州サイバー議会報告(4)2014年8月

関西州サイバー議会イベント報告(4)
2014.08.10
◆奈良県香芝市で分権の会「地方分権と道州制について」研修会◆
8月9日に香芝市総合福祉センターで分権の会主催「地方分権と道州制」研修会が開催されました。台風接近の中、約50名が参加。関西広域連合の中塚則男事務局長が「関西広域連合と道州制」について基調講演。広域連合は道州制に直結するものではないが、関西の広域課題に取り組み、関西全体の地盤強化・向上を目指していると説明。次にパネルディスカッションに移り、尾崎充典奈良県議会議員をコーディネーターに、パネリストの中塚事務局長、福岡憲宏香芝市議会議員、清水勉王寺町議会議員、高松義直関西州サイバー議会議長・関西州ねっとわーくの会代表が約1時間にわたり熱い討議を行いました。関西州サイバー議会の高松議長は、道州制の時代背景として人口減少、財政悪化、経済社会の広域化など大きな社会変動を挙げ、道州制は人口減少時代にも持続できる安定した社会基盤をつくり、国と地方の役割分担見直しによる行財政改革で財政再建を進め、地域の産業経済振興のため広域的、効率的な取り組みを目指すものであることを強調しました。次回は9月13日に「地域包括ケアシステムとは」について奈良県庁の林法夫地域福祉課長を講師に招き同センターで研修会が開催されます。

 

 

関西州サイバー議会報告(3)

道州制構想提案発表会報告(3)
2014年2月
(2014.2.1開催)
関西州サイバー議会は2月1日、大阪市内で「道州制構想」提案発表会を開いた、財政、教育、天皇、エネルギー、観光、道州制メリット論、医療・社会保障について約3時間、活発に意見交換がなされた。
「財政」は道州制の根幹的テーマであり、現況の厳しい財政事情を道州制移行により、いかに乗り切っていくか、いくつかの提案があった。
提案は▽国の借金が地方への付け替えとなっている財政臨時対策債(5.8兆円)の廃止 ▽法人関連税の一括管理による地方配布 ▽国税5税のうち酒・たばこ税(2.3兆円)を地方税に全額組み入れ、所得税、法人税、消費税(33.2兆円)を国と地方に2分割 ▽地方で一括徴税し、一定割合を国に上納するなどで、地域自立のための財政基盤を強化することが不可欠であるとの認識で一致した。
「教育」では、まず教師の資質改革が必要との点で一致、リーダー養成の教育カリキュラムが日本には欠落しているとの指摘もあった。学制については児童の成長に合わせて、小学校4年、中学校4年、高校4年、大学4年とし、義務教育は小中8年の提案があった。
「天皇」については国民統合の象徴であることに異論は出ず、皇位継承のため皇統を絶やさない工夫が整備されなければならないことで一致した。
「エネルギー」は原発の扱いが焦点となった。再生可能エネルギーの発電量が少ない現時点では原子力の代替にはなりえず、当面は原発の安全基準を高め、依存率引き下げをめざしつつ新エネルギー開発をするのが現実的選択であるとされた。また、「関西州」としては自立的エネルギービジネスの可能性をめざした地域戦略が必要と提案された。東アジア諸国では原発新設の動きが強まっており、日本の原発研究は不可欠であるとの意見も出た。
「観光」では、交通手段の企画統一、外国人向け案内表記、広域観光マップの整備を広域的に行っていくべきと提案された。
「メリット論」では、日本の厳しい環境打破のため道州制移行は2020年代前半までに完了すべきこと、道州の区割りは地域的一体感が必要なこと、州域内の大都市経済が牽引し、州内財政調整を図ることが道州制で可能になることなどが説明された。
「医療・社会保障」については、産官学共同+地域政府による地域医療共同体の創設が必要であり、地方政府は道州制によって確立されるとの提案があった。

関西州サイバー議会報告(2)2012年4月

関西州サイバー議会「道州制講演会」報告
2012年4月
関西州サイバー議会は2012年4月7日に「道州制特別講演会」を大阪・天満橋の府立ドーンセンターで講師に林宜嗣関西学院大学教授を招き開催した。現職議員、経済人、一般市民ら30名が参加した。平岡龍人理事長が「関西圏での経済産業ネットワークの構築を求めて活動していきたい」と開会の挨拶。続いて理事の衆院議員・道州制推進議員連盟事務局長の松浪健太氏から「中央集権から決別した道州政府をつくらなければならない」と取組方向が示された。林教授は講演で「道州制は実行の段階。具体的論議が必要」と強調した。
<講演要旨>林宜嗣関西学院大学教授「地域主権と道州制 待ったなしの地域再生」
道州制はいつ実行するかという段階にあるが、制度論の域を出ていない改革論議になっている。地方が活力を失いつつある現在、「地域が主体的に自らの責任において地域づくりを進め、頑張るところが報われる環境を整備することが分権の目的。それが地域再生戦略としての地方分権改革。国が元気であれば、地方がよくなる時代ではない。都市とヒンターランド(後背地域)の活性化が国の活性になる。英国では公と民の在り方「ガバナンス」を調査研究している。公と民のパートナーシップは欧州におけるトレンド。日本ではそうはなっていない。設計図を描くのは地域に任せるのが地方分権。東京一極集中を止めないと、日本はダメになる。
「新しい公共」という考え方は古くなった。行政が介入しないと、地方の生活を維持できなくなる状況にある。英国では、国からの出先機関「地域開発局」(EDA)方式では効果がなかったため、地域主体で政策企画する方式へ転換している。
人々が最も暮らしたいところは福井や富山だが、東京に集まってくる。東京一極集中は地方に働く場所がなく、避難所になっていることを現している。北海道は札幌に集中しているが、この地域もやがては衰退する。大阪も中心部にマンションが増えているが、これはオフィス需要が減っている証拠。やがて雇用先がなくなっていく。
関西大都市圏の利点を活かすには「州」の単位で考えなければならない。貧困問題はかつては地方の問題だったが、いまや大都市の問題。西宮も豊中も中途半端な産業誘致ではなく、 住環境を整備、高度な技術者を居住させる役割を果たす工夫が必要。これには行政エリアを撤廃した大都市圏全体の問題として取り組まなければならない。
公共投資⇒成長というのは、単なる経済成長で、地域発展ではない。「発展なき成長」だ。経済開発と社会開発を同時に進めなければならない。産業誘致型ではなく、地元企業の脱皮をいかに実現するかが課題。これが内発的発展で、地域のネットワークが自律的発展につながる。この仕組みづくりには企業と行政の一体感を図る必要がある。
道州制は制度論としてではなく、地域が機能する仕組みとしての論議が大切。「何が問題か、課題はなにか」を見つめることで、あるべき政策が見えてくる。道州は経済開発を重点的に行えばよい。英グレート・マンチェスター地域では広域的パートナーシップを築くには「地域ビジョン」の共有が重要であるとしている。それにはリーダーシップが必要である。
出先機関の移管は許認可権が移管されなければならない。執行機関の移管で、政策決定機能の移管になっていない。事前評価は中央省庁が握っている。中央集権は政策実験もできない。経済特区も条件が厳しい。関西を一つとして、「道州制」の枠で考えるべき時代である。

2012年4月7日開催(高松義直)

関西州サイバー議会報告(1)2011年7月

関西州サイバー議会設立
2011年7月
当会は関西州を先取りした仮想議会の設立を提案し、各方面の協力を得て、「関西州サイバー議会」設立しました。関西州サイバー議会は、現職の議員、首長、各種団体、市民が区別なく議員として参集し、WEB上で議論を展開し、まとめ、関西州の具体像を提示します。テーマ別委員会を開催し、対面式の全体総会を年間複数回開き、専門家を招いた公聴会も行います。まず、関西州が目指すもの「関西州憲章」他を今秋予定の第1回総会で審議します。
人事
理事長 平岡龍人・本議会議長 高松義直・事務局長 小倉暁
その他の人事は、第1回理事会開催後に決定されます。
関西州が目指すもの 「関西州憲章」素案
• 「関西での暮らし=安心安全の社会」を設計する
• 人口減少社会に対応しながら、輝く関西を実現する
• 関西の都市部、郡部で偏重がない、健全財政を確立する
• 関西産業の復興と雇用拡大を推進する
• 世界をリードする環境保全、歴史文化の宝庫である関西の観光振興を推進する
• 関西市民文化の隆盛を実現し、教育、人材育成システムを構築する
• 関西発の情報創造、情報発信システムを構築する
関西州サイバー議会発起人会・設立総会
日時   7月10日( 日曜 ) 午後3時~5時
会場   大阪会館 1階E会場